大江戸七人衆
松田定次監督作品  1958.4.30東映


 ちょっとした「オールスター」仕立て、御大を中心に主役級と若手ホープをずらりと揃えた「七人衆」がそれぞれの個性を活かして輝く痛快作、典型的な「松田組」の仕事。

 事の起こりは浅草寺境内の縄張り争い、大身旗本・松平帯刀の権勢を笠に着た鬼神組を牽制する正義の士・勝川縫之助。彼のもとに集う小身旗本や冷や飯食いたちは、たつきの道を得るため顔役・相模屋の手伝いをしていたが、帯刀一派の悪謀募り勝川は甲府へ追いやられてしまう。残された者たちは勝川の戒めを守り事を荒立てぬよう自重するも、いよいよ幅を利かす悪党どもに翻弄され遂に一人が槍玉に上がってしまう。悲憤やるかたない若者たちは逸り、また保護していた女と仲間の侍の赤子までさらわれて暴発、たまらず斬り込むところへ甲府から勝川が帰ってくる。

清凉寺

ロケ地
・縁日で賑わう浅草寺境内、清凉寺本堂前に露店等派手にあしらい、茶屋などはセット。
・大竹邸(御後室・蓮月院が住まう)妙心寺塔頭(玉鳳院唐門か涅槃堂か特定できず。御後室が出てくる玄関は涅槃堂に似る)。門前を秋月が通りかかるのは門内から、見えている塀は養源院北塀。蓮月院が秋月を呼び止めるシーンはセットにスイッチ(開山堂内部は通常非公開なので門からのぞく景色は確認できず/ポイントは門脇の塀の五本線と象鼻の形状、門扉の形と門から見える向かいの塀)
・勝川を訪ねる染吉がゆく甲州街道、不明(湖西の棚田か)
・村瀬の子供とおいちを奪われたあと、帯刀邸へ向かう秋月たち、石橋を渡る夜道は大徳寺境内か。江戸へ急ぐ勝川の絵が挿まれたあとの夜道は天龍寺境内か(塀は瓦練り込み塀に見える/石畳の様態が慈済院前付近に似る)

*勝川は御大・市川右太衛門、とっぱなと締めくくりに出て中ほどは出ないつくりで、他のキャストを前面に出してくる。勝川以外の七人衆は大友柳太朗、東千代之介、大川橋蔵ら主役級のほか伏見扇太郎、尾上鯉之助、南郷京之助(侍ではなく役者)の若手ホープが配される。七人のうち落命するのは大友柳太朗の平原甚兵衛のみ、彼の死で事態が大きく動く運び、このとき秋月を慕う蓮月院も彼らに与し斬られてしまう。悪役陣は帯刀が山形勲でヒヒ爺の間部老人が薄田研二。女性陣は蓮月院が千原しのぶ、間部老人から逃げた侍女は桜町弘子、勝川を思う芸者は花柳小菊、平原を慕う茶屋の娘は花園ひろみ。顔役の相模屋は志村喬。


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