いれずみ半太郎

マキノ雅弘監督作品  1963.2.10東映   53


 博打の借金を踏み倒し、老母を置いて江戸を売った、はんちくなチンピラの半太郎。三年を経てちっとはましな兄哥となり、金も貯まり、おっ母さんに会いに江戸へ帰ろうというとき、彼は運命の女と出会ってしまう。
息苦しいまでにねっとりと濃い情愛を、名優たちが細やかに演じた力作。

ロケ地

  • 半太郎が小田原の町を見下ろす丘、不明(あまり高そうでないピーク、町は書割)
  • 嘉十との勝負に負け、とぼとぼと街道をゆく半太郎に追いついてくるお仲、不明(マジ海沿いの道か、道端にいい感じの立ち木)
  • 平塚宿はずれ、女衒の金八たちに連行されてゆくお仲のくだり、竹林とセット併用か。
  • 神奈川宿、半太郎たちを匿ってくれる老婆の茶店、不明(谷地田の奥か)
  • 半太郎がお仲の亡骸を担ぎ歩む暁の海浜、不明(マジ海か、砂地に長く伸びる影が印象的)

 半太郎は大川橋蔵、半端なチンピラのときはぼったりと気だるげ、小田原宿で遊女を助ける段では突っ張ったアニキ、病篤いお仲を看取るくだりは鬱陶しいまでの哀調で、力量を見せつける。対する丘さとみも薄幸の女を熱演、お仲の爪を噛む癖でもうキャラクターを立たせていて見事。小田原の貸し元は進藤英太郎、鬼くさい女衒は多々良純、半太郎に騙され勝負に負ける神奈川の貸し元は徳大字伸、逃亡中の半太郎とお仲を助けてくれる幼馴染は長門裕之。身延での因縁で半太郎を付け狙う熊介は菅貫太郎、お仲を絶望させるキツい言葉を二度にわたって吐く役まわり。

★原作/長谷川伸 脚本/野上竜雄


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