佐々木康監督作品 1960.4.26東映56
キャスト
お嬢吉三/美空ひばり お坊吉三/若山富三郎 お栄/大川恵子 おとせ/円山栄子 和尚吉三/黒川弥太郎 神永備前守/坂東好太郎 畔倉一角/原健策 韋駄天の三次/花房錦一 相模屋忠兵衛/沢村宗之助 間部源之進/加賀邦男 有馬駿河守/三島雅夫 徳松/清川荘司 助十/大泉滉 権三/星十郎 矢頭錦吾/有馬宏治 駿河守配下/香月凉二
キャスティングゆえ、三人吉三は小悪党ではなく、お嬢には特殊設定がなされていて結末も黙阿弥の原作とは異なるが、ラストシーンは「大川端庚申塚の場」で締められる。
お嬢は男装しているものの、見る者が見ればすぐに女とわかる設定で目的は父母の仇討ち。他の「吉三」とは同じ女性を助けるため金の工面に走る段で出会い、事情が知れるや意気投合して義兄弟の杯を交わす運び。お嬢がたしなめた掏摸の若者の素性は、見え見えの筋立て。肝心の仇の秘密は、始末された元の仲間が死に際にべらべら喋り、三人吉三におまけもついてワルの巣に殺到、討ち果たす。そして事後、打ち揃って「三人吉三廓初買」の上演を見るが、舞台にもひばりがいて「月も朧に白魚の篝も霞む春の空…//…こいつは春から縁起がいゝわえ」。
ロケ地
- 祭文売りのお嬢と、掏摸の三次が出会う湯島天神境内、長岡天神境内に露店あしらい。背景に八条池と錦水亭の東屋。間部源之進がトラブルを起こすおとせ茶屋はセット撮り。
- 若年寄・神永備前守の意を受けて相模屋を見張っていた同心が殺されて浮く品川河口、不明(映るのは水面のみ)。
- 勘定奉行・有馬駿河守邸、仁和寺本坊表門をナメて大玄関。すぐセットに切り替わり、相模屋が抜け荷目こぼし料の「菓子箱」を渡すシーンに。
- 駕籠舁きコンビの助十と権三がおとせの難儀を知らせに走るくだり、お坊吉三がダメで和尚吉三の吉祥院へ急ぐ道筋、不明(形の不自然さからセットと思われるが、屋根の歪み具合など絶妙)。
- 水辺をゆく三次(歌入り)、広沢池東岸か。このあと夜鳴き蕎麦屋で生き別れの姉のことなど話し涙ぐみ。
- お嬢が語る昔話、父母亡き後弟と二人彷徨ったあげく別れ別れになった街道、不明(山道、棚田、神社、里を見下ろす道など)。
- 備前守に呼び出された有馬が相模屋と徳松を始末する屋形船、不明(池か川か、湛水域。護岸が見えている)。
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