1988.1.2TX/東映
キャスト
井伊直弼/北大路欣也 長野主膳/三浦友和 村山たか/島田陽子 勝又十四郎/金田賢一
里和(佐登)/岡田奈々 そで/甲斐智恵美 静橋/加茂さくら 宇津木六之丞/誠直也 三居孫太夫/左右田一平 井伊直亮/垂水悟郎 犬塚外記/加藤嘉 岡本半介/石田弦太郎 根津半兵衛/浜田晃 三浦北庵/内田稔 伊吹坊明尊/浜田寅彦 雷神坊/石橋雅史 火焔坊/福本清三(第三部でチンピラ役も) 風神坊/吉岡祐一 朝目/吉富君子 萩栄/泉じゅん お吉/水島かおり 河西甚左衛門/峰蘭太郎 日下部三郎衛門/西田良 徳川家定/山本学 篤姫/壇ふみ 霧島/谷口香 滝山/川口敦子 島津斉彬/綿引勝彦 一橋慶喜/国分郁男 松平慶永/氏家修 堀田正睦/有川博 阿部正弘/鈴木智 酒井忠義/有川正治 間部詮勝/溝田繁 徳川斉昭/佐藤慶 武田主税/菅貫太郎 関口五郎太/野口貴史 須藤源八郎/岩尾正隆 吉田松陰/本田博太郎 九条尚忠/竹内亨 島田左近/成瀬正孝 鷹司政直/近藤宏 関鉄之介/平泉成 黒沢トキ子/高橋ひとみ 宝寿院/井上昭文 鰐淵治兵衛/中嶋俊一 梅田雲浜/和崎俊哉 小林民部/中田博久 多田一郎/森章二 太田資始/高野真二 村岡/荒木雅子 ペリー/ディック・バターワース
第一部 埋木の章 彦根城の嵐
冷や飯食いの井伊家の若様を描く序章、藩主の世子が病篤い情勢に城代らが直弼を罪に落とそうとはかるが、兄藩主の意は決しており世子逝去とともに後継は直弼に。この間、のちに腹心となる友および運命の女との出会い、妻となる娘とのふれあいが描かれ、後々祟ってゆく因縁も生じる。
ロケ地
・桜田門外の変を語るドキュメンタリー部分で桜田門。
・馬を駆る直弼、琵琶湖畔。直弼を捕えに出張る常備隊が騎馬で出る門は彦根城下の旧西郷家長屋門。直弼宅の埋木舎は本物。常備隊が来たことを若様に注進に走る下女・佐登に暢気に声をかける勝又十四郎は北嵯峨農地竹林際。釣りをしていた若様は流れ橋付近の木津河原、遠景に橋が映り込み、堤法面を佐登が駆け下りてくる。
・市場村(山東町)の医師・三浦北庵邸、民家門。
・自分を陥れるために捕われた村山たかを釈放させるべく登城する直弼、彦根城天秤櫓。
・釈放されたたかが長野主馬と過ごす待合、嵐山公園料亭・渡月亭(対岸から堀越しに窓辺を見る図、室内から水面を望む画もあり、夜間撮影)。
・長野主膳を語るドキュメンタリー部分、天寧寺や義言地蔵が映される。
・大老を罷免され帰国の14代藩主・直亮、入城は彦根城佐和口多聞櫓、直弼と話すお城の庭は彦根城玄宮園龍臥橋と魚躍沼池畔、遠景に天守映り込み。
・お城を下がってきた直弼の無事を泣いて喜ぶ用人と佐登、彦根城埋木舎を内部から・開いた門からお濠が見えている。
・二人の男に同時に魅かれて悪いかと主馬にしなだれかかる村山たか、不明。
・主馬に会いに志賀谷へ馬を飛ばす直弼、酵素ダート(刺客潜み)。主馬とたかのことについて話すのは琵琶湖岸、イカ集団の襲撃に般若院の修験者が介入し直弼をサポート。
・多賀大社と村山たかの関わりを説くドキュメンタリー部分に本物の現代風景。
・世子死去を伝える早馬が駆ける道、琵琶湖岸松原。
・直弼暗殺を請け負った十四郎から物騒な話を聞く敵娼、その太夫の注進を受けたたかが叩く埋木舎門、本物の門内外。
・朝駆けに出た直弼が駒を止め寝転がる河原、木津河原(十四郎+イカ侍の襲撃)。襲撃をかわしたその足で登城する直弼、彦根城大手橋と城内石垣際。
・彦根を発った直弼の行列がゆく街道、嵐山自転車道。最初の宿の大垣イメージに、現代風景の大垣城空撮(宿所に直弼の前から姿を消していた主馬が訪ねてくる)。
