第26話 「良い道場悪い道場」 1974.3.28
にわか剣法を習っていい気になり金銀に怪我をさせたどら息子、出どころは悪徳道場。取手うじが現れると裏工作に出て、断られるや鶴坊をさらったりする外道は、潰れかけの道場を救うためもあってギタギタに打ち据えられる。
ロケ地
・金を稼ぎにゆく馬場道場、民家長屋門。
・近くにできた悪徳道場のせいもあって潰れかけの榊道場、民家長屋門。
・鬼殺し剣法を伝授する鬼頭道場、不明。村か。
*鬼頭道場師範代は南原宏治、あの怖い顔で演じるギャグは抱腹もの。師範は山岡徹也で、むさい髭をつけてより強面に演出。榊道場の老先生は加藤嘉、娘の千草の自刃発言のタイミングが妙。*仕事にも出られぬ金銀を気遣う長屋衆が泣かせるが、差配の持ってきた謎のトカゲ製品の行方は気になる。
第27話 「まごころ」 1974.4.11
どうしても手抜き仕事ができぬ職人は、いつも深酒で憂さ晴らし。毎度酔ってのお帰りで起こされ寝不足の長屋衆はかんかん、しかしあくまで亭主を庇う女房の健気さにほだされ、聞きなれた酔態は子守唄に。
*ロケなしセット撮り、門のパーツのみ映る道場もセットと思われる。*アル中職人は谷村昌彦、女房は京塚昌子、職人の愚痴を聞いてやる酒肆の女将は長谷川待子。火鉢を買わされる道場主は北原義郎。この回から重助爺さんが藤原釜足、おぶんが葉山葉子に(妄想は継続)。
第28話 「鶴が泣くとき酒が降る」 1974.4.18
鶴坊のいたずらは寂しい心の裏返し、修身の説話を聞いたあとは孝行の実践に走る。一生懸命裏の竹藪を掘って出たのは酒、鶴坊の心を知った先生は「本物の養老の滝だ」と泣き笑い。
ロケ地
・子らが焼き芋を食う水辺、休業の茶店、こふねが鶴坊の拗ねる訳を話す葦原、広沢池東岸。
*放送当時の世相を反映して、買占め・売り惜しみに抱き合わせ商法など登場。しこたま物資を溜め込んでいる道場主は芦屋雁之助。
第29話 「ともしび」 1974.4.25
おまさのへそくりがなくなり、長屋へ越してきた牢帰りが疑われる。糠味噌まみれのたかが二分を拝借した「真犯人」のことも、人間不信に陥った牢帰りの心持ちも、みんな心得ている先生だが、酒と饅頭はこりごりなのだった。
ロケ地
・釣りを介して牢帰りの栄次と親しむ信兵衛さん、大覚寺大沢池水門傍。
・栄次の恋人のおちかがやって来て話すくだり、大覚寺大沢池畔(天神島の鳥居映り込み)。
・栄次に盗みを持ちかける悪仲間、相国寺鐘楼脇。その場から栄次を連れて帰る先生、上賀茂神社神事橋とたもと。
・金をつくりにゆく大江流酒田道場、相国寺長得院(アングルは内側から)。
・先生の示唆で乙吉を呼び出し「告白」させる以三、上賀茂神社ならの小川畔。
*お店のため罪を着たものの、お裁きの過程で不信を募らせ自棄になる栄次は森次晃嗣。おちかは大川栄子、栄次の母は吉川雅恵。栄次が勤めていた縫箔屋の番頭は中村錦司。栄次を悪事に誘うチンピラは平沢彰と井上茂。試合う前に大盃を干すのが条件の道場、師範は遠藤太津朗で肴が山盛りの饅頭。
第30話 「あるとき払い」 1974.5.2
篤志家のご直参が、ほんとうに困っている貧乏人のために続けていた一時金貸付。切羽詰っている者の心の負担にならぬようなされたはからいを、放蕩者の旗本の冷や飯食いが悪用してしまう。信兵衛さんが危ぶんだ通りの事態となり、貸し元の篤志家がチンピラに刺されるまでに至るが、裏木戸は今日も開いていて窮した者を救う。
