全39話、1969年4月5日〜12月27日 関西テレビ放送/東映
キャスト
大石内蔵助/山村聰 大石主税/三田明 赤垣源蔵/夏八木勲 磯貝十郎左衛門/林真一郎 潮田又之丞/香月凉二 大石瀬左衛門/坂口徹 大高源五/中谷一郎 岡崎八十衛門/佐藤充男 岡野金右衛門/沢本忠雄 奥田孫太夫/村居京之輔 小野寺幸衛門/汐路章 片岡源五右衛門/小池朝雄 杉野十平次/村井国夫 武林唯七/山田吾一 近松勘六/鈴木金哉 寺坂吉右衛門/高橋昌也 間新六/宮内洋 早水藤左衛門/砂塚秀夫 原惣右衛門/美川陽一郎 不破数右衛門/中村竹弥 堀部安兵衛/梅宮辰夫 堀部弥兵衛/伴淳三郎 三村次郎左衛門/松本敏男 矢頭右衛門七/小林芳宏 吉田忠左衛門/堀正夫
高田郡兵衛/長島隆一 萱野勘平/里見浩太郎 毛利小平太/天知茂
大野九郎兵衛/内田朝雄 安井彦右衛門/北原将光 藤井又左衛門/中村錦司
浅野内匠頭/松方弘樹 阿久里、瑤泉院/高田美和 戸田局/阿井美千子 お輝(瑤泉院侍女)/榊浩子 浅野大学/近藤正臣
りく/木暮実千代 八助(大石家従僕)/有馬宏治 さい(右衛門七母)/三益愛子 お幸(堀部弥兵衛息女)/御影京子 きぬ(不破数右衛門妻女)/松山容子 艶(毛利小平太妻女)/広瀬みき おかる/美空ひばり
俵星玄蕃/長門勇 おしの(俵星玄蕃妹)/大原麗子 浮橋/久保菜穂子 天野屋利兵衛/金子信雄
柳澤出羽守/河津清三郎 徳川綱吉/有馬昌彦 脇坂淡路守/岡田英次 土屋相模守(老中)/志摩靖彦 伊達左京亮/入江慎也 多門伝八郎/加藤和夫 田村右京太夫/唐沢民賢 田村家用人/海老江寛
吉良上野介/山形勲 松原多仲(吉良家用人)/遠藤辰雄 上杉綱憲/島田景一郎 小林平八郎/戸田皓久 宇都宮重兵衛(吉良方密偵)/林彰太郎 清水一角/名和宏 千坂兵部/西村晃
ナレーター/石坂浩二
音楽/渡辺岳夫
第1話 「美しき元禄の春」 1969.4.5
赤穂浅野家は、若き君主に奥方を迎え、英雄児を家臣の婿に貰い、君臣ともに春を謳歌。しかし、当の奥方をめぐって、彼らのあずかり知らぬところで暗雲が蠢きだしているのだった。
ロケ地
- 諸侯を招いて観桜の宴が催される御殿、衛士が立つ門は大覚寺勅使門。諸侯が居並ぶ宴席は相国寺方丈縁先、「浜辺」で披露される琉球舞踊は琵琶湖畔(設定は御浜御殿か、開花を早めさせたという桜の木をあしらい)。宴のざわめきをよそに見つつ叔父の釣りにつきあいボヤく安兵衛は湖岸で、葦原も見える。阿久里と内匠頭が話す茶亭や庭は不明、隣松園か。吉良や柳沢が駕籠をつけるシーンに相国寺方丈勅使門前、吉良が御殿に入ってくるシーンに回廊続きの廊下。
- 鉄砲洲の浅野家上屋敷、大覚寺明智門。
- 柳沢に招かれた阿久里が、吉良の申し出を断るくだり、屋敷門も庭も不明(門は萱葺きで軒に瓦、庭は芝地で孔雀あしらい)。
- 娘を連れてお参りの弥兵衛、御香宮本殿。決闘騒ぎを聞きつけるシーンは本殿脇の摂社の「連結」祠。
- 高田馬場、下鴨神社馬場。馬小屋があしらわれていて、立ち回りの際には河合社の塀や参道石積が映り込む。ここへ駆けつける安兵衛は相国寺林光院前などを走って、馬場南端の紅葉橋を渡ってやって来る。
- 赤穂城イメージ、二条城東南隅櫓。
- 阿久里の輿入れ行列が来る夜道、不明(塀際)。
*安兵衛の叔父・菅野六郎左衛門は清水元、若党は小峰一男。決闘相手の村上庄左衛門は小田部通麿、一党に西田良も。
脚本/結束信二、監督/倉田準二
第2話 「運命の勅使下向」 1969.4.12
吉良の差し出口のせいで勅使饗応役を仰せつかってしまう内匠頭、初手から悪意むき出しの老人に家臣一同もどんより。明らかに謀られたことを知り、キレかけた若い殿様を止めたのは、急ぎ出府した大石内蔵助だった。
ロケ地
- 江戸城イメージ、姫路城天守。
- 吉良に挨拶に出向く伊達左京亮が御坊主に案内されてゆく廊下、不明(お堂縁先)。
- 三次浅野家に勅使接待の贈答品について尋ねに出向き、急ぎ屋敷に戻る大石瀬左衛門ら、大覚寺明智門。
*吉良家用人・松原多仲は遠藤辰雄、饗庭塩が赤穂塩に押されていることを吉良に告げる。内匠頭に接待役を申し付ける老中・土居相模守は志摩靖彦。院使接待役のほうを仰せつかる伊達左京亮は入江慎也。玄蕃の妹・おきぬは安兵衛の口利きで浅野家へ奉公に。
脚本/結束信二、監督/倉田準二
第3話 「忍耐の七日間」 1969.4.19
本番を迎え、吉良の嫌がらせはますます募り、嫌味や待ちぼうけは序の口。言う通りに用意した衝立にケチをつけ、ほれほれと内匠頭を嬲る。果ては間に合うはずも無い大量の畳替えを強いられるが、殿様思いの浅野家中は必死に駆けずり回るのだった。
ロケ地
- 鉄砲洲浅野家上屋敷、大覚寺明智門。
- 待ちぼうけを食わされている内匠頭に、更に待てとの吉良の伝言を伝えに行く小坊主が走る御廊下、不明(2話と同所か、お堂縁先・格子の破風が見える)。
- 勅使を迎える日、藩士一同に訓示を垂れる片岡源五右衛門、不明(神社か)。
- 伝奏屋敷、西本願寺大玄関門。扉が開いて、浅野家の侍たちが水など撒き饗応の準備を行うシーン。
- 品川付近を通過する勅使一行、琵琶湖畔・流入河川の河口に架かる橋(特定不能、けっこう大きな木橋で「右岸」の先には灯台。橋は、おそらく現存せず)。これを伝えに走る藩士が馬を駆る道は不明、林の脇か。
- 伝奏屋敷を検分に来て衝立にケチをつける吉良、西本願寺大玄関の式台。替えの品を取りに走る片岡らが走る廊下は不明、城中のシーンと同所か。ここでは向かいの廊下から手すり越しのアングル。
- 登城する勅使一行、二条城東大手門(内側)〜本丸西虎口。
