1968-1969年 NET/東映京都テレビプロ 第1話「道を教えた娘」1968.7.29 武芸者の若者・田島次郎は、はるばる京へ小太刀の名手を訪ね教えを乞おうとするが、当の「師匠」は老いさらばえているうえ酒浸り、挙句の果て会ったその夜に借金返済の算段に暗殺仕事を引き受けて頓死。この件に巻き込まれるかたちで、三人の男が出会う。 ロケ地
*浅川敬斉は永田靖、娘は尾崎奈々。借金取りは遠藤辰雄で娘を売り飛ばそうとしている。浅川が入り浸る酒肆の無愛想な親爺は小田部通麿、暗殺の依頼主は織本順吉。 第2話「赫い月の夜」1968.8.5 田島の下宿先で起こる「ご時勢」の騒動は「しんどい仕掛け」になっていて、益体もない屍が積み重なるのみ。叔父を訪ねてきた白川女と田島が再び顔を合わせることもなく、一見平穏な京の日常が続いてゆく。 ロケ地
*白川女のおたえは松山容子、叔父で田島の大家の啓蔵は永野龍雄(公家の使い走り)。啓蔵を斬った侍たちの一味のゴロツキは草野大悟で、啓蔵の警護を野良犬に頼んだ公家の雑掌は増田順司、二人は兄弟で「しんどい仕掛け」なるも詳細は語られず。*タイトルは不吉なイメージの赤い月、その下で野良犬が血刀を振るう。*白川女と大原女の違いで薀蓄開陳の万平ダンナ、袴をたくし上げて熱演。物売りでは梯子担いだ「畑の姥」も出る。 第3話「送り火が燃えるとき」1968.8.12 盂蘭盆の夜、寡婦のもとへ義理筋から預けられた客は倒幕浪士。たちまち降りかかる災難、町方に追われ家にも戻れぬ母子を優しく頼もしく保護する三人だが、彼らにかかる難儀を心苦しく思った寡婦は、娘を連れていずこともなくそっと消える。 ロケ地
*寡婦は鳳八千代、土佐脱藩浪士は菅貫太郎、預けに来る番頭は西山嘉孝で料亭の主は天王寺虎之助、倒幕浪士を探る目明しは山口幸生。 第4話「祇園小路に死す」1968.8.19 病の父のため花街にいた女は、恋人の仕官のため客の公儀役人に身を任せるが、男が仰せつかった仕事も女の仕出かした不実もろくな結果を呼ばず、恋人たちは空しく石畳に骸を晒す。 ロケ地
*浦辺は早川保、美代香は長内美那子、内藤主膳は城所英夫。浦辺が命じられるのは、長州者の中に倒幕浪士として潜入する仕事。小田部・香月コンビが目明し千造と青山同心で登場し、下っ引は西田良。万平ダンナの言葉ひとつで野良を信用。*ダンナたちは野良犬の奢りで高い料亭に上がりこんでいて騒動に際会するが、食いつけぬ佳肴をもしゃもしゃ食らう田島がなかなか可愛い。 第5話「地蔵盆の灯り」1968.8.26 地蔵盆の宵、万平ダンナが拾った迷子は野心を抱く倒幕浪士によって人質にされてしまう。子を送っていった手習いの師匠が巻き込まれ危機に遭遇するとき、夜の路地にうっそりと野良犬が現れる。 ロケ地
*手習いの師匠は高森和子、与力のお供をしている子の父は河上一夫、師匠に食ってかかり野良犬にたしなめられる女房は伊吹友木子。*万平ダンナ傑作、暇なのか子供好きなのか地蔵盆に集う子らに混じり歌を教えたりはいつもの通り。そんな万平ダンナを仄かに慕う師匠の気持ちには全く無頓着なのがらしいというかダメっつうか、とにかく笑える。 第6話「粟田口の迎撃」1968.9.2 訳ありげな「志士の妻女」を助けて動くダンナたちは、京と大津を行ったり来たり。夫婦も庇護者もやられてしまうが、「密書」は不思議な男の手によりいずこかへ届く。 ロケ地
