2008年 TX/東映 全8話(第1話はスペシャル)
キャスト
死神幻十郎(神山源十郎)/北大路欣也 志乃/戸田菜穂 伊佐次/尾美としのり 市田孫兵衛/笹野高史 楽翁/中村敦夫 鷹森兵部/三浦浩一 田沼意正/中原丈雄 一橋治済/鶴田忍 織絵/奥貫薫
第1話「死神誕生」2008.1.18
将軍家斉の治世、大御所・一橋治貞と若年寄・田沼意正の尻尾を掴もうとした隠居・楽翁は、斬罪に処せられる男を隠し死を繕ったあと密命を下す。はじめの仕事は、男が陥れられた五年前の事件の真相究明、憎悪や裏切り・背徳などを見たあと悪党を殲滅した幻十郎は、この先弱き者たちのため冥府の刺客となることを期すのだった。
ロケ地
- 小塚原の梟首台、酵素か(奥に竹林、地面は堰堤上の砂河原様)。
- 楽翁隠居所イメージ、安楽寺山門。
- タイトルバックの墓地イメージ、化野念仏寺(灯明あしらい)。
- 五年前の事件に関わっていた「博打打ち」と取り引きをしていた長崎回船の男を尾行する幻十郎、仁和寺中門(仁王門映り込み)〜参道(茶店からのアングルあり)〜九所明神(黒鍬者が現れチャンバラ)。
- 江戸城イメージ、姫路城天守(導入は堀留からのロング)。
- 亡妻の墓に参る幻十郎、大覚寺大沢池北西畔(野末の無縁塚っぽい演出)。須崎同心が出て「神山さん」と声をかけるのは石仏前。
- 満華楼を探った帰り、幻十郎が襲われる夜道、中ノ島橋(狙撃され川落ち)。
- 幻十郎に真実を指摘される須崎、大覚寺天神島。妻に五年前仕出かしたことを告白し逃げようとはかるのも同所、夫妻の「心中」を聞き駆けつける幻十郎は大沢池北辺並木。
- 事後、妻の墓に参る幻十郎は前と同じ、彼を見つめる志乃の背後に閼伽井と聖天堂の屋根映り込み。
*源十郎は妻を陵辱した朋輩・吉見を斬って入牢、五年も未決囚だった設定。吉見の妻・志乃は夫の借金のため岡場所に身を沈めていたが幻のダンナが訳は話さず身請け、夫の死の真相を知るべく自ら悪党の巣に潜入し、事実を知ったあと幻のダンナのもとで働くことを決意する運び。楽翁の意を受け幻十郎とコンタクトをとる爺さまは「桑山十兵衛」とよく似たスタンス。
*源十郎の亡妻は奥貫薫、神山を尊敬するも金と出世のため裏切った同心は鈴木一真で妻女は小西美帆。ラス立ち福ちゃん入り、勘定奉行の家来。
第2話「赤馬が飛んだ夜」2008.1.25
楽翁からの指令は、新小判鋳造に関する不正摘発。これには、幻十郎が引き回しから助けた女が犯人とされた、放火事件が関わっていた。
ロケ地
- 楽翁隠居所・浴恩園、安楽寺山門。
- 金座から出た駕籠を尾行する伊佐次、妙心寺大通院裏路地〜龍泉庵(旗本・稲葉備前守邸/門前をうろついて怪しまれた伊佐次が稲葉の臥煙に追っかけられて来た道を戻り、クランク部分にあしらった祠の陰に隠れる)。
- うたの墓に参る志乃、不明(全部新墓みたいに見える)。
- 事後、水辺に立ち物思う幻十郎、大覚寺大沢池畔(木戸と船着の間)。
*亭主を火盗与力に殺された女・うたに星野真理。与力は高杉亘、定火消の稲葉は佐戸井けん太、後藤は河西健司。
第3話「大奥から消えた女」2008.2.1
はじめ楽翁の指令を断る幻の旦那だが、志乃や伊佐次が持ち込んだ「市井の者」に関わる案件は幕閣の不審死とリンク。哀れな女たちを食いものにした、爛れた者どもは地獄送りに。
ロケ地
- 織江の墓に参る幻十郎、大覚寺大沢池畔。呉服屋帰りの志乃と出会うのは護摩堂、旦那は放生池堤石橋を渡ってやって来る。二人は、呉服屋の娘が恋人と天神島朱橋を渡ってゆくのを目撃、彼らが別れ話をするのを天神島祠から覗き見る。
