2008TX/CAL/東映
キャスト
金杉惣三郎/榎木孝明
しの、あやめ(惣三妻女)/とよた真帆 清之助/綾部守人 みわ/浅田帆香 末/松村康世 寺村重左衛門/寺田農 九一/宮内敦史 米谷甚左/飯島大介 米谷鎌吉/中村英雄 斉木高玖/夏原遼
お杏/安達祐実 冠阿弥勝兵衛/杜澤たいぶん 忠蔵/久保耐吉 芝鳶の辰吉/伊吹吾郎 渓曇/水上保弘 荒神屋喜八/加藤剛 松造/梨本謙二郎 とめ/三島ゆり子 西村桐十郎/冨永規政 花火の房之助/うえだ峻
斉木丹波/石山輝夫 ふき姫/勝野雅奈恵 三雲軍兵衛/高井清史 桑原平九郎/成瀬正孝 大友三稔/山口馬木也 北沢権之佑/島英臣 日下左近/松方弘樹
*第1話と最終話はスペシャル
第1話 脱藩 2008.4.18
何者かの企みにより危機に陥る相良藩、殿様のお声掛りで密命を受けるは昼行灯で「腑抜け」の異名をとる藩士。彼はお家を退転し江戸へ、たつきの道を得て暮らし始める過程と、じわじわと襲い来る「敵」の気配が描かれる。
ロケ地
- 相良の殿様がお国入りの行列から惣三が退転するくだり、小田原の街道風景は大覚寺遣水跡、遠景に富士山を合成し芝地に六地蔵や灯籠あしらい。
- 柳沢吉保に会う斉木高玖のくだり、江戸城イメージに姫路城天守。
- 殿様の命で国許から相良文庫目録を運んでくる惣三、駕籠でゆく道は妙心寺北総門南の路地、相良藩江戸上屋敷は天祥院。
- 殿様の回想、綱吉の世に犬を斬ってしまった遠乗りの野原、酵素河川敷(原作設定は代々木原)。
- 留守居役が語る相良藩書物奉行一行が襲われた日田山中、酵素河川敷。
- 荒神屋が燃え残り材を始末する作業場、八幡掘新町浜とセット併用(原作設定は永代橋際・霊岸島湿地)。
- 長屋へ礼をしにやって来たお杏を送ってゆく堀端、八幡堀堀端〜明治橋〜新町浜(原作設定は日本橋川と湊橋、小網町界隈)。
- 荒神屋の仕事を終え料亭・夕がおへ向かう惣三が通る堀端、八幡堀堀端。
- 誘拐されたお杏を求め柴犬のコロクを連れて惣三がやって来る神田明神(原作では夜明け前の湯島天神境内)、車折神社参道。コロクと捜し回る堀端、八幡堀新町浜。
- 夕がおを出た留守居役・寺村重左衛門の駕籠がゆく堀端、八幡堀堀端。その駕籠を見遣る刺客・虎島半蔵は白雲橋。寺村の駕籠を襲う半蔵、神護寺五大堂・毘沙門堂付近で駕籠舁きが逃げ、危機一髪で駆けつけた惣三と半蔵が立ち会うのは五大堂東側の崖から林間。
- エンディングに被る、暮れなずむ海浜をゆく惣三、琵琶湖東岸の水制のある汀(劇中、時間経過を表すイメージにも使われている)。
*お杏をさらう元纏持ちの仁助は村井克行。霞斬りの露と消える半蔵は須藤雅宏。柳沢吉保は中野誠也。
*仁助と相討ちのところを救った惣三の懐の書物は聖書、イエズス会の「IHS」の文字が見える。
第2話 暗躍 2008.4.25
女形に入れあげていて、とんだ殺しの疑いをかけられ囚われの身となった小頭のため奔走する惣三、その間も「お役目」をつとめる。松造を嵌めた痴れ者を豪快に始末したあと内通者と向き合う惣三だが、このとき「一味」に姿を見られてしまう。
ロケ地
- 喜八親方に様子のおかしい松造を調べてくれと頼まれる惣三、大覚寺大沢池畔の船着き、小さいほう。
- 大友密会情報で九一とともに根岸へ走る惣三、大覚寺大沢池北辺並木。密会の屋敷は宝厳院山門(寺村は「根津」と発言)。潜んでいて気付かれ逃げた惣三を追って斬りつける「頭巾の武士」、北嵯峨の竹林か。大友らに促され悔しがりながら船に乗る頭巾の「ふき姫」、広沢池東岸。
