2008年NHK木曜時代劇 (BK)
キャスト
鞍馬天狗・倉田天膳(小野宗房)/野村萬斎 白菊/京野ことみ 幾松/羽田美智子 桂小五郎/石原良純 黒姫の吉兵衛/徳井優 杉作(7、8話)/森永悠希 隼の長七(7、8話)/火野正平 土方歳三/杉本哲太 近藤勇/緒方直人
第1話 「天狗参上」 2008.1.17
鞍馬の御山に長じた青年は、育親を打ち負かし山を下りる。しかし彼の目に映るは、きたなき事象ばかり。世の汚濁を払いたいと希う彼に、桂小五郎はあざなを捨てての活動を示唆する。
ロケ地
- 鞍馬山、本物を遠望か。
- 少年→青年の宗房が「鞍馬の大天狗」に鍛錬される林、神護寺毘沙門堂下林間。
- 打ち負かした「じい」を運び込む小屋、不明(山中)。
- じいの塚、谷山林道か(崖際)。
- 京へ出た宗房が見せしめの梟首を見る橋、中ノ島橋(見物衆とともに橋上/下流望)。首泥棒の桂小五郎は橋下手河川敷、中州下手の叢へ逃げ込み。
- 「化物屋敷」の宗房の亡父の屋敷に出ていた「鬼面」を射殺した白菊姫の前に立ち塞がる宗房、随心院土塀際。このあと姫を追う新選組を見る際は東側の林に潜む。
- 新選組に囲まれ危機の姫の前に現れる「天狗」、白馬を駆る道は下鴨神社馬場、立ち回りは池跡。
*宗房を育てた「じい」浦辺善太夫は苅谷俊介、大跳躍の脳天唐竹割りを食らい頓死。叔父の宗行は村井国夫。
*天狗の立ち回りは役者を活かしての跳躍が見もののほか、眠狂四郎ばりの幻惑殺法もあり。無益な殺生はと言う割に、新選組をばさばさ斬り捨てる痛快さが大いに○。「気象予報士」の観天望気も笑いツボ。
第2話 「宿命の敵」 2008.1.24
なりも変え名も倉田典膳とし、桂の仲間に引き合わされる「宗房」。志士たちのなかにはテロを厭わぬ武断派がおり、暗殺に走る。
ロケ地
- 近藤勇が瀕死の隊士に斬った者は鞍馬天狗と聞く逢坂山の林、下鴨神社池跡。
- 宗行が暗殺される御所増俊門、随心院薬医門(真上からのショットあり)。
- 典膳を訪ねてきた白菊姫が、父の仇の鞍馬天狗に会わせろと迫る水辺、大覚寺放生池堤。
- 仇討ちセッティングの真葛ヶ原、西の湖園地。「姫より先に」近藤勇が現れ中原と対峙。やって来た姫や典膳と擦れ違う、「戻ってきた」近藤は太鼓橋を渡って去る。このシークエンスの冒頭、時を告げる鐘は西明寺鐘楼。
*宗行ほか新選組隊士も斬る土佐者・中原は山口馬木也。黒姫の吉兵衛は徳井優、土方の懐を狙い追われるところを典膳らに匿われて出会う。
第3話 「石礫の女」 2008.1.31
己とどこか似通った生い立ちの、幸薄き女を新生に導こうとした典膳。荒くれ者の無粋な手がそれを無に帰そうとするとき、天狗が顕現する。
ロケ地
- お喜代が「不逞浪士」にカマをかける縁日、今宮神社高倉前石畳に露店あしらい。典膳は白菊と来ていてその美女に見惚れ(自分も声を掛けられるが生返事)。
- 新選組のため働くその美女のことを吉兵衛に聞く典膳、大覚寺大沢池船着(大)。シチュエーションは釣り、白菊ちゃんも来ている。後段、出家したお喜代のことを話すのも同所。
- 新選組隊士だった情夫の死後、入水をはかるお喜代を止める典膳、罧原堤下汀か(水が比較的澄んでいるのと、見返ったお喜代の背後の木が堤上みたいな見え方。しかし光源の方角等に疑問が残る)。
- 典膳の勧めで出家したお喜代、「嵯峨野の西王寺」は祇王寺山門と苔庭。
