旗本退屈男 謎の南蛮太鼓

佐々木康監督作品  1959.1.9東映  46


 綱吉の湯島聖堂建立を嘉し、清国から曲戯団がやって来る。その一団が華やかに音曲を披露し通り過ぎたあと、頑固者だが将軍の信頼篤かった筆頭老中が死体に。これを皮切りに物騒な事件が続き、老中・酒井忠勝は切支丹の仕業と決めつけ弾圧を開始するが欺瞞そのもの、世を震撼させる陰謀を人知れず着々と進めているのだった。

仁和寺本坊表門

ロケ地
・曲戯団の行列がゆく大路、御所塀際。
・施療院に差し入れをした娘を調べに言問団子の店に赴くくだり、船が上下する隅田川、不明(対岸に家並み)。茶店際の「堤」はセットか。
・山惣の検死を窺っていた男が逃げるのを追う主水之介とお由、仁和寺御影堂前。男は水場に隠れるが見つかり、二人に迫られるところを狙撃される。スナイパーは鐘楼にいる設定で、欄干から煙が上がる。この場所の設定は深川八幡境内。
・キリシタン信者が会合を持つ谷中の塔、仁和寺五重塔
・酒井忠勝邸、仁和寺本坊表門越しに大玄関。門前払いを食うが「天下御免」で罷り通る。
・菊路がさらわれるくだり、船に乗せられる川端や追ってきた京弥が敵と斬り結ぶ土手、不明。連れ込まれる品川沖の船、琵琶湖か(遠景シルエット)。主水之介らに討ち込まれ船倉から逃げ出すくだりは琵琶湖
・曲戯団を見物するため城門を出る将軍の行列、二条城二の丸御殿唐門
・船から戻ってくる主水之介、上がる浜は琵琶湖西岸松原。将軍暗殺を止めるため馬で急行する主水之介と京弥のくだり、不明(いずこかの境内と思われる「道」は塀際と林、土手は堤外地から見上げで向こうに甍がのぞく)

 早乙女主水之介はもちろん市川右太衛門、妹・菊路の恋人の霧島京弥は北大路欣也がつとめ殺陣もたっぷり。用人・喜内は堺駿二で、けったいな女とヘンなお笑いも。傷のお殿様にぞっこんの女掏摸・おさらばお由は三浦光子、閉門中の主水之介の手足にするべく募るメンバー「亡者ども」はトニー谷や上田吉二郎など。切支丹の娘は桜町弘子で手助けを申し出る運び。綱吉は徳大寺伸。幕閣で獅子身中の虫の酒井忠勝は進藤英太郎、グルの隆光は沢村国太郎、金座後藤は香川良介。あるときは黒覆面、はたまた曲戯団の道化、伝道師に化けもする怪しの男は山形勲で正体は由比正雪の子孫・由比道雪。由比一族で曲戯団の手品師に化けている王宗江は吉田義夫、蛮刀振り回してメチャ怖。付き従うせむし男は国一太郎。曲戯団の華で実は日本人で父母を探していた薄幸の美女は佐久間良子。


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