必殺!
III
 裏か表か
工藤栄一監督作品  1986.5.24松竹

 仕事人V激闘編がベースの、ハードアクション巨編。政、竜、壱と参に加え秀も登場のメンバーが、窮地にある主水を補佐して戦う大立ち回りが見もの。
 お話は、「金・カネ・金の世の中」を現出させる両替商たちとのバトル。
システム維持のためには人の命など屁とも思わぬ冷血どもと事を構えてしまう主水、奉行所にももちろん手は伸びており孤立無援となる。主水を抹殺しようとする動きは、遂に仕事人仲間を巻き込んだ大乱闘に至る。
主水たちと両替商組合をつなぐ糸となるキャラクターも多彩、組合側にも味のある悪役が多数出て前段にしっかりと人情の機微を描き、後段は追い込まれた主水たちの死闘のチャンバラを堪能させる小気味よいテンポ。原作の持ち味も損なわず、工藤監督のカラーが鮮明に出た傑作と言える。

ロケ地
・一斉取締りに出役の南町、門に鴻池新田会所長屋門。塀に西本願寺南塀(役者は映らないイメージカット)
・御金蔵へ金を搬入するくだり、八幡堀堀端(搬出)姫路城天守彦根城埋木舎前堀端(陸揚げ)彦根城三重櫓(御金蔵)
・清原の殺害後、真砂屋に戻るよう迫られるおこう、西の湖園地に木の舗道セット。
・主水をハメる道具に使われた娘のくだり、出会いの茶店は仁和寺塔西側にセット、墜落シーンは塔自身を用いる。
・決戦の舞台となる州、琵琶湖(水中に生える柳が印象的)
・ラスト、石段を降りてくるおこうと主水がすれ違う、粟生光明寺参道石段(上部のアップから門越しの見上げにスイッチ、かなり広角の撮り)
*秀と戯れるおこうや、船を燃やしてみせる浜辺、不明。おこうのいる「島」は隣松園と思われるが特定に至らず。

キャスト
中村主水
(藤田まこと) 獅子奮迅の大立ち回りを見せ圧巻。
(村上弘明) 隣の一家心中に怒り、主水を焚き付ける熱血漢。
(京本政樹) 攪乱を買って出るが奮戦空しく膾→写真集で復活?
(柴俊夫) 主水のピンチに颯爽と登場、激闘の末討ち死に。
(笑福亭鶴瓶) 決戦を前に惨殺され、首を誘き出しの道具にされる。
加代
(鮎川いずみ) 決戦の島で危険な走り役をつとめる。
(三田村邦彦) おこうのツバメから仕事人に立ち戻り、簪を折ってのちは刀で奮戦。
真砂屋
(伊武雅刀) 両替商組合の肝煎、闇のフィクサー。
舛屋
(成田三樹夫) 酷薄な両替商、主水とのやりとりが話の軸。
彦松
(岸辺一徳) 舛屋算盤頭、ミスを咎められ失職し一家心中。
清原英三郎
(川谷拓三) 舛屋を強請って消される同心、殺害シーンがダイナミック。
おこう
(松坂慶子) 夫・清原死後組合側の世界に戻るヒロイン。凄絶な美しさを見せる。
せん、りつ
(菅井きん、白木真理) 意外や主水を暖かく迎えるが騒がしさはいつもどおり。


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