2008.9.28テレビ朝日/東映
キャスト
柳生十兵衛/上川隆也 出雲の阿国/内山理名 徳川家光/高橋和也 徳川忠長/石垣佑磨 左源太/寺島進 柳生茜/佐藤藍子 万/山口沙弥香 ヒラクチ/中野英雄 柳生又十郎/金児憲史 柳生左門/志村東吾 烏丸少将/佐野史郎 尾張大納言/小沢象 猿若雪之丞/津川鶇汀 フチカリ/長門裕之 三条大納言/火野正平 名古屋山三郎/高知東生 渡辺半蔵/野村将希 松平伊豆守/国広富之 土井大炊頭/原田大二郎 崇源院お江与/藤真利子 春日局/かたせ梨乃 柳生但馬守宗矩/松方弘樹
家光を将軍の座につけるため、柳生但馬守は春日局や松平伊豆とはかり秀忠暗殺・忠長追い落としを画策。そのプロセスは過酷、但馬守は我が子を二人までも亡くすが使命を完遂。しかし用心のための口封じが長男・十兵衛の激しい怒りを買い、肝心要の大事な駒はあっけなく消えてしまう。
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ロケ地
- 出雲阿国が興行を打つ江戸の神社、出雲大神宮。鳥居越しに阿国が踊る舞殿を見る。
- 家光の乱行を諌めた家臣がお手討ちになるくだり、江戸城イメージに姫路城天守を映して渡櫓にパン、別式女の試技を見ている家光のいる園地へつなげる。その庭は大覚寺遣水跡の芝地、大沢池の蓮がちらりとのぞく感じに幔幕をめぐらせ。
- オープニングのイメージ映像に化野念仏寺石仏群(灯あしらい)、保津小橋(十兵衛らしき人物が渡ってゆくシルエット、下流側から)。この二点は本編に登場せず。
- 持仏堂に安置されている秀忠の亡骸から「胃」を盗って逃げた半蔵の手の者と戦い阻止する柳生の兄弟、大覚寺有栖川河床(雷雨の夜を演出)。
- 半蔵と渡り合ったあと阿国の小屋を訪ねる十兵衛、出雲大神宮参道石畳(夜間)。
- 柳生江戸屋敷、大覚寺大門。
- 十兵衛を伴い登城する宗矩、姫路城菱の門。十兵衛は門をくぐったところで立ち止まり天守を見遣る。
- 秀忠の葬儀に嘴をはさんできた尾張と協議するため、宗矩や春日を従えお城の廊下をゆく家光、東福寺通天橋。
- 秀忠の葬儀が営まれる寺(史実では増上寺)、室内は妙顕寺(建具は蔀戸)、山門で十兵衛に柳生行きを命じる宗矩は金戒光明寺三門。
- 柳生の庄・黒谷、イメージの山なみは谷山林道からのビューか。里は酵素、固定の民家セットのほか竪穴式住居みたいなのもあしらわれている。ここは以降も何度も出てきて、河川敷や「木」、竹林や葦原に降り口、ダートなど幅広く使われる。
- 駿府城、彦根城天守遠景に富士山合成。
- 宗矩が柳生から出てきた根来衆と会うくだり、茜たちを従え馬を駆けさせる街道は大堰川堤、左源太に一族復興を約束するのは大堰川河川敷。設定は武蔵・玉川。
- 狩りの土井大炊頭を襲う柳生の兄弟、不明(砕石場様の崖下のアレ、幔幕めぐらせ)。
- 半蔵が猿若雪之丞に家光暗殺を命じるくだり、一座が興行の神社は出雲大神宮舞殿。失敗した雪之丞の死体が晒される野原は酵素か。
- 片目をなくした十兵衛が間合いの取り方に悩む竹林、北嵯峨か。
- 十兵衛と名古屋山三郎が戦うくだり、十兵衛に手裏剣が飛んでくる山道は沢ノ池ダート、以降戦闘は東岸汀から池中へ。
- 再び土井大炊頭に仕掛ける柳生の兄弟、谷山林道切通し。茜は土井を討ち果たすも半蔵の手にかかり落命。
- 京イメージ、東寺五重塔。帝に企みを上奏の烏丸少将のくだり、御所イメージに二条城唐門越し二の丸御殿車寄。
- 烏丸少将がたばかられ連れ込まれ爆殺されかかる「料亭」、不明(土井大炊頭が襲われた狩場と同所、爆破炎上があるほか、「小滝」下で傷を洗う少将と阿国が会う)。
- 三条卿の言葉尻をとらえ上洛にもってゆくくだり、家光の行列がゆく傍らで左源太に頼みごとをする宗矩、姫路城西の丸。
- 焦り忠長を焚きつける江与、駿府城イメージに彦根城天守。
- 別木庄左衛門になりすました左源太が、天野刑部ら牢人衆をハメる駿府城下の鎮守、鳥居本八幡宮。
- 家光の行列がゆく駿河まで三里の街道、瑞穂の造成地。駿府の牢人衆が襲撃をかけるも待ち伏せの兵にやられるくだりは小丘付近を効果的に使い、三条卿が崖を転がり落ちたり。
- 三条卿死亡の責を負わされハメられたことを聞かされる上洛途中の忠長、谷山林道。
- 忠長をうまく罪に落とせたとの報告を小田原城で聞く家光、イメージに本物の小田原城天守を映し、家光のいるバルコニーは東福寺通天台(家光の背後に通天橋も映り込み)。
- 駿府城に殺到する軍勢のくだり、城門は彦根城天秤櫓、父に会う十兵衛は天秤櫓下石垣際。
- 配流の忠長に会う十兵衛、高崎城イメージに伊賀上野城天守遠景。
- 烏丸少将が尾張大納言を焚きつけるくだり、名古屋城は本物の天守をイメージに。
- 大津にとどまり用を果たせと阿国に命じる少将、広沢池。船上〜東岸に上陸。
- 阿国を始末にかかる少将の下人、不明(鳥居本か、竹林の中に巨石)。
- 十兵衛と少将が決着をつける山中の滝は琴滝。滝壺周囲に石仏等あしらい。
- 黒谷の里の惨状を見たあと、怒りに震える十兵衛が立つ巌頭、保津峡落合落下岩。導入は河口汀から岩を見上げ。
- 勝ち誇り大奥を闊歩する春日局、東福寺方丈廊下。
- 首を届け城を去る十兵衛、姫路城西の丸〜好古園路地〜琵琶湖西岸汀。
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感情の方向性を判りやすくするためか、深作の映画とは設定を変えた部分もある。即ち、家光は実は春日が産んだ子であるとか、親しい一族の虐殺に加え恋人巻き添えで怒り心頭の十兵衛など。また、映画ではさほど描かれていなかった家光の性向がはっきり示されていて、首ちょんぱ仕方ないかもっていう感じに。
おじゃるが少々薄味なほか、柳生の兄弟や半蔵もあっさりめ。根来衆の左源太は乱暴な感じがなかなかハマリ。十兵衛は「サニー」と異なり暗く悩む姿が味出ててイイかも。
殺陣にワイヤーアクションが使われているが、少将はともかく山三のははずしたかも。あと、首ゴロリで切断面ちゃちいのはリアル追求されてもアレなので別にいいが、「夢でござぁる」部分の、「夢で夢で夢で」の台詞スクラッチはマズいと思う…最近ニュースなんかでも切り貼り加工やるけど、ああいうの印象操作っぽくて嫌い。
福ちゃんは駿府の牢人衆の一人で登場、鳥居本でも井尻でもけっこう目立ってた。
→ 深作欣二監督作品・1978年「柳生一族の陰謀」
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