1971 関西テレビ/松竹/松山プロダクション
キャスト
三保/八千草薫 由加/城野ゆき 千加/東三千 豊田七九郎/山形勲 吉乃/高杉早苗 白井民部/神山繁 中条四郎左/菅貫太郎 山崎勘介/石浜朗 九鬼守隆/五味竜太郎 出雲の阿国/扇千景 弥助/小坂一也 呂宋助左衛門/芦田伸介 稲/中村たつ 豊臣秀次/天田俊明 豊臣寧子/小柳久子 豊臣秀吉/大村崑 近衛信尹/江原真二郎 徳川家康/永井智雄 本多正純/高野真二 峰角蔵/峯秀一 服部半蔵/田村高廣 世津/山本陽子 佐々木小次郎/北上弥太朗 桂/藤田弓子 宮本武蔵/栗塚旭 八兵衛/加島こうじ 覚山和尚/宇佐美淳也 白石三九郎/川口恒
原作/川口松太郎 監督監修/松山善三 音楽/渡辺岳夫
第一回
九鬼の家臣・豊田七九郎の娘・三保は、生れ落ちる際母を亡くし父の慈しみを受け育つが、戦国の世の習いで身は人質として他国に運ばれる。その縁で嫁ぎ、折から天下統一成った束の間の泰平を夫と過ごすが、一人の赤子の誕生から急速に暗雲が湧き立ちはじめる。
ロケ地
- 野仏に祈る三保、旅ゆく彼女が歩む河原は大堰川か(背後に来る潜没橋が保津小橋に似る。河原は粗い礫)。
- 三保出生時の「戦国の合戦」イメージ、流れ橋(戦闘は橋下の河原、橋上を騎馬武者が駆ける)。志摩の海崖に立つ砦、不明。
- 織田方へ送られた三保、三木城攻略中の秀吉の陣地は大堰川か。
- 山崎合戦の野、饗庭か(高台)。光秀が土農に刺される竹藪、不明。戦で死んだ諸人を悼み墓に祈る三保、不明(海崖?)。
- 白井民部に嫁した三保が、婚儀を終えて帰る父を見送る門、宇治・興聖寺山門(琴坂からのビュー)。
- 生きた女を的に流鏑馬の秀次、不明(馬場か、幔幕張り巡らせ)。
- 家臣として忍びず秀次を諌めにゆく民部、随心院参道。諫言するが聞き入れられず妻を所望されてしまう縁先、嵐亭か。
- 民部宅へ殺到する秀次、随心院塔頭脇路地、拝観口。
第二回
三保の自死を止める夫、妻の腹に関白・秀次の子がいると知ったあとは血筋を残そうとはかる。そんな夫から心が離れた三保は、故郷・志摩へ向かう。
ロケ地
- 身投げしようとする三保、琴滝。
- 太閤の意を受けた三成らが秀次に関白職召し上げ・高野山へ退去を命じる玄関、随心院大玄関。
- 秀次の妻妾が処刑される三条河原、大堰川か(河原は礫)。
- 夫がつけた家来とともに京を離れる三保、広沢池東岸〜海崖の道。志摩の砦は第一回と同所。
第三回
生まれたのが忌まれる双子だったことで、三保の苦悩はいや増す。母子は三方に引き裂かれ、それぞれの道を歩む。
ロケ地
- 回国巫女の託宣で由加を流す大王崎、三保が籠る波切の砦、不明(マジ海)。
第四回
四郎左と勘介、二人の「夫」を持ち喜びの日々を送る三保だが、またぞろ戦の気配。九鬼家との戦いで男子を二人も失った豊田七九郎は、三保の生んだ孫・千加に婿をとらせ家を継がせようとはかるが、当の千加は宮本武蔵を慕って出奔。失意のうちに、七九郎はもう一人の孫・由加の生存を知らされる。
ロケ地
- 砦周辺の海辺、不明。
- 祖父に逆らって武蔵のもとへ向かう千加、出る西の城門は園部城址(園部高校門)。
- 千加がゆく野道、不明(怪しの僧と事を構える道は鈴鹿設定の模様)。
