スペシャル 「一千両の大勝負」 1989.12.26
続々と江戸に集結する盗賊たち、闇に蠢く黒幕を追及してゆくと林さまなんか出てきちゃってタイヘン。しかし「組んでた」元締はホワイト系で、その後を襲わんとするブラック系がおり、その者どもを成敗するお話となる。
ロケ地
- 夜道で「鼠」と声を掛けられ手裏剣を受け負傷する次郎吉、大覚寺五社明神裏手(塀から中に逃げ込み)。
- お初に亭主が「鼠」と知っているのか聞き味方と告げるお仙、大覚寺天神島鳥居下。
- 林備前守が榊原にセリのことは忘れてくれと頼む野点の席、中山邸苔庭。
- 千両のセリが行われる谷中観応寺、露店が出ているのは粟生光明寺参道石段(門入ってすぐの下部)。御籤を求め花簪売りに渡すとセリは裏山と耳打ちのお堂、本堂前。
- 寺社方の役人が出たりしてセリに行く盗っ人を「試す」山、不明。セリが行われる小屋は崖下、不明(例のアレ)。
- 闇の元締・甚九郎邸、不明(民家ふう)。
- セリが仁吉に落ちたあと帰る夢之介と次郎吉を襲う浪人者、下鴨神社糺の森、河合社脇。
- 「試し」で捕えた盗っ人を集めておく四谷天龍寺、神光院中興堂。
- 黒幕の寺社奉行・田所能登守邸、相国寺大光明寺(門、報告を聞く能登守は方丈縁先)。
- 仁吉に林備前守暗殺を指令する善七と能登守、妙顕寺本堂前縁(お仙母子が人質として引き出されるのは東側縁先)。
- 備前守暗殺を夢之介に阻まれた仁吉が次郎吉と戦って落ちる、相国寺庫裏前。
*寺社奉行は亀石征一郎、グルの善七は四谷天龍寺の鐘役(鐘撞き料値上げを備前守に蹴られ恨む)で島田順司。
*佐藤慶大活躍、善サイドは変わりないが闇とも通じる怪しさが傑作。
第11話 「夫婦舟浮き沈み」 1990.1.9 46
河川改修工事と偽り隠し田を作る代官たち、駆り出され監禁されている民を救おうとした若き庄屋は、難を避けるため恋女房を突き放すように離縁。しかし女は夫の心変わりを信じず、江戸へ出て北町へ駆け込み。悪事はお奉行の知るところとなる。
ロケ地
- 駆け込み女・おこうの回想、祝言のあとお披露目のもみじ川の船、広沢池(前景にあざとく紅葉を一枝、かなりロングの絵も)。
- 勘定奉行を探っていて見つかった三郎三が追いかけられる水辺、広沢池東岸。
- 村へ帰る代官所役人の後を追う夢之介、不明(地道の坂など。茶店仕立ても)。
- 夢之介が乗客を楯にされ捕まる甲州笠原村の渡船、広沢池。
- 隠し田の工事現場、不明(切り立った岩場の下が原っぱのアレ。掘り抜きの小屋に百姓衆が監禁されている運び)。
- 家斉側室第六子の法事が行われる寺、イメージに金戒光明寺三門(内部はセット撮り)。
- 代官の部下と村へ急ぐ庄屋を呼び止め女房を見捨てるのかと責める三郎三、嵐山東公園か(サルスベリの大木が見える)。
- 村へ帰る庄屋夫婦、広沢池(船上)。いい村だったと三郎三に話すお奉行、広沢池東岸(釣りに来ている)。
*おこうは山本みどり、亭主の庄屋は横光克彦。黒幕の勘定奉行は西沢利明、笠原代官は中田博久で部下に有川正治や武井二三。おこうの父は阿木五郎。ラス立ち福ちゃんや小峰さん入り、小峰さん「関わりなき者は去れ」に反応し逃走・福ちゃんは逃げず斬られる。小峰さんは船で夢さんに槍突きつける役人でも登場。
第12話 「最後の賭け」 1990.1.16
