第二シリーズ、1969NET/東映
キャスト
栗塚旭 島田順司(田島次郎) 左右田一平(品田万平)
第1話「竜神の明り」1969.4.7
お話の主軸は冤罪を晴らそうとする夫婦の哀話。そも彼らを不幸のどん底に叩き込んだ、手柄のために人を踏みつけて恬と恥じぬ役人の火遊びも明らかとなるのが皮肉。
ロケ地
・ロケはほぼ「竜神池」端。谷地田奥の溜池で、見える限りでは二つ続き。小屋は中堤上にあるが、事件後なくなって祠が建つのを描いてあるので既存施設ではないと思われる。愛宕林道・谷山の池か。
*冤罪男は早川純一、女房は桜町弘子。裾の汚れた目付は小美欣二、公儀手配のお尋ね者浪人は工藤堅太郎。
第2話「草笛の鳴る朝」1969.4.14
田島が見かけた、一対一の果し合いに臨むと言っていた侍は前後左右から斬り刻まれて果てる。ダンナ方が関わって真相は知れるが、仇討ちに出た妹と下僕はそれを知らず、もう真の仇がいないことも知らず、あてどない旅に出たままとなる。
ロケ地
・果し合いの松原、ダンナ方が入り込んでいた山小屋、不明(切り通し道の端)。
・兄の悲報を聞き駆けつける妹が通る里居、不明(三匹にも出てきた民家)。
・井田道場、不明(長屋門・母屋萱葺)。
・妹と下僕がゆく道(田んぼの中)、妹が田島の草笛を聞きつけやって来る林(樹種は落葉広葉樹の雑木林)、不明。
*妹は岩井友見、彼女を狙い果し合いに介入した色魔の道場主は穂高稔で師範代は波多野博、目付役は外山高士(わりと親切で話も通る善人)。
第3話「陽炎の宿」1969.4.21
ヤクザに追われる男女を助けるダンナ方、文無しだけど義理堅く情が厚いので身動きとれぬさまが大笑い。追い払ったのに戻ってきて墓穴を掘るヤクザどもには、もちろん容赦なし。
ロケ地
・与助が追っ手のヤクザと揉み合い過って刺してしまう河原、流れ橋と周辺。導入は堤法面、橋を飛び降り河原で悶着、橋下でヤクザ頓死。
・万平ダンナの計略で街道へ向かわされた白牛一家に、奴らは旅籠に潜んでいると注進する与助を追っていたヤクザども、不明(シリーズで何度か使われている地道、道隈に燈籠)。
・逃がされた与助夫婦がゆく街道、不明(溜池脇)。
・ダンナ方が宿場を去り渡る橋、流れ橋。
*組織を脱けて追われる与助は剣持伴紀、連れの女は河村有紀。追っ手は根上淳や玉生司郎、貸元は加藤忠。赤子が生まれるからと万平ダンナに留守を頼む旅籠の主は森章二。
第4話「街道口の女」1969.4.28
なにやら追われているらしい若侍たちへの言伝を託されるダンナ方、しかし侍たちは頼んだ女に心当たりがなく、謎めいた展開に。追っ手が現れて仔細が知れ、若侍たちの心底も判り、ダンナ方は彼らの代わりに荒事を引き受けてやる。
ロケ地
・茶店があるのは溜池端、池は中堤で分かれていて堤はうねっている。
・街道口の神社は出雲大神宮。鳥居前で女と若党が葛藤、走り去るのは鳥居続きの朱玉垣沿い(池端を西へ)。
・街道を走る郎党と女、不明(複雑な水路端など通る)。
・若侍たちの同志の一人が唐丸で送られる道、不明(田畔)。
・ダンナ方に助けられた若者が長崎へ向かう「同志」に追いつく道、川堤か。
・若党と別れた女が道ゆく男の袖を引く街道筋、不明(シリーズで何度か出た、里の脇に橋が架かり川沿いに地道のアレ)。
*若侍たちのリーダー格は河原崎健三、彼の若党は宮土尚治で女は青柳美枝子。目付は出水憲司。
