必殺商売人
  1978テレ朝

キャスト
中村主水…藤田まこと
新次…梅宮辰夫  おせい…草笛光子
正八…火野正平  秀英尼…鮎川いづみ


第1話「女房妊娠 慌てる主水」1978.2.17

 元仕置人の二つのチームが出会う。とらの会解散ののち息を潜めていた主水と生業変えた正八、仕置人時代夫婦だった新次とおせい。
 地回りの政五郎が長崎で拾ってきた異人巡りコンフリクト発生、紆余曲折の末殺してしまう。異人の金太の世話焼いていた角兵衛獅子の娘、なけなしの小銭で「依頼」、金の授受場所で対峙する主水と新次。新次と揉みあい遂に双剣抜く主水の前に割って入る正八、立会いはお流れ。
 その夜屋形船に誘い込んだ政五郎を仕置する新次とおせい、一部始終を見ている主水。事後主水の前に銭投げ「分け前だ」と言って去る新次とおせい。
 ロケ地、正八の水辺のアジト、広沢池


第2話「誘拐されて女よろこぶ」1978.2.24

 偶然三ツ木屋の妾誘拐の脅迫状仲介することになる正八、主水に見せ一儲け企む。
主水は戦慄コンビと安産のお守り授かりに水天宮へ(不明)。
主水たちの行動を観察していた新次、おせいに不審の心持ち語る、広沢池。暗殺者が子供をもうける心根が理解できないと述懐。
約定の身代金授受の寛永寺鐘楼、相国寺鐘楼。主水三ツ木屋の前に立ちはだかるも手出し無用と突っぱねられ場は流れる。
監禁中の三ツ木屋妾・世間知らずのおうらは誘拐犯と親しむ。
再びの身代金要求、不忍池は大沢池、元は盗賊・野火止の藤兵ヱは誘拐犯たちを皆殺しに。翌朝、アジトの根津の灯台から汀に死体を発見する正八、その懐から抜いた金をチームに提示し仕置を示唆。新次は主水の話をストレートに信じず一応確認すべく調査に。そこで正八と共に見る藤兵ヱのもとを去ろうとしたおうらの殺害。
おうらの葬儀が執り行われる寺、参列したおうらの踊りの師匠・おせいは藤兵ヱに「野火止の藤兵ヱに殺られたかと思いましたよ」と告げる。直後襲ってくる人数を斬り捨てる主水。藤兵ヱは新次が葬儀席上を障子の向こうから笄で刺し始末、焼香の席に崩れ落ちる藤兵ヱ。
事後、釣りの新次にここでの殺生は駄目と話しかける主水、大沢池


第3話「むかし夫婦いま他人」1978.3.3

 毎年施餓鬼の善行施す上総屋、君子を説く塾の教師・佐久良平馬、各々裏の顔を持つ。妾を次々と囲う上総屋。それに女を供給する女衒・平馬、我が子を産んだ女まで使い捨てにする非道な男。平馬に騙され子と離された上殺される芸者、断腸の思いで置いてきた赤子も後を追うように死。
主水は芸者強請ろうとしていた罪悪感から珍しくフライングしターゲットを誤り「ただの助平爺」を仕置してしまう寸前に事が明らかになる。苛々して新次たちに悪態ついたことを詫びる主水に四年前の自分たちの失策語るおせい、小金目当てにやって来た小悪党と真のターゲットを間違えて殺ってしまった未だに悪夢を見る京都での苦い過去。真のターゲットの始末尋ねる主水と正八にそのままだと答える新次たちに主水は調べた佐久良の過去語る。四年前京から出て来たよく似た手口使うワル。間違えた仕置相手・花井弥十郎の名を使い亡霊仕立てで佐久良の塾の屋根から語りかける正十、その動揺ぶりから佐久良は新次たちの真のターゲットだった松原伊織と知れる。
職権乱用して塾生を退かせ場を整える主水、再び正十の作り声の花井の亡霊の声響くにキレかかる佐久良、新次とおせい二人かがりで仕置、昇華される積年の思い。
事後、奉行所に来た上総屋に芸者の一件は殺しと噂がとたかる主水、助平爺骨までしゃぶってやると嘯く、ワイルドなこの作の主水。
 ロケ地、芸者菊丸囲う上総屋の向島の寮、随心院長屋門