- 主筋の九鬼守隆と戦う豊田七九郎、合戦の野は流れ橋下河川敷。
- 祖父の画策する縁談を嫌って出奔した千加が馬を預ける農家、不明(萱葺)。
- 踊りを磨くため川中でトレーニングの由加、清滝か。
- 巌流島、不明(浜は砂浜、浅い汀に岩礁点在)。
第五回
武蔵を追う千加、阿国に従いて京へ上る由加、一瞬互いを見つめあうも擦れ違う。また、祖父は去った千加の代わりに由加を求める。そして由加の持つ鈴に、五三の桐が見つかる。
ロケ地
- 武蔵につきまとうも去れと冷たく突き放され、怒って斬りかかるも返り討ちに遭う千加、湖南アルプスか。
- 三保をめぐり斬り合いになる四郎左と勘助、大堰川河川敷か。
- 勘助が由加の消息を求める神社、松尾大社本殿。
- 念仏踊りの衆が京さしてゆく街道、北嵯峨農地・竹林際。
- 武蔵が家老への取り次ぎを求める北の庄の関所、不明(海崖)。
第六回
由加の存在は大御所の知るところとなり、監視が付く。一方、千加はなし崩しに武蔵についてゆき、ともに白刃の下をくぐることとなる。
ロケ地
- 服部半蔵が疋田を斬った大和の山中、不明(山腹の林?)。
- 鴨河原で踊る由加に手裏剣を放ったのち去る半蔵、大堰川河川敷か(河畔林は竹)。
- 武蔵と蒋震官の手合を告知する高札を見る千加と八兵衛、高山寺参道(石水院塀際)。
- 林で対蒋震官の訓練をする武蔵、不明。この前に千加と八兵衛が上る石段は神護寺参道石段(山門前)。
- 三保の背徳を責める父が身を投げて死ねと言い放つ波切の砦近くの海、不明。
- 蒋震官と武蔵が立ち会う東尋坊獅子ヶ浜、不明(4話の巌流島と同所、蒋が忠直卿の指南役を唐竹割りにした浜も同所)。
第七回
いよいよ大坂方への詰めをはかる大御所、そのことが人々に思わぬ出会いをもたらし、悲喜こもごものドラマが展開される。
ロケ地
- 逃げる武蔵、後に続く千加と八兵衛を叱咤する山道、御室霊場巡拝路か。三人で水浴びの滝は菩提滝。千加に稽古をつける林は高山寺参道。
- 家康のもとを辞した帰りの勘介が大坂方に襲われる浜名湖畔、琵琶湖岸(生きていた民部が現れて助ける)。
第八回
やっと出会えた阿国と助左衛門だが、またすぐに悲しく空しい別れが待っている。
そして民部は、金と銀の鈴を見ることになる。
ロケ地
- 人を刺し殺した阿国が入水するのを止める助左衛門、渡月橋(暗いので少々疑問が残るが欄干の構造は一致)。
- 大坂方の牢人衆に加わり徳川に届けられる鉄砲を奪いにかかる民部、信楽谷は谷山林道(ここで荷駄を押していた千加と出会い捕まった彼女を逃がす)。
第九回
民部が姉妹に近づくと知った三保は、二人に会うため砦を出て旅に。戦の気配に匪賊が跋扈、三保の危機を救った女武芸者は、千加が追う武蔵を一門の仇と付け狙う、吉岡一門の娘だった。
ロケ地
- 千加を連れて逃げた民部が駒を走らせる道、不明(水辺の葦原、駒をとめあれが三井寺と指す)。鐘楼が映るが三井寺のものとは異なる。
- 父のもとを辞し旅立つ三保を勘介が見送る城門、不明。
- 勘介に聞き三保を追ってくる四郎左、不明(田畔の野道と墓地)。
- 匪賊に斬られた者たちが屍をさらす野、不明。
- 武蔵が滞在する四日市の石馬寺、宇治興聖寺。女武芸者・桂が山門をくぐってやって来る。武蔵と相対するのは境内。千加も八兵衛とともにやって来るが、同じ境内かは不明。この前に千加を見かける三保のシーンがあるが、橋・河原とも不明。