ロケ地
・金太の医者代のための道場破り、大覚寺明智門。
・小普請組世話取扱の高林喜兵ヱ宅の「裏木戸」、中山邸通用門。ここへ至る道は門前から参道を使って表現。
・小普請組組頭の冷や飯食い・藤井十四郎が博打を打って朝帰りすると借金取りが待っている屋敷の門、大覚寺大門。
・貸し金の件で讒訴があり小普請支配邸に呼び出される高林、随心院薬医門。
・謹慎を食らった高林のもとへ赴く信兵衛さん、高林が佇んでいた水辺は大覚寺大沢池畔、庭湖石映り込み。
*冷や飯食いは石橋蓮司、手のつけられぬ放蕩ぶり、勘当されたあとチンピラに凄まれて萎れる情けない姿、高林が刺されたあと長屋衆に殺してくれと懇願するさまや、更生して裏木戸に金を入れに来る清しい若者など、振幅の激しい人物を熱演。高林は鈴木瑞穂、ご支配は柳瀬史朗で組頭(十四郎の兄)は西山嘉孝。
第31話 「もらい水」 1974.5.9
日照り続きで遂に十六店の井戸も涸れるが、ちょうど越してきた母子のせいとひどい噂。子のためにも馴染んでもらおうと必死の女を見た先生は、作ってきた金で親睦のためのイベントを企画する。
ロケ地
・鶴坊がおしんを庇って喧嘩の神社、上賀茂神社ならの小川畔。
・丸源で呑んだあと先生に身の上話をするお春、神泉苑法成橋。
・陣場道場、相国寺長得院門(表からくぐり戸をアップで)。その前に先生が歩くのは塀際、うしろに方丈西塀が大きな狭間を見せている。
*水芸で人気の村雨太夫だったお春は横山道代。道場主は井上昭文で師範代は阿波地大輔、門弟・杉本に福本清三(役名なしでクレジット)。
第32話 「おりんと村次」 1974.5.16
どうしてもヒモと切れられぬ哀れな岡場所の女、度重なる鞍替えの果て江戸を出ることに。腐れ縁は絶てない・無駄な事とこふねに言われながらも、先生はお金を作ってくる。
ロケ地
・タイトルに重ね流れ橋夕景。
・先生に身の上を語るおりん、広沢池東岸(葦原に菜の花あしらい)。
・こふねにおりんの事を話す茶店、今宮神社稲荷社前にあしらい。
・賭場の借金を払えとボコられる村次、御所厳島神社(亀拾い/次の獲物の若い女登場)。
・おりんに金を渡す先生、広沢池東岸に茶店あしらい。
・おりんが村次を刺して死のうとする湊橋、中ノ島橋(包丁持って迫るのは川中、以三が村次を召し捕るのは河川敷、見物衆は橋上に)。
・村次の拾ってきた亀を川に放すおりん、広沢池東岸。
*おりんは吉行和子、色悪の村次は入川保則。道場主は汐路章で忍術剣法。
第33話 「ころび茶碗」 1974.5.23
十六店へ越してきた大道芸のご浪人さん、彼の恋人の父は同じく浪人して道場を開く身だが、未だに仕官を夢見ていて、卑しき芸で身を立てる男を婿には認めない。だが病を得て窮する父親は、重代の家宝を売りに出す体たらくな己ももはや同じと、娘と男の仲を認めかけた矢先に、紀州さまからの仕官話が降って湧く。但し条件は、既に売りに出してしまった重代の家宝の茶碗を殿様に献上することなのだった。
ロケ地
・神道無念流・佐野道場、相国寺林光院(門内外、式台玄関、中仕切り)。