第4話「お上が認めた商売人」1978.3.10

 江戸城お茶所で上田公の煙管パクる高崎公松平右京亮。茶坊主高田三山が犯人として捕縛される、粟生光明寺石段。
釣りをしている新次にこれは商売になるなと話しかける主水、大覚寺放生池堤。主水は石橋の上。廃品回収して品物を縁日で売る秀英尼と正八、お忍びの松平右京亮に品物万引きされ文句言うがボコられる。右京亮の所業は次第に評判となり茶坊主たちが松平邸に火放つのではと噂立つ。おせいには元締・丑松通じ河内山宗俊から右京亮密殺の依頼。
高崎藩上屋敷(大覚寺大門)に偵察に来るおせいと新次、世評喧しく警戒厳重なのを見て忍び込むのをやめ河内山にあやかり芝居仕立てでおびき出そうと計画。正八を白塗りにしお小姓に仕立てて増上寺の大僧正のカッコで松平邸に入る新次、茶坊主たちと取り持とうと持ちかけ誘い出し家来を殺す。泡食って逃げ出す右京亮は見逃し「殿様はゆっくり死んで貰うんだ」と主水。
河内山に接触の右京亮、死んだ三山は実は大奥中揩フ愛人だったので大奥へ出向き詫び入れねばと吹き込まれる。またその中揩ヘ男好きとも付け加え教唆。
大奥へ宗俊の手引きで侵入する右京亮、待っていたのはおらんの方装ったおせい、誘惑されたまらず布団はぐると御台所が寝ている、上様の御母堂。哀れ右京亮は切腹、辞世に浅野内匠頭の辞世パクる徹底した「盗人」ぶり。
事後、宗俊からの約束の金・切餅四個がほんものの紅白の切餅というオチ。おせいと新次も加わってのギャグ珍し。


第5話「空桶で唄う女の怨みうた」1978.3.17

 三州屋に巨額の冥加金吹っかけ潰し株を取り上げ、自らその商いの後を襲い鼈甲貿易で丸儲け、と奉行に提案する筆頭与力・秋月。立ち聞いた主水は首をひそめる。
株の処分もできず商品は抜け荷り疑いありとして奉行所に封印され窮する三州屋、夫婦で首吊り。娘・おくみは新次に仇を討ちたいと申し出、苦界に身沈め仕置料工面。
仕置相手を知り奉行が殺されたとなれば南北奉行所に火盗改まで出張り四つの獄門首が並ぶことになると怖気づく主水。八丁堀が裏切ればその時は、と話しながらゆく新次とおせいの前に現われ照れ臭そうに小判見せる。
南町の宴会の席、紛れ込んだおせい、秋月を踊りに誘い新次の所へ誘導、跡の残らぬ急所ピンポイント刺し。奉行は主水が厠に誘導し濡れ手拭で窒息させ「お奉行、阿蘭陀への栄転が決まりました」。死体は汲み取り口から出し正八が箱に詰め河岸へ運び貿易船の荷に紛れさせる。奉行行方不明、秋月心臓麻痺で幕。
 宴会がモチーフの回で様々な歌が使われるが演歌スチャラカチャンと小道具・空桶の使用に加え現代風俗の映像挿入、必殺はよく遊ぶ。おまけに正八のしらけ鳥音頭+秀英尼の御詠歌アカペラ。


第6話「手折られ花は怨み花」1978.3.24

 ガキのかっぱらいの罪着せられかかる正八、ガキを追う林、広沢池東岸桜並木。捕まえ話を聞く、東岸汀(水無)。母を亡くし伊豆の猪ケ谷から父を捜して来たという。主水は行ってしまう(実は陰から見ている)が正八は荒っぽく扱いながらも世話をしてやり秀英尼に身柄を預ける。
おせいが踊りを見ていた半玉の静香、旗本の若侍・水島と心中死体で発見される。水島家は閉門に。
秀英尼に預けた紺太の様子見に来る正八、連れ出し話す、広沢池観音島(池水無)。その後遊里へ連れて行くが紺太は雑踏の中に父の姿見出し駆け寄る。父は水島家の中間、一旦逃げ去るもその後秀英尼のもとから引き取ってゆく。
その父・伊平は水島の後妻・みの(心中侍の義母)とデキていて、義理の息子殺害に加担していた。引き取った紺太が秘密を聞いてしまい殺せと命じられる。
早暁、紺太を連れ出し林の中をゆく伊平、下鴨神社糺の森。子殺しはさすがに果たせず置いて逃げてしまう。だが朝、紺太は絞殺死体となって発見される、泉川畔。顔を歪ませる主水と正八。驚愕の伊平は走り出しみののもとへ、中山邸(門・参道)。そこでみのと越後屋の密会を見てしまうが悪事でつるんでいる井本兵衛に絞め殺される。
静香がおせいに預けた扇代四両が仕置料として置かれる。ワル三人会す座敷に荒っぽく乱入の三人、井本は主水が、みのはおせいが、越後屋は新次が手に掛けるシーンを分割画面で見せる。