第十回
京に入った三保は、世のため人のため雨乞いの踊りをと願う由加を見る。雨を乞う民衆とシンクロした由加は昼夜舞い続け、忘我の果て降雨を見るが、舞を許さなかった阿国は由加に銃を向ける。
ロケ地
- 京入りした三保、イメージの門越しの多宝塔は本法寺か。三保がゆく路地、不明(昔の鹿ヶ谷に似る)。涸れた川、木津川か。
- 荒れ果てた阿国の小屋で再会する三保と民部、闖入者との立ち回りが移動してゆく河原、不明(礫)。
- 由加が祭壇を仕立て踊る四条河原、流れ橋下河原。
第十一回
由加・千加二人の姉妹の恋が描かれる。千加は思慕を伝えた武蔵に去られ、由加は信尹と発展せぬまま横恋慕者の襲撃を受ける。
ロケ地
- 髪をとかす千加を女になったと揶揄する八兵衛、保津峡落合河口汀。桂に会ってからの武蔵の変化を語る二人、落下岩付近。
- 桂と立ち会わず去ると和尚に話す武蔵、立ち聞いて衝撃を受けた千加が駆け去るのを追う武蔵、大堰川河川敷。
- 蒋震官の弟子が応対に出た八兵衛を拉致する石馬寺の山門、宇治・興聖寺山門。八兵衛を救出に向かい大立ち回りの武蔵、大堰川河川敷(川中)。追っ手をやり過ごしたあと江戸へ向かう武蔵と八兵衛、大堰川堤か。
- 江戸へ向かう千加、不明(野道)。鈴を見て追ってくる峰たちから馬で逃げる河原は木津河原。
- 街道をゆく軍勢、谷山林道。
第十二回
一旦は一座と去るも想い断ち切れず信尹のもとに戻る由加、だが徳川と大坂の間に立ち戦を止めようとした信尹は落命。この間、姉妹は急速に接近する。
ロケ地
- 座頭の墓の前で一座を見送る信尹、流れ橋下。一座がゆく街道、北嵯峨か(竹林)。
- 大坂城攻略先発隊にいた勘介が騎馬でやって来る千加と出会う山道、不明。
- 信尹が藤堂高虎と会う妙心寺のくだり、相国寺。由加を連れやって来る信尹は方丈前、会見の座敷は方丈座敷(由加は前縁に控え、回廊脇で兵と鍛錬する千加の腰で揺れる鈴の音を聞く。座敷からは裏庭の緑ものぞく)。帰る信尹と由加は勅使門前〜大光明寺南路地へ、千加が由加を追いかけ見つめるのは湯屋脇。
- 大御所と会見する信尹、二条城イメージの櫓は本物か。
- 大御所に書かせた誓紙を携え大坂へ向かう信尹、馬をやる街道は木津堤、追っ手かかり堤法面を駆け下り河原へ、落馬して川へ落ち流れ橋下付近で斬られ。見ていた千加が飛び出し止めを阻止、人を呼び戸板に乗せ屋敷へ運び込み。
第十三回
遂に出会う姉妹だが、喜びの抱擁も束の間別れゆく。由加は高虎の言うまま伊勢へ、千加は戦場で武蔵に危ういところを救われ一夜をともにする。
ロケ地
- 由加と千加が出会う河原、大堰川河川敷。出撃する高虎に会う二人、不明(丘陵地)。
- 大坂方との戦に参加する千加、木津河原。
- 峰が高虎に由加の出自を告げる陣地、不明(丘陵地)。
- 山道をゆく由加、不明。
第十四回
何の奇縁か、偶然由加を助けた男のもとにも鈴。世を捨てて暮らす男と娘だが、鈴の因縁が服部半蔵と再会する運命を呼び寄せてしまう。
ロケ地
- 弥助が由加に無体を仕掛ける国見峠付近の神社、走田神社。
- 弥助が本多正純らを伴い馬をやる街道、北嵯峨農地・竹林際。
第十五回
