浪花の華 緒方洪庵事件帳2009NHK土曜時代劇
(BK制作)

キャスト
緒方章/窪田正孝
左近/栗山千明
若狭/池内博之
弓月王/宮内敦士
赤穂屋/芦屋小雁
新井幸次郎/梶原善
お定/萬田久子
中天游/蟹江敬三

主題歌
「三日月」/くるり
岸田繁作詞作曲


第1話 禁書の秘密 2009.1.10

 本の虫が、謎めいた男装の麗人と出会う、起こりの話。きっかけも本、師匠に入手を命じられた医学書は、お上を憚る代物だった。

大原野神社・神輿庫

ロケ地

  • 本を買いに出る章、途中に渡る掘割の橋は八幡堀・舟橋
  • 加島屋に本の値を吊り上げられる天神さんの境内、下鴨神社河合社東方・祠はあしらいもの。加島屋の言い草に怒った章が「大坂の悪口」を呟きつつ帰る道は八幡堀堀端
  • 翌日本を貰いに行くと加島屋が殺されていてタイヘンな天神境内、下鴨神社瀬見の小川畔。
  • 加島屋が持っていた禁書の包みを持つ侍をつけてゆくと辿りつく御文庫、大原野神社神輿庫。左近と和泉屋のやりとりを盗み聞く章は祠の陰に潜む。
  • 師匠の厳命を受け、本を得るべく左近を訪ねる章、赤穂屋に教えられ赴く龍天王寺は薬師寺境内(金堂と西塔映り込み)。あの本を返してと追い縋るシーンは今宮神社東門内石橋。
  • 左近に囮にされた章が山城屋の手先に囲まれピンチの天神境内、下鴨神社河合社脇

加島屋/木下ほうか 山城屋/上杉祥三 和泉屋/石田太郎


第2話 想いびと 2009.1.17

 師匠の息子・耕介の悲恋、不器用ながら誠実な関わりかたをする章、「仲間」の力も借り鮮やかに敵を倒す左近。あまりにも哀れな魂を悼む章は、同じ思いをもって奏でられる笛の音を中空に聴く。

薬師寺

ロケ地

  • 龍天王寺、薬師寺。昼間の全景は薬師寺、舞楽は四天王寺
  • おあきが刺したとされる神職の死体が見つかる市中(原作では四天王寺付近の坂道)上賀茂神社ならの小川畔。
  • 俺が楽屋に行ったせいと落ち込む章、大覚寺大沢池北辺並木

おあき/小出早織 塩野/野田晋市 *福ちゃん弓月王のうしろにチラリ


第3話 闇の守護神 2009.1.24

 お大名と大坂商人の間に生じる齟齬。師匠の言いつけで塾生の動向を監視していた章は、そのトラブルに巻き込まれてゆき「左近殿」の正体を知ることとなる。

丹波国分寺

ロケ地

  • 偽手紙に誘き出され左近に会いに行った章が、怒られとぼとぼ帰る道で殴られて昏倒させられるのは今宮神社稲荷社裏手。
  • 章と富沢が監禁される寺、丹波国分寺。原作設定では谷町の無住の寺。

富沢/山崎裕太 川崎/中村大輝 調所広郷/団時朗 *福ちゃん在天メンバーで登場


第4話 哀しき宿命 2009.1.31

 遅れて届いたSOS、時間差が悲劇となる哀話。義憤にかられ使命に背く左近、文書解読で手を貸した章は、彼女の口から身の上を聞くことに。

萬福寺・天真院

ロケ地

  • 異国人が持っていた異国語の紙片を携え高麗屋を訪ねた章が、関白の側室・滝川を見物する龍天王寺境内、平城宮跡東院庭園(原作設定は四天王寺六時堂)。滝川を睨んでいた左近が若狭を相手にボヤく回廊は薬師寺か。
  • 章に聞いた異国人を助けるべく捜す左近、若狭が刺客で出てしまい一合斬り結ぶ夜の町角は大覚寺護摩堂前。
  • 文の内容を知った左近が章を伴い兄に会いにゆくくだり、在天楽所屋敷は黄檗山萬福寺境内塔頭・天真院
  • 左近が「異国人」を連れてきて滝川に見せるくだり、平城宮跡の前にイメージで出る龍天王寺は薬師寺
  • 異国人兄妹の直の対面がなされず終ったあと、章に己の身の上を話す左近、大覚寺天神島朱橋上。