第7話「嘘が真実かまことが嘘か」1978.3.31

 和泉屋の若旦那に振られたと荒れる芸者・小梅が身投げする、中ノ島橋。行き合わせた渡世人が助けるがこれが上州一の大親分・大前田英五郎。
正八が茂作に大前田英五郎殺害を二百両で依頼される、広沢池畔。チームにこのことを告げる正八。各々の頭の中に「二百両」の声駆け巡る。
小梅はおせいの勧めもあり英五郎の看板信じ上州で働くべく口入屋・三ノ輪の重兵衛のもとへ、その寮の外観、新必殺からくり人三話に使用の長屋門と同じ(場所不明)。
おせいは気になると口入屋訪ね小梅の消息聞くが既に半刻前上州に発ったと言われる。確認すべく正八が走る中山道、罧原堤北嵯峨農道広沢池東岸汀(戸田渡し)。
三ノ輪の寮では雇うと騙した女たちの競りが行われる。逆らい喚きたてる小梅は見せしめに消される。その血の滴りを床下で見る正八、慌てて駆け戻り報告。新次は大前田英五郎が偽物ではないかとの疑義抱き国定忠治と偽って三ノ輪に潜り込む。戻らぬ新次に主水は奉行所の人数繰り出し三ノ輪へ押し出し、逃げ際に新次が英五郎を始末。このあと逃げ散るワルを各個撃破。
事後、汀の木にぶら下がり遊んでいる正八のもとに依頼人の茂作が渡世人のなりで現われ自分が本物の英五郎だと明かし仕事料として賭場の駒札渡す、広沢池東岸。たばかられたことを悟り正八責めるメンバー、正八は札持って賭場にゆき叩き出される。


第8話「夢売ります手折れ花」1978.4.7

 桜花のもと、深川の口入元締・柴源の駕籠に立ちはだかり傘に仕込んだ得物で鮮やかに撫で斬りにするお高祖頭巾の女・菊…これが正八の読んでる絵草紙「血雨傘朱菊仇討」のひとこま…正八、寝間で何をしているのか君は。
同じ黄表紙を読み戦々恐々の一味あり、このへんから現か否か判然としなくなってくる。奉行所でも「不埒な書物」が話題となり、主水は正八のアジトへやって来て摘発品を物色、布団の下の正八コレクションに感心しきり。お菊の黄表紙は懐に抱き守ろうとする正八。
蝮の六助を伴い汀をゆくお菊、北町与力・北岡徹之進を陥れ殺害した過去の罪状糺し誅滅。外の気配に小窓開け正八が見るのは黄表紙に描かれたのと同じ光景。現場へ走り死体確認した正八は商売人チームを召集するが死体は掻き消えていて深まる謎。ロケ地広沢池東岸
黄表紙の版元から谷中の寺に足立竜人訪ねる正八、いなされ帰る道でお菊と遭遇、びっくり正ちゃん、西寿寺(鐘楼・石段・木戸・墓地)
その後足立竜人はワル一味に突き止められ殺害、それを見て復讐に赴くお菊、正八が止めるも死んだら父母の墓にと言い置き去る。
お菊の死後、卒塔婆と菊花を持ち墓を掘る正八、土中に隠された黄表紙の続編の原稿ゲット、これを依頼料としてチームに差し出す。
灯台のアジトで始まる絵草紙作成、作った本は飛ぶように売れる。奉行所の摘発で次々火中に投じられる黄表紙、これで過去の事件は終わったと言うワルの座敷に投げ込まれる火のついた件の草紙。おせいが菊の扮装で残った三人を仕置、主水は殺到する人数を豪快に撫で斬り。