悲惨を見て世を倦む者たちを使嗾し、老中暗殺を企てる悪党。未だ義憤の裡にあり道具にされたと気付かぬ「実行犯」たちの心を、機略をもって解いてゆく運び。
ロケ地
- 「三人組」が老中・松平周防守の墓参ルートの橋に爆薬を仕掛けるくだり、中ノ島橋橋脚に爆薬取り付け。橋上に捕り方が殺到、溝の中や河川敷、橋たもとでチャンバラ。
- 元砲術方の坊主の回想、秋田屋に声をかけられた神社境内(娘に無体の若様たちを阻止/見事やっつけたのとやり返されボロボロのと二種類のお芝居)、今宮神社舞殿前。
- 若者の回想、仕官の賄賂効かず自刃した父・ほどなく病死した母・売られた先で悲観し自害した妹、三人の墓標立つ丘、北嵯峨農地の小丘(木の下)。賄賂を受けなかった松平周防守邸の前に立ち尽くす彼に声をかける秋田屋、大覚寺大門。
- 「先生」の回想、幸せな遠い所へ行くと別れの挨拶に来た教え子らが一家心中して見つかる水辺、大覚寺大沢池畔。
*寺子屋の先生は長谷川明男、破戒僧は木場勝己、若者は鈴木喜勝。汚職で罷免された元若年寄は黒部進、グルの悪徳商人は中田浩二。
第13話 「幻の旅路」 1990.1.23
勘定吟味役が出自のことで強請られ、挙句それをライバルに利用されてしまう悲劇。幼い花木が実父の盗っ人と巡礼姿で旅ゆく映像はまんま「砂の器」で哀調を帯びる。
ロケ地
- 中間に脅された花木が仲間のヤクザを斬ってしまう町角、民家東塀際。
- 巡礼の親子イメージ、広沢池畔(水無し)。
- 花木邸、門は不明(塔頭ふう)。観音寺が見張る「前の道」は大覚寺参道。
- 中間が花木と鹿蔵を呼び出す船宿イメージ、錦水亭東屋。
- 巡礼姿で各地をゆく鹿蔵と幼い倅のくだり、桜の土手は広沢池か。石礫多い河原は大堰川河川敷か。倒れた鹿蔵を助けた花木(先代)、不明(一枚岩を削る滑滝)。花木の養子となった倅を見送る鹿蔵、罧原堤下河原(花木一行は船)。
*花木は清水健太郎、鹿蔵は森塚敏。
第14話 「ねの字小僧参上」 1990.1.30
「ねの字」を名乗る凶賊が横行、生き残りの幼女ははの字に保護され、やがて閉ざされた心を開いて証言するに至る。鼠小僧の偽物に心揺れる三の字をよそへやり気遣う夢さんの話、遂に三の字があの怪盗と知る平吉の話を織り交ぜてある。
ロケ地
- 鼠小僧の墓に参る平吉、不明(丘の上の墓地)。
- 平吉たちの回想、子分に形見分けをして逃がし自分は捕まった唐獅子の親分、捕り方に囲まれた船小屋と周辺の葦原は広沢池西岸。
- 三の字が大坂さして走る街道、嵐山自転車道(還路の早駕籠のシーンも同所)。
- おりんが保護した幼女を連れてゆく縁日の不動、不明(鳥居から石畳続き石段に)。
- 川崎宿手前で駕籠を降りる三の字、中ノ島橋とたもとの公園部分。
*幼女は塙紀子、凶賊のかしらは小田部通麿でグルの火盗与力は清水章吾。平吉と同じく唐獅子の子分だった男たちは、いま凶賊の手下になっている般若の刺青の男が片桐竜次、かしらの諭しに従い足を洗っていたスキンヘッドが坂田金太郎。
第15話 「若同心よ胸で泣け」 1990.2.6 52
吝嗇な富商が、欲をかいた者どもに消される事件。殺しの現場を目撃した女中は、常日頃主に虐げられており、「自分のために殺してくれた」とばかり沈黙を決め込む。凍った心を解いたのは八田同心の誠心、しかし娘はほのかな想いが募る前に自ら身を引くのだった。
