ちょっとした「オールスター」仕立て、御大を中心に主役級と若手ホープをずらりと揃えた「七人衆」がそれぞれの個性を活かして輝く痛快作、典型的な「松田組」の仕事。 事の起こりは浅草寺境内の縄張り争い、大身旗本・松平帯刀の権勢を笠に着た鬼神組を牽制する正義の士・勝川縫之助。彼のもとに集う小身旗本や冷や飯食いたちは、たつきの道を得るため顔役・相模屋の手伝いをしていたが、帯刀一派の悪謀募り勝川は甲府へ追いやられてしまう。残された者たちは勝川の戒めを守り事を荒立てぬよう自重するも、いよいよ幅を利かす悪党どもに翻弄され遂に一人が槍玉に上がってしまう。悲憤やるかたない若者たちは逸り、また保護していた女と仲間の侍の赤子までさらわれて暴発、たまらず斬り込むところへ甲府から勝川が帰ってくる。 ロケ地 *勝川は御大・市川右太衛門、とっぱなと締めくくりに出て中ほどは出ないつくりで、他のキャストを前面に出してくる。勝川以外の七人衆は大友柳太朗、東千代之介、大川橋蔵ら主役級のほか伏見扇太郎、尾上鯉之助、南郷京之助(侍ではなく役者)の若手ホープが配される。七人のうち落命するのは大友柳太朗の平原甚兵衛のみ、彼の死で事態が大きく動く運び、このとき秋月を慕う蓮月院も彼らに与し斬られてしまう。悪役陣は帯刀が山形勲でヒヒ爺の間部老人が薄田研二。女性陣は蓮月院が千原しのぶ、間部老人から逃げた侍女は桜町弘子、勝川を思う芸者は花柳小菊、平原を慕う茶屋の娘は花園ひろみ。顔役の相模屋は志村喬。 |