第9話「非行の黒い館は蟻地獄」1978.4.21

 悶々を抱え怪しげな岡場所・瘋癲横丁に来た主水、安女郎にフラれ同僚の神谷が阿片窟の調査に来ているのに会う。おせいは知り合いの少女・お袖が役者と怪しげな場所へ入ってゆくのを見かける。そこで遊び人の大蔵屋の若旦那に無理に阿片吸わされたお袖はショック死、死体は大川端に捨てられる、広沢池の汀。神谷同心は阿片によるものと憤激。
大蔵屋に呼び込まれる足力屋の正八、揉む相手は若旦那の幸太郎。我儘放題なのを見て手荒く扱う正八にうちのお父っつあんは奉行所にも顔利くと嘯くのにうちのお父っつあんは伝馬町に顔利くと返す。更に出て行き際このウチどこに火付けたらよく燃えるかなと捨て台詞。
神谷同心はお袖の線から役者・秀之丞を捕えるが大蔵屋から手回り釈放。おせいに頼まれ秀之丞見張る正八、阿片窟へ来たところを仲間の安女郎と共に撲殺されこれが踏み込んだ神谷の仕業とされるのを目撃。黙したまま死罪となる神谷、そのとき殺された安女郎は家出した実の娘だった。
主水は八丁堀の役宅にある娘の人形を自分の墓に埋めてくれとの遺言を受ける。人形には金が添えられていた。これをチームに差し出す主水(おせいらと主水にまだある溝が描かれる)
「市川座の正之助」(白塗りの女形ルック、アップはさすがにグロ)が若旦那を唆した虎河豚の権次を屋台に誘い出し新次が始末。大蔵屋が親子で芸者遊びの帰途、おせいが幸太郎を刺し慌てる大蔵屋は主水が神谷の恨み、と「斬首」。首は掘割にぼちゃん。


第10話「不況に新商売の倒産屋」1978.4.28

 冒頭、かつての大店の主が万引を働くなど不況の模様が描かれる。正八と主水が出資の頼母子講も取り付け騒ぎ。主催者の美濃屋は乾物屋で、金のかわりに干瓢を大量に渡されて主水にはたかれる正八。資金繰りに窮する美濃屋は資金回収に走るが出資先の回船問屋・天満屋も左前で主が雲隠れ。その夜転がり込んできた血だらけの男の瀕死の頼みが埋めた千両箱を人に渡してやってくれというもので、渡す相手の名を言い切れないまま男はがっくりうなだれる。そこへやくざ風の男たちが入ってきて死体を回収のうえ何も聞かなかったかと釘を刺してゆく。その後千両箱ほ掘りに行きこれを支払いに当てる。しかしこれが偽金、美濃屋は欠所のうえ斬首。
灯台のアジトで美濃屋の話をする正八と主水、正八は鍋で干瓢を煮てうどんの如く二杯酢でぱくぱく旨そうに食う(げろげろ)。二人は新次やおせいに内緒で天満屋を張るがすぐにバレて嫌味言われまくり。天満屋から出て来た怪しい三人組を按摩姿で尾行の正八(似合わない…)、千両箱が天満屋の活け込みなのを突き止める。主水は美濃屋の未亡人訪ね仕事の依頼させようとするが、座敷には天満屋。女房までグル。その後何食わぬ顔で美濃屋の表戸を叩き、偽金掴ませた相手が判ったと告げ女房から仕置料十両せしめる(六両をポケットに)
おせい、活け込み三人組の座敷に上がり甘言を弄し外に導く。神社の傍で待ち構えた主水が豪快に三人を連続斬り、鳥居本八幡宮。美濃屋の女房も主水が。その後天水桶に隠したヘソクリを必死で探すが正八が頂いた後。ぴゅーっと逃げる正八を追う主水で止め。


第11話「女体が舞台の弁天小僧」1978.5.5

 おせいの踊りの弟弟子・矢之介は弁天小僧気取りのチンピラ、万引きなどの悪さを繰り返し町方に引っ括られるが何故かすぐに釈放される。おせいがそのからくりを主水に問う、相国寺鐘楼。バックに呉服商の京屋、主水は正八に調査を依頼、なぜか関西弁の正八。
矢之介が赴く西光寺、尾行する正八、相国寺庫裏。そこには代参に来た大奥老女・藤尾。矢之介は藤尾への饗応として使われる。京屋と藤尾付きの侍・服部の密談を床下で聞き、畳越しに刺される正八、頭を斬られた禿げると大騒ぎ…20年後にはスキンヘッドだもんねぇ。
金づるをつかんだとはしゃぐ矢之介、おせいは京屋と手を切れと往復ビンタ。
京屋の別業を訪れる藤尾、中山邸。ワイン飲まされへろへろのうちに矢之介と過ちを犯した藤尾は京屋に脅迫され将軍家の娘が輿入れの際の支度を京屋に回せと強要される。藤尾は矢之介殺害を交換条件とする。
京屋に呼び出された矢之介と手下のチンピラが始末される、中ノ島橋下の河原。駆けつけたおせいは矢之介の死体を見て涙する、中ノ島橋上。
仕置の際のツナギと誘い込みに正八が大活躍、しかし月代はいったい…髪の毛ネタなのかな。