- 本間兵衛を呼び出し情をもって説く寺村、仁和寺五重塔下。ここへ駆けつける惣三は御影堂前から水場脇の石段、観音堂脇の石畳でチャンバラ。寺村に斬りつけた本間が惣三に斬られ地に伏すのは九所明神拝殿脇(原作設定では惣三の介入はなし、重左が本間を呼び出すのは小石川伝通院近くの茶屋。自刃した本間の棺を根津の屋敷から芝東禅寺まで惣三たちが運ぶ次第)。
*分家用人の本間兵衛は内田勝正、重左の竹馬の友設定。松造を嵌めた前髪の冷や飯食いは森岡豊。
*女形と増上寺僧を殺った真犯人の持て余し中臈と極道者の旗本の三男坊は惣三に斬られるが、始末は「心中」に。
第3話 剣士 2008.5.2
密命に関わる探索を進める一方、お杏から頼まれ事をする惣三。どちらの件でも「剣士」との渡り合いがあり、剛剣が鞘走る。
ロケ地
- 相良藩上屋敷、妙心寺天祥院門(内外を使用、路地から門・門から路地のビューも)。
- 藩邸近くで寺村にツナギをとる惣三、妙心寺法堂(五色の幡はためき)。
- 平田源四郎と「怪しげな浪人」千代田善太夫が入ってゆく屋敷(原作設定は佃島の元商家寮)、宝厳院通用門。屋敷内での芝居はセット撮り。
- 藩邸お長屋の竈から密書を持ち出したおさいがゆく道、大覚寺放生池堤。大友が待っているのは天神島。大友と惣三が斬りあう竹林は北嵯峨か。
*お杏の友人で奉公先を辞した縫は高松あい、彼女を誑かした色悪の「弟ぎみ」は坂東工。彼についている剣客・千代田は福本清三、無外流で居合を使う設定、尺長めで見ごたえある殺陣。弟に強請られていた旗本家の殿様は峰蘭太郎。大友と通じていた出刃打ちを得意とする小者・久次は伊藤高、利用され始末される情婦・おさいは藤田佳子。
第4話 決意 2008.5.9
お役目と人助けと、どちらにも惣三の人柄を見込んだ「人々」が助けの手を差しのべる。分家方の手強い助っ人との対決が見もの、彼が修行を見ていたという秘剣が繰り出される。
ロケ地
- 役人が没収を言い渡しに来る相良の金杉家、民家門内外と母屋前。
- 金杉の婆さまと惣三の子らが身を寄せる正玄寺、龍潭寺山門前。
- 火事始末中再度出火し惣三が幼女を助ける長屋、どこかの野原での撮影か。
- 惣三の仕事場を訪ね助けて貰った礼を述べるいく、八幡掘新町浜(両岸とも使用、後段でも出てくる。画面奥に明治橋映り込み)。
- 誑し込んだ女中に手引きさせた盗っ人が入る相良藩上屋敷、妙心寺天祥院。
- しのとお参りの惣三を見かけるお杏、車折神社。惣三らは中門前、お杏は参道に。
- 賭場から逃げた久次と対決の石畳、木島神社舞殿前(夜間撮影)。
*いくは渋谷琴乃、担ぎ商いは大嘘で盗っ人だった亭主の弥助は宮下直紀。いくが昔勤めていた小間物問屋の番頭は芝本正。
第5話 標的 2008.5.30
ずっと寂しかったお杏は見え見えの芝居にほだされ、若侍と深間に落ちる。冠阿弥に頼み込まれた惣三が出張り、悪縁は断たれるが涙が残るのみ。この間、お家を狙う「敵」から寺村を守り戦いもする惣三は大忙し。
ロケ地
- 相良藩上屋敷、妙心寺天祥院。
- 惣三がお杏のデートを目撃し微笑む町角、車折神社参道。藤川がお杏をチンピラから救う仕込み芝居も同所。
- 刺客に斬られたあと夕がおで療養する寺村、直前に挿入される掘割イメージは八幡掘。
- 夕がおまで訪ねてきた冠阿弥の主、惣三にお杏の家出の件で頼みごとをするのは八幡堀明治橋下堀端。
- 藤川のことを松造とともに尋ねにゆく惣三、鳥取藩邸は妙心寺金牛院。門内外を使用。
- お杏の「男」の一件が片付いたあと、喜八が惣三と事を述懐の堀端、八幡堀新町浜。
- 夕がおで惣三が刺客を迎え討ったあと藩邸に戻る寺村、惣三が見届けて去るのは妙心寺壽聖院前塀際。
*お杏を利用し金を取ろうとした若侍・藤川は高野八誠。ふき姫を制し惣三と斬り結ぶ直心影流の剣士は天乃大介(寒月霞斬りの餌食に)。