*お喜代は黒谷友香。典膳の言葉と天狗の発したそれとの一致で正体を知る模様、瀕死の彼女が頭巾を取ろうとする天狗をとどめる仕草が泣かせる。恋情から横車を押す鬼畜土方を出すのも、鞍馬天狗ならではで○。
第4話 「山嶽党奇談 前編」 2008.2.7
金で暗殺を請け負うという、謎の集団が蠢きだす。折しも大量の硝石が取り引きされた形跡があり、怪しの豪商の影もちらつく。相手の真意が掴めぬまま、天狗も近藤勇も騒乱に巻き込まれてゆく。
ロケ地
- 山嶽党の暗殺を目撃した白菊が危機一髪のところへ天狗が現れる夜道、上賀茂神社ならの小川畔(顔を見せてとせがむ白菊だが拒まれる)。
- 所司代屋敷、大覚寺明智門。
- 山嶽党が消えたあたりで吉兵衛を待つ典膳、摩気神社本殿裏手塀際。この先に屋敷が一軒と走ってくる吉兵衛、摩気神社裏手谷地田脇の道。怪しの仏師がいるその屋敷は直指庵、屋敷を出てきた三島屋と行き会うのは本堂下坂。
- 会津藩士が山嶽党に斬られる夜道、不明。土佐脱藩浪士が斬られる橋、大覚寺勅使門橋上(暗殺は夜、新選組の見分は昼間)。
- 仏師の屋敷を見張り続ける吉兵衛のところへやって来る典膳、今日に限って妙に静かと聞き石を投げて試すくだり、直指庵庫裏(道場)。見張りは庫裏を見下ろす小丘から、庫裏の建具は入れ替えてある。
- 山嶽党が銃を積んだ大八を運ぶ山道、酵素ダートか。
- 大塚が白菊を拉致する町角、今宮神社稲荷社脇。
- 「白菊は預かった」で糺の森に呼び出される天狗、行くと同じく誘き出された近藤勇が先に来ていてとりあえず対決の林、下鴨神社糺の森池跡。
*三島屋は石黒賢、洋装怪しすぎ。仏師・今村松慶は北見敬之、大塚辰真は鈴木浩介、所司代は石井愃一。
第5話 「山嶽党奇談 後編」 2008.2.14
近藤勇と二人して山嶽党に囲まれる糺の森から再開、危機を脱したあとは奇策をもって敵の内懐に飛び込んでゆく。洋装も怪しい奸商はとんだ売国奴と知れ、天狗はこっち担当で新選組は山嶽党を殲滅。
ロケ地
- 吉兵衛の煙玉で死地を脱する糺の森、本物の「池跡」。
- 白菊をさらった大塚に接触し、天狗を斬る芝居で信用させる橋、中ノ島橋(桂が扮した天狗がドボン/水から上がってくる桂はセット撮り)。
- 山嶽党が潜む里、イメージに美山萱葺の里。トレーニングの野原は酵素河川敷。
- 新選組に天狗が斬られた噂を流した、裏切者の隊士がお薦さんに扮した山嶽党の仲間とツナギをとる祠、大覚寺天神島。
- 駕籠に乗ったままツナギをとる三島屋と今村松慶、二尊院紅葉の馬場。
- 所司代屋敷、大覚寺明智門。
- 山嶽党など存在しなかったと所司代に釘を刺された近藤が物思う水辺、大覚寺放生池堤(天狗が忍び寄り離れゆくさまが水面に映った影で表現される)。
*白菊ちゃん、自分をたばかりさらった大塚に鉄瓶の蓋で逆襲、クリーンヒットで階段落ち。
*天狗が銃を撃つ場面が出る。
第6話 「天狗と子守歌」 2008.2.21
元妹芸者に赤子を託され、手前勝手な「お家の事情」を知った幾松姐さんは、典膳や吉兵衛の働きで一旦は危地を脱するものの、逃げ回るを良しとせず自分たちの戦場でケリをつけると宣言。お座敷に乗り込んできた刺客たちに「斬れるもンなら斬っとおみやす」と勇ましく啖呵を切る。天狗さま今回は脇役、なんか情けない旗本の家来を、お座敷で見た投扇興もじりの秘技繰り出して「始末」。
ロケ地
- 事後、赤子を返す件について話す典膳と小菊ちゃん、大覚寺大沢池船着(大)。場面は釣りで吉兵衛もいる。