*今回の「志士」は手前勝手な振る舞いはせず、若党も同志と見捨てず身を捨てて助けるつもりの、蘭学を志す若者。みんなを振り回した女のその後は判りやすい絵で見せて、嬌声で止めて印象づける。
第5話「浪士狩りの夜」1969.5.5
お決まりの浪士狩りに激しく抵抗する男は訳あり、しかもその「訳」にさらに裏があり、矛盾に気付いた田島次郎はきつい目で彼を見つめる。
ロケ地
・ヤクザ者が強そうな浪人をスカウトする街道(用心棒のダンナをゲット)、谷地田脇の道で溜池なども見える。道端に土壁・瓦葺の小屋あり、シリーズでも「雪姫隠密道中記」など他の旅ものでも出たところ。ヤクザの親分が待ちくたびれて石を放り込んでいる池も近辺か。
・仇討ち一行がヤクザに呼び出される城下はずれの茶店のくだり、欄干のない簡素な木橋が架かり橋たもとに茶店あしらいで河畔林は竹が主の川、「帰って来た用心棒」34話でお薦さんの少年がいた橋と同じ。
*酒の上の諍いでヤクザに主人を斬られ、主人のまだ前髪の弟とともに仇討ちに出ている内儀は高森和子。助太刀を買って出た、浪士狩りに抵抗する浪人は不破潤。
*捕物に協力して目付に感謝される万平ダンナがおかし過ぎ、一応入牢するものの物相めしではなく座敷でご馳走を振舞われてお小遣いも貰う。
第6話「きぬたの音」1969.5.12
蔵奉行からの不正持ちかけを撥ねつけた主従が狙われるが、ダンナ方が居合わせ手荒く防御。しかし、侍たちに強要され口を噤んだ娘が、呵責に駆られ走った道は奈落に通じており、哀れな残留思念が怪談じみた説話となる。
ロケ地
・「深沢」近辺の山道や谷川、不明。「滝」は華厳の滝に似た直瀑(オーバーハング)。
・深沢の湯治場の湯宿、日吉山荘。飛竜の滝下で大立ち回り。
*砧を打つ娘は福富香魚子、米問屋の手代は坂口徹。
第7話「江戸で知った女」1969.5.19
昔わりない仲だった男女の偶然の邂逅は、男の軽はずみにして卑怯な行動により、数多の人々の運命を狂わせる悲惨な事態を招く。
ロケ地
・土井勘之助と美津が偶然出会う宿、不明(川べりに三階建木造、日吉山荘に形が似る)。
・土井たちが故障を申し立てた美津の亭主を斬ってしまう街道筋、不明(棚田脇の丘の上←茶店あしらい/棚田の向こうに湖水、対岸に三上山に似た円錐形←仰木か)。
・土井らが復命するくだりで出る城イメージ、彦根城天守と三重櫓/外濠越し城北通から。
・城下の宿から逃げた田島が、美津に「夫」の妻子にと金を託される夜道、不明(道脇に石垣)。
・土井の不実を知った妻女・志乃が父家老のもとへ走る夜道、不明(坂道で石垣の上に家並み、志乃を追って狂乱の土井の声が被り)。
・浪人と成り果てた土井が仲間二人と諍い斬り捨てる田舎道、不明(簡素な木橋上)。
*小藩の陪臣の情婦の美津は磯村みどり、家老の娘の志乃は磯辺玉枝、土井は上林詢。
*死にに来た美津の高笑い、狂女と成り果て荒屋敷に巣食う志乃の凄惨な笑み、女の怖さを見せつける粘っこさとは対照的に用心棒のダンナは珍しく快活に笑う。
第8話「宿場からは遠く」1969.5.26
主義主張関係で追われる侍と武家娘は、ダンナ方の前で恋愛関係の喧嘩沙汰。娘を無事思う相手のもとへ届け、横恋慕男を斬って逃げ方指南までしてやったのに、用心棒のダンナの気遣いは見事に無駄に終り、唐丸を三つ見ることになる。
ロケ地
・OPに被る、行商人に身をやつした目明しがゆく街道、流れ橋上〜堤道。堤内地の民家越しに堤側面を見る絵もあり、民家塀に筵をあしらってある。
・田島が奉納額を見に行って負傷した侍を見る宿場はずれの神社、今宮神社高倉。
