加藤泰監督作品 1957.1.22東映 松代藩のお家騒動で毒殺されかかる娘を助けたご浪人・鮎さん、いやいや関わってゆく先は退転した当の藩。きつい麻薬を盛られ童女に返ってしまった娘哀れさと、反発しつつも見捨てきれぬ「友」への情が彼を突き動かす。わるい奴はきっぱり悪く、相応の報いを受けて万事めでたしの展開だが、鮎さんにぞっこんで危険な旅につきあってくれた太夫の死が物悲しい。 ロケ地 鮎さんこと夏目鮎太郎は大友柳太朗、元奉公人だった久兵ヱ方で医者を開業。ずいずいずっころばしを口ずさむのが癖。彼の父は十年前ご落胤の押し付け婿の件を諫死、鮎さんは藩を退転。鮎さんの気っ風に惚れ込み協力する江戸屋の座頭は花柳小菊、男衆の亀さんは岸井明。美穂は長谷川裕見子、呆けたさまもきりりとした武家娘も可愛い。彼女の父の筆頭家老・頼母は薄田研二。先代の弟で鮎さんとは幼馴染の宗之助ぎみは渡島進、鮎さんと嫌味の応酬ののち褌一丁で取っ組み合いをして友情を確かめるくだりは笑える。国分屋久兵ヱは香川良介、美穂を連れて逃げる段で悪党に斬られ横死。山谷の今七は鮎さんと顔馴染みのチンピラ、はじめ悪党に加担するも御殿倒壊の際鮎さんたちを助け、最後は悪事の証人となる。悪役陣、馬鹿殿の家邦は立松晃、隠居の条件に美穂を要求。奥方は浦里はるみ、老中の娘で孕んだ不義の子を次期藩主にと目論む。奥方とつるむ次席家老は原健策、悪謀を一手に引き受ける腹心・滄庵は吉田義夫で怪人じみた振る舞いが不気味。滄庵に雇われる道場主は山口勇。 |