第12話「裏口を憎む男にない明日」1978.5.12

 南町門前に張り出される新規採用の合否、大覚寺明智門。藤堂兵馬と坂崎鹿之介の不合格を告げに来るおしの、大覚寺放生池堤
新人歓迎の宴の夜、南町の同心が襲撃に遭う。
兵馬の家に内職の仕事持ってくる新次、滝川塾で成績が下位のものが合格したことにクサっている兵馬の話を聞く。新次は同心襲撃犯が兵馬ではと疑義抱く。一方、主水は正八をのせて襲撃犯捜査を依頼。この作、新次・おせいとの微妙な空気を表現するためか、主水と正八の距離が近い(いつも灯台で寝っころがってお話)。
夜回り中の主水を見かけた兵馬と鹿之介は見くびって主水を襲うが凄腕に一発で叩きのめされ捕まりかかるところへ酔った新次が管まいて飛び込んできて兵馬たちを逃がす。
音羽の町名主・与兵ヱが筆頭与力・服部に呼ばれ不合格者リストから不審者をピックアップさせ、兵馬の名挙がる。
廃品回収の口調で呼ばわって歩く足力屋を呼び止める主水、邪魔した新次を尾けろと命。
川べりに兵馬を呼び出す新次、柊野堰堤。気付かれていたかと笑う兵馬、秘密を知ったからにはと新次に刀突きつけるが動じない。そのさまを大岩の向こうから窺う正八、ぴょこんと出した顔が可愛い。
主水と正八が灯台でシケた飯をやっているところへ新次が現われ、兵馬を見逃してやってくれと手をついて頼む。滅多に無いこと、聞いてやればと言う正八だが主水は複雑。
塾の滝川(おしのの父)、試験に不正あったなら糺さねばと合格した新人同心・久米のもとへ赴き、翌朝死体となって発見される。脇には兵馬の本が落ちている。
自分達が疑われていることを話す兵馬と鹿之介、大覚寺天神島大木の根方。主水は兵馬の家訪ね、書斎に名主の与兵ヱが入ったことを知る。
兵馬、おしのを連れ出し鹿之介もいる烏堀の樵小屋へ、下鴨神社糺の森池跡に小屋セット。見ていた久米の通報により夜に捕り方に囲まれる。木からロープ垂らし屋根の上に乗り破壊するという浅間山荘もどきが展開され三人とも殺されてしまう。
町名主邸へ服部と久米、三人で今回の仕儀と来年の試験の不正の話して高笑いするのを庭で聞いている正八「これだから馬鹿な役人増えるんだ」とぼそり。
四つの位牌を前に新次に「依頼」する兵馬の母。
おせい、与兵ヱに扇投げつけ動き封じ派手に抜刀し殺。奉行所を出た久米にあぶな絵を見せて誘い出す正八、走って逃げるのを追いかけた久米は物陰に潜む新次に殺。服部、主水のでっちあげの脅迫状見て奉行所を飛び出すところを主水に刺され殺、門にへばりついて死んでいるのが翌朝発見される。夜勤の主水は眠りこけていたフリ。


第13話「裏の稼業にまた裏稼業」1978.5.19

 桃の節句の宵の大工棟梁の小町娘殺害を皮切りに次々と三人の娘が殺され火が消えたような江戸の町。
そうした折油問屋近江屋の娘・お栄が殺されかかり、近江屋は下手人に百両の懸賞金かける。
お栄を襲ったのはおせいや新次と親交のある三味線作りの粂吉で、養父は闇の殺し屋。問い詰める新次とおせいにお栄を襲ったのは自分だが先の三件は違う他の殺し屋だと言う粂吉。彼は近江屋の息子で、身籠ったまま店を出された母が苦労の果て死んだことを恨み放埓に遊ぶお栄を狙ったのだった。
おせいは仕事を受けていた重右衛門に事の次第を報告に行くがその際同業の仙造に粂吉のことを聞かれてしまう。その後仙造は粂吉とその恋人・おいねを縊り殺した挙句殺人犯を見つけたが自害されてしまったと主張し懸賞金百両を受け取ろうとする。正八の調査の結果先の三人の娘たちを殺ったのは仙造と知れる。
仙造を誘き出す主水、広沢池東岸。稼業を問い詰めたたあと架空の仕事をでっち上げ手口を確かめる。三人を殺した手口を漏らす仙造、おせいが現われ仕掛けるが逆襲に遭い羽交い絞めになるのを主水が助勢。葦の間から覗いている正八に死体の始末命じる主水、正八はいいカッコはおまえらばかりとボヤく。