ロケ地
- 目撃者のことで殺し屋とツナギを取るヤクザ、不明(巨杉の根方に祠)。
- 目撃者の女中・おぶんの日常を聞き込んできたあと、八田同心が佇む水辺、大覚寺放生池堤。店を飛び出したおぶんが座り込む林、鳥居本か(林の中に巨石)。
- おぶんの行方を夜鷹に聞き込む八田、河川敷か。
- 太田屋の葬儀が行われる寺、大覚寺大沢池木戸に幕あしらい。
- 河原にいるおぶんを発見する八田、西明寺・指月橋と清滝河原。
- ヤクザに指示され殺し屋を斬る、渡世人に化けた夢さん、大覚寺五社明神。
- はの字を出たおぶんが焼き餅の露店を出す祭礼の神社、五社明神か。
*おぶんは菊池陽子、殺し屋は清水宏でヤクザは深水三章、夢さんの仁義を受ける子分は井上茂。太田屋の後釜を狙う悪徳商人は穂積隆信でグルの牧原藩留守居役は波田久夫(扇投げられて大わらわ)。この回風間杜夫出ず(前回、幼女を長崎の親戚へ届けるべく旅に出た設定)。
第16話 「次郎吉を愛した女」 1990.2.13 52
鼠小僧に惚れ、ために足を洗った引き込み女の哀話。次郎さんの仇を討ちたいという女ごころを利用した者どもには、お奉行の鉄槌が下される。
ロケ地
- 鼠小僧の墓がある竹林、北嵯峨か。ここから帰るおさいが渡る朱橋、不明。
- おさいについて榊夢之介に報告する観音寺、大覚寺五社明神舞殿脇。
- 平吉が賊のことを聞き込む渡し場、罧原堤下河原に小屋あしらい。
- おさいのことを盗っ人の子分に聞く夢之介、大覚寺放生池畔(渡し場の親爺が池床から上がってきて平吉の消息を告げる)。
*おさいは蜷川有紀、賊のかしらは内田勝正、北町奉行失脚を目論む勘定吟味役は菅貫太郎←扇に髷やられて大わらわ。杜夫、回想シーンのカットのみでお芝居ナシ。
第17話 「父は強かった」 1990.2.20 52
八田同心の父の、「不名誉な死」の真実が明かされる話。若き同心は父の汚名を雪ぐため猪突猛進のはたらきを見せる。
ロケ地
- 八田が亡父のことを調べていると夢之介に報告するおりん、大覚寺五社明神舞殿脇(平吉と待ち合わせ設定→来ないので異変に気付く運び)。
*八田の父に盛られた毒薬を調合した医師は山本亘、黒幕の奏者番は北村総一朗で部下に唐沢民賢。八田父付きだった目明しの爺さまは内田稔、風見章子の八田婆さまも登場。
*「お家騒動で要るから」芝居で毒薬を求めるくだり、観音寺さまの持ってった百両は十両だけ本物で、あとはニセ小判という、奉行所もしんどいのよ噺。
第18話 「最後の涙」 1990.2.27
回向院から金無垢の観音像が盗まれ、寺社奉行の悪行が露見という筋立てに、亭主を盗っ人と知らずにいた女の情話がからむ。
ロケ地
- 仏像盗のアジトの小屋、罧原堤下河原にあしらい。
- 巳之吉が仏像と金を交換に指定する築山神社、鳥居本八幡宮。
- 巳之吉の遺骨を抱いて国へ帰るおよしが乗った船を見送る奉行、罧原堤下河原。
*巳之吉は三ッ木清隆、女房のおよしは友里千賀子。大火の死者を悼む仏像で丸儲けしていた寺社奉行は幸田宗丸で腹心の役人は福本清三(仏師一家皆殺しとか非道の限りを尽くすほか、鳥居本で石段落ちも披露の大活躍)。巳之吉を引き入れてエラい目に遭う盗っ人は重久剛一と石倉英彦。
第19話 「涙雨、おんな暦」 1990.3.6 52