千加も参加しての大坂方との戦がはじまるが、和睦の知らせに沙汰やみ。また放浪に出ようとした千加のあとを「民部」と勘介がついてゆき、とある村で「七人の侍」ばりの展開となる。そして千加は、民部と勘介の会話から事実を覚ってしまう。
ロケ地
- 牢人として「民部」も参戦している赤座道犬の陣地、不明(丘陵)。
- 戦のあと千加がゆく山道、谷山林道。
- 村へ殺到する匪賊が騎馬で走る道、不明(竹林際の地道)。
第十六回
大御所が七九郎と九鬼守隆を二条城に呼んで和解させようとするが裏あり、三保をダシに暗殺がはかられる。
ロケ地
- 押し借り牢人を斬って捨てたあと千加がゆく野原、不明(下に地道、徳川の伝令の騎馬が走る)。
- 祖父・七九郎の陣地に現れる千加、下鴨神社河合社脇(塀際)。
- 志摩へ帰り着いた三保が逍遥する海辺、波切の砦、九鬼に招かれた帰りの七九郎と三保が襲われる浜、不明。
第十七回
七九郎の死後すぐに九鬼の軍勢が襲い、砦は陥落・炎上。千加は母を責め死ねと迫るが、三保は仇を討つと拒否。四郎左の助けで砦を逃れた母子は、身を寄せた山寺で由加と合流、仇が現れるという京へ向かう。
ロケ地
- 波切の砦と周辺の海辺、不明。
- 三保と千加が身を寄せる伊勢・西山峠の山寺、西壽寺(鐘楼、石塔、本堂前)。
- 四郎左と約した京・四条大橋へやって来る三保一行(母子と勘介の四人)、流れ橋(橋上、橋下河原)。呂宋助左衛門の屋敷へ師匠を訪ねる由加がゆく道は堤、土手下に峰角蔵らがいて尾行。
第十八回
四郎左の手配で、母子と勘介は仇を討つべく「雨乞い由加」の一座として、九鬼守隆の宴席へ。しかしそれは陰陽師のはかりごとで、全員危地に追い込まれてしまう。
ロケ地
- 千加の前にも現れる刺客、不明(両側に石積の道と林間)。
- 雨乞い由の一座が招ばれてゆく九鬼守隆が逗留する住吉の宿館、相国寺回廊〜法堂基壇。回廊付近での立ち回りも。
- 四郎左が処刑される河原、大堰川河川敷(竹矢来や幔幕あしらい、三保は浅い川中に立ち四郎左の名を叫ぶ。磔刑台の四郎左の背景に消波ブロック映り込み)。
第十九回
千加の危急を救いに現れる武蔵、互いの思いを確かめ合った二人は並みの恋人のように戯れる。しかし桂の存在が影を落とし、千加は嫉妬の果て二人の距離を近づけてしまうのだった。
ロケ地
- 大入道との死闘の果て倒れこんだ千加の危機に現れる武蔵、大堰川河川敷。千加の立ち回りは浅瀬から淵、胸まで浸かって死闘を制する。
- 千加と武蔵がじゃれあう渓谷、保津峡。
- 食べ物を盗んで百姓衆にフクロにされていた八兵衛を拾う里、街道筋は北嵯峨農地竹林際、八兵衛がボコられるのは田畔。
- 八兵衛をさらい武蔵を呼び出す高札が立てられる町角、不明(寺院塀際?)。
- 桂に危地を救われた礼を述べる武蔵、宇治・興聖寺山門付近(吉岡一門の菩提寺・一心寺)。
- 斬りつける桂をかわし姿を消した武蔵が佇む水辺、広沢池観音島土橋。追いついてきた千加と桂のことで言い争いに。
- その夜桂を訪ね武蔵の行き先を告げてしまう千加、寺へ向かう坂は宇治・興聖寺琴坂。
- 大和・金剛山へ向かう武蔵、広沢池東岸並木。武蔵に追いつき、この先へ行けば桂が待ち伏せていると止める千加、高山寺金堂道石段下。千加を振り切って行った武蔵の前に現れる桂、高山寺脇参道(峰らが出て水入り)。峰らと立ち合い斬り抜けて去る武蔵、宇治・興聖寺琴坂〜石門。