第6話 覚悟 2008.6.6
進まぬ計画に焦れた分家方は、惣三の子をさらうという卑劣な手に出る。丹波の手勢に先んじて発った左近は行く手の敵に思いを馳せるが、惣三もまた気配を感じ覚悟を新たにする。
ロケ地
- 仕事を終え帰る惣三、夕景イメージに琵琶湖岸(陽が画面左手にあるので東岸と思われる。漁師や漁具あしらい)。
- 豊後相良・斉木丹波邸、大覚寺明智門。左近が現れるシーンには門裏側と石畳、明智陣屋玄関を内側から。
- 屋形船で惣三と放す寺村、大覚寺大沢池。
- 惣三の仕事場を見て帰りのしのと鎌吉がゆく道、車折神社参道←鎌吉が茶屋女をナンパする。
- 惣三が昼行灯ではなかったと知り大坂へ戻る米谷鎌吉、大覚寺大沢池堤。
- 子らがさらわれたあと自刃する祖母・末、不明(墓地、高台か)。
- 豊後相良・華澄城、福知山城大天守と続櫓。
- 街道をゆく左近、大覚寺遣水跡(富士山合成)。戦いに思いを馳せ型を使う惣三、天神島。
*相良藩大坂屋敷の侍だった鎌吉は町人態で「亀八」と名乗るがややこしいので鎌吉で統一。丹波と組んで抜け荷画策の摂津屋は伊藤達広。桑原は摂津屋寮に踏み込んだ惣三が「我慢ならず」斬って今回でおしまい。
*長屋のとめの亭主が頓死、思いやり深くケアする惣三が描かれて「相身互い」がキーワードに(亭主の死因は原作と異なる)。
第7話 龍虎 2008.6.13
狂奔する分家方は、遂に相良文庫そのものを奪い去る。切支丹本で本家を追い詰め、文庫を柳沢に献上し相良を手中に収める構えの丹波たち、彼らが拠る御殿山の柳沢別邸に、強力な助っ人を擁した惣三たちが決死の討ち込みをかける。そこには、丹波の思惑なぞ眼中にない憎悪の塊も待ち構えていた。
ロケ地
- 豊後相良・華澄城、福知山城大天守。藩主・高玖に呼びつけられ問責されるも言い抜けて茶室を出てくる丹波は梅宮大社神苑・池中亭(土橋を渡って出てくる丹波はロング)。
- 江戸・ふき姫屋敷、妙心寺衡梅院(方丈池の生垣越し、九一と惣三が見張る裏口は映画村のセット)。
- 九一の墓に参る惣三と寺村親子、西教寺墓地(本堂や大師堂の甍のほか、うっすら湖面映りこみ)。
- 喜八に問われ子が誘拐されたことを告白する惣三、八幡堀新町浜。
- 相良藩上屋敷、妙心寺天祥院。藩邸を出た留守居役見習・北沢の使いの前に立ちはだかりシメる惣三と鎌吉、妙心寺大庫裏脇路地。
- 元気のない惣三が物思う堀端で声をかける喜八、八幡堀明治橋たもと堀端。
- ふき姫の動向を探っていた鎌吉が旅人に江戸の方向を聞く品川の浜、琵琶湖岸松原。丹波が文庫と人質の子らを運んできた鴻池の便船は琵琶湖上。丹波らの到着を待ち構える江戸湊も琵琶湖岸、松原。船着きは映画村セット。
- 企みを回避し事終ったのち、子らを連れた惣三としのが出掛ける神社、おかめひょっとこが踊る舞殿は梅宮大社舞殿。帰り道は下鴨神社河合社脇、糺の森から左近が現れ、立ち回りは池跡で。戦いを終え帰る道は馬場。
*丹波の便船に乗り込む惣三と鎌吉、近づく小船の櫓を操る船頭は福ちゃん。
*御殿山の屋敷討ち込みのくだりは、義士討ち入りをパロったかの如くの様式で派手。丹波追い詰めと左近との対峙は燃え盛る火の中で。
*龍虎対決、左近の地摺りは円月殺法にも似て見もの。
*惣三のためお百度を踏むしののくだり、後生車あしらい(セット撮り)。倒れたしのを保護し惣三に引き渡したあと、泣き顔で帰るお杏がいじらしく可愛い。
参考文献 佐伯泰英著 密命シリーズ 祥伝社文庫
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