- 伊達家の畳替えを目撃する侍女たちのくだり、宿舎門は大覚寺大門。おきぬと朋輩、玄蕃は「対岸」から見る次第。
- 夜を徹しての畳替えが行われている最中、外で待つ玄蕃は相国寺回廊脇。夜が明けて内匠頭が単騎やって来るシーンでは法堂なども映り込む。その馬の口を取り酒を呑む玄蕃の背後に庫裏。
*安兵衛に難事を持ち込まれる畳屋の呑んべ親爺は河上一夫、後の話にもしばしば登場。吉良と同役の高家・畠山は市川男女之助←「内匠頭待ちぼうけ」の間の碁の相手など。
脚本/結束信二、監督/倉田準二
第4話 「刃傷松の廊下」 1969.4.26
大礼中の大礼である勅使奉答の日、誰もかれもが「今日一日を無事に」と願うが、満座の中で恥をかかせようと吉良が待ち構えている。幾度も衝動を抑えひたすら耐える内匠頭だが、悪意は度を越していた。
ロケ地
- 登城する内匠頭の行列、二条城二の丸御殿塀際(外側、太い狭間が見える)。
- 勅使が入ってくる門、仁和寺勅使門(内側の南庭白州に敷布、背景に来るはずの二王門は消したのか見えず、本坊表門の破風は映っている)。
- 田村家へお預けとなった内匠頭の駕籠がゆく道、仁和寺裏塀際(境外)。
- 主無き駕籠が帰り着く鉄砲洲の屋敷、大覚寺明智門(門内外)。
*内匠頭の処分について、吉良主従はしてやったりと高笑い。処分については、柳沢が将軍に「進言」、検視役も柳沢の意を受ける設定。田村家の親切な用人が会わせてくれる家来は源五ともう一人、お小姓に身をやつした女性。あと、御衣装違いについては奥方が萱野に烏帽子大紋を持たせて寄越す運び。
*多門伝八郎は加藤和夫、他作品と大差なく人情家。田村右京太夫は唐沢民賢、田村家用人は海老江寛。検視役の荘田下総守は内田稔、綱吉は有馬昌彦。
脚本/結束信二、監督/松村昌治
第5話 「赤穂の大評定」 1969.5.3
凶報に接し、いきり立つ若者あれば逃げ腰の年寄りもあり。茫洋たる大石の態度は、志堅き者を見極めるための「篩」なのだった。
ロケ地
- 第一の早(早水と萱野)が駆ける道、富士山合成の土手〜川堤らしき畷〜琵琶湖岸〜罧原堤に似た土手〜彦根城佐和口多門櫓前アプローチの土橋。大石邸、不明(前にステップ付きの門屋?)。
- 呼ばれて大石邸へ赴く吉田忠左衛門を呼びとめ、事情を聞く寺坂吉右衛門、金戒光明寺長安院下坂。
- 総登城の触れで集まってくる藩士たち、赤穂城天守は彦根城天守、藩士らが入ってゆく門は彦根城天秤櫓、不破が寺坂に何事と問う城下は広隆寺塀際か。
- 城内の動きを察した不破が槍持って駆けつける堀端、彦根城佐和口多門櫓を望む堀端、いろは松越しに北望。
- 城を下がってくる大石父子に籠城参加を願う右衛門七、知恩院黒門道。覚悟のほどを見た大石が許可を与えると、評定の席にいた安兵衛らが坂の上から見ていて駆け寄り、坂下から籠城志願の藩士たちが殺到する次第。
脚本/結束信二、監督/松村昌治
第6話 「涙の城あけ渡し」 1969.5.10
切腹嘆願か、城を枕に討ち死にか決せぬまま日は過ぎ、ぽつぽつと欠けてゆく人数。殉死の布告に拍子抜けはしたものの、決然と死ぬ覚悟で集まった烈士たちに、大石はようやく真の存念を吐き出す。
ロケ地
- 城下へ入り込んだスパイたちがツナギをとる神社(?)、宗忠神社拝殿脇。毛利小平太が通りかかり、隠密どもは散開。
- 婚約者を訪ねる毛利、金戒光明寺瑞泉院門。医師・矢島玄庵宅。
- 収城使の軍勢が来る道、不明(山道でモブ)。
- 不破が入城を拒まれる城門、彦根城天秤櫓。断られた不破は橋上にどっかと居座り、後段では腹切りかけてるところへお呼びがかかる運び。
- 夜、大石邸へ忍び込もうとした公儀隠密が不破に阻まれるくだり、金戒光明寺東坂下。「忍び」が取り付いていた塀は金光院北塀、立ち回りは坂下の石畳で。
- 最後に残った52名が登城する日のお城イメージ、彦根城天守。
- 収城使が入る城門、セットか(赤穂城本丸表門に形は似る)。
- 城下を去ってゆく諸士のくだり、それぞれお城を見返るシーンは琵琶湖岸、彦根城外濠端など。大石瀬左衛門らが原惣右衛門夫妻と別れる道(道隈)、吉田忠左衛門と寺坂がゆく道(竹林際)、北嵯峨農地。毛利小平太と新妻がゆく道、広沢池西岸沿いの道、観音島が映り込んでいる。足もとは地道の模様。八助と城を下がってくる大石、彦根城大手橋。
脚本/結束信二、監督/松村昌治
第7話 「瑤泉院とその侍女」 1969.5.17
赤穂開城後、江戸でのエピソード。瑤泉院と家臣は泣く泣く別れ、それぞれ諸方に落ち着く一方、吉良方では上杉の江戸家老が早や警戒をはじめていた。
ロケ地
- 赤穂浅野家江戸上屋敷、大覚寺大門。
- 瑤泉院が引き取られる三次浅野家、知恩院北門。青山の高台設定で、庭へ出た瑤泉院が泉岳寺方面を遥拝するシーンが出てくる。その庭は池泉、不明(池の向うに大刈込たくさんな築山、阪口か)。
- 上杉邸、随心院薬医門(夜景、門は閉まっている)。
- 上杉家江戸家老・千坂兵部が隠密に指令を与える夜道、相国寺鐘楼裏手碑付近(鐘楼は映らず、碑の囲いと開山塔庭園南塀が映り込む)。
- 大学に会いに行くおしの、閉門中の屋敷門は勧修寺山門(狭間の脇に御高祖頭巾のおしのが立つ)。大学と話す庭は不明、建物の縁先越しに遣水の芝地。大学邸は木挽町の拝領屋敷か、設定は語られず。
- 呉服橋吉良邸、京都御所管理事務所長屋門。内部表現は不明(門の内側、内側の塀、吉良が出てくる建物など)。場面は、出向いてきた千坂兵部が吉良家用人に守りを固めるよう指示を出すくだり。
