降旗康男監督作品 2007.6.23東映
キャスト
別所彦四郎/妻夫木聡 別所イト(母)/夏木マリ 別所左兵衛(兄)/佐々木蔵之介 別所千代(嫂)/鈴木砂羽 甚平/香川照之 大工/徳井優 小文吾/佐藤隆太 井上八重/笛木優子 井上軍兵衛/石橋蓮司 世話役/鈴木ヒロミツ 紅葉山支配/大石吾朗 喜仙堂/上田耕一 榎本武揚/本田大輔 勝海舟/江口洋介
伊勢屋(貧乏神)/西田敏行 九頭竜(疫病神)/赤井英和 おつや(死神)/森迫永依
三圍ならぬ三巡稲荷を拝んでしまった、それでなくともツイてない御徒士の冷や飯食いはツキガミの三神に翻弄される。無論家運も急速に傾き、すったもんだの挙句に従容として運命を受け入れる彦四郎だが、選び取ったのは父祖が連綿と繋いできた御役の完遂。即ち「最後の将軍」たる徳川慶喜に代わり、上野のお山で花と散り次代の礎となる道だった。
ロケ地
- 蕎麦屋の甚平がたもとに店を出す小名木川の高橋、八幡掘新町浜下手に大掛かりなセットを架橋。大水のシーンには漂流物を派手にあしらい。
- 「三巡神社」に遭遇する土手、東高瀬川堤・松本酒造前(酔って土手を滑り落ちる/祠のある草叢はここの土手下か不明)。
- 翌朝祠をさがす葦原、西の湖園地。「伊勢屋」が「出現」。
- 井上の舅を討つと息巻く彦四郎を止めた小文吾がぶん投げられる町角、五個荘町金堂の町並み。この後小文吾の「法力」で宿替えの運び。
- 焼け出された井上家の落ち着き先、酵素民家セット。
- 貧乏神をシメる麹町界隈、大覚寺天神島。
- 兄に抱えられお城へ上がる彦四郎、姫路城はの門下坂。
- おつやと出会う坂、金戒光明寺長安院下坂(鐘楼脇の石段から鞠が転がってくる)。
- おつやの「意図」に気付き追い掛け回す神社、不明。
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大坂から逃げてきた将軍を出迎える御浜御殿付近(原作では幸御門外の火除地・久保下原)、西の湖園地(太鼓橋を騎馬の慶喜が来る/蛇砂川流れ込み付近に軍艦を合成)。
- 慶喜に「宿替え」しに行ったおつやを捜す彦四郎、ここに入ったと小文吾のもののけアンテナが立つ屋敷裏塀は広隆寺塀際(映画村内)。塔下で鞠をつくおつやは羽咋の妙成寺(五重塔下石段)。おつやに追いつく彦四郎は妙心寺方丈前渡廊。このあと的を自分に戻すようおつやに請う墓地のシーンは黒谷墓地(文殊塔が見えている)。
- 命を賭してゆく彦四郎に相対死にするというおつや、妙心寺大庫裏脇路地(彦四郎と一体化)。
- 影鎧に身を包み出陣の彦四郎、姫路城いの門(小文吾が御馬印の金扇を掲げ、勝海舟が金を渡し上様のご出馬と呼ばわる)。勝から貰った金を甚平に渡す橋は八幡掘白雲橋。上野のお山での戦闘、粟生光明寺参道石段上部(柵あしらい/彰義隊の一人に福ちゃんほか御馴染みの面々)。石垣端に立ち戦況を眺める「公方」の彦四郎は安土の総見寺。
- エンドロールに「三囲神社」ほか、東京のビルの谷間や屋上のお稲荷さん多数登場。吉田神社竹中稲荷や伏見稲荷も入っている。
*お長屋まわりの美術も秀逸、前畑のある離れが殊に見事。ここは照明にも注目。
*総体としての歴史に殉じる彦四郎、画面のみでは理屈が通りにくいきらいもあるが、畳みかける映像の勢いはそれをも納得させる迫力がある←寛永寺の砲撃シーン以外にも、ヘタレの兄上がやらかしている蜘蛛の巣まみれの鎧蔵とか、赤錆の宝刀とか。「千万人と雖もわれ往かん」のシーンは欲しかったかも。ロケ地チェックのためテレビで見たものは、劇場で拝見したときと感動が違い過ぎ。やはりホンペンは是非スクリーンで。
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