・直弼を追って江戸へ向かう佐登、流れ橋上(馬上)。修験者たちがゆく林、不明。主馬が彦根へ向かう道、琵琶湖岸。
・江戸城イメージ、皇居巽櫓。
・彦根城イメージ、濠越しに彦根城佐和口多聞櫓。
第二部 黒船の章 攘夷の旋風
彦根藩を背負って立つ身となった直弼は、烈公が朝廷の政治関与に道をつけたことに危惧を抱く。そして帝の異国嫌いを煽り立てるなか、ペリーが浦賀にやって来る。身に降りかかる災いをものともせず、理想に邁進する直弼。存在感を増す彼に、烈公の怒りも激しくなってゆく。神奈川条約を結んだペリーが去る段まで。
ロケ地
・城を下がり藩邸に戻ってくる直弼、大覚寺式台玄関。
・江戸城イメージ、皇居巽櫓。
・下屋敷の庭で佐登に小太刀の稽古をつける静橋、大覚寺宸殿白州。
・御所イメージ、京都御苑建礼門、紫宸殿。
・帝から幕府に外敵についての警告がなされた折、京にいた主膳が江戸へ向かう夜道、大覚寺護摩堂裏手(朝目のツナギ/たかを見かける)。
・主膳が直弼と会う世田谷・豪徳寺、不明(屋根が二層の大きなお堂)。
・彦根藩下屋敷、大覚寺大門(十四郎が、出てきた直弼を見て敵愾心を燃やす)。
・藩主・直亮の葬儀が行われる彦根・清涼寺、本物。
・ペリー来航を知らせる浦賀奉行の早馬が走る松原、琵琶湖岸か。
・黒船を遠見する直弼、および玄武館の攘夷志士の暴発を手荒く諌める直弼、琵琶湖岸。
・多賀大社に参るたか、本物をイメージに挿入。坊人たちが車座になって護摩を焚くのは鳥居本八幡宮広場。
・大統領の国書を受け取る相州・久里浜、琵琶湖西岸(松原に席をしつらえ)。高島の岬の見え方からすると和邇川河口州か。
・下屋敷を出て戻る夜道、潜む気配に気付く直弼、妙心寺大庫裏脇路地。・玄武館の攘夷志士が直弼を襲う青山・六道の辻、妙心寺大庫裏脇路地(十四郎が瓦版に書き立て、直弼は謹慎を食らう)。
・直弼の無事を祈りに神社へ参る里和、日吉大社白山宮。その帰途駕籠を襲われ、替玉の侍女・そでが斬られるのは奥の院への坂下、坂から志士ら殺到。
・吉田寅次郎が船を出す浜、琵琶湖岸か。寅次郎に会うため馬を駆る直弼、琵琶湖岸松原か。牢の寅次郎と話したあと、唐丸を見送る漁師町も湖岸か(低い石垣、蔵のある家なみ)。
・たかが主膳に語る京の情勢、志士らが公家屋敷に出入りするさま、建仁寺両足院。
・日本を見て歩く牧師のくだり、上陸した神奈川の浜は琵琶湖東岸、街道筋は日吉大社境内、スケッチの橋は日吉大社走井橋。彼を斬りに街道を走る玄武館メンバーは嵐山自転車道。主膳やたかが襲撃を阻む河原は大堰川河川敷。
・ペリーが去ったあとの海を見つめる直弼、不明(マジ海、荒磯)。
第三部 開国の章 激流の女たち
次期将軍を一橋慶喜にとの動きが活発化、人となり良からずと直弼は紀伊慶福を推す。一方、下田に総領事館を構えたハリスとの折衝も動きだす。
そのハリスに洋妾をあてがうやり方に納得のゆかぬ直弼の意を汲み、一人下田へ向かう里和。また、直弼の決死の要請を受け世継についての自分の役目を放棄する篤姫。将軍の意思が示され、世子は紀伊慶福に決する。
ロケ地
・江戸城イメージ、皇居巽櫓。
・紀伊慶福が遊ぶ庭、不明。
・直弼が語る慶喜の酷薄さを示す逸話、狩場は糺の森か。
・篤姫について語る直弼と主膳、屋形船は広沢池東岸。
・たか女がいる九州から山陽路へ走る朝目、不明(海浜か)。京イメージ、東寺五重塔(部分、中層)。朝目に直弼への文を託す主膳、化野念仏寺石仏群内陣。朝目が走る東海道、琵琶湖岸松原か。