・旅籠から逃げた男女が逃げ込む、宿場はずれの空き家、不明(切り通しの入口に「小屋」のある、シリーズで何度も登場するアレ。石垣には龕があり石灯篭の列も見える。ここへ至る田んぼの中の道も映り、中ほどに小橋が見える)。
・田島が負傷した侍を保護してあった神輿小屋、今宮神社東門脇の蔵。
*逃走中の男女は石浜朗と花園ひろみ。彼らの後から城下を出て囮となり負傷する、女が慕うほうの侍は柳生博。目明しは梅津栄でちょっと強面。
第9話「折れた剣」1969.6.2
据物斬りの達人の隠居は、殿様のご落胤に負ける芝居を断り密殺される。達人は刺客に刀を折られむざと斬られるが、その刀を損じた若き弟子の後悔を払ってやりたい用心棒のダンナが泣かせる。
ロケ地
・ダンナ方が達人の隠居と出会う渓流および川沿いの道、不明(道端に茶店)。
・「達人」山田十郎左ヱ門邸、不明(シリーズで頻出の、高木が門前に聳える長屋門)。
・達人が呼び出される城下の家老屋敷、不明(棟門、続きの塀は海鼠壁)。
・ご落胤の若様と達人の弟子が立ち会う、城下の二の門、知恩院黒門道踊り場。
・事後、城下を去る弟子とその姉を見送るダンナ方、大堰川堤か。
・城下を去るご落胤を見て顔を背ける指南役、穴太橋(導入は橋脚基部から、橋たもとに物見櫓あしらい。左岸側の道が映し出される)。
*達人は野々村潔、内弟子は鮎川浩で妻は岸久美子、その弟で稚気から師の刀を損じた青年は賀川浩。若様を勝たせる工作をする重臣方は春日章良や小林勝彦、剣客気取りのご落胤は亀石征一郎、勝ちを譲った指南役は千葉博。
第10話「噂の中の女」1969.6.9
ひとりの女の動向を、トリッキーな演出で見せるお話。供もつけず旅をする筈がない富商の若い後添を見た男たちは、それぞれの立場で欲をかき墓穴を掘る。しかし最も深い闇に落ちたのは、衆目を集めたその女自身だった。
ロケ地
・みの屋の後添がゆく井の澤権現参詣道、不明(谷地田の道で溜池があり土壁瓦葺の小屋がある「例のアレ」、田んぼの向こうには裾が竹林で頂部が松林の丘が見える)。
・用心棒のダンナが権現の萬五郎を助ける井の澤権現山門下付近、不明(仁王門?と石段、下には鳥居。門は勝持寺仁王門や宝積寺山門に似る)。
・権現参りの旅籠を出た駆け落ち者たちがゆく裏街道(ヤクザが出たり「主」が現れたり)、不明(山中の地道、切り通しも)。
*後添は三原有美子、逃避行の連れの番頭は高津佳男。用心棒のダンナを見込む貸元は汐路章、駆け落ち者を脅す行商人は藤岡重慶と玉生司郎、駆け落ちをネタにライバル店追い落としを思いつく旦那衆の一人は外山高士、後添と番頭に不正を告発された富商は池田忠雄。
第11話「枇杷の実る宿」1969.6.16
仲間を裏切り出世の糸口を掴んだ男は自分の女も裏切り、その行為により命を落とす。男のために取り置かれていた枇杷の実が散乱する庭で、女の家族はただ嘆くばかり。
ロケ地
・露店が多数出る、お城を望む堀端、彦根城外濠端。天守も彦根城、藩士たちの登下城に埋木舎前堀端や内濠の橋、太鼓門櫓などが映し出される。
*素人宿の女は八木昌子、姉の商売を快く思わぬ幼い弟は加賀爪清和。「七人様」のうち裏切者は浜田晃、彼以外の藩士たちも宿の女を軽んじ愚弄する。用心棒のダンナを雇ったのは裏切者。
第12話「暁に染まるころ」1969.6.23
旱魃の村では水論が起こり、暴発寸前。そこへ代官に放逐された男が帰り、過去に試みて失敗した禁断の水門開放を行おうとするが、彼は密告者への復讐も期していた。