*美和は伊藤栄子、京での庇護者(町家)は徳大寺伸、大月は長谷川哲夫。追っ手情報を知らせる乞食じみた謎のアイパッチ浪人・檀万三郎は舟橋元、得物は薪ざっぽ。*随心院の設定については、全く同じアングルで映るし設定もほぼ同じだが、先のは大津にいる美和が「近くの寺」と言い、後のはナレーションが山科と言うので、「ロケ地資料」にはいちおうその通りに併記。 第7話「六角の闇から闇に」1968.9.9 六角の獄に囚われていた浪人は、あまりの苦しさに耐えかね密偵を引き受けてしまう。しかし町雀でさえ怪しむ早すぎる出獄を、長州が疑わぬはずもなかった。夫婦の危機に現れるは、謎の筋から寄越された用心棒・野良犬。 ロケ地
*塚本浪人は川辺久造、妻女は桜町弘子。長州藩士は田畑猛雄。*千造が自身番で水飴を売っていて青木同心に叱られるが、製造元は万平ダンナで山ほど作っている模様。十吉もやっていたり。水飴というが箸の先にからめて食うアレではなく、割水した「冷やし飴」のことと思われる。 第8話「野分の中」1968.9.16 京に遊学していた常陸の郷士は、才に溺れ志士気取りで動き虎の尾を踏む。田舎からやって来たその若者の老父のため動くダンナたちだが、青年と父が生きて会うことは遂に無く、また闇は深くフィクサーの実像も杳として知れない。 ロケ地
*老父は月形龍之介、倅は山根久幸、彼の子を身籠っている酒肆の女は馬淵晴子。大坂の富商と称するフィクサーは原健策、周作とお大尽を取り持つ男は玉生司郎。 第9話「無惨の巻」1968.9.23 京の出店へやって来た大店の女将が襲われるが、野良犬のほか凄腕の浪人が関わって企みは頓挫、首謀者の「志士」は名を地に落し遺族は町衆の非難を浴びる。その男を斬った田島は、いきり立った遺児の怒りを受け止めてやるが、状況は変わらず残された者たちは京を去るしかなかった。 ロケ地
*訳もわからず襲われる後家の女将に野際ひとみ、彼女を籠絡して軍資金を得るつもりだった中番頭は不破潤、出店を預かる大番頭は海老江寛。中番頭が師事する志士・大槻は月形哲之介。女将を最初に助けた流れ者の浪人・龍造寺平馬は中野誠也。 第10話「東の空が暗く」1968.9.30 嵐山の山水を愛でにいった先で物騒な事件に遭遇する万平ダンナと田島は、殺された男のお供をしてきた娘を拾って帰る。娘が預かっていた秘密文書も、それを狙った侍を野良犬が斬った件も、しんどい仕掛けは全て済み、娘は万平ダンナが紹介した店で働き始め重宝がられ、そこの板前と何やらよい雰囲気。皆温かく彼女を気遣い、なんと野良犬ダンナまで娘に物を贈るが、悪い因縁が店にやって来てしまう。 ロケ地
*おせつは沢宏美、勤めた先の板前は近藤正臣で店主は江幡高志。嵐山でおせつを狙うも田島に阻まれ不覚をとり、藩重役に覚悟を迫られ出奔し、不逞浪士となって京の町で悪さをはたらく一団の首魁は田口計。*タイトルはおせつがそれを言った者に書付を渡せと聞いていた符丁「東の空が暗くなる」から、東も西も暗いと幕末の暗雲垂れ込める京を謂う表現にも。 第11話「弦月の下」1968.10.7 勤勉なため激しく浪士の恨みを買った奉行所の役人が、上の方針で配置転換に。前例あることとて彼の移動には慎重に配慮がなされるが、情報ダダ漏れでワヤな事態が橋本宿を舞台に展開される。上つ方の遣わした用心棒である野良犬の働きもあり、当の本人は無事東帰を果たすも、病の亭主に人参を買うため命がけで使い走りをつとめた旅籠の女が、とんだ貧乏籤を引き当てる。 ロケ地