第14話「忠義を売って得を取れ!」1978.5.26

 酔って謡口ずさみ橋を渡るおせい、気配に身を潜める、中ノ島橋。直後、通りかかった侍が浪人者に襲われ懐から金を取られる。侍は川越藩勘定方・森。御用金300両を国元へ届ける途中だった。このあと森家は改易、藩邸を後にする妻子、大覚寺大門
森の妻子は中間・忠助に伴われ根津の裏長屋に。恩を返すため自分が身を粉にして働くので心配ないと申し出る忠助、感心しきりのずっと覗いていた正八。その後体調を崩した母に高麗人参が要ると医者が言い、中間は金を作ろうとして正八の案内する賭場へ行きすっからかん。詫びる忠助に身を売ると言い出す娘・小菊、大覚寺放生池堤
しかし美談は全くの偽りで、小菊が吉原へ身売りしたあと忠助は浪人と偽医者に金を分配。そのうえ娘の奉公先に不審抱いた母を刺殺。
吉原の小菊のもとへ赴き真実を告げるおせい、懐剣二振りを渡され仕置を依頼される。
浪人と偽医者を船頭のフリして誘い出す正八、中ノ島橋。現れるおせい、正八はましらの如く木にさかさかと登る。主水がおせいの前に進み出て浪人を始末。偽医者はおせいがじりじりと水路の堤を堰堤まで追い詰め刺殺、右岸側の水路にどぼーん。忠助は岡場所から旅装で出るのを別働の新次が雑踏で始末。花魁道中の小菊に目配せし仕事の決着を報告するおせい。


第15話「証人に迫る脅しの証言無用」1978.6.2

 事件師・向島のご隠居の息子・東吉の殺しを見てしまう倉田屋、一旦東吉の仕業と証言するも脅され翻す。娘を拐かされてのことだが東吉釈放後も娘は解放されず、ばかりか自身もご隠居宅の氷室に押し込められ殺されてしまう。
倉田屋の娘が監禁されるのは正八の高灯台で、正八も丸裸に剥かれ共に監禁下に置かれる。三階建ての灯台を舞台に話が進行する…このセットはシリーズ通して使われているがこの話のための構造だったんだなー。いかにも必殺らしい陰影がなかなか。
 ロケ地、向島のご隠居に呼び出され因果を含められる倉田屋、大沢池北西畔。倉田屋の娘が白昼誘拐される、放生池堤。南町から釈放されるご隠居の息子を尾行する新次、大覚寺明智門前の御殿川の中。


第16話「殺して怯えた三人の女」1978.6.9

 呉服問屋・越後屋の番頭・喜三郎は色悪で女将に娘、女中にまで手をつけ脅すという悪逆非道をかまし窮地に陥った女達は喜三郎を消すことを決意。夜、喜三郎を水辺に誘い出し無我夢中で始末、船で沖へ出て重石括りつけどぼん。この際、殺しの行われている現場へのこのこと湯の町エレジー歌いながら小便しに出てくる正八、手を洗ったあと微笑み返し(歌詞が違う・お引越しのお祝い返しはお金で欲しいなんて馬鹿な文言をキャンディーズは歌わないと思う)を歌いながらもちろん殺しには気づかず去る、広沢池東岸
このあと、越後屋に喜三郎の煙草入れが置かれたり犯行時落とした簪が置かれたり、挙句廊下に濡れた足跡がつくなど怪異続発、恐怖に怯え正気を失った娘は義母(女将、後添え)を刺し殺してしまう。これが女中と喜三郎の仕組んだ芝居で、越後屋乗っ取りが目的。
おせいは越後屋の女将から喜三郎の供養料として預かった金を仕事料として置く。
ロケ地補遺、正八に喜三郎の幽霊がと相談に来る女中、梅宮大社神苑


第17話「仕掛けの罠に仕掛けする」1978.6.16

 新次が助けた旅装の女・さちは食わせ物の盗賊・猫目の銀次の情婦、これを追う怪しの殺し屋と見えたは実父の元仕事人、おせいや新次の上方での旧知・矢造。
さちに欺かれるまま矢造を殴り倒して正体に気付きびっくりの新次はおせい宅に運び込む。事情を話しさちの始末依頼する矢造、始動するチーム。盗めに出てゆくところを仕掛ける。仲間の浪人二人は主水が豪快な殺陣でばっさり、驚き慌てる二人を新次とおせいが始末。
 ロケ地、さちを連れ江戸を案内する正八、今宮神社楼門(内側)合祀摂社前。仕事を依頼したあと入水する矢造、広沢池
*正八が連れまわす江戸の町、立ち寄った小間物屋の店先に張り紙「毛はえ薬」…そういえばいつもより頭ぐしゃってやられてる率が高い正八、よく見るとロン毛の割にはソリ部分の後退が激しい…まさかそれをからかっての演出?20年後の今見ると笑えないというかブラックというか商売人らしいというか。