- お輝がおしのの文を玄蕃に届けに行く夜道、大覚寺参道石橋〜参道(御殿川映り込み、奴に身をやつした千坂兵部の手下がつけてくる)。その帰り道、隠密を斬り捨てる玄蕃のシーンは不明(板塀から続きの築地塀、剥落顕著)。
- 瑤泉院に暇乞いをしてきたおしのが行く路地、勧修寺参道(南望)。
*俵星玄蕃に斬られる、千坂兵部の密偵は香月凉二。首吊りの出た部屋を堀部弥兵衛に値切られて苦りきる大家は天王寺虎之助、この間の町衆で畳屋伝蔵や酒肆親爺の源八郎も再登場。
脚本/西沢裕子、監督/井沢雅彦
第8話 「吉良邸潜入」 1969.5.24
ある者は怪しまれて捕まり、ある者は雇われて、はたまた連れ込まれて吉良邸へ。成果はフライング同志救出と屋敷移り情報ゲットで地味だが、「呉服橋」吉良邸への潜入エピソードは珍しくて面白い。スケベな用人に懐かれているおしのは残留。
ロケ地
- 毛利小平太が伊達浪人から名を買う「材木置場」、三条通にあったアレか。
- 上杉邸、随心院薬医門。
- 密偵の達吉が千坂のもとへ走る夜道、不明(塀際)。
- 露見して逃げる毛利が妻とともに出る裏門、不明(セットか)。同志が用意してくれていた船で逃げる毛利夫婦、嵐山公園中州掘割。
*毛利が名を買う伊達浪人・高島十兵衛は土方弘、彼から聞いた情報を仔細に述べすぎてバレるのが傑作。密偵、伝馬の達吉は堀田真三。吉良方の侍に宮口二朗、丘路千など。
脚本/宮川一郎、監督/井沢雅彦
第9話 「おかると勘平」 1969.5.31
お家の大変は、芽生えかけていた、ささやかな愛も摘み取る。恋人に去られてしまった女に、運命は更なる仕打ちを加えてゆく。
ロケ地
- 京紫野大徳寺に立てられた内匠頭の供養塔、宝塔寺墓地か(丈の低い壁で仕切られ、傾斜地に立つ。設定は大徳寺塔頭の「瑞光院」)。
- 一力の女将が参拝に出て喜久治を見かける神社、八坂神社(拝殿や境内。設定は語られていないが、おそらく祇園さん)。
- おかるが働く茶店がある伏見稲荷、参道鳥居は不明、おかるが水桶を担いで奥の院へ上がってゆくくだりは本物の伏見稲荷境内の石段と千本鳥居、鳥居のシーンで吉田神社竹中稲荷参道重ね鳥居にスイッチし、以降竹中稲荷の舞殿や奥社、三高碑への石段が使われる。そこを上がったところ設定の、おかるが勘平と出会った場所は不明、高台っぽい(鳥居や組物の青石は有りものかあしらいものか不明)。
- 逢瀬を重ね、手を握り合うおかると勘平、広沢池観音島。勘平がおかるを抱きかかえて渡ってゆく橋は旧の橋。
- 「瑞光院」と同じ境内の拾翠庵は宝塔寺方丈高麗門。導入は本堂をナメて。京大坂の同志が密会する場所設定。
*おかるは美空ひばり、頼りない父は中村是好。女衒(?)の喜久治は北村英三。
*瑞光院は堀川寺之内から移転して山科安朱に。
脚本/西沢裕子、監督/松村昌治
第10話 「恋の道行き」 1969.6.7
引き裂かれた二人に大石の温情が下るが、それも空しく潰える。誤解が無くとも散ったであろう、先を塞がれた男女哀れ。
ロケ地
- 瑞光院イメージ、宝塔寺方丈高麗門。
- 山科の大石寓居、中山邸門。庭は不明(石塔など見える)。
- 山崎に引っ込んでいる寺坂が鉄砲を撃つ土手、不明。おかるからの文を近所の農婦が届けに来るくだり。
- 一力からおかるを呼び出し義挙の有無を問う寺坂、吉田神社本殿玉垣脇(朱の柵)。
- 勘平に会い、大石はおかるを斬る心算やもと話す寺坂、宝塔寺石塔脇。
- 皆に送られ一力を出たおかるが元いた茶店へ駕籠で戻る道、吉田神社竹中稲荷参道。
- おかると勘平がおかるの母の里である丹波指してゆく道、保津峡落合(落下岩付近と河口付近を巧みに使う。河口には一本橋あしらい)。このあと大覚寺大沢池堤(水門脇、土手下から見上げの絵もあり)〜天神島朱橋(北から望・池をバックに)〜石仏前(おかるが足を止め祈る)。
- 自刃した二人を見つける寺坂、二人が倒れている竹林はセット、寺坂がここへやって来る道は北嵯峨か。
- 大石と寺坂が参る二人の墓、不明。戻り道は宝塔寺墓地(多宝塔映り込み。先の墓地も同所かも←てっぺんの尖った兵隊墓みたいなのがちらり)。
*浮橋太夫は久保菜穂子、一力の遣手婆は赤木春恵。浮さまを探る密偵に西田良。
*おかるは寺坂吉右衛門の妹設定、大石の手から大高源五の文をとって読んだことを聞かされ、身請けは大石が妹を始末する算段と思い込む運び。
脚本/西沢裕子、監督/松村昌治
第11話 「女間者秘話」 1969.6.14
京大坂に果ては奈良と浮さまの乱行は続き、脱落者が出てもやまず、同志たちの憤慨は頂点に。ある時は体を張っての、大石の韜晦はまだ続く。
ロケ地
- おりんがツナギの神社へと上る坂、および小林と接触する神社、不明(参道は坂で曲折、高台に施設。本殿(?)は石鳥居が前にあり垣根は木、境内には舞殿と社務所(?)。長七郎江戸日記2-18「葵と紫陽花」にも参道が登場している)。
- 京大坂の同志が大高源五の報告を聞く泉涌寺山内・来迎院のくだり、本物。大門をナメて仏殿の甍を望む図が出て、月輪陵へ通じる道から堂宇を見返る図に続き、源五が入ってゆくのは本物の来迎院で門前の橋が映っている。
- 庭師を入れての造作にキレた主税が家を飛び出してゆく道、北嵯峨か。
- 内匠頭の供養塔へ向かう大石たち、宝塔寺墓地(背景に多宝塔)。大高が密偵を捕えるくだりでは「題目塔」が映り込む。この回の映り具合からすると、「供養塔」もここの墓地内と思われる。
*伏見・撞木町の遊女・おりんは桜町弘子、同じく小林配下の密偵は小田部通麿。大石寓居に入る庭師の娘・おぬいは土田早苗。窮した挙句曽根崎新地の女と心中してしまう赤穂浪士・橋本平左衛門は高津住男。
脚本/西沢裕子、監督/高岩肇
第12話 「祇園一力」 1969.6.21