- 実母の御側室に抱かれ大坂へ向かう赤子を見送る街道筋、山室堤。送ったあと桂が長州から帰って来たのとばったり。
*御側室に赤子を託され、元いた置屋を頼ってきた幾浜は宝生舞。幾松姐さんの啖呵カッコ良すぎ。
第7話 「角兵衛獅子 前編」 2008.2.28
杉作少年登場、親切な典膳を天狗と見通す純真な少年は、秘密を打ち明けられる。暗殺リストを得るため大坂城へ向かった天狗から桂への文を託された杉作だが、しつこく現れた悪魔のような親方に取られてしまい大泣き。新選組隊士に化けて大坂城代に会う典膳、リストを手にした段で前編の終り。
ロケ地
- 杉作と新吉が角兵衛獅子営業の境内、仁和寺五重塔下。新選組に追われた浪士が駆け込み、銭の入った椀を踏み潰してゆく。その浪士が押し包まれ斬られるのは塀際。
- 稼ぎを無くし途方に暮れた杉作たちが佇む寺門、西教寺大師堂北門。杉作から桂の名を聞いた長七が新選組を伴いやって来る段では、北門から入りお堂前で長吉が呼ばわり、縁先に典膳が現れる。典膳は北門に影を見て企みに気付き桂の名を呼びつつ一旦裏手に消え、新選組の強襲には天狗で登場。このあと近藤が入ってくるのは西の唐門から。
- 隼の長吉のもとから子らを連れ出した典膳がゆく道、大覚寺大沢池北辺並木。
- 白菊から天狗の危機を聞いた杉作が行方を求め和尚に話を聞く寺、西教寺大師堂。北門から大師殿を望む画が映り、お堂前で和尚に消息を聞く。画面端っこに唐門の狭間がちらり。
- 天狗に会えずしょげた杉作が腰掛ける橋、日吉大社走井橋。山道をとぼとぼ行くとパカパカ音がして騎馬の典膳が現れるのは酵素ダートか。杉作を乗せタンデムで突っ走る土手は野洲川岩室橋下手右岸の畷。駒を繋ぎ石段で杉作と語るのは神護寺、駒を繋ぐ木は五大堂前、石段は金堂下の石段。
- 大坂城へ、「リスト」を受け取りにゆく新選組隊士・原木の前に立ちはだかる天狗、不明(林)。
- 原木に化けた典膳が入る大坂城城門、彦根城天秤櫓。
*杉作は森山悠希、親方の長七は火野正平。大坂城代は篠井英介。蒼龍禅寺の和尚は北見唯一。
*杉作の巧さが言を俟たないほか、正ちゃんは凶悪さ加減がツボはまりで派手な服も良し。「学年主任」もなかなか。
*隊士襲撃の際は銃対決。
第8話 「角兵衛獅子 後編」 2008.3.6
リストは火中に投じるも、多勢に無勢は如何ともしがたく傷ついて米蔵に立て籠もり、包囲されてしまう天狗。膠着状態に苛立った城代は、新選組の利用を思いつく。
ロケ地
- 大坂城代と会見の座敷から逃げる天狗のくだり、西教寺客殿、書院と回廊。城内描写は彦根城太鼓門櫓や石垣際。立て籠もる米蔵は佐和口多聞櫓内側。
- 天狗の様子を窺いにやって来る吉兵衛らのくだり、城門は彦根城天秤櫓。
- 大坂へ向かう近藤を阻むくだり、桂の要請に応えた浪士らとチャンバラおよび杉作ら懇願の道、彦根城黒門付近内濠端か。
- 改めて近藤と対決の門、夜の南禅寺三門。
*杉作の「卑怯」の言葉を背に大坂へ向かった近藤、城代をねめつけ天狗の身を保証し傷癒えてのちの勝負を約す、カッコいい役回り。サシの対決では天狗が剣を引き「またの機会を」。往年の天狗VS.近藤でもよくあった、後をひく幕切れ。
*西教寺回廊を逃げる天狗のくだりに城兵で福ちゃん登場、槍に銃ぶっ放されて「うわお」尻餅。
*近藤のはからいで城門を出てきた「天狗」は素面のまま、杉作と白菊ちゃんが迎える運び←正体バレ。
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