*橋本宿の旅籠で守銭奴と朋輩の誹りを受けつつ小金を稼ぐ女は根岸明美、彼女に使いを頼む「藤田の女」は国恵子、藤田は牧冬吉。浪士に通じる与五郎は土方弘、彼に伏見で落ち合う場所を指示する浪士は出水憲司。中野誠也の龍造寺平馬はたまたま橋本宿に居合わせ、路銀を稼ごうとして一丁噛むが、貰いは無いうえに哀れな女の死を見る羽目に。 第12話「あの竹薮をぬけて」1968.10.14 老ノ坂の往還を分け入った竹藪に埋もれてある旧家、そこへ国事に奔走する志士が怪我人として運び込まれ、血腥い一陣の風が吹き荒れて去ってゆく。繰言を呟き続ける老爺と、黙って世話を続ける嫁は、志を抱き出て行った当主の帰趨を知らされない。 *ロケ地は山道と竹藪と旧家、ほぼ全て不明。山道は九十九折の狭い地道、竹林はよく手入れされた明るい林床で西山っぽい。旧家は入口に短いステップのある萱葺の門、また又三匹第4話などでも出て来たアレか。このほか近くの百姓家も萱葺。*用心棒に来た野良犬を追っ手と誤認し逃げて足を折る志士に坂口祐三郎、追っ手は穂高稔や高城淳一。押し込み浪人は平沢彰に林浩久。旧家の嫁は小山明子で因循な隠居は明石潮。 第13話「風の泣く里」1968.10.21 木津川のほとりの鄙びた里に暮らす女たちのもとに、その家の倅の勤め先から女がやって来る。主人と称する奈良町奉行所与力は、国士を気取るもののただの追われ者で、女たちに不幸をもたらし消えてゆく。 *ロケ地は川と萱葺民家と鐘楼門を持つ寺と田畔、湖国やら丹波やら見当つかず。川は河床に粗い礫が顔を出す流れ、河畔林は竹で堤高はさほどでない。萱葺の前には大根干し用か稲架か不明な木組。*追われる与力は青木義朗、協力者の商人は高原駿雄。与力宅の女中は花園ひろみ、隆作は宗近晴見、母は荒木雅子。*行きがかり上追捕の役人を多数ぶった斬ってしまうダンナ方だが、女三人は無事。しかし彼女たちの大事な人は帰ってこない。 第14話「仕官の日」1968.10.28 浪人と京在番の旗本の喧嘩が、更なる悲劇を出来する。物のわかった旗本の上司は辞を低くして事を穏便に済まそうとはかるが、斬られた浪人のほうの係累に軽率にして野心家のおっさんがいて、最高にマズいタイミングで交渉の場にやって来てしまう。 ロケ地
*喧嘩沙汰で命を落とす浪人・岡村勘兵衛は唐沢民賢、弟の俊吉は里見浩太郎で許婚者は磯村みどり。勘兵衛を斬った二条城の侍二人は波多野博と戸板幸男、彼らの上司は宇佐美淳也。己の点数稼ぎのため俊吉に仇討ちを唆す帰参先の上司は中村錦司。*浪人宅へ出向き謝罪もするし身の振り方も考えるからと「仇討ち」を回避しようとする、温厚にしてものを弁えた偉いさん、偶発により死に臨んだ彼が発する言葉は皮肉にも「倅に仇の名を」だったという結束節炸裂のゆくたて。仇討ちの理不尽さを説き、怨恨の無限ループを止めようとする話はいくらでもあるが、いざ事が己の身に及ぶや出る身勝手をさらりと出す手法は秀逸。 第15話「暁に待つ」1968.11.4 物慣れぬ新任の某藩留守居役は、出入りの商家に私的外出をするものの天誅浪士に狙われて足止め。会うはずだった女のもとへその家の手代を使いにやるが、危険が迫っているなかでは無謀極まりない行為なのであった。 ロケ地
*手代は富川K夫、女中は青柳美枝子、呉服商の主は楠義孝。さる藩の留守居役は金内吉男。店は潰れ留守居は失脚と語られる。*留守居役のガードを野良犬に頼んだのは千造たち、ダンナ方は己の身勝手で情婦のもとに危険な使いに人を出した留守居役にムカつき動く。自身番の留守を頼まれた万平ダンナは食べすぎ←うどん二杯に餅。 第16話「夜に消えた」1968.11.11 発作に苦しむ侍の爺さまを助けた田島は、そのまま荷物を持って送ってやり事件に巻き込まれる。事は野良犬のダンナが出張るほどの血腥い一件で、思いきり時間をとられた田島はお目当ての書物を買いそこねる。 ロケ地