ロケ地
・旱魃にあえぐ里の情景、涸れ川に田地等不明。用心棒のダンナが汗をかきかきやって来る荒地、饗庭のような地形。入ってゆく鎮守は両部鳥居で、奇怪なまでに大きな灯籠が脇に。
・代官所、芦浦観音寺。後段では門前で万平ダンナの大立ち回りがある。
・万平ダンナたちに助勢を頼んだ村の道、不明(和邇川河口あたりで見たような)。
・代官所の裏にある、東照権現を祀った祠が池中にある溜池、中山池(祠は南岸の州に、水門は堰堤にあしらい。「水塚」はその水門脇にしつらえ)。
・水が来たことに狂喜乱舞する村人たちの情景、このシリーズの5話でも出た「お薦さんの橋」の川がそのうちのひとつに。
*村に戻ってきた元代官所手代は片山明彦、彼を密告した者を知る「娘」は伊藤栄子、彼女の父の酒肆の親爺は明石潮。元手代に気があり、水門を開けたヒーローを彼と思いこむ娘は二階堂有希子。年貢皆済を期して庄屋たちをもてなす代官は河上一夫、庄屋の一人に池信一。
*復讐行為を用心棒のダンナに阻まれ敢無い最期を遂げる「ヒーロー」だが、村で真実を知る「三人」は口を噤み、義民として祀られることに。
*大量殺戮にも関わらず結果が多くの民を救うゆえか、用心棒のダンナは珍しくスカっとした明るい笑顔を見せる。
第13話「刺客のひそむ夜」1969.6.30
狙われていた新任の船奉行はダンナたちの働きで難を逃れ、殊勝な若き中間はよく主人を助け果敢に立ち回る。しかし若者との生活を夢見て頬を染める娘のもとへは、万平ダンナが消息を告げに現れるのだった。
ロケ地
・刺客・室戸浪人がやって来る道、不明(シリーズで何度も出ている道隈に孤立木が聳え道端に溜池のある地道)。道端に酒肆の小屋あしらい。
・藩士の矢崎と街道をゆく佐吉、木津堤(堤内地から見上げ)。
・国元へ向かう途中の新任船奉行が病んで世話になる名主邸、不明(これもシリーズで頻出の、門前に巨木が聳える大きな民家、母屋は萱葺)。
・村から去ったダンナ方がゆく山道、不明(道は山肌の切り通し、ここへズームする前に映る「盆地」は穴太の里によく似ている)。
・「思い出」の茶店跡を避けて道をゆく名主邸の下女、土手は大堰川堤か。渡る橋、低い欄干のあるほうは若森廃橋、小川に架かる欄干のない土橋は不明。このあとはさ木が影を落とす水辺を経て名主邸へ。
*中間の佐吉は近藤正臣、主人の船奉行は高村俊郎。刺客と気脈を通じる矢崎は川辺久造、刺客の首魁・室戸は田口計。佐吉に仄かな思いを寄せる下女は沢宏美。
*危機を脱した船奉行に助力を要請され、屁理屈を述べつつも陽気に応じるダンナ方、ここでまだ尺が残っているのがミソの結束節。
第14話「青葉の中の娘」1969.7.7
追われる主従に引っかかったダンナ方は、事情を聞いて頭に血がのぼった暴走気味の田島に引きずられ、因循者をこてんぱんにやっつける。仲間うちの与太話もテンション高め。
ロケ地
・追われる若党が女衒に連れられてゆく娘に書付を託す宿場、不明(シリーズで前にも出た、既存の建物か野外セットか不明な、土手下の家なみ。すぐ後ろに山が控えている)。
・里の子らが七夕の笹を飾りにゆく町外れのやしろ、鳥居本八幡宮(舞殿に扉をあしらい、目付役配下の津田が潜んでいる。子らとここへやって来る万平ダンナは小柴垣の道を来る)。
・女衒と娘が通り、追っ手の藩士らが通り、後段宿場へ戻る主従+ダンナ方も渡る橋、街道筋の橋、若森廃橋(堤と、周辺の地道も出る)。