・志村の旦那が大道芸を披露する深川八幡境内、上賀茂神社二の鳥居脇朱玉垣際に露店あしらい。志村浪人の営業に「ウィリアムテル」仕立てで一役買った信兵衛さんが儲けた金を山分けの場面は奈良社際。
*志村浪人は酒井修、道場主親子は稲葉義男と松木聖。*父の望みのため心を鬼にして恋人を袖にする女心を先生は理解せず、こふねにレクチャーされる運び。父親を観念させる「アイデア」は、長屋衆も駆りだして志村入りの早桶を花嫁輿入れ寸前の道場に嘘泣き芝居で運び込み。
第34話 「むかしも今も」 1974.5.30
身持ち悪く江戸を離れている亭主を待つ女に不幸の雨嵐、支えてくれたのは幼い頃からずっと傍にいた不器用な男。曲折を経て、女はまことの相手が誰であるか覚る。
ロケ地
・紹介者なしでは診てくれぬという医者に掛け合いにゆく先生、医師宅の門は大覚寺大門、弟子に門前払いを食うのは式台玄関、怒って出てくると隣に道場があり同じ人物の経営と聞き、取手うじで乗り込むのは明智門。
・直吉の回想、幼いおまきと遊んだ林、赤山禅院か。
・おまきを散歩に連れ出し、直吉のもとから出るのか問う先生、大覚寺放生池堤(おまさが魚金の縊死を知らせに走ってくる)。
・目に効くと蜆をとる直吉を見る先生、上賀茂神社神事橋。やっと戻るも、おあきに悪態をついて出てきた清次の前にたちはだかった先生が鉄拳をふるうのも同所。
*おあきは赤座美代子、店の職人の直吉は高津住男、亭主の清次は小林勝彦。おあきを引き取ろうとする直吉の兄貴分は国一太郎、おあきの店の地所で開業した魚屋は神戸瓢介。*地震で倒壊した店の下敷きになりおあきが失明、通り合わせた金銀が保護し長屋へ。
第35話 「平七、おあきに首ったけ」 1974.6.6
差配夫婦に破局の危機、若妻の「浮気」に年甲斐もなく取り乱す爺さまに、半ば面白がりながら振り回される長屋衆。結局誤解は解け元の鞘に納まるが、こふねや以三は我が身に重ね合わせちょっとしんみり。
ロケ地
・「浮気事件」当日の道安の行動を確かめに東光寺へ赴く先生、宝塔寺。以三と行き会うのは仁王門下の参道坂、お掃除中の道安に話を聞くのは妙顕寺歴代墓所前で塔も映り込む。逃げ出した道安を追っかけるのは本堂縁先と渡廊。
・姦婦姦夫の摘発ならず、手柄を逸した以三に金を渡す先生、広沢池東岸(茶店と船着きあしらい)。
*道安は佐藤蛾次郎、槍の師範は団巌。*女房が浮気と思い込んだ平七怖すぎ、包丁研ぎながらヒヒヒと笑いぶつぶつと物騒なことを呟き、ほつれ髪に妖気漂う。
第36話 「ふり袖娘剣法」 1974.6.13
乙吉のため金を稼ぎにゆくと、妙な経緯で師範の娘を娶らされかける信兵衛さん。ひとしきりその娘につきまとわれるが、三十路女にはしたたかな打算があった。金は作れなかったが、乙吉のしくじりは笑い話で済んでメデタシ。
ロケ地
・乙吉が入水の橋、流れ橋(夕景)。
・長屋を逃げ出して釣りの先生、広沢池東岸(雪江にお昼を持ってこられてしまう)。
・乙吉が吊りかけの土手、大覚寺大沢池堤(おまさたちが農地側から登ってくる)。
・佐伯が出て先生に同道を求める道、広沢池東岸。立ち会ってくれと斬りかかられるのは大覚寺大沢池畔、雪江と試合う心構えを説き励ますのは放生池堤。
・先生に詫びに来た雪江と話すのは広沢池東岸。
