1992年、フジテレビ/東映 第二シリーズ
キャスト
銭形平次/北大路欣也 お静/真野あずさ 八五郎/三波豊和 万七/伊藤四朗 清吉/山西道広 番太/林家珍平 保科源次郎/三浦浩一 菊村数馬/丹羽貞仁 並木藤兵衛/中村梅之助 笹野新三郎/神山繁
第1話 「黒衣の笛」 1992 55
黒子のなりで夜な夜な商家の屋根に出て笛を吹く「盗っ人」は、それぞれの家に意味深な記号を残してゆく。平次は入られた店のほうに訳ありと推測、因縁を解いた先には、復讐に身を捧げた哀しい魂がすすり泣いていた。
ロケ地
- 巴屋の番頭が血のついた地蔵を捨てに行く墓地、二尊院墓地(集合墓の傍)。
- 湊屋へ出入りの大工が死体で見つかる川端、嵐峡汀。
- お京の回想、親子三人出奔するところを追いつかれ父母は斬られたくだり、落合河口。父の最後の力で押し出された船に幼いお京、保津峡に流れ出たそれを、居合わせた六蔵が手繰り寄せる次第。このときの切り裂かれた女帯、血のついた地蔵、ぶっさき羽織の三点が面当ての記号に。
- 「千両博打」が開帳される湊屋向島寮、中山邸門。もちろん内部はセット撮りだが、千両箱地下へコンベア移送とか派手な趣向が見もの。
*スペシャル拡大枠
ゲスト 梶芽衣子、金田龍之介、御木本伸介、中井啓輔、浜田晃、亀石征一郎、園田裕久、早川研吉、峰蘭太郎、福本清三
第2話 「夢の中の殺人」 1992 55
死体発見現場近くで見つかる、血刀持って夢うつつの青年は被害者と因縁あり。あまりに都合のよい筋立ては、二年前にも描かれていた。
ロケ地
- 女に言い寄っていた金貸しの元手代が殺されて見つかる橋下の河原、流れ橋。左岸側、橋脚が短い部分で万七が「犯人」を見つけ。
- 「犯人」と恋仲の女に事情を聞く平次、神護寺石段下。
- 証拠の傘を持って出た菊村同心が襲われる道、二尊院紅葉の馬場。
*二年前、女の父が金貸し殺しで捕まった件、並木さまが怪しみ工作して遠島で済ませた逸話入り、梅之助渋すぎ。
ゲスト 北原佐和子、鶴田忍、鷲生功、近松麗江、頭師佳孝、小鹿番
第3話 「家元の死」 1992 55
踊りの名家の跡目争いは血塗れの物騒な展開、しかし骨肉相食むことはなく、姉弟仲良く連獅子を舞うめでたい次第に。
ロケ地
- 松蔭流家元の墓、黒谷墓地(本堂裏手)。後段、平次がおえんと話しながら帰る際には金戒光明寺本堂脇を通る。
- 山王の奉納舞、梅宮大社舞殿。
ゲスト 杉田かおる、青山裕一、三浦リカ
第4話 「消えたロウソク」 1992 55
富商が蔵で縊死、中から錠がおりていたため自死とされるが、平次は僅かな手掛かりから真実に辿り着く。その蔵は、十五年前の因縁の場所なのだった。
ロケ地
- 山形屋からの帰り、途中で消えていた蝋燭が引っ掛かると考え込む平次、上賀茂神社神事橋。橋たもとに白玉売り(?)が出ていて八五郎が買い食い。
- 千住へ向かう八五郎、嵐山自転車道。
- 聞き込みに行く西新井大師、上御霊神社本殿前。茶所を茶店に仕立て、付近に物売りがゴザを敷いている趣向・そのうちの一人が証言者に。その婆さんが八五郎を案内し事情を語るお絹の墓、不明(山際)。
- 市松とおしまが会う神社、吉田神社竹中稲荷。導入は舞殿越しに参道重ね鳥居、やって来る市松を平次たちが尾行している図。本殿前で二人が話すのを見た平次が、あれは兄妹だと発言。
- 市松の回想、山形屋に勤めていた母が亡骸で帰ってきた船着き、広沢池東岸。
ゲスト 吉野真弓、堀広道、森章二、沢井孝子、早川研吉
第5話 「二重の鍵」 1992 55
八五郎が惚れた掛茶屋の娘にはわるいヒモ、凄腕の掏摸のその青年には、世を拗ねお上を恨むに至る、かなしい因果があった。
父親の念晴らしのほかにひょんな気を起こす青年だが、温情ある措置が下される。
ロケ地
- 八五郎が惚れた、掏摸の青年の恋人の掛茶屋、神護寺境内にセット。後生車の真ん前あたりにけっこう凝ったセットが組まれ、大師堂や毘沙門堂が映り込み、石段もきれいに背景を飾る。