掏摸の時効がモチーフの話で、時効までの日にちがテロップされたりする。制裁への意趣返しが、人ひとり死なしめたことに苦しむ元女掏摸。夢のダンナは、わざと時を過ごして時切れの鐘を聴く。
ロケ地
- 奉行所へ向かう途中に三上藩元江戸家老の娘が襲われる竹林、北嵯峨か。
- 牢に潜んでいた伊勢屋の手下の掏摸が斬られる林、広沢池北岸付近か。その掏摸が虫の息で語る印籠掏りの顛末、目の前でお絹に掏られた浅草観音は大覚寺心経宝塔前、露店等あしらい。
- 元江戸家老の墓、二尊院墓地。
- 「大川に身を投げたお絹」の墓、大覚寺大沢池南西畔の汀に墓標あしらい。今は華の師匠をしている元女掏摸の家、大覚寺望雲亭。
*元女掏摸は芦川よしみ、拝領の印籠を掏られ腹を切った元江戸家老は芝本正で娘は北原佐和子。印籠盗の黒幕の側用人は御木本伸介、裏で窩主買いをしている質屋は長谷川弘。
第20話 「祭り囃子が聞こえる」 1990.3.20 53
惚れぬいた亭主と、可愛い盛りの坊を一度に亡くした女は、その因をつくった外道どもをつけ狙う。愛する者とともに既にこころ黄泉路にある女、救いの手は届かなかった。
ロケ地
- はの字に現れたきのを追いかけ事情を聞く夢之介、嵐山公園中州岸(桂川堰堤脇)。
- きの宅を訪ねた帰り、彼女の身の上を夢之介に話して聞かせる平吉、中ノ島橋上。眺めやる友禅流しは桂川で、回想シーンで出るおりんときのの出会いは中州下手河川敷。ここが亭主と子が死んだ「川」設定。亭主の勤め先だった店の主の話で出る、賊と遭遇してしまった夜の橋のシーンは、中ノ島橋と「濁流」合成、さすがに動きがちょっとヘン。
- きのの回想、親子三人で行った祭礼の神社、広沢池付近か。
- きのと父子の墓、嵐山公園石積護岸際にあしらい。背景に中州と桂川映り込み。
*きのは風祭ゆき、妾に貢ぐため賊を抱きこんでいた南町与力は睦五朗、いたいけな坊を濁流に投げ込んだ賊の首領は森章二。
第21話 「お人好し」 1990.3.27 53
隠し金山から持ち出されたブツを、掠め盗った人足たち。追手にやられ落命したオヤジから、妻子に届けてと金塊を託されてしまった相棒の青年は、ばっくれて江戸を売ろうとしたが敵わぬ、「お人好し」なのだった。
ロケ地
- 両替商と江戸家老が金を盗った人足たちについてひそひそ協議する町外れの神社、大覚寺五社明神舞殿前。立ち聞きの八田が潜むのは祠裏。
- 野辺山藩江戸屋敷、西本願寺大玄関門(シルエット)。
*オヤジの妻子に金を届けようとして落命する「お人好し」は中西良太、オヤジの娘で苦界にいた女は日向明子。江戸家老は田中浩、偽小判製造も請け負うグルの両替商は森幹太。
スペシャル 「天保鬼ヶ島」 1990.4.3
工事途中で放置された埋立地はいつしかスラム化、鬼ヶ島と称される無法地帯に。しかし治安回復のため町奉行支配にとの請願はいつも幕閣に蹴られどおし、そこには天下を覆す謀反の企みが潜んでいた。
金座後藤の蔵が炎上し、三十万両の小判が忽然と消える。その行方を追ってお奉行はアイパッチつけた怪しの浪人に変装して鬼ヶ島へ、そこで後藤の娘が恋人と父の仇を討つべく潜入しているのを見る。
ロケ地
- 鬼ヶ島、琵琶湖東岸(画面右端に八幡の山なみ、その左手に沖ノ島)。今回舞台はほぼここ、葦原の水辺等西の湖か広沢池かもの場所あるが弁別不能。
- お城イメージに姫路城天守。
→ 八百八町夢日記 第一シリーズ表紙
|