滝川/高橋マリ子 異国人/ジョン・オコーナー


第5話 北前船始末(前編) 2009.2.7

 研鑽を積む章だが、医者として実地に出た途端のしくじりに沈むことしきり。幼い患者が快方に向かい気を取り直すところに、変事が起こる。

大覚寺・放生池堤

ロケ地

  • 水疱瘡を痘瘡かもと誤診し師の叱責を受け落ち込む章がゆく水辺、大覚寺放生池堤。痘瘡で死んだ幼馴染を思い出し涙ぐむところへ、怪我人を診てとやって来る赤穂屋のくだりでは、放生池北岸からのアングルも。

卯之助/苅谷俊介


第6話 北前船始末(後編) 2009.2.14

 身体そのものが隠し荷だった幼女、植えられた痘苗は無効にも関わらず魔手が伸び、守ろうとした左近は銃弾を浴びてしまう。

白紗村荘・問魚亭

ロケ地

  • 境屋からおゆきを取り戻しての帰り道、長州侍が強襲のくだり、下鴨神社河合社前から塀際、参道。おゆきを抱いて逃げる章は糺の森〜池跡。
  • おゆきを連れて発つ卯之助を見送る章、八幡掘明治橋下手堀端(新町浜に荷揚げ風景を演出、ちらちら映り込み)
  • 薬を携え左近を見舞う章、在天楽所屋敷は萬福寺天真院。邸内の描写は白紗村荘にスイッチ、章がくぐる門は夕佳門、弓月王が笛を吹く四阿は問魚亭。

第7話 左近を救え 2009.2.21

 在天の仕事で、またまた危険に身を晒す左近。怪我した男を診たことで左近が危地にあると知った章は、それも務めと言う「許婚者」の若狭に食ってかかる。

神泉苑・法成橋

ロケ地

  • 木綿問屋・北野屋が襲われる道、酵素ダートか。
  • お定の診療所から逃げた仙吉が隠れていた小屋、酵素民家セット(竹藪越し)
  • 左近が監禁されている播州屋の住吉寮に向かう若狭に、どうでも従いてゆくと食い下がる章、大覚寺遣水跡(大沢池北東畔)
  • 雪の夜、笛を奏でる弓月王、神泉苑法成橋。

第8話 蘭方医の戦い 2009.2.28

 江戸行きを目前にした章に降りかかる災難は、左近との間にもやっていたぎこちなさを吹き払うが、騒動の火種はまだ燻っている。

大覚寺・放生池堤

ロケ地

  • 高麗屋を訪ねるも左近に突っぱねられた章が帰りに通りかかる堀端、八幡堀・明治橋下手(右岸側)
  • 佐伯が正体を現し章を銃で脅す水辺、大覚寺放生池堤(佐伯は左近に撃たれ大沢池側にドボン)。原作設定は西横堀川・京町橋たもと、佐伯のドボンはなし。

日高/西園寺章雄 佐伯/加藤虎ノ介


第9話 明日の華 2009.3.7

 しぶとい佐伯は果たして生きていて天游先生を誘拐、助けに行った章も監禁される危機には左近殿が現われるいつものパターン。別れの予感を胸に、章は万感の思いを込め無茶をする彼女を抱きしめるのだった。

大堰川堤

ロケ地

  • 江戸へ向け旅立つ章がゆく街道、大堰川堤。堤下からの見上げと、堤上を東望のアングルで、満開の桜を演出。設定は東海道か淀川筋か。

 若き日の緒方洪庵「章」を演じた若手俳優が秀逸、「えっあっ」「あのその」「さささ左近殿」などのつっかえ気味の独特の台詞回しや、勉学に没頭し身のまわりを顧みぬさまが可笑しく可愛らしく、原作ともまた違った独自のキャラクターを現出させていて見もの。
或いはこっちが主役かもの「華」である左近殿を演じた女優は、さすがGOGO夕張というか凡ちゃんというか、あらためて言うまでもなく存在感たっぷりで、時代劇における男装の麗人としても最上の部類に入ると思う。
脇もなかなか、章の師匠筋も左近殿の係累も、渋いの一言。在天メンバーで福本清三氏がちらりと出るのも最近作お決まりの遊び心だが、上代ふう鬘を着けた福ちゃんはどこか「斬り捨て御免!」で出た怪しの中国人拳法家にも似ていて笑える。

 美術監修は西岡善信氏で、章が鼠を友に読書に没頭する思々斎塾屋根裏部屋が殊に素晴らしく、画面の陰翳も深い印象を残す。
 ロケ地については、大坂の水景として用いられた八幡堀も、お馴染みの大覚寺も味わい深いが、四天王寺のケバさを表現した「赤いとこ」にさまざまな場所が使われていて「オモロい」。

参考文献
築山桂著 緒方洪庵 浪華の事件帳 「禁書売り」「北前船始末」 双葉文庫


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