ゲスト 小林綾子、長谷川明男、古藤芳治、趙方豪、佐竹明夫、森章二、岡部征純
第6話 「遠い記憶」 1992 55
自暴自棄で碌でもない男に貢ぐ暮らし、その男を殺した犯人を命かけて庇う心情、全ては薄幸の女の、追憶の中の幸せに起因していた。謎解きは二段構え、欲望に魅入られた薄汚い魂が焙り出される。
ロケ地
- 酌婦のヒモが殺されて見つかる池之端、大覚寺五社明神。大沢池映り込み。
- 酌婦が万七に自首する市中、大覚寺境内・背景に心経宝塔。
- 町をゆく平次に八五郎が駆け寄り、殺されたヒモが握っていた根付の持ち主が見つかったと話す坂、金戒光明寺永運院下坂。
- 牢内での酌婦の回想、ヒモに金を渡していて「過去の男」である現・山形屋番頭(先代の令嬢と婚約中の後継予定者)とばったり出会った夜のお堂、大覚寺護摩堂。番頭と手代は石仏の方から現れる。ここは以降「邂逅の地」として何度も出てきて、旅立つ二人を見送るラストシーンには、放生池堤が街道筋として効果的に使われる。
ゲスト 余貴美子、夏夕介、小野川公三郎、荻島真一
第7話 「真夜中の客」 1992
仏と称される元目明しだが、裏には色々という情話。世間体を繕うための隔てが仇となるが、長年育んだ親子の情は切れなかった。
ロケ地
- 元目明し・下谷の仙蔵・裕太親子と平次夫婦がばったり会う祭りの境内、神護寺毘沙門堂付近に露店等多数あしらい。お蝶と情夫が来るのと帰る父子がすれ違うのは和気公廟所前、山門映り込み。
- お蝶が殺されて見つかる屋形船、広沢池東岸。設定は大川。後段、平次の聞き込みの段では、船が舫っている岸に漁師小屋があしらわれている。
- 裕太の実父がここへ捨てたと説明する神田明神、松尾大社。この神楽殿へと手を伸ばすのは本殿前の舞殿。
- お蝶が葬られた谷中の寺(無縁塚)、不明(背後に竹林、手前に低い五本線入り塀。はぐれ医者7話のアレと同じ)。
ゲスト 中丸忠雄、栗田陽子、原田清人
第8話 「幻の二万両」 1992
お殿様の良いではないか→イヤッガツンで殺したと思い込む町娘、それを庇う恋人。二人に獄門の沙汰が下るが、彼らの無実を信じる平次は牢に潜入までして謎を解く。
ロケ地
- お糸に無体をはたらく勘定方の殿様の屋敷、相国寺大光明寺。中間たちの出入りに門、開けてやった下男が殿様はお楽しみ中と言い、三人で下卑た笑い声を立てる。内部はセット撮りで、殺したとパニくるお糸を菊之助が連れて出る裏門は南通用門、二人は塀際を墓の方向へ走り去るが、そっちの方向には眩しい光が演出されている。
- 駆け通して一息つく二人、お糸の衣を置いてきてしまったと気付くのは建仁寺三門前(東西両方のアングルが出てくる)。
- 平次がお糸の話を聞きにゆく小伝馬町牢屋敷、大覚寺明智門。
- 並木さまの家へ呼ばれ、事件に裏あり・とことん探れと示唆される平次、夜に訪ねるお長屋の門は建仁寺禅居庵。
- 頬っかむりして旗本屋敷へ侵入し下男を脅して情報を取る平次のくだり、飛び越えて出てくる塀は相国寺大光明寺南塀、若党の手裏剣が飛んでくる墓地は相国寺墓地。
- 牢へ潜入した亭主を気遣いお百度を踏むお静、わら天神・六勝大神。
- お糸の衣を取ってきた菊之助がそれを放棄した井戸、妙顕寺尊神堂前の井戸。ここにはお宝が隠されていて、誘き出された悪党どもが平次に懲らされる大立ち回り場面でも出てきて、尊神堂と三菩薩堂の間に以前はあったアーチの渡廊や、両堂の境に鎮まる境内摂社・慶中大菩薩もたっぷり映り込む。
ゲスト 丹波義隆、藤奈津子、出光元、工藤堅太良、丹古母鬼馬二、五味龍太郎。岩尾正隆、玉生司朗、阿波地大輔、福本清三
第9話 「がい骨の予言」 1992 55
不敵な占い師の予言は的中し、張り込んでいた平次の面目は丸潰れ。しかし事はオカルトなど無縁な盗っ人の復讐、意外な人間関係も見えてくる。