密偵たちがしつこく張り付く中、ひたすら浮さまを演じる大石。一方吉良に動きあり、江戸の同志たちは色めき立つが、大石に抑えられる。
ロケ地
- 来迎院へお使いにゆく主税を見かけるおりん、北野天満宮参道。主税に声をかけ願ほどきにつきあわせるおぬい、本殿前。このあと二人が入る茶店は長五郎餅境内茶店。
- 大石が来迎院の和尚と会うくだり、イメージに泉涌寺。大門をナメて仏殿を望む図。
- 千坂兵部の密偵たちがツナギをとる神社、不明(11話のそれと同所、今回は参道坂に加えそこから見上げた境内と、絵馬がかかった祠など映る。後段では酉蔵が露見して近松に斬られるシーンで登場)。
- 釣りにことよせて集まる京の浪士たち、広沢池観音島。大高の書状が開陳され、大石は吉田忠左衛門に江戸行きを命じる。
*一力の宴席に闖入し、結果的に大石を嬲る村上喜剣は藤岡重慶。来迎院の泰以和尚は岩田直二。おりんに観相を告げる、北野参道に店を出す坊主は野村鬼笑。
脚本/高岩肇、監督/倉田準二
第13話 「山科の別れ」 1969.6.28
遂に下る、御舎弟・大学への処置。もはや片手落ちの裁可が見直されることはなく「一挙あるのみ」。この間、密偵どもの暗躍、夜討道具調達が露見しての天野屋の捕縛、りくへの三行半など、エピソードが目白押し。
ロケ地
- 母と弟妹が但馬へ帰るのを追いかけてゆく主税、北嵯峨農地・竹林の間と竹林際。農地から土手をナメての絵や、陵から来る道、石置場なども映る。
- 吉良の米沢行き中止の知らせを受け、俳句の会にことよせて在京の同志を集める大石、不明(樹間からお堂の甍を下に見る図、永観堂か。設定は円山の重阿弥)。
*天野屋の妻女は高森和子、大石の注文が書かれた扇を焼き捨てる役目も負う。小林配下で天野屋の屋根裏に夜討道具が隠されているのを見つける侍は安藤三男、天野屋を捕え拷問する奉行所役人は阿波地大輔。公儀の沙汰を山科へ伝えに来る、内匠頭の従兄弟の大垣藩主・戸田采女正は関根永二郎。
脚本/高岩肇、監督/倉田準二
第14話 「恋の祭り囃子」 1969.7.5
米沢行き有るや無しやを確かめるため、吉良邸を探る武林唯七。吉良を庇う旗本に雇われた俵星玄蕃は、彼の危機を救う役回りに。この二人を慕う女たちが泣かせる一話。
ロケ地
- 京イメージ、清水寺全景(北からのアングル、仁王門と三重塔が林間からのぞく)。円山重阿弥イメージは前話と同所。
- 上杉邸、随心院薬医門。
- 吉良家の中間が近藤邸で開かれている賭場へ行くくだり、入る裏門は相国寺大光明寺南通用門。つけていた武林が回ってみる表門は大光明寺門。
- 門前に蕎麦の屋台を出して吉良邸を見張る同志とツナギをとった小野寺が戻る道、曲がり角は相国寺湯屋前・方丈外塀南西角。
*武林が潜入する口入屋の元締は石山健二郎、武林に恋する元締の娘は加賀まりこ。吉良が討たれては我らの恥とブチ上げる旗本は天津敏。俵星にホの字の、色っぽい湯屋女将は長谷川待子。吉良家の中間でよく喋るほうは神戸瓢介。武林を押し包んで斬ろうとする旗本たち、キンキラ衣装のその他大勢の一人に福ちゃん。
脚本/高岩肇、監督/松村昌治
第15話 「悲恋おんな二人」 1969.7.13
赤垣源蔵が、絵図面入手のため婚約者を泣かす話。俵星玄蕃が、将来について口を濁しているうちに恋しい女に逝かれてしまう話。二本ながら、士のために身を捧げ、耐える女を描く。俵星の妹・おしのは、危ないところを赤垣に救われる。
ロケ地
- 赤垣源蔵がおそでに結婚を迫られる水辺、大覚寺天神島。
- 京から戻った安兵衛が、井口ら同志に神文を返すと、これ幸いと受け取られてしまう神社、不明。
- 赤垣の婿入り先・田渕家、不明(塔頭の門か)。
- 安兵衛らが屋形船で会合を持つ隅田川、唐橋下瀬田川(夜)。
*赤垣の婚約者・おそでは入江若葉、近藤登之助邸の板絵図を源蔵に渡し「行け」と言い放つ。源蔵に遠慮して他家の婿となった兄・塩山伊左衛門は中村竜三郎。小林の配下・城所新兵衛は宮口二朗、おしのを斬ろうとして源蔵に阻まれる。密偵・達吉は堀田真三。
脚本/宮川一郎、監督/松村昌治
第16話 「月下の脱出」 1969.7.19
城所新兵衛の最期の一言でおしのは窮地に陥り、虎口は脱するものの追われる身に。それは、赤穂浪士の日常でもあるのだった。
ロケ地
- 吉良邸を逃げてきたおしのが追っ手に囲まれるところ、居合わせた不破と大石(瀬)に救われる夜道、広隆寺東塀際。
- 兄のもとに戻ったおしの、翌朝瑤泉院に挨拶に赴くものの、本当の報告が果たせないので門外で手を合わせて帰る三次浅野家、仁和寺本坊表門。
*探索には向かない性格と同志たちに評される不破数右衛門、大石瀬左衛門に何度も注意されるのがおかしい、「声が大きい」。
脚本/結束信二、監督/井上雅彦
第17話 「仇討ち東海道」 1969.7.26
大石の命を受け、東海道を下る神崎與五郎。おきまりの馬子とのトラブル話に、仇を求めて旅する娘が登場し、赤穂浪士の難儀を照射する。
ロケ地
- 大石邸から出る神崎、中山邸門。早や密偵が目を光らせる「道」は参道を使う。
- 神崎がゆく街道、不明(谷地田)。雨宿りをして八重と出会う小屋、不明(山際)。
- 手水を使っていると荷物を探られる路傍の神社、酒屋神社(鳥居、手水場)。
- 八重と助太刀の師範代たちが仇に囲まれてしまう石薬師付近の神社、鳥居本八幡宮。舞殿に表具あしらい「お堂」に仕立て。立ち回りは鳥居周辺で。
- 八重と神崎が休む丸子宿の茶店、不明(台地の野道)。
- 八重がいちゃつくアベックを見る箱根の街道、不明(巨杉の山道)。神崎にからむ雲助が出る茶店はセット。