第18話「殺られた主水は夢ん中」1978.6.23

 シリーズ300回記念のサービス映像が冒頭に挟まれる。運転手の正ちゃんがラブリー。
料亭・梅川の主人の葬式が行われる宗源寺、黒谷墓地。チームの各人も参列、正八は亀の形の墓の上に乗っかっている(こらこら)
残された寡婦のおようは昔新次の女だった経緯あり、おせいは正八を使って新次の動向を見張らせ、新次に焼け木杭に火がついたら二人とも生かしておかないと言う…怖い。根津の料亭・梅川は錦水亭
墓堀人夫と棺桶屋に死んだ梅川の旦那の早桶が盗まれ、脅迫状が梅川に届く。最初は取り合わないおようだが、死体の痕跡から毒殺であることが知れ更に値段吊り上げて脅される。
正八が報告したおようの一件を新次と話す主水、舟の上、広沢池。新次がおようを呼び出し話を聞く、柊野堰堤下。
死体入りの早桶持って金を受け取りに来る墓堀人夫と棺桶屋、今宮神社楼門に登って正八が見ている。仕事師を雇って金を取るが雇った連中はおよう達とつるんでいて逆に殺されてしまう、高倉下〜高倉脇の坂。坂の植え込みからひょいっと顔を出す正八、目に殺された脅迫者が落とした小判を挟んでいる。これが仕事料となる。


第19話「親にないしょの片道切符」1978.6.30

 牢から逃げた男、水の中をばしゃばしゃ逃げるが役割終わったと始末され堰下に放られる、桂川大堰。ナレーションは時代をペリー来航の少し前と告げる。
異国への憧れを憚り無く広言する加賀屋の若旦那がオロシヤへ密航させてやると騙され、捕えられたうえその親を騙し金を搾り取るワル。加賀屋は身代を潰し、挙句若旦那は用済みとばかりに殺されてしまう。正八が拾い上げてきた骸と対面した加賀屋からアイコンタクトで仕事を受ける主水。
 ロケ地、加賀屋の若旦那が主水に異国への憧れを語る、広沢池東岸。正八と秀英尼がいちゃついている向こうで加賀屋の女将がお百度を踏む、大覚寺五社明神(正八たちは宮の中)


第20話「花嫁に迫る舅の横恋慕」1978.7.7

 越後屋の主人は跡取りの嫁(養子)に言い寄るセクハラ爺。挙句これも養子の若旦那は大旦那の意を受けた囲い者の兄妹にハメられ家から出されてしまう。引き裂かれた夫婦は絶望し心中。嫁付きの下女が主水に託した金が仕事料となる。仕事料を取っていくシーンはガラスを使い下からの撮り。
 ロケ地、秀英尼が犬連れた乞食と張り合う、中ノ島橋。夫婦の心中場所の鬼子母神、不明。
 探索後腹を減らした正八の「きつねうどんにたぬきと天麩羅と竹輪と天カスと蒲鉾と卵入れて持ってきて!」の早口が傑作。しかし「たぬき」の意味するところが不明。


第21話「暴走を操る悪の大暴走」1978.7.14

 御金蔵破りの盗賊が逃亡の際囮として捕われた仲間を救出するのに若者の暴走集団を利用するという話で、若者のリーダー格・旗本の次男坊榊次郎が盗賊・雁ケ音の辰蔵と通じている。利用されていることを知らず騒ぐ若者たち、操られるまま死人が出て鎮圧に出た主水が殺したふうに仕立てられてしまう。その暴発を利用し、町方が警戒強め大番所が手薄になるのを狙い捕われた盗賊は脱獄、大金を手にしほくそえむところをチームが襲う。アジトの船底に吊るした千両箱二つは素潜り正ちゃんに切断されオシャカ、盗賊も次男坊も皆殺し。
 ロケ地、打ち毀しのあと若者たちが屯する水辺、柊野堰堤下。主水を仇と狙うおしまが突きかかる、金戒光明寺三門


第22話「殺した奴をまた殺す」1978.7.21

 無法河岸に巣食う鍼師・京極は主水らと同業の殺し屋。一度死んだ者を蘇生させる妙技を駆使し悪事を働く。これが奉行就任を狙う筆頭与力・榊原と組んで主水らを脅し奉行を密殺させようとするが返り討ちにあう。
 ロケ地、無法河岸のヌシ・蔵間が娘ともども京極に殺される天神稲荷、鳥居本八幡宮。榊原邸、中山邸(門)
*「走り役」正八、文字通り画面を縦横無尽に駆け回る「走るの商売だもん」。*京極の鍼技の「絵」がちゃちいレントゲン仕立てで笑える。