*雪江は宮園純子、打ち負かす男が現れれば結婚して道場を継ぐ決まり。父の師範は原健策、雪江を慕う師範代の佐伯は青山良彦。道場へやって来た信兵衛さんに気をつけろと注意する、負けて出てきた包帯浪人は秋山勝俊で連れに福ちゃん。乙吉の親方は永野達雄、西国屋は岩田直二。
第37話 「通しゃんせ」 1974.6.20
十六店へ越してきた夫婦、病の亭主を抱えた女房は岡場所で働いていたが、以三の幼馴染と知れる。ダメ男に疲れ果てた女は、イッちゃんのアタックにほだされ彼との暮らしを夢見るものの、現実にはならない。
ロケ地
・丸源で亭主に殴打された翌朝、釣りをしている先生のところへ来て身の上を語るおひろ、広沢池東岸。茶店に寄ったあと、天神さまならぬ将監さまの通りゃんせを口ずさみ、葦原で遊ぶ子らを見遣る。日暮れて長屋へ帰る時間経過のイメージに流れ橋のシルエット。
・夢想無念流の催眠術で蝶になって舞う先生、川堤法面か(菜花はセイヨウカラシナ)。
・亭主のもとに向かうおひろを見送る先生、流れ橋上。
・子をおぶい童唄を口ずさむ以三、広沢池東岸。
*おひろは中村玉緒、亭主は梅野泰靖。道場主は大泉滉。おぶんに惚れて長屋衆を襲うコンタミ男は大橋壮太。*道場破りのくだりが大笑い、取手うじを催眠術にかけてやり過ごそうとする師範は、菜花咲き乱れるうららかな春の野原にセンセを誘うのだが、マジで映像化してあり尺も長い。メスの蝶を追わされるセンセは、白い羽をつけて夢見心地でひらひらと菜の花の中をスローモーションで走る。BGMには「美しく青きドナウ」が華やかに鳴り響き、おぶんちゃんの妄想よりスケールが大きい。
第38話 「ガマの油」 1974.6.27
銭の出所に不審を持たれた信兵衛さんは一念発起、額に汗して稼ぐ術を求めるが、蝦蟇の油売りをしている浪人に持ちかけられた騙りに憤激。銀太とおきみちゃんを仇討ち兄妹に仕立てて一芝居打ち、怖い目を見せてやるのだった。
ロケ地
・知らずに入ってしまう女ばかりの薙刀道場、相国寺長得院(門を内側から)。
・蝦蟇の油売り浪人に呼び止められサクラに使われてしまう先生、今宮神社境内。
・長屋衆に銭の出所を疑われ考え込む先生、上賀茂神社ならの小川畔。
・口入屋の軽口に乗り店先を掃きにゆく早暁イメージの鐘、本法寺鐘楼(多宝塔映り込み)。一文にもならず腰掛けて溜息をつく橋、上賀茂神社神事橋。
・疋田浪人が架空の仇討ち話を仕立てて儲ける高田馬場、下鴨の馬場か大覚寺か。
・銀太たちを変装させ疋田をハメる池之端、大覚寺大沢池畔。
・疋田が仕方なく仇討ちに応じやって来る向島墨田堤、大覚寺大沢池堤。
*疋田浪人は大山克巳、愚民騙してもいいじゃん発言で先生を怒らせるが、基本的にいい人な微妙さ加減がさすがに巧い。いい加減な口入屋は江幡高志、薙刀道場の悩ましい女師範は松木路子。*差配の提案する「長屋の花見」が落語そのままの「がぶがぶのぽりぽり」で大笑いなほか、仇討ちネタも落語の脚色。
第39話 「かんにん袋」 1974.7.4
金を稼ぎに行った先で、強引なトンデモおやじにつかまる先生。捩じ込まれ已む無く引き受けた厄介な頼まれ事の、粗暴極まりない甥の癇封じは、曲折を経て万事うまくゆく。
ロケ地
・釣り帰りの先生に大事出来を告げに走ってくるおぶん、大覚寺放生池堤。