*道場主の娘・八重は宮園純子、助太刀は三人いるが皆斬り死に。仇の大須賀次郎右衛門は加賀邦男。神崎に張り付く密偵のうち、ねちっこくからむ方は梅津栄←かなり執拗だが、馬子に辱められるのを見て「見込み違い」と退散。馬子は小松方正。
脚本/結束信二、監督/井沢雅彦
第18話 「五十七人の付け人」 1969.8.2
神崎與五郎が関わった娘が入った先は、毛利小平太の妻の潜入先という奇縁。因縁はそれにとどまらず、「仇」は吉良邸に付け人として雇われるのだった。
ロケ地
- 二人の女が潜入する料亭・川梅、中ノ島橋下手左岸に「塀」をしつらえ。毛利の妻女が夫に会うのは対岸の橋たもと、橋を渡って会いにゆく。夜間のシーンもあり、光るせせらぎが印象的。料亭の客は侍ばかり、剣客が出入りするほか、上杉家の侍が贔屓に。
脚本/結束信二、監督/井沢雅彦
第19話 「父と子」 1969.8.9
女間者、元遊女、それぞれに恋を貫く女たち。この間父の人間くささに触れ、己が心底を吐露する主税だが、彼の前に立つ娘には尻尾が生えている。
ロケ地
- 大石が浮橋を身請けすることを主税に告げに走り戻る八助、北嵯峨農地竹林際。
- 大石が浮橋を寓居に連れ込んだのを見届けた密偵が仲間とツナギをとる神社、不明(11話から出ているアレ。坂と舞殿、祠がまた違ったアングルで出る)。後ほど、おりんがやって来るシーンもある。
- おりんの回想、密偵仲間の松木の亡骸を始末した川、嵐山公園中州湛水域(渡月小橋下手河川敷、夜間撮影。駕籠屋に手伝わせてドボン。松木が持っていた、千坂兵部宛の文も破いて流し捨てる)。
- 父に恋の経験を問われた主税が脳裏に思い浮かべるおぬいの姿、大覚寺大沢池畔(睡蓮びっしり)。
- 京へ向かう小林平八郎とおぬいのくだり、木津川。小林は流れ橋上を、おぬいは木津堤をゆく(木津の流れ入り)。街道仕立てで通行人多数あしらい。おぬいのシーンは大沢池堤へ続き、路傍の花を摘む場面がある。
- 大石殺害を命じられたおりんが山科へ向かう道、北嵯峨農地竹林〜道隈。山科みちの道標あしらい、ここで懊悩する趣向。
- 浮橋と睦む大石を遠目に見て立ち去ろうとしたおりんだが、密偵仲間の左源太に見つかり追われ崖落ちの谷、保津峡落合落下岩。
- 八助の勧めもあり山科の家を出て来迎院に移り住む主税、本物の門を橋越しに。
*おりんを追い詰める密偵仲間の井上左源太は上杉直也、おりんに頼まれ死骸を運んだ駕籠舁きは西田良。
*おりんが落ちる崖の設定だが、山科でも西野山にはあんな谷は無いし。
脚本/西沢裕子、監督/鳥居元宏
第20話 「主税と女間者」 1969.8.16
大石の出府を促すため京に来ていた毛利小平太が、主税に取り付く女の正体を知る。そして別れ、前髪の少年は痛みを知って成長する。
ロケ地
- 大石邸を探ったおぬいが小林に報告の神社、不明(前話と同所、坂を上ってゆく)。
- おぬいと主税が待ち合わせの茶店、今宮神社門前茶屋・一和。店を出て話す二人は大覚寺天神島へスイッチ、汀が草深い。別れ際には朱橋も小道具に。
- おぬいを紹介するため毛利小平太を伴って町をゆく主税、今宮神社境内。おぬいが待っているのは東参道、ここで毛利が東門を入ってゆく左源太に目をとめ、二人を茶店(一和)に置いて「密偵」を追う次第。左源太は摂社に潜んだあと、高倉下を逃げてゆく。
- おぬいに決定的な疑惑を抱いた毛利があとをつけると、仲間の「密偵」左源太が降ってきて立ち回りとなるくだり、上賀茂・社家町。左源太が明神川に入るシーンも。
- 主税がおぬいを呼び出して斬ろうとする水辺、大覚寺天神島。嬉々としてやってくるおぬいは、放生池堤を来る。対岸の望雲亭のうしろには、今は無い方形のお堂の甍がはっきり見える。
- 父の勧めで母のいる但馬へ向かう主税、不明(堤道、木津か。道端に葦原)。
*大石が吉良方への偽装工作に使う富商は谷口完、亡君のお恨みをと意気込む江州屋に大石は遊興資金を無心する運び。失望した江州屋はつらっとこの事を喋り、小林平八郎に伝わるという次第←吝嗇で口の軽い江州屋を大石が利用。
*正体がバレたあとのおぬいが、きっぱり標準語になるのが笑える。
脚本/西沢裕子、監督/鳥居元宏
第21話 「若き義士の母たち」 1969.8.23
母を訪ねるも、未練と言われ会って貰えぬ主税。涙をのんで意地を張るりくを説得したのは、武家社会を否定しても息子を死なせたくないと言い放つ、右衛門七の母だった。
ロケ地
- 但馬へ向かう主税に、八助が追いついてくる川沿いの街道、保津峡桟道巌上。通行人は旅人や杣人をあしらい。流れはなかなか激しい濁流。
- りくが住まう里の俯瞰イメージ、穴太の里遠景(走田神社社叢と穴太橋が手前に見え、犬飼川が流れる里居も霞んで見える)。
- りくが現在住まう、円山川のほとりの父の持家、不明(「俺は用心棒」などでよく出てきた、長屋門の前に二本の松の大木が天を突くアレ、母屋は萱葺き)。
- 野良仕事の右衛門七、不明(丘陵地)。右衛門七の母が営む寺子屋、小椋神社舞殿。設定が民家か寺かお宮さんか不明だが、彼らはここに住んでいる模様。右衛門七が仕事から帰ってきて母に花を手渡すシーンでは、舞殿越しに若宮社が映り込み。後段、母に拒絶され家に入れて貰えなかった主税が、右衛門七宅へ泊まった翌朝の情景で参道の橋が出てくる(現在の朱橋ではなく、旧態の石橋)。右衛門七の母の説得に応じ、主税に会いに来るりくのくだりでは、舞殿まわりと玉垣などが映り込み、巨木が印象的。イメージに挿まれるせせらぎは宮前を流れる天神川か。
- 母や弟妹と過ごした翌早暁、主税がゆく街道、不明(川堤か)。