・ダンナ方に礼を述べ江戸へ向かう主従、木津堤。
・里へ飛んで帰る女衒から解放された娘、流れ橋上〜棚田(彼女の里、山際に集落)。母と抱き合って喜ぶシーンは木津堤で下から見上げ。
*主従は幸田宗丸と石橋蓮司。目付役配下の主人は少し腰が引けていて、田島の大喝を食らったりする。レンジは挙措こそ慎み深いものの「大勢の人のため」などとブチ上げる。しかし国事とか偉そうなものでなく、無実の百姓衆の助命なのでダンナたちの勘にはさわらない。田島にお仕置食らって詫び状書かされる目付役は江見俊太郎で、部下に川谷拓三。女衒に連れられていた娘は槙杏子。
第15話「夕顔の咲く宿」1969.7.14
父の遺志を継ぎ江戸で修行に励んでいるはずの弟が、ヤクザの女と逃げているうえ金のために遺品の銘刀を欲し、追ってきたヤクザに土下座し無様に命乞い。彼に期待し、つましく暮らしていた姉は絶望する。
ロケ地
・金井市之助を待ち構え街道を固める地回り、不明(シリーズで何度か出た地道)。
・市之助が姉を待つ船小屋、不明(川とは別撮りのセットか)。川は大堰川に似た礫河原。
・ダンナ方が当地を去る街道、道端に土壁の小屋がある例のアレ。
*市之助は村井国夫、姉は河内桃子、ヤクザの情婦は松川純子。
第16話「迎えに来る武士」1969.7.21
ダンナ方が投宿する旅籠に、巡礼に身をやつしたお姫様。こんなご時勢にお家騒動をやらかしているだけあって、お迎えはすんなりとはやって来ないし、姫様自身も無意味に権高な態度でダンナ方の不興を買う。
ロケ地
・宿場はずれの茶店で正体を現し姫を害そうとする「お迎え」、不明(街道は例の切り通し、石垣に龕のあるアレ)。
・忠義の郎党に導かれ江戸へ向かう姫様、不明(例の「道隈」、道は田んぼの中を突っ切り切り通しに続いている)。ダンナ方が当地を去る道も不明、これもよく出てくる道。
*姫様は鷲生真知子、姫より自分の旦那様が大事の老爺は永井柳太郎。
第17話「夏の夜と朝に」1969.7.28
朋輩を斬った城侍は、強盗の態をつくろい目撃者の女を脅す。はじめ黙す気でいた女、捕まった者が明らかに違うと知り惑うところへ当の「犯人」が立ち現れるが、女の家の裏の空き家にはダンナ方が雨露をしのいでいた。
ロケ地
・急ぎの仕立物を届けて帰る女が通る夜道、上賀茂神社社家町。導入は藤木社越しに見た明神川左岸の小道、鼻緒をすげる若い浪人を「目撃」するのは社家町東端の明神川端。このあと斬りあいを見る運び。
・神社で蚊燻しの葉っぱを集める田島、御香宮参道東側摂社の玉垣前。血刀を洗う城侍は手水場、参道石段も映り込む。
・お城イメージ(山城を裾の里越しに望む図)、上野城か(左手に小天守が見える)。
・城下を去るダンナ方を襲う城侍たち、不明(竹林、北嵯峨か)。
・「仕立物を急かせた」娘の婚礼の日、再会した娘と若者が談笑しつつゆく帰り道、上賀茂神社神事橋〜ならの小川畔。後日、ますます発展を遂げた二人がゆく町角、神泉苑(法成就池東畔、法成橋、善女竜王社)。
*病の弟を抱え仕立物で暮らしを立てる娘は金井由美、彼女の証言で救われる若者は森次浩司。
*ダンナ方はほぼ無一文で城下へやって来て、娘に空き家を聞く始末。出てゆくまでに飯にありつけたのかは大いに疑問。天地正大流の蚊燻しの術が大笑い。
第18話「稲妻の中に」1969.8.4
奇妙なゆくたてでヤクザと事を構えるダンナ方、女を守ってやるも結果は空しく、因となった屍は葬る者もなく雨に打たれる。