- 武蔵を追う千加と八兵衛、不明(山道、山伏が出て女人禁制と阻まれる)。
第二十回
山への立ち入りをとりなした民部は、千加に家康襲撃計画への参加を持ちかける。しかし大御所の駕籠傍には服部半蔵が控え、しかも企みは全て把握されているのだった。
ロケ地
- 呑海坊らに山入りを阻止される千加、高山寺参道。
- 呑海坊が半蔵に会いに走る山道、不明(谷川沿い、砂防堰堤あり)。
- 元清正の家臣・陣内佐馬之介が鳥を撃つ山中、不明。
- 京へ向け出立する家康の駕籠、相国寺方丈前(勅使門や回廊映り込み)。
- 陣内の仲間が家康出立を知らせる狼煙をあげる野原、不明。
- 襲撃の洞ヶ峠(八幡境内とも)、不明(竹林沿いの谷地田か)。
- 半蔵に斬られた民部を連れて逃げる千加、保津峡落合落下岩(直後に呑海坊が追ってくるが二人の姿は無し)。
- 陣内と道犬の鈴を家康に渡す半蔵、不明(野原、遠景に碑)。
- 八兵衛が川から千加と民部を引き上げる渓流、清滝川下流部。今わの際に真の父のことを告白する民部、保津峡落合河口汀。
第二十一回
毒にやられた武蔵を捨て身で看病する千加、癒えた武蔵は剣を捨て千加と暮らすと決心するが、鈴を求める者どもは容赦なく襲い来る。
ロケ地
- 金剛山の山道をゆく武蔵、林道か。
- 京への道をたどる武蔵ら三人、不明(結束シリーズで頻出のアレ)。
- 呑海坊の含み針にやられる武蔵、糺の森か。
- 武蔵のため水を汲む八兵衛、落合汀。
- 病癒えたあと剣を捨てる武蔵、保津峡落合落下岩(崖下の巌に呑海坊)。
- 小屋を襲われ逃げるも峰らに囲まれてしまう河原、流れ橋下河原。
第二十二回
気を失った千加を乗せた馬は、世津のいる尼寺に辿り着く。鈴の奇縁か、残党狩りに追い立てられた三保と由加もその寺へ。そして、世津の運命の相手・半蔵が由加に消息を知らされやって来る。
ロケ地
- 千加を乗せた馬がゆく竹林、北嵯峨か。辿り着く尼寺・蓮華寺、高山寺石水院(塀際、山門)。
- 浅瀬で水を汲む由加、大堰川。河原に四郎左の塚があり、三保と勘介が花を手向ける。
- 由加が寺を出て服部半蔵に会いにゆく道、北嵯峨農地・竹林際か(ひそかに由加を護衛していた藤堂高虎の家臣・白石三九郎が出て峰らを制する。この際の映像では山道にも見える)。
- 世津に会い彼女の父を斬ったことを詫び復縁を迫る半蔵、化野念仏寺石仏群脇(峰らが人数を繰り出し殺到)。
第二十三回
三保は望みどおり大御所に会見し宿意を果たすが、大事な人を失う。殺伐はそれにとどまらず、結ばれぬ定めの恋人たちをも襲う。
ロケ地
- 峰らの前に立ちはだかる半蔵、勘介が彼らを銃で撃退する尼寺境内は化野念仏寺。
- 二条城の会見のあと衛士らに突き出される三保、随心院拝観口。勘介の亡骸もここから出される。
- 勘介の遺髪をもぎ取ってきた三九郎が出てきた世津に取り次ぎを願う尼寺の門、高山寺石水院山門。
- 由加に遺髪を渡し「男女の愛」を迫る三九郎、大堰川河川敷。
- 世津が約した鷹ヶ峰紙屋橋で「鈴を持った若侍」を待つ半蔵、犬飼川下河原橋。
第二十四回