第23話「他人の不幸で荒稼ぎ」1978.7.28

 冒頭、おせいのもとへ持ち込まれる下絵師・利助からの依頼、調べの最中にもターゲットは悪事を重ね利助の孫の恋人で見習い同心の数馬が殺害されてしまう。己の言動が数馬を死に追いやる一因となった主水の殺しは凄絶「どぶ鼠、死ね」。
 ロケ地、怪しの占い師・心源坊に架空の相談持ちかけ引っ掛ける正八が帰途襲撃される、金戒光明寺三門。正ちゃん三下を下駄で殴り倒す。秋田屋の長男が死体で見つかる、金戒光明寺東参道石段。邪魔な長男を殺してあげましたよ、と秋田屋の女将が大黒屋に脅されるのを正八が見ている、参道東側の塀上。石段から降りようとして父がいるのに気付き踵返す数馬、金戒光明寺本堂前石段最上部。


第24話「罠にはまって泣く主水」1978.8.4

 回船問屋・奈良屋は荷崩れのかどで一年の所払いとなるが、病の妻を見舞いにたびたび密かに戻ってくる。これが見つかり捕縛、遠島となってしまう。奉行所もさして咎め立てせぬ件で罪に落とされた裏には女将と番頭がぐるになっての企み、長崎帰りの役人の禁制品を売り飛ばすというおまけつき。女将の連れ子で奈良屋に懐いていた娘は母の悪行を知るが、追い詰められ自死。死の間際正八に託した髪飾りが始末料となる。
 ロケ地、奈良屋が夜陰江戸入りのため舟を遣る、広沢池東岸。遠島になる奈良屋、罧原堤下河原。
*タイトルの「罠」は父を町方から隠すため娘が主水に乱暴されたと訴えるもの。以後禁足の主水。娘の遺体は正八がシップ・ベリアル…似たような葬送を何回出してる正八。


第25話「毒を食わせて店食う女」1978.8.11

 給金の出た夜、同僚を馴染みの辰巳屋に誘う主水、食あたりに。これが問題となり辰巳屋は一年の営業停止食らう。もともと体を悪くしていた主人はこの際と店を畳むことを決意、買い手を探す。「偶然」秀英尼が助けた旅の大坂商人が辰巳屋を買い取るという話になり、両替商が間に入って証文を取り交わす。しかしこれが食中毒の時点から活け込みの詐欺で関係者は証文を売り飛ばしドロン、辰巳屋は消される。秀英尼の手から仲介の礼金奪い取り正八が仕事料を置きチーム始動。
 ロケ地、辰巳屋の駕籠がゆく、中ノ島橋上。これを元板前の長次が襲い辰巳屋を刺す、中ノ島橋下手河原。駆けつけた正八は橋上から辰巳屋の死体を見る。
*「肥満体の男」としてクレジットのマキ氏の登場は足力屋の客で辰巳屋の料理に食傷ったと話す客か。


第26話(最終回)「毒牙に噛まれた商売人」1978.8.18

 勘定奉行暗殺犯としておせいが仕立てられる商売人の危機と、りつの出産がクロスオーバー、物語は終末へ収斂してゆく。
暗殺は殺し屋の大元締・蛭子屋卯兵ヱの仕掛け、北町からはどうでも犯人を差し出せとの密命が下り、殺し札が入札されおせいを犯人に仕立てることが決し江戸中の殺し屋が襲ってくるという事態に。高灯台のアジトも襲われ、元から商売人チームの正体を実は知っていた秀英尼の庵に匿われる。主水が三人に江戸を売れと告げた夜、新次は一人蛭子屋の船を水中から襲い卯兵ヱと実行犯のおりんを殺るが、汀から蛭子屋と通じていた同心の矢に射抜かれ絶命、水中に没する。その同心に「殺し屋の掟を教えてやる」と刃を沈める主水、案じ見に来たおせいに新次の死を告げる。このあと帰宅した主水を待っていたのは、産声をあげたものの夭折した赤子だった。
 ロケ地、おせいの「殺し札」のしるしの千社札が貼られる山門、金戒光明寺三門。新次が蛭子屋を襲う汀、広沢池東岸。旅立つおせいが江戸の町を見返る、愛宕神社参道入口の茶屋・平野屋前。主水の赤子の野辺送り、広沢池西岸(農地からの撮り)


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