ロケ地
・街道筋の地道、不明。雑木と竹林混じる林の中。
・飯屋の親爺が旅人に斬られる里の道、不明。闇に白壁がちらと見えるも暗すぎ。
*ヤクザに追われる商家の女将らしき女は桜田千枝子、手代ふうのお供は波多野博。歴とした侍を斬り女に見られたヤクザは早川研吉、このネタをライバルに売る一匹狼の旅の渡世人は穂高稔、それで動くヤクザは内田透。
*女とお供の仲を忖度する言は田島から出たり。ヤクザに斬られた侍の手形に三葉葵があったりするが謎のまま。
第19話「消えた銃声」1969.8.11
新式銃の誤射による老爺の死、逃げた者どもにかんかんに怒った田島の行為はおおごとを出来するが、長年連れ添った亭主を亡くした老婆の心は既に現世になく、全ては空しい。
ロケ地
・居酒屋の老爺が鰻とりに出ていて撃たれる池端、不明(溜池が連続、周囲は林)。
・試射に来た家老の倅が宿所にする郷士屋敷、長屋門の前に大木聳える例のアレ。
・家老の倅に談判にゆく田島が通る城下の道、相国寺光源院付近路地(帰りに証拠の陣笠を溝に叩き込み)。後段、暇乞いをして出てきた郷士の妻女がゆく道も同所、投棄された「陣笠」が映し出される。家老屋敷は林光院門。
・新式銃売却で作った香典を居酒屋の老婆に届けにゆく飛脚、街道は穴太橋と左岸側の道。
*家老の倅は柳生博、家老は永野達雄。至極真っ当な意見を述べる、商家出の郷士の妻女は岩本多代。
*はっきり池と言っている閉鎖水系での鰻とり、陸封の珍種か。
第20話「廻り灯籠」1969.8.18
縁付いた経緯から下女にすら侮られ、内緒の苦しいのもよそに過去の栄光を忘れぬ見栄っ張りな隠居の世話をして過ごす旅籠の女将。ここへ、上方で板前修業をしているはずの亭主がヤクザを伴って現れ、金策を持ちかける。用心棒のダンナの刃は全てを撫で斬り、灯籠に残された万平ダンナのエールどおりに新しい運命は選び取られる。
ロケ地
・祭礼の神社、不明(鳥居に至る道際に溜池、舞殿に至る石段には門、本殿は舞殿から一段上がっていて石の玉垣が巡らされている)。
・隠居が金目当ての浪人に斬られる小川べり、不明(堰堤など見え、逃げた女は対岸に渡り石段を登ってゆく)。
・旅籠が閉じられたあと、遠くの町にいる倅に呼ばれてゆく下男の爺さまのくだり、不明(街道は川堤、木橋が映り込む。欄干のある比較的大きな橋で、水道橋らしい設備が沿う)。
*女将は長内美那子、「若旦那」は不破潤、下男の老爺は北見治一。ヤクザの親分は汐路章で手下に川谷拓三や井上茂、雇われ浪人は伊達岳志。茶店の親爺は北見唯一。
第21話「決起の時九人」1969.8.25
身勝手な侍のため贄にされかける郎党たち、殿様の意向に右往左往する者どもを皮肉たっぷりに描く、結束節炸裂の一話。
ロケ地
・君側の奸である側用人を斬った若侍が妹の婿がねな侍の屋敷、東福寺一華院門。
・奸物を血祭りにしたあと若侍たちが気勢をあげる「はせだ」神社、走田神社。篝火を焚いてお鏡を割っているのは本殿前、ダンナ方が巣食っていた神輿小屋は本殿向かいの小屋、目付たちがやって来る際に参道、若侍のリーダーを呼び出し密談するのは社務所塀際、鳥居前に捕り方が詰め、犠牲にする「四人」を残し去る道は穴太橋で橋上から見える社叢に篝火が漏れている趣向。
・捕り方から「四人」を救ったダンナ方、彼らを逃がす領境の川は大堰川か。
