花笠ふたり若衆

佐々木康監督作品  1961.5.17東映


 何やら身分を隠していそうな、若侍・小間物屋の青年二人が出会い、兄弟分ということにして渡世人に身をやつし道連れに。飯と小遣いにありつこうと入った先が、とんだ落ちぶれ一家で凹む二人。しかし、窮状を見かねていろいろ立ち回るうちに、一家をないがしろにしてシマを荒らす問屋場一派をやっつけてしまうのだった。
二人の正体については、バレバレと見せて捻りが入り、楽しい。

ロケ地

  • 川留の川(中山道)、不明(川幅広く堤は高く、流れは瀞で河原は砂地)
  • 横川関所、不明(山道。手形を失くしたお絹が道をそれて雲助にからまれるのは山肌)
  • ヤクザにからまれていた三次郎を口先三寸(大前田の若旦那だと匂わせ)で助けた源太郎、二人で一息つく茶店、不明(山上)
  • 三次郎も渡世人姿になって道中の野原、不明(田畔、遠景の浅間山は合成か)
  • 仁兵ヱ一家の窮状を助けるため、問屋場一派が開く賭場へ行く源太郎、化野念仏寺(行き帰りに映る。設定は沓掛宿・光善寺)
  • 問屋場の仙右ヱ門がサシの勝負に指定の明神河原、湖南アルプスか(裸地にぽつぽつと幼松点在)。助っ人に駆けつける途中の法印大五郎らと、大前田一家の清六がばったり出会う道、不明(溜池端)。仁兵ヱ親分が戸板に乗せられてやってくる道、不明(低い土手)
  • お絹たちを置いて去った源太郎が若侍姿でゆく、浅間の見える野道、不明。

 源太郎は北大路欣也、手品が得意という設定でかなり尺を割いてある。三次郎は松方弘樹、喉を披露する場面がたっぷり。
沓掛の仁兵ヱ一家、寝たきりの親分は高松錦之助、娘のお絹は北沢典子。子分は小助が堺駿二で大助が大前均。
小助の姉のお浅は松風利栄子、酒肆の酌婦。朋輩のお粂は花園ひろみ、「大前田英次郎」が父の仇という話が後段で出てきて、コレで殺ると銃を取り出すのが一興。
問屋場一派、仙右ヱ門は坂本好太郎、キレ者の子分・音吉は菅貫太郎、強面の用心棒は楠本健二と阿波地大輔。仁兵ヱの盃を持ったまま問屋場に出入りする、裏切者の政吉は本郷秀雄。
二人のお蔭でちょっと盛り返した仁兵ヱ一家に草鞋を脱ぐ、清水次郎長一家の法印大五郎は小田部通麿。大前田の若旦那を捜している清六は徳大寺伸。お絹にからみ名を聞いて逃げ去る雲助は南方英二ほか、源太郎にドブネズミ呼ばわりされてかんかんの掏摸は星十郎。

*大前田英次郎は腹違いの兄に義理立てして出奔、馬庭念流の御曹司は母が生さぬ仲の長子に遠慮して息子を旅に、とそれぞれ似た事情。
*お粂が仇の話を三次郎に告白したり、お絹が源太郎に逃げてと縋る場面で出る、野面セットの水車小屋がなかなかの出来で、日本人が心に描くふるさとのマトリックスモデルって感じ。


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