*大石がいよいよ下向する旨を告げ、取り乱さぬようりくに釘をさしに来る兄は宇佐美淳也、はじめりくが頼ったのがこの兄で豊岡住まいと語られる。八助は大石に暇を出されて、せめてもと主税を追ってくる次第で、主税を見送ったあとはりくに仕える模様。右衛門七の家は大石家と縁が深く、流転の末但馬に来た模様。
脚本/西沢裕子、監督/倉田準二
第22話 「大石東下り」 1969.8.30
大石下向、吉良方密偵との丁々発止。おきまりの変装話で盛り上げ、浮さまに惚れてしまった女間者の献身で泣かせる。
ロケ地
- 京イメージ、清水寺全景。浅野本家の重臣が訪ねてくる大石寓居、中山邸門。
- 密偵たちが待ち構える街道、不明(山道)。九条家の立花左近として増上寺への献上品を仕立ててゆく大石一行、湖南アルプスか(砂河原?幼松多し)。
- 新居の関所をやりすごすくだり、海辺の松原をゆく大石一行、琵琶湖西岸松原。
- 箱根へさしかかるくだり、左源太が馬を駆る街道、不明(河原?や山道)。大石一行が富士山を見遣る野は湖南アルプスか。おりんが左源太を殺そうとして相討ちとなる山道、不明。おりんを葬る塚は湖南アルプスか。
- 堀部の爺さまが磯貝をお供にゆく街道、湖南アルプスか(後段、大石と出会うのも同所と思われる)。山肌はがびがび。
- 箱根関所手前の道は不明(林道)、関所はセット。箱根の関所を通過したあと、一行が目をうるませる道、不明(湖南アルプスか、はっきりした水脈と堰堤らしき構造物が見える)。一同打ち揃って関所の方を遥拝。
*大石を制しに来る浅野本家の重臣は市川男女之助、箱根奉行は大友柳太朗、関所役人に波多野博。
*箱根奉行のもとには、柳沢名義で大石を阻止するよう公文書が来ている運び。おじゃる姿の大石は、献上品の目録を求められ白紙の巻物が露見するが、衣の下から違鷹羽紋をチラ見せすると奉行が気付いて「お役目首尾よくお果たしなさるよう」と侠気を見せる。
脚本/高岩肇、監督/松村昌治
第23話 「俵星玄蕃 花の兄妹」 1969.9.6
大石が徐々に江戸へ近づく間、江戸の浪士たちは緊張を高めてゆく。東下りを阻止できなかった吉良方は警戒を強め、屋敷から逃げ去ったおしのを執拗に狙う。彼女を守るに、様々な助け手が心を尽くし、遂に犠牲者も出てしまう。
ロケ地
- 鎌倉に一時足を止める大石、海イメージはマジ海か(曇天に荒波)。
- おしのが兄の長屋から拉致されかかるのを阻止した大石瀬左衛門が、彼女を安兵衛のところへ連れてゆく際渡る橋、神泉苑法成橋。橋たもとでおしのが足を止め躊躇うのを大石(瀬)が励ます。
- 大高源五が接触する茶人・四方庵宗偏の庵、不明(萱葺きの門)。
- 畳屋の傳蔵が死を賭して守ったおしのを送ってゆく大石(瀬)、玄蕃と別れる品川手前の街道は琵琶湖西岸・舞子浜(松原と砂浜、碑ちらり。漁具あしらい)。
*大高源五に頼まれおしのを預かる踊りの師匠は白木マリ、踏み込んできた吉良方に剣突をくらわすシーンも。茶の宗匠は徳大寺伸。女房ともども吉良の侍に斬られてしまう畳屋傳蔵は河上一夫、御畳替えに尽力してくれた男で、安兵衛たちは大願成就まであと少しと涙ながらに慰霊する。しつこい密偵は堀田真三。
脚本/高岩肇、監督/松村昌治
第24話 「妻恋心中」 1969.9.13
決起を目前にして起こる、脱落の悲劇。一目赤子を見て抱いてと訪ねてきた妻が、実は窮地にあり死ぬつもりと知った夫は盟を破る決心をするものの、同志の慰留に追い詰められてしまう。
ロケ地
- 大石が滞在する川崎在の軽部五兵衛宅、不明(邸内に大木聳える豪邸)。
- しのを連れて川崎大師を参詣する大石、金戒光明寺。本堂前に「献香所」をあしらい、先に行ってしまう大石は参道石段をおりてゆく。
- 川崎大師近くの八幡宮に立ち寄り祈願する大石、今宮神社本殿。帰る二人は稲荷社脇、ここで俵星が出て大石を高倉下へいざない、妹を連れて帰ると表明(ついでに密偵もばっさり)。しのを置いて一人去る大石は境内石畳。八幡の設定は若宮八幡宮か。
- 鈴田重八が妻の自刃を止めたあと、脱盟を決意し親子三人でゆく河原、木津河原・流れ橋下。鈴田を見つけた不破数右衛門が駆け下りてくるのは堤法面。鈴田を慰留して去る不破が巡礼の親子とすれちがい、子の背に書かれた念仏を見て不安に駆られるのは木津堤、駆け戻る橋は流れ橋上、橋下に子を道連れにして果てた夫婦を見つける。
*鈴田重八は吉田輝雄、妻のしずは長内美那子。鈴田は妻の懐妊を知らず離縁して赤穂を出た次第。「玉野平八」等偽名を使う設定は無し。軽部五兵衛は弥富光夫、浅野家江戸屋敷へ秣を納めていた庄屋で、内匠頭の人柄を偲ぶ。
脚本/高岩肇、監督/倉田準二
第25話 「矢頭右衛門七 母悲し」 1969.9.20
右衛門七は病んだ母を連れて江戸へ向かうが、はなから無理な道中。道に伏した母に差し伸べられる手には、思わぬ奇しき縁も絡んでいた。
ロケ地
- 荒井宿で原惣右衛門が右衛門七たちを待つ間、母子がゆく街道、不明(谷地田)。道端に小屋あり、ここで玄伯らがさいを診てくれる。右衛門七が水を貰いに行って娘を助ける民家も不明、谷地田の奥に萱葺き。
- 玄伯らも滞在する宿を出た母子がゆく街道、不明(山道〜田んぼの中の道)。
- おかよの家で母が自刃したあと、原を追いかけてゆく右衛門七、不明(並木道、ロングの絵では長く続くさまが見られる。湖畔の防風林か)。
*右衛門七が助けた娘・おかよは岩村百合子、街道に店を出している父は山村弘三。おかよに無体を働いていたゴロツキは千葉敏郎と平沢彰。母を診てくれた親切な医師・玄伯は原健策、元吉良のお抱え医師で再び招じられて江戸へ向かう途中。連れの上杉家家臣は石浜祐次郎。
