中川信夫監督作品 1961.3.5東映 50 恋人との不本意な別れのあと、出世レースに嫌気がさし、お役にもつかず浪人暮らしの宝大吉。謀反を企む一味が不気味に蠢動するなか、将軍のお声がかりで大吉の出仕が求められるが、彼は応じず裏で動く。そしてもたらされた情報は友の野望、大吉はストレートに対決宣言をし「智恵くらべ」がはじまる。 ロケ地
宝大吉は市川御大、子分の恋の仲立ちをしたり、婀娜っぽい後家さんと火遊びもする豪放磊落なお殿様だが、己を見返った女にはけっこう冷たい←ずっとこの態度で通し、最後に沙汰を告げに来たご上使の口から「宝壱岐守」が最大級の気遣いをしたことが語られる憎い設定。宝家の用人・堀川可内は堺駿二、名前の読みは「べくない」。潜入捜査もする子分の安太郎は品川隆二、親爺の鰹節問屋は杉狂児、宝家で預かっている安太郎の恋人は花園ひろみ。質屋・江戸屋の後家・お柳は花柳小菊、大吉は腕とか足とかを担保に金を借りていて、ここの証文を貼って町を闊歩・立ち回りの際お柳に詫びてから右手使うなどコミカルな場面も演出されている。大吉の叔父で老中の小笠原対馬守は薄田研二、大吉に期待をかける好々爺・あの死に方は気の毒すぎ。大吉と心を一にして悪と戦う筆頭老中・松平讃岐守は黒川弥太郎。大吉の友なのに妹を出世の道具に使い呉れなかった小山駿河守は山村聡、妹の文(あや)は長谷川裕美子で一旦重職に嫁したが死なれ出戻っている。小山とグルの勘定奉行は安倍九州男で悪徳商人は香川良介、襲ってる途中落雷の間抜け刺客は戸上城太郎。劇中はっきり「吉宗」って言ってるのにクレジットは「将軍」な八代さまは石井一雄。 謀反の企みは大掛かりで千代田のお城を襲い将軍を殺す計画なほか、京大坂に名古屋まで同時襲撃という過激さだが詳細は描かれず、品川に武器弾薬を上げている描写くらい。その割に、大吉の灯を持てぃという呼びかけに蝋燭持った侍が大量に湧いたり、壱岐守として出仕した大吉のゆく廊下にとんでもない数の腰元とお小姓控えてて笑える。 |