千加の危難を救ったのは呂宋助左衛門、船が遅れ大坂への武器補給成らなかったことを悔やんでいた彼は、秀次の遺児たる姉妹に大御所暗殺を共にと持ちかける。祖父の仇、恋しい人の仇と二人は同調、家康の招きに応じるが、狸親爺は一筋縄では殺せない。
ロケ地
- 家康が戦勝の宴と称し助左を招く法金剛院、下鴨神社河合社裏手の糺の森に野点の席しつらえ(幔幕張り巡らせ)。
- 捕われて晒し者にされる助左、木津河原。国太郎が阿国を伴いやって来る橋は流れ橋。遠く見守る由加・千加らは堤上。
- 助左の爆死後、阿国入水と聞き駆けつける由加ら、大堰川河川敷。
第二十五回
大御所の意向で由加の愛は無惨に消え、漂泊の三保にも魔手が伸びる。その危難を救った武芸者は、武蔵を倒さんと燃える桂だった。
ロケ地
- 母・三保に三九郎を愛してよいか相談に来る由加、蓮華寺は高山寺石水院。
- 三九郎が藩の差し向けた手勢と戦い果てる天神の森、下鴨神社河合社裏糺の森。
- 四郎左と勘介の塚に詣でる三保、大堰川河川敷(峰が現われ三保を討とうとするが桂に斬られ)。
- 武蔵への挑戦状を立てる桂、下鴨神社河合社脇。
- 吉岡道場、随心院長屋門。
- 騎馬で武術を鍛錬する桂、下鴨神社馬場(国太郎と千加が林に潜み見る)。
第二十六回
桂と武蔵の対決が終わり、母と姉妹三人の運命の女たちは、それぞれの道へ散ってゆく。鈴は結局大御所の手には渡らず、水底にむなしく光を放つ。
ロケ地
- 所司代役人に追われ蓮華寺へ駆け込む武蔵たち、高山寺参道。寺のまわりをうろつく役人たち、石水院塀際。
- 武蔵と千加にあてられ外へ出て笛を吹く国太郎、大堰川河川敷(浅瀬のほとり)。由加が声をかけ、ともに四条河原で小屋をかけようと提案する。後段、やって来た三保と話すのも同所。
- 道場を出て決闘の場に向かう桂、随心院長屋門〜参道(供を断わり、単騎走り去る)。
- 武蔵と対決の糺の森、大堰川河川敷。河畔林を背景にした広河原で対決。
- 桂の墓に香華を手向ける武蔵、竹林は北嵯峨か。
- 旅の途足を止め由加に別れを言って来たいと言い出す千加、谷山林道。
- 由加が小屋掛けする四条河原、流れ橋下河原。娘二人を見つめる三保は橋下・橋脚の傍。武蔵と千加は船で去り、由加の呼び声に顔を背けた三保が旅ゆく河原は大堰川河川敷(石礫)。
覚書
- お話は、巡礼の三保の回想のかたちではじまり、旅立つ三保の後姿で最後を締める。とってもキレイな三保さまだが、過酷な運命に弄ばれるうち清純な妻はしたたかで奔放な女に変じて道義もかるく踏み越えてゆくのだが、過激な言葉を口にしたりもする生々しい女を演じつつ、なお他を圧して清しく美しいあたり、さすがは八千草薫。彼女をマドンナと崇める「愛の下僕」二人も圧巻、わけてもスガカンの純愛ぶりは貴重な映像。
- 激情を表現した隈取り化粧ははじめのうちだけ、いっとう怖かったのは大村崑のそれで、栗塚旭などもメイクされていた。
- 尺は通常番組より短めの約四十分。冒頭の「これまでのお話」を除くと更に短い。
- 千加は終盤近くで男装をやめるが、女のカッコになるやいきなり足弱になったりしていて笑える。衣装では、芦田伸介の天草四郎ばりエリザベスカラーが妙に似合っていて目を惹く。
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