脚本/結束信二、監督/倉田準二
第26話 「不破数右衛門誉れの恋女房」 1969.9.27
吉良の米沢行きを恐れる浪士たち、探索には不破の女房が当たるが、怪しまれ危機一髪。すんでのところで不破が助けるものの、ここで夫婦は永の別れとなる。
ロケ地
- 原惣右衛門と右衛門七が訪ねてくるアジト、不明(土塀と裏口、中の描写では渡り廊下が出る←汀へでも張り出しているのか、際まで草が密生。遠景にはお堂らしき建物)。
*不破の女房・きぬが働く先の親方は杉山昌三九。小林が吉良家へ連れてきた利け者の中間は幸田宗丸、きぬを害そうとして不破に斬られる。
脚本/結束信二、監督/大西卓夫
第27話 「男一匹天野屋利兵衛」 1969.10.4
闕所となり零落した天野屋だが、男の約束を果たすため密かに動く。妻子も連れて乗り込む、船上でのドラマに加え、上陸後の吉良方との丁々発止も見もの。
ロケ地
- 川崎在の軽部五兵衛宅、不明(24話と同所)。天野屋からの連絡が無いことに焦れた大石が散策に出て、里の子らを見て自省する際周囲の田地が映る。
- 天野屋が旧知の船頭に便船を頼みに行く堺の海辺、不明(マジ海、汀近くに石積護岸、海崖に上に墓地)。
- 大高と岡野がツナギをとる神社、新日吉神社本殿。「お参り」の二人の背後に舞殿と楼門が見えている。
- 大海をゆく伊八の船、および上陸の浜、不明(マジ海)。小林たちが船を見張っている崖も、近辺で撮ったものと思われる。
*天野屋に船を頼まれる船頭・伊八は国一太郎、荷の正体に気付き逃げようとする水夫は益富信孝。
脚本/高岩肇、監督/大西卓夫
第28話 「吉良上野介を襲撃せよ」 1969.10.11
幕閣も暗に吉良を見捨てる情勢のもと、千坂兵部は奇策に打って出る。あわや乗りかける浪士たちだが、大石は企みを見抜いていた。
ロケ地
- 月番老中・土屋相模守の名で浅野本家と上杉家の家老が呼びつけられるくだり、お城イメージに姫路城天守。
- にせ吉良一行がゆく街道、北嵯峨農地。竹林際の道や、大石を置いてある道隈など各所が使われる。
*上野介の側近く仕える新規召抱えの侍女は小柳冴子、奥田孫太夫が出す小間物屋に情報を落としてゆく役回り、知らずに千坂兵部に操られる次第。
脚本/高岩肇、監督/倉田準二
第29話 「毛利小平太は死なず」 1969.10.18
窮乏の果て病を得る、悲劇の浪士。夫を気遣い、悪所で働くことを隠していた妻女の筋から、密偵の手が伸びる。
ロケ地
- 毛利小平太が暮らす家まわり、澱んだ水のイメージは広沢池か。芝居が行われるのはインドアセットで、簡素な木橋が演出されていて、この下で派手に水しぶき上げて大立ち回り。背景はホリゾント。
*毛利小平太が入門しようとする荷田春満は堀雄二、弟子に吉良がいる設定で、赤穂の人なら協力を惜しまないと発言(途中で喪があり帰っちゃうケド)。毛利の妻に言い寄る態で罠をかける密偵は梅津栄、彼の下には小林の指図でおぬいが付く次第、しかしおぬいは既に主税に恋する乙女。
脚本/宮川一郎、監督/倉田準二
第30話 「女間者敵か味方か」 1969.10.25
主税に恋した女密偵、その身の上が知れる。しがらみだった父を亡くし、恋しい人のもとへ走る娘。しかし、彼女の後を吉良方の忍びが尾行している。
ロケ地
- 主税が滞在する称念寺、石塔寺。「阿育王山」の扁額を掲げた山門とその周辺、石塔への石段、「石塔」の阿育王塔など各所が使われる。ここには、主税のほか堀部安兵衛と大石瀬左衛門が滞在。
- 吉良邸を脱するものの、逃走をあきらめて娘を逃がし撃たれて果てる順斎のくだり、追い詰められた父子が下に潜む橋は犬飼川下河原橋。追いつ追われつの際に川堤や周囲の竹林も映り、垂らした腕で娘に行く先を示唆する順斎の最期には、橋桁を裏から映すシーンも。
- 父の死を見たおぬいが主税のもとへ足袋はだしで走る道、不明(山際?の野道)。
*前回、荷田春満の紹介で毛利小平太を診た医者として出た林順斎は佐々木孝丸、医療過誤をネタに娘のおぬいが密偵を強要されていた次第。いま吉良を診ている医師は、25話で登場した玄伯先生。
脚本/宮川一郎、監督/倉田準二
第31話 「神崎与五郎悲恋の助太刀」 1969.11.1
神崎与五郎が助けた仇持ち娘の、宿願が果たされる日が来る。それは二人の別れと同義、再会を約す娘だが、討ち入りを目前にした男に確かな明日は無い。
ロケ地
- 俵星玄蕃がしのを呼び出す神社、不明(狭い境内?舞殿が見える)。
- 沼田に取り付けた約束の件で、兄になってと神崎に頼み込む八重、梅宮大社境内(蔵の前、神苑入口脇。しのは神苑から来て「門」によって二人を見る)。
- 沼田が大須賀を連れてやって来る増上寺三門、東福寺三門。芝居は門基壇上で行われ、東司や禅堂のほか仏殿、五社成就宮や南塀が映り込む。南都の仏に似た仁王さまは、あしらいものと思われる。
*沼田源八郎は藤岡重慶、俵星兄妹とは旧知、大須賀の引きで吉良へ仕官。玄蕃たちは江戸へ戻ってきている次第で、右衛門七に酒代をねだる兄上が情けナイ。
脚本/結束信二、監督/松村昌治
第32話 「恋の絵図面取り」 1969.11.8
著名なエピソードを、情感をこめて描く。己を好いてくれる娘への背信行為に、懊悩する岡野金右衛門。決断できずにいた彼の背中を押したのは高田郡兵衛の脱落で、逼迫のシンボルに持ってきてある。
ロケ地
- 小間物屋の手代・新吉に偽装中の岡野金右衛門が、吉良邸へ奉公に出ている棟梁の娘・小夜と忍び会う神社(?)、赤山禅院。本殿を主に使い、朱玉垣と金ぴかの狛犬が印象的。