・おきみのため十五両を作りにゆく先生、多羅尾道場は相国寺林光院、式台玄関と前庭に門内側が映る。ここで居合わせた新田藩留守居役に、甥の短気封じを頼まれ退散。
・ほうほうの態で多羅尾道場を出てきた先生がゆく道、相国寺方丈西塀の狭間(北側)前。
・門を閉めかけている鏡心明智流の道場、相国寺長得院門(くぐり戸のポスト穴から判断)。
・はじめから閉まっていて問題外の天心院独名流道場、不明(門扉に派手な鋲)。
・癇封じの仕事に赴く留守居役邸、不明(門のパーツは大光明寺に似るも、のぞく建物は林光院に似ていて確定できず)。
・留守居役邸を逃げ出してきた先生を呼び止める甥の婚約者、相国寺大光明寺南路地。
・苦し紛れの言い聞かせが功を奏し過ぎ、妙な具合で組内の藩士にナメられるようになった千蔵を呼び出す先生、彼がやって来るのは上賀茂神社神事橋、先生はならの小川畔の大木の根方に。組頭である千蔵の悪口を言いつつ三十人組の侍たちが通るのは神事橋。
・千蔵をけしかけ組の者全てに喧嘩を売ってきたあと、彼を袖にした許婚者の屋敷へ向かう道、相国寺方丈塀南西角。その宇野邸は大光明寺門。千蔵が大声で頼もうと呼ばわるのは式台玄関。
・組の者を待ち受ける的場の森、下鴨神社糺の森。千蔵と先生がやって来るのは泉川畔で、導入は泉川を渡って境外へ出る一本橋越しに見るアングル。
*乱暴で癇性な千蔵は工藤堅太郎、手綱を取られると素直に動く単純な男で、「手綱」は先生や婚約者が言い聞かせる地口みたいな諺。先生の「堪忍袋」は映像化されていて遂に破裂する場面の弾着も大笑い、許婚者の「能ある鷹は」は「そして機を見て爪をむく」のアレンジが抱腹もの。留守居役は谷口完、クレジットは「駒場」だが劇中の表札には「駒田」。多羅尾道場の師範は穂積隆信、見掛け倒しのギャグ要員。千蔵を侮るだらけた組内の侍は古川ロックや山本一郎。猛々しい千蔵がお好みの許婚者は河村祐三子。
第40話 「めぐりあい」 1974.7.11
木更津から母を捜しにやって来た娘、しかし母親はこふねが案じた通りの境遇。会わせたものかと悩む先生たちの心配は、おきみちゃんのお喋り癖が福と転じて杞憂に終る。
ロケ地
・釣りの先生に江戸へ来た目的を話すおたま、大覚寺大沢池水門傍。
・おたまが母に会えるよう願掛けの神社、不明(社殿脇に渡廊)。来合わせた先生と帰る道、大覚寺大沢池堤。
・木更津へ帰る母子を見送る先生とおきみ、広沢池東岸(渡し場)。
*おたまは和泉雅子、母は津島恵子。道場破りに感謝感激の、道場を閉じたかった師範は植田峻(礼金は呉れる)。
第41話 「とまれ銀太」 1974.7.25
虎の子を掏られヤケになった銀太は長屋を飛び出し転々、遂に盗っ人の仲間になってしまうが、お盗めをやらかす前に先生がちゃんと止めてくれる。相棒とは戻ってすぐに和解、折しも大江戸早駕籠競争の当日なのであった。
ロケ地
・真剣流・川村道場、相国寺林光院。門と式台玄関が映る。玄関には早桶が置かれている。
・世話した料理屋から銀太が飛び出した件で話し合うこふねと先生、神泉苑法成橋。
・早駕籠競争の道、北嵯峨農地竹林際。銀太を追う以三を説得の先生は広沢池西岸沿いの道端(柳越しに葦原がのぞく/道越しに農地も)。