*発作を起こし田島に助けられた爺さまは柳川清、夫の潔白を証明するため帳簿を求める妻女は田島和子で従僕は永田光男。帳簿を取り返しにやって来る藩士は山岡徹郎に千葉敏郎。 第17話「川の流れに」1968.11.18 青臭い気炎を吐く者どもに巻き込まれ、難儀を蒙る「市民」を描く。捕まえる側にも余裕のない堅物がいて、獄につながれる者や京の町を出てゆかざるを得ぬ者も出る。 ロケ地
*新吉は寺田農、彼に危ない使いを頼む同郷の青年は中田浩二。「志に殉じた憂国の士」の未亡人である、家を溜まり場にされる手習い師匠は富士真奈美、彼女に言い寄る「志士」は穂高稔。 第18話「逃げて来た女」1968.11.25 風邪に罹った千造を気遣って一人で夜回りに出た十吉は、たちまち襲われ御用提灯と十手を奪われてしまう。このアクシデントをフレームに、曰くありげな男女とそれを追うさる藩の侍たち、十手を奪い悪事に使うゴロツキどもの話を収めてある。 ロケ地
*十吉から十手を盗る一味の首魁の浪人は藤岡重慶、追っ手の侍に取り引きを持ちかけたりなかなか強かなワルだが、野良犬ダンナにあっさり斬られる。千造の長男は「青影さん」金子吉延、女房は沢淑子。 第19話「半鐘は二度鳴る」1968.12.2 一晩に二件続けて起こる放火騒ぎは、幕末の京にも似合わぬヤクザの抗争がらみ。用心棒に来ていた野良犬は、奇妙なゆくたてにも動じず護衛相手のヤクザを守り抜く。 ロケ地
*筋の通った親分は月形龍之介、火付け騒ぎを起こす外道は国一太郎、騒がしい番頭は武周暢。 第20話「白い目じるしの宿」1968.12.9 脱藩し追われている浪士は、先行した妻女が宿につけているはずの布切れを目当てにやって来る。行き違い会えぬ夫婦、殺到する追っ手、しかしその宿には野良犬ダンナが居合わせ、逃げるため用意した小船には万平ダンナがのんびり釣りをしていて、竿を損じた追っ手に大いに怒る。 ロケ地
*追われる脱藩者は細川俊之、妻女は柴田美保子。追っ手は波多野博ほか、宿の夫婦は河上一夫と三原有美子。*今回はダンナたちにやられる追っ手以外に犠牲者は出ず、ラストは三人の掛け合い漫才でほのぼの。 第21話「月夜の湯けむり」1968.12.16 湯も涸れかけている山深い湯治場に、時ならぬ多数の客。野良犬ダンナが保護し連れて来てやった「無実」の青年は、待っていた娘に会い己を陥れた者を打擲したあと、ダンナに厚意を謝し役人に連れられて去る。 ロケ地
*店の金をガメた「主犯」の番頭・修造は不破潤、ハメられた手代の文吉は片山晴信、金を預かって湯宿に勤めていた文吉の恋人は長内美那子。 第22話「地獄極楽わかれ道」1968.12.23 迷惑極まりない珍客に、大勢が難儀を蒙る話。アブないごっさんがヤバい連中の手に渡る事態は避けられるが、哀れな病人の死期を早めてしまう。 ロケ地
*高小路通麿は菅貫太郎、「宮を奉じて」「早う老中に」「天の啓示神の声」などと蚊の鳴くような声でぼそぼそ呟く呆けぶりが傑作。家の内儀は高森和子、おじゃるの雑掌は岩田直二で妹ぎみは三浦徳子。おじゃるを利用しようとするイカの親玉は山口幸生で、イカ仲間に小峰さん。*おじゃる言葉を使ってみる万平ダンナや、御所人形に気に入られて居心地のわるそうな田島も大笑いだが、女たちの感情が軋みだす気配にちゃっと逃げる野良犬ダンナも笑える。今回は劇伴に五番の動機や、天国と地獄のギャロップが鳴って妙なコミカル風味。千造さんが食い損ねた、鯛蕪のよう炊いたんが旨そう。 第23話「おことうさん」1968.12.30 晦日の京、掛け取り先でとんだ難儀を押し付けられた手代は、足を痛めた妹を世話してくれた親切なご浪士との奇縁により凶刃から救われたほか、望外のギフトを贈られる。 ロケ地