- 楽翁隠居所・浴恩園、安楽寺山門。
- 一味の口入屋の口を封じた山伏をつけた幻十郎、襲った山伏たちが反撃に遭い逃げ込むのは大覚寺御殿川河床。参道石橋から逃げた者たちを覗き込んだ旦那、目を転じるとある智龍院は大門。住職の兄の新御番頭が出入りする際にも参道石橋と大門が出る。
- 刺青を施されてしまった恋人を迎えることに迷う青年を諭す幻十郎、大覚寺天神島。
- 養生所を出てくる呉服屋の娘、迎えに走ってくる恋人は大覚寺大沢池北辺並木。養生所は並木の東に冠木門をあしらい。
*呉服屋の娘は前田愛、家のため恋人と別れ大奥へ奉公を決めるが、これがとんだ詐欺という設定←刺青して絶望させ悪所へ売り飛ばし。新御番頭は藤木孝、実弟が智龍院住職で将軍家勅願所を狙い、娘はお手つき中揩ナ大奥奉公ばやりに一役買う設定、ヤラしい場面もある妖しいお方様は北原佐和子。
第4話「ふたつの顔の女」2008.2.8
亡き妻に酷似した女を見て惑う幻十郎、しかも今回の「依頼」の筋はその女の属する藩のお家騒動。懐かしさ愛おしさ募るまま迎えるのはやはり重苦しい別れ、しかし幻十郎が今回の事件に積極的に関わった理由は誰知ることもない。
ロケ地
- 亡き妻・織江の墓に詣でる幻十郎、大覚寺大沢池北西畔に墓石あしらい。その帰り、岩津藩側室・お須磨の方の駕籠を囲み同道を迫る藩士たちに行き会うのは大沢池堤。
- 岩津藩主の子を身籠ったお市が首席家老派に追われる葦原、広沢池東岸(水無)、追っ手とのチャンバラはぬかるみの中で。
- 楽翁隠居所・浴恩園、安楽寺山門。
- 参詣のお須磨の方、清凉寺本堂前。姿を消した御側室を捜すお供衆、本堂裏手回廊(本人は回廊下に隠れ)。庭へ出ていて幻十郎と出会うのは本道裏手の池泉(池中にある築島の十三重石塔映り込み)。
- 再び出会うお須磨の方と幻十郎、話すところへ首席家老派が出てチャンバラは大覚寺天神島水路端。そこから逃げたお須磨の方が追いつかれ危ういところへ鷹森兵部が出て防ぐのは真如堂本堂裏手・墓地外囲いの植え込み際。
- 幻十郎が岩津藩菩提寺に相争う二人の家老を呼び出すくだり、真如堂。次席家老がやって来るのは参道坂(本堂と塔映り込み)、二人が鉢合わせし戸惑うところへ幻十郎が現れるのは塔前、今回の騒動が公儀筋によって仕組まれたものと明かすのは本堂裏手の蔵の前。
- 正体を現した獅子心中の虫が首席家老を斬り、次席家老に刃を突き付け迫るのは真如堂本堂裏手の蔵の前〜本堂裏手生垣。
- 悪企みの一派を殲滅したあと、お須磨の方に会う幻十郎、大覚寺天神島水路端。
- 一橋治斉と田沼意正が幻十郎の正体について忖度するくだり、江戸城イメージに姫路城天守(堀留から)。
- 旅発つお市を見送る伊佐次と志乃、嵐山自転車道(愛宕に虹かかり)。
- 事件を回想する幻十郎のくだり、水に浮かぶ椿の花は天神島か。立ち去る幻十郎を見遣る志乃、映り込む鐘楼は清凉寺梵鐘か。靄の中をゆく幻十郎は大覚寺放生池堤。
*お須磨の方は亡妻・織江と二役の奥貫薫、女の蔭腹は珍しい。首席家老は中田浩二、次席家老は江藤潤。
第5話「白い数珠の殺人者」2008.2.22
楽翁からの指令よりも己の指向優先の幻十郎、しかし追う案件はリンクする。酌婦上がりの女と仇持ち浪人の未来は消えるが、彼らの屍の上に胡坐をかく悪党どもの前には死神が現れる。
ロケ地
- 新発田藩の御用金が奪われた街道、酵素ダート。
- 御用金盗の一人の煙草屋が殺されて見つかる大川端、嵐峡汀。
- 清四郎とお京の墓、広沢池観音島端池底(水無)。去る幻の旦那は、観音島を望む南西畔に。