*大泥棒・稲妻小僧は今井健二、はじけたギャグはないがどことなくコミカル。真剣でしか立ち会わないのはやはり見かけだおしだった道場主は田崎潤、弟子の波多野博が大真面目で師範の困る方向へ事態を持ってゆくのが大笑い。
第42話 「わらじ」 1974.8.1
行き倒れの浪人を拾う先生だが、道場破りを見られていて感謝されるどころか武士にあるまじき輩と忌避される。頑として援助を受け付けぬ石部金吉も、やがては信兵衛さんの思いを知る運び。
ロケ地
・既訪のため門前で戻る各道場、相国寺長得院、大光明寺、瑞春院、林光院。今回の的の石川道場はセットの長屋門。得た金を数えているとフラフラの宗方浪人に非難される路地、相国寺大光明寺南路地。
・釣りをしている先生に宗方浪人の草鞋斡旋を頼みに来るお稲、大覚寺大沢池水門傍。
・宗方浪人が人夫をしにゆく現場、不明(砕石場か崩壊地形か)。
・事後、忌避されつつ世話を焼く先生の気持ちがわかったと述懐するこふね、神泉苑法成橋。
*宗方浪人は津川雅彦、彼の世話を焼く羽目になる兄を捜す娘は川島育恵。道場主は高桐真でお弟子は小峰さん、帰参が叶ったと伝えに来る朋輩は唐沢民賢、宗方に文句を言う人夫は伝法三千雄、草鞋納入先の番頭は日高久。
第43話 「侍だましい」 1974.8.8
由緒正しい旗本家だが、三男坊には身の置き所なし。幼時より冷や飯食いの叔父や養子に行った兄の苦労を見てきた青年は無為徒食の未来を良しとせず、金を貯め御家人株を買って身を立てようとしていたが、意中の女性を見つけたことから別の運命を選び取ることとなる。
ロケ地
・旗本・小出邸、相国寺林光院。
・釣りの信兵衛さんと話す平五郎、広沢池東岸。後段、恋を得て吠える船着も同所。
・平五郎の店で仲のよい夫婦を見てきたこふねが釣りの信兵衛さんのところへ注進におよぶ水辺は大覚寺大沢池堤、茶店の床机から釣竿を出している設定。
*小出平五郎は中田博久、長屋で店を広げるさまも骨董の目利きをするさまも良いが、惚れた娘を前にガチガチに凍る態度がたまらなく可愛い、「悪役じゃない博久」。十六店の住人のその武家娘は市毛良枝、町人となる者に娘はやれぬと言い放った母の「半年後」表現がちょっと笑える。小出さんの叔父の冷や飯食いは小鹿番で、馴染みの骨董屋は伊達三郎。
第44話 「うちへおいで」 1974.8.15
鶴坊を養子に欲しいという女が現れ、もちろん断る信兵衛さんだが、口さがない長屋衆の言に少年の心は甚く傷つく。うちを飛び出した鶴坊を探し回る皆が、見つかったあと喧嘩していたことを忘れ仲直りするめでたさに、願いを引っ込めた女二人のほろ苦い思いが重ねられる。
ロケ地
・十六店近くに越してきた踊りの師匠が一人遊ぶ鶴坊に声をかけるくだり、上賀茂神社神事橋と橋たもとの河畔(鶴坊は立小便中)。
・鶴坊を連れ湯治にゆく先生がゆく道、北嵯峨農地竹林際(こふねと師匠が陰ながら見送り)。
*師匠は草笛光子、鶴坊に遺児の面影を見て申し出る運び。鶴坊を保護した角兵衛獅子の親方は富田仲次郎、子供専門の道場の師範は小田部通麿で師範代は牧冬吉。
第45話 「植木屋辰造」 1974.8.22
十六店へ越してきた酒癖のわるい植木屋は自虐としか思えぬ行動をとるが、己が破滅することで縺れた糸を解こうとしていた。先生とこふねに真情を吐き出したあと、瘧が落ちたようにさばさばとした彼は、長屋衆と丸源で別れの酒を痛飲する。