*難儀に遭う兄妹は河原崎長一郎と小谷悦子。兄に無理難題を押し付ける浪士たちは山岡徹也、月形哲之介、平沢彰ら。*西鶴の商人描写にはじまり、おことうはんの福玉に守ってやった商人から毟った金を詰めて失意の兄妹のもとへ届けて寄越すダンナ方という運びが憎い仕立て。 第24話「春のともしび」1969.1.6 年寄に無体をはたらく浪士を見た菓子職人の青年は、朋輩が止めるのも聞かず介入。これが手前勝手な憂国の志士の目にとまり、青年の運命を狂わせてしまう。 ロケ地
*血の気の多い菓子職人の青年は近藤正臣、強い義侠心と向ッ気が災いする設定だが、職人としては繊細な面を持ち、心の中にある抽象を具象に高めようと呻吟するさまが描かれる。彼を優しく気遣う店の女将は鳳八千代、彼を鉄砲玉に利用しようとはかる「志士」は坂口祐三郎。*青年が勤める菓子屋は「西陣船橋の鶴屋吉信」、「柚餅の看板」が架かっていて紋も同じ。 第25話「月下の顔」1969.1.13 暗殺現場に入り込んだ前髪の少年は足止めを食い、さらに出自を知られ「的」を誘い出す人質に。脅迫状を見た少年の姉はすげない夫を見て自ら乗り込もうとするが、時勢は女子供の甘さを容れぬほど切迫しているのだった。 ロケ地
*少年を監禁する和尚は玉生伺郎、稚児趣味とか言われている。仲間の浪人は下元年世に田中弘史。山倉屋は成瀬昌彦、大物の政商。妻女は稲垣美穂子で千造さんデレデレ。 第26話「狂気の夜」1969.1.20 様々な人々に毒を仕込み、デモンストレーションを行う抜け荷商人。青木さまたち町方トリオもやられてしまうが、万平ダンナの働きでからくも助かり、一味も毒を贖おうとしていた大名筋もダンナ方の鉄槌を浴びる。この間、町方トリオの女房たちのお下品な宴会が張られている運び。 *ロケなしセット撮り。抜け荷商人の親玉は穂積隆信、手下に八名信夫など。青木さまの妻女は武田禎子、十吉の嫁は水上富美で千造のかみさんは以前と同キャスト。三者ともご亭主に似通った性格づけが笑える。 第27話「都に来た娘」1969.1.27 兄を訪ね京へやって来た、身寄りのない娘。田島も町方のダンナ方も彼女に優しく、世話された奉公先も暖かいが、兄は千造が憤慨していた外道どもの中に身を投じていた。娘が悲惨な事実を知ることはなく田島の胸に収められ、彼は飲めぬ酒を欲する。 ロケ地
*おうめは弥永和子、兄・源吉は蔵一彦。一旗組には川谷拓三も。素性も怪しい彼らを飼い使嗾する黒幕は青木義朗。浪士に狙われる、おうめの奉公先の主は永野達雄、番頭は西山嘉孝。*田島を気遣うほか、万平ダンナと漫才もして今回の野良犬はけっこう饒舌。 第28話「福と鬼との巷」1969.2.3 節分の夜、京にやって来た訳あり女は、危ないところをダンナ方に救われ、また同じ経緯で消え、「女はお化け」の観念を残してゆく。 ロケ地
*ヤクザの若親分に目をつけられていた駆け落ち女は御影京子、彼女を連れ出した「腰抜け」のチンピラは高津住男。*今回野良犬ダンナはヤクザたちを懲らすものの斬らず、血は見ない。空き巣と貼り紙で会話する万平ダンナが大笑い。 第29話「水ぬるむ頃」1969.2.10 鮒釣りで生計を助ける健気な少年とダンナ方の心温まる交流にも、ご時勢の翳。保身のため一家を消そうとしていた侍どもは野良犬ダンナが斬り捨てるが、侍の顔を見た病人は衝撃に命を縮めてしまう。 ロケ地