ロケ地
- 予言騒ぎを聞いた平次が、八五郎に相模屋について質す道、大覚寺放生池堤。
- 万七らが占い師を尾行する天神境内、上御霊神社楼門〜舞殿(富突き)〜本殿裏手。
- 相模屋の娘の身代金を取りに来た「女」が当の娘に渡しに行くくだり、粟生光明寺紅葉道〜山門・石段(山門の看板はそのまま、はっきり光明寺と読める)〜本堂脇(縁下から娘が出てくる)。娘と「女」を演じていた踊りの師匠の前に平次が立つのは石段上部、娘を迎えに来た番頭の正体を暴くのもここ。
- ヤクザ仲間だった相模屋が、盗金を独り占めにするため「占い師」を突き落とした崖、谷山林道分岐道。
*タイトルの骸骨は、占いに使うアイテム。
ゲスト 菅貫太郎、高川裕也、田中浩
第10話 「まぼろしの女」 1992
成田詣での帰り、平次が遭遇した事件は怪しさ満点。そのとき消えた不義者の御側室は、亡くなったとして葬儀まで営まれるが実体は無く、住吉神社ではお百度参りに怪異が生じ、白い被衣の女が現れて八五郎をビビらせるのだった。平次の働きで悪が懲らされたあとには、愛の再生も待っていた。
ロケ地
- 成田詣での帰りの平次一家が休む松戸の茶店、神護寺境内か。守山藩の網打ち駕籠がやって来て、成田講に化けた刺客が殺到する。
- お化け百度の怪異が生じる住吉神社、社殿はセットで、参道石段は吉田神社神竜社の石段。
- 左官・瓦職人・大工の死体が見つかる河原、木津河原か(葦原と砂地)。
- 守山藩御側室の葬儀が行われる麻布・西福寺、粟生光明寺。お堂は阿弥陀堂、平次は入れず石段で眺めやる/当の御側室が現れてひと悶着もある。小坊主から情報を聞き出すのは二尊院墓地(集合墓)。西福寺から連れ去られた御側室が殺られかけるところへ平次が現れる林は神護寺林間。
- 若狭屋寮、入口は中山邸門。「番神堂」がある内部描写は芦浦観音寺境内、番神堂はあしらいもの。
- 並木さまが若狭屋の寮へ矢文を射込む切り通し、谷山林道か。
- 平次の計略で悪党を誘き出す根津・御蔵八幡宮、鳥居本八幡宮鳥居前〜広場。
- 平次が額づく、松戸の茶店で遺言を託された侍の墓、二尊院墓地。
- 住吉神社へ参ったあと、平次夫婦が通りかかる露店立つ境内、神護寺境内。犬の八五郎を構う八五郎は和気公廟所脇。
*スペシャル拡大枠
ゲスト 叶和貴子、水島かおり、加納竜、穂積隆信、青木義朗、内田勝正、福本清三
第11話 「一度死んだ女」 1992 55
何の楽しみも知らぬ気に、真っ黒になって働く女から稼ぎを毟ってゆく鬼亭主が殺され、万七は女を捕縛するが、平次の目は真実を見据えていた。
ロケ地
- 賭場の三下が殺されて浮く大川、広沢池東岸(検分シーン)。
*タイトルは心中から生き残った女のこと、死んだと思った片割れが実はという筋立てがキモ。
ゲスト 山口果林、伊吹剛、伊藤美由紀、草薙良一、うえだ峻
第12話 「長者屋敷の秘密」 1992
不自然に、めざましい手柄を立て続けに上げる若き同心には、やはり裏あり。偉そうに人を指弾する増上慢を投げ銭が叩き落とし、逃れ得ぬ証拠を暴き出す。
ロケ地
- 中野村の長者・森屋宗右衛門の家、民家長屋門と裏手塀際。導入に東側からのロングショットも。母屋はまだ萱葺き。
- 平次が推理を開陳する段で出る、甲州の温泉地でいちゃつく「小杉」と湯治に来ていたおみつ、柊野堰堤落差工下。
*温泉は甲州身延、賊で色魔なのは身延組首領の息子の殿様小僧。
ゲスト 石原良純、塚田きよみ、海津亮介、小林勝彦、石山律雄、外山高士、早川雄三
第13話 「油まみれの死体」 1992 55
油問屋の後妻の変死、疑うに足る容疑者はてんこ盛り。もちろん動機は恨み、相当な悪女だった被害者にはそれなりの過去があった。八五郎の恋を織り交ぜて描く、哀話。
ロケ地
- 女将が殺される和泉屋向島寮、中山邸通用門。
- 和泉屋の後妻に裏切られたせいで病を得て死んだ男の墓、二尊院墓地。