*28話で出た吉良家へ奉公する娘・小夜は小柳冴子、岡野と相愛に。父の棟梁は千秋実、岡野の正体に気付くも黙し、娘の絵図面持ち出しを誘導。
脚本/高岩肇、監督/松村昌治
第33話 「内蔵助危機一髪」 1969.11.15
警戒の裏をかいて、大胆にも日本橋穀町の旅籠に滞在する大石。しかし千坂兵部の読みも鋭く、また思わぬ方向からもとんだ危難が招来されるが、焦れて禁を犯し盟主に会いに来た浪士たちが、危ういところで間に合うのだった。
*ロケなしセット撮り、オープニングの渓流は落合と思われる。穀町の旅籠の主は明石潮、番頭は亀石征一郎、番頭を好きでおしのに嫉妬する女中は橘まゆみ、彼女が手引きする岡っ引(実は吉良の密偵)は小田部通麿。大石の偽名は垣見五郎兵衛、公事で近江から出てきたと触れ込み。
脚本/結束信二、監督/松村昌治
第34話 「決断の時来たる」 1969.11.22
確実な在邸日は茶会の前後、懸命に探る浪士たち。しかし大高の伝手は不調、ここに来ての足踏みに焦れる男を放っておけぬ、恋する娘がいた。
ロケ地
- 浪士たちが頼母子講名目で集まり、起請文に血判する深川八幡の茶店、イメージに三宅八幡宮。一の鳥居越しに参道坂を見て、「狛鳩」が控える二の鳥居へズーム、参道脇の茶店をナメる。内部描写はもちろんセット撮り。
- しのが情報を取りに行く本所・了泉寺、不明(門入ってお堂までは石畳、堂の屋根は萱葺き。大石瀬左衛門がツナギを取りに来るくだりでは参道石段が出て、大刈込が見える。石垣は城砦の如く重厚)。
- 大高源吾が花入の竹を伐る林、北嵯峨か。
*了海和尚は浅野進治郎、吉良邸の腰元をしていた頃にしのが知り合った僧。無理にしのを吉良邸へ連れて入り、悲劇が出来する。
脚本/宮川一郎、監督/倉田準二
第35話 「南部坂の別れ」 1969.11.29
14日の朝は雪、逸る浪士たちの話を少し入れて、メインは大石と瑤泉院の最後の会見。見慣れぬ侍女を怪しんだ大石は、心にもない芝居をして未亡人を怒らせ、三次浅野家屋敷を辞するのだった。
*ロケなしセット撮り、三次浅野家の門前を坂にしてある。瑤泉院の侍女になりすました女間者は三島ゆり子、これとツナギをとる密偵は有川正治。茶会の客に姿を見せるなと言われクサる付人に志賀勝、眉毛なくてコワい。「小豆屋」の神崎が無理に頼む研師は中台祥浩、「叔父さんは赤穂の人?」とか言ってタダにしてくれる。
脚本/高岩肇、監督/倉田準二
第36話 「討入り前夜」 1969.12.6
14日は更け、浪士たちはそれぞれ思う人との時を過ごす。しんしんと冷える雪の深更、緊張を強いられ続けてきた守り手は、今日一日を無事に過ごせたことで、ほんの少し心を緩める。
*ロケなしセット撮り、表はずっと雪。赤垣源蔵の兄・塩山伊佐衛門は中村竜三郎、妻女は中村あやめ、女中は東山明美。密偵の小田部さん安兵衛に斬られて殉職、犬に嗅がれてて笑える。
*羽織の別れのほか、赤穂塩を持って多門宅を訪ねる片岡源五右衛門、大工親子に討ち入り装束を見せる岡野金右衛門など出て、安兵衛夫婦の別れで締める。
脚本/高岩肇、監督/倉田準二
第37話 「吉良邸討入り」 1969.12.13
雪降りしきるなかを、集合場所の蕎麦屋へ集まってくる浪士たち。だがそこへ辿り着けぬことを嘆き、夫婦して果てる者も。そして、蕎麦屋の女将の気遣いで通報を免れた一同は、万感の思いをこめ本所へ向かう。
*ロケなしセット撮り、蕎麦屋では二階を借り受け。討ち入り衣装を見てうひゃあのお約束も。女将が心尽くしの前祝いの菰かぶりは※マーク入りの澤の鶴、老舗だが創業は享保年間で討ち入りには間に合ってないのもご愛嬌。
*女将は森光子、彼女に気がある、酔い潰される目明しは春日章良で、係のダンナは平沢彰で風邪ぎみで早引け。
脚本/結束信二、監督/松村昌治
第38話 「暁の勝鬨」 1969.12.20
浪士たちは粛々と己がつとめを果たし、夜明け前には吉良の首級をあげ本懐を遂げる。侍の心を知る旗本は烈士を賞賛し、安兵衛の呑み仲間は上杉家の人数を一人で引き受けて邸外に果てる。
*ロケなしセット撮り。高張提灯で吉良邸の庭を照らしてくれる隣家の旗本・土屋主税は大友柳太朗。吉良邸の人数の一人に福本清三、クレジットはベタ。
*弓の弦を切るのは右衛門七、灯を掲げて回るのは寺坂、清水一角と安兵衛の一騎打ちは池泉の切石橋、小林平八郎は不破の槍に貫かれ、寝所の抜け穴を見つけるのは主税たち、片岡は土屋さまに挨拶に行き、寺坂は大石の命で南部坂へ。なお、吉良さまの首は白布に包み主税が抱えて行進、槍に括ってブラーンとか無し。
脚本/結束信二、監督/松村昌治
第39話 「花の四十七士」 1969.12.27
討ち入り後の仕儀を、詳細に描く最終話。義士は世の称賛を浴び、一時は助命との噂も飛ぶが、法の裁きは厳密に下される。しかし吉良家にも処分が為され、片手落ちが正されたことに満足した一同は、従容として切腹の座に赴くのだった。
ロケ地
- 泉岳寺へ押しかけ、中を覗き込む町衆、宝塔寺方丈高麗門。様子を見に来たお幸と、瑤泉院侍女のお輝が出会い、門から離れて話すシーンは石塔脇。石塔の囲いと、方丈前の地面と木に「雪」、撮影時期を察するに、あしらいものか。この前に来る、内匠頭墓所はセット撮り。
*大石以下十七人を預かる細川家の殿様は夏目俊二、義士の世話をする細川家の物頭は中村錦司、主従とも赤穂浪士に多大なる敬意を払う。片岡らが一統と離れ次第を申し立てに出向いた大目付・仙石伯耆守は高田浩吉、義士らに篤く吉良家には皮肉たっぷり。
脚本/結束信二、監督/松村昌治
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