*少年は加賀爪清和、姉は沢宏美。少年が鮒を売りに行く店の親爺は藤岡重慶、吝いものの悪人に非ず。 第30話「上意討ち」1969.2.17 「君側の奸」を斬って退転した若侍は、傷を手当てし追っ手を蹴散らしてくれたダンナ方により甘い考えを完膚なきまでに叩きのめされ、武士を捨て好いた女と逃げるのだが、ビバークした峠の小屋の外には不気味な雪崩の音が響いているのだった。 *ロケ地ほぼ不明。谷地田脇の道や里居は一連の「結束シリーズ」でよく見た風景、若夫婦の酒肆の外にある設定のお地蔵さまは「天を斬る」でも出てくる、切り通しの石垣に嵌め込まれた一件。*追われる若侍は亀石征一郎、付き従う侍女は牧紀子。若侍を利用した上司は今井健二、タレコミもする牢帰りのゴロツキは松山照夫。 第31話「路地裏の宿」1969.2.24 浪人への詮議が厳しい城下、旅籠を悉く断られたダンナたちはもぐりの宿に。とんだ讒訴で宿は摘発を受け悲惨な結末を迎え、珍しく感情を露わにした野良犬ダンナが積極介入。お話はたつきのため恥を忍んで商売をする内儀と、彼女を支える奉公人との機微を描く。 ロケ地
第32話「失踪」1969.3.3 受けた仕事をあくまで遂行しようとする飛脚、しかし依頼主はその誠意に値せぬ卑劣漢で、早々と頓死。爆弾の如き「荷物」を託されてしまった飛脚は、果てしない迷路へ。 ロケ地
*飛脚は近藤正臣、彼を案じる店の娘は武原英子。与力は早川研吉で「乱心」のところを野良犬ダンナにばっさり(青木の嘆息に不機嫌な声を返すダンナが笑える)。 第33話「陰の女」1969.3.10 倅の悲報を受け京へやって来た老父は、その死が不名誉な横死と聞かされる。どうしても真実を知りたい父を助けて動くダンナ方だが、勤め先が密偵の巣ときては当然、ろくでもない結果が待っている。 ロケ地
*老父は松本克平、芸者・よし富は二本柳敏恵。 第34話「京屋敷丁半」1969.3.17 京屋敷の動静を調べていた間者は斬られるが、見ていた少年は気の毒がって文を届けようとする。もちろんすんなり行かないが、文は万平ダンナに拾われ、追者は田島に阻まれ、届け先には野良犬ダンナが入っていた。 ロケ地
*父の目付の命で京屋敷の動静を調べに来ている若侍は大丸二郎、姉は渋沢詩子。間者の仲間は高城淳一、旅籠の主は北見唯一。*本筋には直接関係ないエピソードも面白い回、子を集めて構うのがどうやら日課みたいな万平ダンナのほか、番所トリオのスケベ談義「見てたらこっちが何やら」など。 第35話「密会」1969.3.24 他藩の内情を探るため、女を利用した男。女の奉公するお屋敷の知るところとなり、討手が殺到するが、助けてくれという男の申し出を断った野良犬は言い放つ「ただの恋なら助けた」。 ロケ地
*腰元から情報を取っていた侍は住吉正博、腰元を助けようとしたお屋敷の下女は高野直子。腰元を刺したお屋敷出入りのヤクザは田村保。 第36話「京洛慕情」1969.3.31 重大な使命を帯びて京入りの侍たちは、群がる追っ手から逃れ得ず空しく果てる。死んだ侍は会津者、守護職が置かれ大嵐が吹きそうな情勢を後目に、ダンナ方は京を去る。 ロケ地
*隠居所にいた下女と職人は岡崎友紀と林浩久、行商人に化けて隠居所へやって来る会津者は夏目俊二、追ってきた妻女は伊藤栄子。 |