・下田港の現風景と玉泉寺を映したあとお芝居パートへスイッチ、早馬が行き交う浜辺は琵琶湖西岸松原、洗濯女のお吉とつる松が所帯を持つ話をして戯れる。滞在している玉泉寺境内に星条旗を掲揚するハリス、毘沙門堂本堂脇(枝垂桜も映り込み)。
・紅葉山の神君の廟に参る家定、廟は不明(方形の堂で前に石畳・背後は深い森、門扉はあしらいものの可能性あり)。神域の外で待つ篤姫、豊国廟石段下・太閤坦の拝殿。強訴に及んだ松平慶永に脅え惑乱して下りてきた家定は参道石畳脇に寝かされる。
・慶永の行為を直弼に訴えに来る滝山、会う船宿(?)イメージは錦水亭。
・京から戻った主膳が語る情勢、御所イメージは京都御苑建礼門遠望。
・下田玉泉寺(米国総領事館)、毘沙門堂薬医門。水戸の暗殺団襲撃は夜間、前に柵を設ける工事に難色を示すハリスらの段では昼間。
・緊迫する情勢に疲弊し大奥引きこもりのところ、篤姫に世継のことを言われ大奥を飛び出した家定が籠る中奥の茶室、中山邸無畏庵。
・里和が下田さしてゆく海辺、不明。
・馴染の女と歩くヒュースケン、下鴨神社参道(背景に二の鳥居)〜泉川橋(林にいた十四郎がヒュースケンを呼び止め拳銃を購う)。
・十四郎に接触しハリス毒殺を依頼する「門弟」たち、琵琶湖西岸松原。
・里和が里人にお吉の所在を聞き回るくだり、野良の衆に聞くのは海崖の棚田、漁師の女に聞き忌避されるのは海辺。
・ハリスのもとへゆくお吉を乗せた駕籠がゆく道、下鴨神社河合社脇(見ていた里和を連れ去ろうとした十四郎を宇津木が制する)。
・ハリスに拒否されたお吉が出てくる玉泉寺、毘沙門堂薬医門(坂下に設けられた柵から民衆がお吉に草履を投げつけ非難)。
・お吉の父の塚、海崖。庵主にも誤解されて自棄になったお吉の入水を止める里和、間人海岸・立岩際の汀。
・ホーハタン号の砲声を聞くハリス、縁先は毘沙門堂か。
・将軍が籠る中奥・築山の茶室に赴き鼓を献じる直弼、中山邸無畏庵。
・護国寺へ参詣の篤姫、くぐる門は仁和寺中門(お堂に白装束の直弼がいて「諫言」)。
第四部 大老の章 徳川崩壊の炎
強硬に通商条約締結を求めるハリス、老中首座・堀田正睦は勅許を得るため自ら京へ。しかし宮中は既に水戸・薩摩の影響下にあり、勅許を出す代わりに一橋慶喜を世継にするよう求められてしまう。しかし烈公の企みを逆手にとるかたちで直弼の大老就任が決まり、逡巡のすえ大役を受ける直弼だが、役に就くや電光石火、勅許を待たず条約を締結、政敵も一掃するが憎悪は底泥のように積もってゆく。
ロケ地
・江戸入りのハリス、下鴨神社河合社脇。
・京へ向う主膳、尾行者が彼を認める鈴鹿峠の茶店は谷山林道切り通しにあしらい。
・主膳の定宿・俵屋の説明のくだりには現代の京都が映し出される→左大文字のアップからカメラ引いてゆき御所や鴨川が映る(東山からの眺望)。俵屋は御池通からのアングルも。
・九条関白の家臣・島田左近とたか女を待つ主膳、夜のお堂イメージに大覚寺聖天堂。
・九条関白邸、相国寺林光院。
・所司代の役人が牢に込めてあったたか女を移送する道、琵琶湖松原〜彦根城内堀端(この後の埋木舎のパートはセット)。
・鷹司卿の安請け合いに喜んだ堀田老中が直弼に会いにゆく彦根城、本物の天守を映したあと対話場面は玄宮園池端。
・堀田老中を襲うと息巻く水戸者が潜む道、下鴨神社河合社脇。馬で止めに駆けつけた水戸の老職・武田主税は馬場。
・堀田老中が人目を避けて東帰する中山道、谷山林道(切り通し、ロングの映像も)。分岐道崖上から主税らが眺めている。
・彦根藩下屋敷、大覚寺大門。
・江戸城イメージ、皇居巽櫓。