・四人のうち城下へ戻る足軽を送ってゆくダンナ方、東福寺同聚院・一華院間の路地〜一華院北東塀際ラウンド部分(足軽の主人が裃つけて登城するのに行き会う)。その後足軽のものと思しき刀が捨ててあるのは塀際の霊雲院道標傍。
・城下を去るダンナ方がゆく道、大堰川堤か。愛想づかしをして城下を去る足軽と若侍の婚約者が出会う茶店、穴太の里か。彼らが連れ立ってゆく街道、大堰川堤か(堤下の小屋にダンナ方、万平ダンナが褌一丁で寝ている←導入は足から)。
*暗殺団リーダーの大島は小美野欣二、許婚者は御影京子、その兄は竹内亨。
*理不尽を見ておれず声を上げる役回りは今回も田島。
第22話「ひぐらしの鳴く町」1969.9.1
好いた女と、己の胤でもないその女の子供を守るため、濡れ衣を晴らそうとしない男。事情を察したダンナ方がもちろん放っておく筈もなく、てきぱきと荒っぽく動く。
ロケ地
・依頼者を待つ用心棒のダンナ、不明(おそらく神社境内、玉垣の下に短い段、続きの石垣にダンナが眺める「水」が落ちている模様。玉垣は宗忠神社に似る)。
・巴屋の主のお供で料理屋へ来ていた手代が帰り道におせいのもとへ寄るくだり、行ったと聞かされた医師・玄石宅は民家長屋門の内外、ここの北側あたりも町なみとして出てくる。玄石が不在なため、母子が行ったかもしれない別の医師宅へ赴く手代、不明(川沿いの道、分岐の登りがありそこで当の医師と遭遇し来ていないと聞かされ。川向こうには蔵、手前に木橋)。
・母子が万平ダンナの治療を受けていた茶店、不明(周りは田んぼ、遠くに里がちらり)。
・手代と母子が城下を去る街道、不明(田んぼの中に通じる、先は切り通しの何度も出たアレ)。
*手代は大丸二郎、巴屋の女だったおせいは八木昌子。巴屋は永田光男、主殺しを企んだ番頭は海老江寛、殺しを請負った無頼は玉生司郎。
*丸腰の町人を斬るのを厭い仕事を断った用心棒のダンナは事後明るい笑みを見せるが、悪党の「暴露」を制するため刃を振るった田島は陰鬱な空気をまとう。「行きがけの駄賃に人を不幸にすることはない」という彼の台詞は結束節の真骨頂だが、悲惨な結末が多いそれを考えると笑いポイントにも。
第23話「亡き父の怒り」1969.9.8
旅籠の下男に託された品は、作事奉行の作った二重帳簿。不正を糺し浪人して死んだ父を重ね合わせ、ぼうぼうと正義感に燃える青年だが、帳簿を取り返しに来た藩士たちと、帳簿をダンナ方に託して死んだ侍らしからぬ男と、何やら立場が微妙なのだった。
ロケ地
・下男の文吉が客に頼まれた品を持って向かう宿場口、不明(シリーズで何度も出た道隈)。
・文吉に届け物を頼んだ客が殺される野道、不明(田畔)。
・文吉の行き先を言わぬ女中が藩士たちに押し込められる宿場はずれの寺、不明(参道石畳の傍らに松、石畳を挟んで「入口」の坂と女中を籠めた「物置小屋」、寺か神社かも不明。石畳の様態は少し知恩寺にも似る)。
・文吉が解放された女中と再会する道、不明(道端に土壁の小屋)。
*文吉は近藤正臣、今回は飛脚ではないもののやはり「運ぶ」役回りで、少しエキセントリックな性格づけもシリーズの他の話と似通う。女中は鷲尾真知子、彼女に土下座する城代は浜田寅彦。旅籠の口喧しい主人は北見唯一。
*城代との交渉を買って出る田島は金ではなく謝罪を要求、文吉の青い志を曲げぬようはからい。
第24話「掟」1969.9.15
渡世人の抗争に関わるダンナ方、基本的に別世界というスタンスで関わりは避けるのだが、傷ついた者を放っておけないし、茶店の親爺が連れて行かれているので遠征もするし、死んだ者は葬ってもやる。