*御用金護衛の任に就いていて切腹を遂げた藩士の息子・清四郎は高橋和也、父の遺骨を数珠に仕立てて腕に巻き復讐を期す。彼と暮らす女・お京は西尾まり、良くしてくれた口入屋が「夫の仇」という巡りあわせ。実は賊の首魁だった口入屋は春海四方、つるむ藩のお偉いさんは立川三貴。
*楽翁登場せず。孫兵衛さんはダンナに逆に調査頼まれて大いにむくれる。
第6話「消えた逃亡者」2008.2.29
忽然と姿を晦まし網にもかからぬ凶賊たち、裏に逃がし屋の影。事件を追う敏腕の同心はかつて織江を慕っていた男で、幻の旦那は彼のやり残した仕事を完遂するため悪党の前に立つ。
ロケ地
- 町で「神山」を見かけた広田同心が訪れて自問自答する織江の墓、大覚寺大沢池畔。やって来た志乃に思い出を語るのは放生池堤。
- 逃がされたはずの凶賊の死体が見つかる林、鳥居本か。
- 事後、水辺に立ち尽くす幻十郎、大覚寺天神島。
*広田同心は平泉成、逃がし屋は谷口高史で道中奉行は伊藤高、口入屋の用心棒で福ちゃん登場・リーダー格で最後は派手に海老反り。
第7話「皆殺しの銃弾」2008.3.7
盗んだ気銃を元に大量密造、白昼の試射・作った職人は抹殺の大悪党。幕閣が裏にと見えてその実は、金を掴んで今の暮らしから抜け出そうとした、ある意味哀れな者どもだった。
ロケ地
- 幻の旦那と話すのを見て誰かと志乃に問う義弟・徳之助、大覚寺護摩堂前。
- 兄の墓に酒をかけ仇を討ちたかった・志乃もきっと同じと話しかける徳之助、不明。
- 密造一味を強請って消された同心が、生前に船の出入りを見張っていた船着き、大覚寺大沢池北岸(そこを見遣る幻の旦那と伊佐次は天神島から)。寄場から密造銃を運び込んだ船から続く轍は遣水跡のほうへ続いている。
- 旦那の庵から志乃を連れ出した徳之助が、旦那が神山であることを指摘し仇を討つどころかと怒って刀を抜き放つ竹林、鳥居本八幡宮小柴垣脇(巨石あり)。
- 旦那に阻まれ一刀浴びせられた徳之助が逃げ込むお堂、鳥居本八幡宮舞殿に扉と壁をセット。今回は四方全てに細工がなされている。黒鍬のかしら・鷹森が奥の建具を突き破って本殿前に出るシーンもある。
- 事後、水辺に佇む旦那のもとにやって来て恋情を吐露する志乃、大覚寺石仏前と大沢池畔、護摩堂映さず。
*吉見の弟で松代藩鉄砲方与力の青柳徳之助は大浦龍宇一(元服前に養子に出た設定)、密造に手を貸していた寄場奉行は峰蘭太郎。
第8話「梅の花の約束」2008.3.14
両替商が陥れられた件を探る幻の旦那だが、楽翁がはじめから黒幕の正体を知っており、しかもその「政敵」を利用する考えを知り「あんたの為にゆくのではない」と言い放ち、コントロールをはずれて動く。
ロケ地
- 江戸城イメージ、姫路城天守。
- 弁天屋の女主の件を報告する志乃、近江屋の手代が姿を晦ましたことを報告する伊佐次、毘沙門堂仁王門下崖際。
- 大御所が弁天屋女将と密会する一橋別邸、毘沙門堂薬医門(斬り込み時、門のあとの玄関はセットにスイッチ)。
- 事後、妻の塚の前に立つ旦那、大覚寺大沢池畔。帰り道は梅林際。
*近江屋は小沢象、奉公人で旦那の庵の梅の開花を心待ちにしていた娘は前田亜季。大御所の愛人の弁天屋女将は大家由祐子、手先をつとめる南の与力は上杉祥三、葛西六太夫は春田純一。ラス立ち福ちゃんチラリ(推定)、槍持ってかかってくる一団の一人。志乃に仕立物を注文するご主人に小峰さん。
★参考 幻十郎必殺剣スペシャル「死神復活」(2009年4月)
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