*タイトルは発見時の被害者の状況、死体を入れて「運んだ」油つきの麻袋が庭で見つかる。
ゲスト 五十嵐いづみ、佐野アツ子、遠藤征慈、小田薫、大竹修造
第14話 「顔のない盗賊」 1992 56
父とも仰ぎ、先方も倅だったらと言ってくれもした老目明しの死、黙っておれず掟を超え、十手を一時笹野さまに返上して乗り出す平次。故人の言葉通り、信じられない真相が明らかとなる。
ロケ地
- 黒門町の直次郎を訪ね、外で話す茶店、大覚寺天神島に茶店あしらい。よく酒肆に置かれている、煤けたおかめ人形が野外出張。
- 黒門町からの帰り、覆面の一味に襲われる平次と八五郎、大覚寺大沢池畔。
- お静が平次を散歩に連れ出す市中(ご近所設定)、今宮神社若宮社〜高倉(高倉下に茶店、床机は東側の灯篭脇に出してある)。平次にヒントを与える、鬼ごっこをして遊ぶ子らは参道石畳に。「茶店」はラストシーンにも登場。
ゲスト 南條玲子、南条弘二、橋本功、宗田比呂也、森下鉄朗
第15話 「封印の罠」 1992
代がわりした養子の殿様に煙たがられてしまう用人の爺さま、あろうことか卑劣な手段で嵌められ窮し、平次を頼る。機略と度胸で事件を解決するのはいつものこと、しがらみから逃れた気骨の人の門出を祝って終わる。並木さまの妙な話芸も傑作。
ロケ地
- 御小姓組御番頭・安倍邸、相国寺大光明寺。門のほか、幽閉されていた奥方が逃げ出す「裏門」に南通用門。ところは谷中。
- 安倍家用人の呼び出しに悪党一味が介入し、平次の代わりに行った八五郎がのされるくだり、頭巾の女がいざなう道は下鴨神社二の鳥居〜糺の森。
- 呼び出した本人の手掛かりを求めて訪ねる根岸・西方寺、金戒光明寺三門と墓地←安倍家の墓地で、墓に参ったのは用人と和尚から聞く。
- 用人を救うため並木さまに助力を求めに行く段、並木邸は建仁寺禅居庵。
- 並木さまが安倍の殿様の江戸入りを遅らせるくだり、馬を飛ばし行列の前に立つ街道は不明、背景の塀と林は暴将で玉緒ちゃんの隠宅になってたアレに似る。
- 妾と家来が平次現ると報告しにゆく、安倍家の隣家で安倍の殿様の下役の旗本屋敷、建仁寺久昌院。門のほか、方丈縁先など内部も使用・法堂甍が映り込む図も。
ゲスト 高松英郎、鈴鹿景子、小林かおり、本郷直樹、諸角憲一
第16話 「疑惑の影」 1992
お静言うところの「忠臣蔵の大石」を演っていた平次、悪党どもがボロを出すまでのすったもんだは、涙のあとに晴れ模様。
個性派俳優の泣きっ面と、御馴染み悪役の善人ぶりが見もの。
ロケ地
- 目明し殺しの現場となった土手、大覚寺大沢池堤。検分シーンのほか、回想シーンなどで何度も登場・昼も夜もあり。
- 目明しの倅と亀屋の娘が、平次に感謝しつつ行く街道、嵐山自転車道。
- 亀屋の倅と雲水(中の人は左右田一平)を会わせる亡母の塚、二尊院墓地。
ゲスト 岩本千春、左右田一平、井上昭文、冷泉公裕
第17話 「追われる男」 1992 56
主が殺され、商用の大金を預かっていた手代が失踪。直前に諍いがあったとか、血つきの衣が行李から出てきてたりとか、証拠は積みあがってゆくが、それは誰かが書いた筋書きなのだった。
ロケ地
- 平次を出し抜き、成田詣でなどと称し北千住行きの渡船に乗り込む万七、嵐峡。成田へは方向違いと八五郎に説いてみせる平次は嵐亭の生垣脇を東へ。
- 相模屋の姪・おすぎが手代の権八と逢引していた寺、常寂光寺参道石段(回想シーン交じり、仁王門ちらり)。
- もう一人の奔放なほうの姪がおすぎたちを謀って呼び出す、本所菊川町の水神の杜、鳥居本八幡宮。鳥居下から広場を使って展開。
- 事後、相模屋の二代目の話など後の経緯をお静に話す平次、今宮神社境内に茶店あしらい・拝殿や高倉脇坂が映り込む。
ゲスト 友里千賀子、辻沢杏子、河原崎建三、堀内正美、広瀬義宣、宮城幸生
→ 北大路欣也版 銭形平次 表紙
|