浅太郎鴉

三隅研次監督作品 1956.3.28大映

キャスト
板割の浅太郎/市川雷蔵 おみよ/嵯峨美智子 お栄/浜世津子 御室の勘介/小川虎之助 金井の徳二郎/舟木洋一 百々村の紋次/羅門光三郎 土手の喜太郎/杉山昌三九 三ツ木の文蔵/千葉登四男 清水の頑鉄/光岡龍三郎 国定忠治/黒川弥太郎


 国定忠治の子分・浅太郎が、親しい人々との悲しい別れを経て新しい人生に踏み出してゆく過程を描く。
忠治に悪心を抱く二足の草鞋を斬った浅太郎は、病篤いお栄の亭主を捜すためもあり旅に。やっと会えた徳二郎は荒んだ日々を送っていたが、浅太郎の説得と息子会いたさに故郷へ帰る決心をするも、イカサマ博打の壺を振ったことが災いし金のため無惨に殺されてしまう。彼を陥れたヤクザと死闘のすえ重傷を負う浅太郎だが山の一家が彼を保護、傷も癒えかけた日、忠治が赤城山に籠ったとの凶報が届くのだった。

*ロケ地はほぼ判明せず。以下、手がかりの備忘録。
・百々村の紋次が手下の浪人と忠治に対する悪企みを話している夜道、浅太郎が現れ彼らを斬り捨てるのは「材木置場」。板塀が見える気もするがほぼ材木のみ。
・甲州さして街道をゆく浅太郎、地道に小川、木橋(このあと高崎出身という姐さんのいる一家へ立ち寄り)。歓迎されないので夜発ちのあとの街道、土手際の地道(並木道、対岸の河畔林は竹。馬子に松代までの距離を聞く)。
・徳二郎が現れるかもしれないと聞き赴く須坂の祭礼の神社(幟に佐原神社と見える)、参道はちょっと登り。
・土手の喜太郎が徳二郎をハメて膾に刻む道、木橋を渡って土手道(子分たちを土手下の汀に伏せてある)。
・徳二郎と約した通り喜太郎一家を訪ねる浅太郎、やってくる道は石灯籠連なる道隈。
・浅太郎をやり過ごした喜太郎が、子分の藤吉を兄弟分のもとに走らせる道は石垣沿い。藤吉が岩間の一行と出会うのは小丘下の畦道。
・喜太郎一家との大立ち回り、野原から林越しに見下ろしのショットが入りあとは山腹の林間。
・おみよと弟が負傷した浅太郎を見つける山道、植生は杉林。おみよの家は山腹の小屋、あしらいものかありものか不明。
・忠治の一件を知らせる早馬が走る街道、道端に萱葺民家。
・縋るおみよを振り切り赤城山へ向かおうとする浅太郎、追いついてきたおみよに導かれ通る滝上、滝は渓流瀑。以降山道や川べり(山中の渓流)、頂上近くの尾根など。ここから赤城山を見やる設定。

*赤城の子守唄の、裏切者の勘介を斬る甥・浅太郎の逸話を最後に持ってくる仕掛けの旅もの。人の生涯を花に譬え、今の忠治を盛りという勘介が絶頂での退隠を勧めるべく行動した設定で、雷蔵の浅太郎は勘介を斬らない。忠治も全て弁えていて、八州が取り巻く赤城山から浅太郎を脱出させるために兄哥たちも動く。そして勘太郎を負った浅太郎をおみよが出迎える運び。


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