・直弼に面罵された堀田老中を篭絡にかかる松平慶永、彦根城玄宮園龍臥橋。
・堀田老中を抱きこんでの密談を天井で聞いていた風神坊の報告を聞く直弼、彦根城楽々園。
・江戸城イメージ、皇居巽櫓。
・大老職を受けたあと海辺に立ち物思う直弼、琵琶湖松原。
・彦根藩下屋敷(直弼帰宅時)、相国寺大光明寺式台玄関。
・彦根藩下屋敷に忍び込む十四郎、大覚寺大門前から脇の塀へ行き侵入。
・押しかけ登城の咎を下すくだり、御三家屋敷イメージに西本願寺大玄関門。
・家定逝去後、亡骸が葬られた寛永寺へ何度も参る直弼、仁和寺参道石畳、金堂前。参道脇の林間に怪しの虚無僧らが潜み、塔前で襲撃。坊人たちが撃退したあとその場を去る直弼は九所明神鳥居をくぐる。
第五部 大獄の章 倒幕の渦潮
違勅の件で京の情勢は沸騰、江戸でも大老を責める声しきり。ますます不利になる直弼のため、たか女は非常の決意をする。そして水戸や薩摩の挙兵は阻むものの不穏な情勢はやまず、摘発を決意する直弼。大獄の嵐のなか死なせたくない者も処断せざるを得ぬ運びに、澱は溜まってゆく。
ロケ地
・江戸城イメージ、皇居巽櫓。
・彦根藩下屋敷、大覚寺大門。
・水戸藩上屋敷イメージ、西本願寺大玄関門。
・たか女が元近衛家老女・村岡に接触する際のイメージに祇園・白川。
・御所イメージ、建礼門と御所塀。
・彦根藩下屋敷近く、鳥追い姿で三味線を掻き鳴らすたか女、建仁寺両足院前路地。
・京都所司代による浪士狩りの一幕に祇園・白川河床(巽橋下手)。
・多田とたか女が潜伏する段、金閣寺舎利殿をイメージに挿入。
・吉田松陰らが護送される街道、酵素河川敷、ダート(十四郎が林間から凝視)。
・大獄後、遠乗りに出る直弼と主膳、下鴨神社馬場。駒をとめて語り合う林は糺の森。
第六部 桜田門の章 雪に散る花
水戸藩にもたらされていた内勅が新たな火種となりかけるが、主膳の奔走で朝廷も折れる。返還を渋る水戸を脅しつけて屈服させたことは、大老暗殺計画の萌しとなって現れる。そんななか坊人組織は壊滅、たかは捕われ、そこで里和を慕い続け惑乱の裡にある十四郎を見て己と重ね、直弼から離れる決意をする。水戸から放たれた暴徒が危ぶまれるが、直弼が身を退くことはない。そして直弼の真情を覚った十四郎が危機を知らせるのも、不吉の兆しを見た主膳が止めるのもよそに危地に向かう「大老の駕籠」。従容と死に就いた大老の心根に、残された者は涙する。
ロケ地
・下城の大老の駕籠が狙撃される赤坂食い違い、不明(夜道)。
・彦根藩下屋敷、大覚寺大門。
・水戸城、二条城北大手門(正面からと堀端から側面を見たものと二つのアングルで出る)。庭で鯉に餌をやる老公は枳殻邸侵雪橋、後段では池畔も出てガーデンセットあしらい。
・主膳の朝廷工作の段で京都御所建礼門と御所塀をイメージに挿入。
・直弼と安藤信睦が上使として入る水戸藩上屋敷、西本願寺大玄関門(門は開いていて大玄関がのぞく)。
・内勅を返納しようとする恭順派と過激派が斬りあう水戸城下、二尊院参道。
・坊人たちが宿坊を乞う水戸近郊・高野村の宝寿院、大覚寺護摩堂裏手か。
・過激派が封鎖する水戸街道・長岡村の「関所」、流れ橋たもとにあしらい。十四郎がたか女の居場所を餌にトキ子に暗殺団加盟を要請するのは河原。
・大老暗殺のため江戸へ向かう暗殺団が気勢を上げる長岡村の鎮守、鳥居本八幡宮。
・坊人衆の宿坊を襲う水戸過激派、大覚寺聖天堂。
・逃げたたかの前に立ちはだかるトキ子、斬り結んだ朝目が十四郎に刺される林、不明。
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