ロケ地
・丸源で酔っ払って金銀と喧嘩した翌日、先生に挨拶し相談を持ちかける辰造、上賀茂神社神事橋たもと。こふねの関係を聞き、自分にも望みがあるか問うのは渉渓園遣水端。
・訪ねてきた弟弟子の多平と話す辰造、赤山禅院西池端。
・多平に辰造と別れてくれと言われ、深い仲というのは辰造の嘘と言うこふね、大覚寺大沢池畔(対岸に「方形のお堂」の屋根がはっきり見えている/多平が話しかける際の茶店は大覚寺かどうか不明)。
・道場破りに出かける先生がずんずん歩く塀際、御所管理事務所北塀際(カメラぴったり塀に寄ったアングル/奥に宗像神社の鳥居が映り込み)。棒術の内山道場は北の長屋門。
・以三に「庭荒し」の損金を渡したあと、辰造にこれからの事を問い構うなと言われるくだりは赤山禅院西池端、切石がごろごろ。
・出がけのこふねに誘われ散歩の先生、赤山禅院参道。辰造と多平がもめているのを見て割って入るのは本殿付近の境内。
*辰造は桂小金治、みんないい人の親方と娘と弟弟子の幸せのため乱暴な手段で身を引こうとするのが泣かせる。親方の娘と恋仲になってしまっている弟弟子は坂口徹。棒に酒仕込んでた卑怯千万な道場主は藤岡重慶、噴出する量の有り得なさが大笑い。こふねが袖にする旦那は天王寺虎之助。
第46話 「鍔鳴り浪人」 1974.8.29
十六店に越してきた浪人は居合の達人、信兵衛さんに難癖をつけ土下座させようとしていたチンピラ侍三人の髷を鮮やかに斬り捨てる。これに長屋衆やんやの喝采、かたや信兵衛の株は下がる一方で浪人にも腰抜け呼ばわりされてしまう。しかしホントのところを知った鍔鳴りの先生は大いに恥じ入り、短気を引っ込めることを誓うのだった。
ロケ地
・髷を斬って去った安田浪人に追いついて流派を問う信兵衛さん、大覚寺放生池堤。
・安田を探しに来た許婚者に話を聞く信兵衛さん、大覚寺大沢池堤に茶店あしらい。
・安田の説得が不調に終り、しょんぼりと石を投げる信兵衛さんのところへやって来るこふね、大覚寺大沢池堤水門傍。
・取手うじと間違えられ三兄弟たちに呼び出され襲われる安田、下鴨神社糺の森・泉川畔。三兄弟が人数を集め待機するのは河合社脇。
*悪人を前にすると鍔が鳴る兼定をたばさむ安田浪人は田崎二朗、退転の理由も髷斬りで城代のもやった模様。城代の娘で許婚者は光川環世。三兄弟は上から沼田曜一、三上左京、潮建志。今回取手うじに来られてしまう道場主でもある。立会いの際の滝汗の量がポイント。*今回いつもに増してヒドい長屋衆、信兵衛さんを「あんな男」呼ばわりで押しのける。センセもちょっと落ち込み、安田を羨む場面も。*「奥」の安田の部屋からは水面が望まれる設定、景色はインドアセットだが、水音の演出もある。
第47話 「当らぬも八卦」 1974.9.5
長屋衆の運命をぴたりと言い当てる易者が登場、降って湧いた幸運に浮かれた皆が持て囃すと今度は重助爺さんに死相ありと不吉な託宣。当人もまわりも信じ込んで大騒ぎするが、なんかヘンな具合なのを先生は気付いていた。
ロケ地
・乙吉の釣り、こふねと話す先生、子らの作った落とし穴にハマる易者、尾行の道、重助入水未遂、魚獲りの子ら、全て広沢池東岸。船着と茶店あしらい。
・夕刻イメージに流れ橋夕景。