ロケ地
・渡世人たちが追いつ追われつの街道、いろんなところが出てくるがほぼ不明。中には谷地田の道で奥が切り通しのアレや、よく出る分岐道などもある。里居がのぞく個所も多数。
・万平ダンナが治療してやったあと同じ所へ寝かされ、角突きあうも打ち解けてもいた若い渡世人たちの塚、穴太橋たもと。ダンナ方はこの橋を渡って当地を去り、塚には茶店の娘が花を供え、追われていた親分の姐さんが一人橋を渡ってくる。橋たもとにはいつものように物見櫓があしらわれている。
*若い渡世人二人は剣持伴紀と花上晃、ライバルを斬って逃げている親分は幸田宗丸、姐さんは三原有美子。茶店の親爺を道案内に連れ出す兄貴分は波田久夫。茶店の兄妹は加賀爪清和と「しいちゃん」岩村百合子。
第25話「幽明の町」1969.9.22
故郷の父に嫁を見せに帰った息子が叩き込まれる過酷な運命、己をたばかった幼馴染を追い求める男は、憎い仇がもはやこの世の者でないことを知る由もなく彷徨い続ける。
ロケ地
・新妻を伴って故郷へ向かう男が幼馴染と出会う茶店、不明(谷地田の中の道、道際には溜池も見える)。
・酒肆を営む老父が倅夫婦を待つ里、不明(家はセットっぽい)。
・父の家から呼び出されたあと、庄屋の蔵の鍵を開けるよう強要された男が賊一味と渡る橋、犬飼川下河原橋(橋標が確認できる)。
・賊一味が窺う庄屋屋敷の門、民家長屋門。蔵もこの付近か。
・新妻を殺した賊の首領を斬ったあと、役人に誰何されるダンナ方、不明(田んぼの中の地道)。彷徨い続ける男、不明(切り通しや地道等)。
*故郷へ帰る錺職人夫婦は和田一荘と志乃原良子、二人を待ちわび気もそぞろの老父は原健策で冷めてしまった心尽くしの料理が哀切。幼馴染で実は賊、行商人は嘗役兼業の鬼畜は上林詢。賊一味の浪人に小峰さん、ダンナ方を誰何する役人に川谷拓三。
第26話「暁雲」1969.9.29
奇妙なお薦さんに泊り客への文を頼まれた下働きの娘は、渡せなかったことに煩悶。泊りあわせた田島に相談して追ってゆくが、受け取り手の若者はお家騒動の度に駆り出され続けていた「若様」で、とんだ「お家の事情」に巻き込まれてしまう。
ロケ地
・旅籠の下女・おさとに文を言付けたお薦さんが「若者」一行を待つ街道、不明(棚田の地道)。
・文にあった山中の滝、琴滝。滝壺際に小屋あしらい。
・滝の先の、奥沢へ向かう道、不明(渓流沿いの山道)。
・奥沢の湯宿、日吉山荘。
・遠くへゆく「若様」一行を見送り、自分たちも当地を去ってゆくダンナ方、川堤か。
*町人に身をやつしている若様は小林芳弘、旅籠の下女は親桜子、実は忍者のお薦さんは武藤英司、旅籠の主は池信一。
*ちょっと「風」の最終話にも似た、爽やかな幕切れ。何の保障もないのに闇雲に新天地を求める若様、自分も狭い世界から出て彼についてゆくという娘は父親つきときていてアレなものの、とりあえず因循から有為の若者を救ったダンナ方は笑みを湛えて街道をゆく。立ち回りはサービス気味、人数が多いうえ小屋根から忍者降ってきたり派手。
*表題は単に「俺は用心棒」で、第二シリーズなどの表記はなされていません(1967年の「俺は用心棒」とは違い、「用心棒シリーズ」と冠されています)。混同を避けるため当サイトでは便宜的にこの作品を「俺は用心棒2」と記述した個所があります。
参考 →俺は用心棒(1967)
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