*おぶんにフラれていた悪徳札差・大口屋は見明凡太朗、グルの易者は花沢徳衛、雇われ道場主は丘路千。*悪気はないがの長屋衆、死期を予言され寝込む爺さんの枕辺で不吉な台詞を吐きまくり。
第48話 「五分の虫」 1974.9.12
足軽の身分がもとで主家を退転した槍使いが、妹を伴い江戸へ。先生の「薫陶」を受けた浪人は、師範就任を賭けた勝負に際し伝授された「極意」を披露する。
ロケ地
・右田藤九郎と話す川端の茶店、広沢池東岸にあしらい。
・三春藩上屋敷、随心院薬医門。
・夕景イメージ、流れ橋夕景。己がことを自問する先生のもとにこふねがやって来るのは広沢池東岸汀にあしらった船着き、夕景。
*右田浪人は三上真一郎、妹は服部妙子。右田と試合ったことで退転の理由を作ってしまった「妹の許婚者」は黒部進。右田が勝ちを譲ったことを見抜き、公正な態度を示す重職は永井秀明。
第49話 「いもうと」 1974.9.19
妹を女として好きな自分を倒錯者となじり荒れる男、訴え仏にされた先生も困り果てる。よくあるオチで縛りは解除されるが、一遍回り道を経るのがミソ。
ロケ地
・竹二郎を長屋から連れ出しなぜ妹の結婚を邪魔するのか問う先生、大覚寺放生池堤(例の方形のお堂、望雲亭方面に大きく映り込み)。
・見世物小屋で若い衆と喧嘩しフクロにされていた竹二郎を助け出し逃げてくる道、大覚寺有栖川畔〜大沢池畔(五社明神)。思いを打ち明けかけた竹二郎だが臆し逃げ去り。
・釣りをしている先生のところへやって来て全てを告白する竹二郎、大覚寺放生池堤。
・父の死に際し届けられた人別帳から血縁が無いと知り兄のもとへ駆けつけるおさよ、寺へ来ていた竹二郎に抱きつく石段は二尊院湛空上人御廟石段。
・妹を置いて上方へ発つ竹二郎を見送る先生、北嵯峨農地竹林際。直後こふねが旅装のおさよを連れて現れる。抱き合う二人は田畔の草越しに見上げ。
*竹二郎は宮川K夫、おさよは竹下景子。竹二郎と事を構える小屋の若い衆は波多野博、彼も当り屋か否かは不明で、当り屋は被害者役が川谷拓三で凄む係が志賀勝、二人は捕まり以三の手柄になって丸源で鯛振る舞われ。
第50話 「十六店は異状なし」 1974.9.26
旅に出るのにろくすっぽ訳を告げず行ってしまう信兵衛さん、ために揣摩臆測が横行。果ては出先の金銀コンビが、蕎麦屋から出てくる火事装束に身を包んだ異様な集団に出会い、その中に先生そっくりの酒豪の剣士を見たから大変。義士に切腹の沙汰が下り、皆で通夜をしているところへセンセはひょっこり戻ってくる。
ロケ地
・路銀を作るため行く道場、大覚寺明智門。
・先生が安兵衛と決めてしまう長屋衆をよそに帰りが遅いと語り合うこふねと鶴坊、大覚寺大沢池船着(小)。
・沖石に会うため街道をゆく先生、北嵯峨農地竹林際。
・鶴坊と釣りの先生、大覚寺放生池堤(おぶんが弁当を持って走ってくる)。
*堀部安兵衛は高橋英樹の二役、金銀が「呑んべの先生」と声をかけたのににっこり微笑みを返したことで信兵衛さん認定。*以三のもとに逃げた女房が戻り、鶴坊は暫時先生のもとに留め置かれることとなり、長屋の日常は続く。
1〜25話 表紙
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