天晴れ一番手柄 青春銭形平次

市川崑監督作品 1953.8.19東宝

キャスト
銭形平次/大谷友右衛門 お静/杉葉子 八五郎/伊藤雄之助 笹野新三郎(南町与力)/伊豆肇 三輪万七/柳谷寛 九鬼隼人正(勘定奉行)/石黒達也 水野越前守(月番老中)/小川虎之助 雨森一平(勘定奉行用人)/見明凡太朗 鳥吉(丁子屋手代)/山本廉 大久保石見守(南町奉行)/山形勲 お駒(髪結い)/木匠マユリ お花/島秋子 幽霊/和田道子 お年(笹野妻女)/塩沢登代路 産婆・とめ(八五郎叔母)/三好栄子

脚本/和田夏十、市川崑 原案/野村胡堂


 後世、大親分と評判をとる「銭形平次」が、世に出る前のお話。
平次青年は、名岡っ引だった父親の跡を継ぐべく、係りのダンナにせがんでやっと十手を貰ったばかり。なりたて子分の八五郎ともども、まだ全然食えないばかりか頼りなさすぎて、前途に光明ひとつ見えない毎日。そんな彼らにの前に、大掛かりな贋金作り事件が降って湧く。

濠川

ロケ地

  • 八五郎がバイト中、死体の入った酒樽を担いでしまう、虎屋の荷揚げが行われる川端、宇治川派流・大倉記念館裏手堀端。水は満々と湛えられ、滞水。
  • 南町奉行所、大覚寺明智門。内部描写はセット撮り、後段では捕り方が一斉に出撃する場面も。
  • 笹野さまに丁子屋を洗えと指示された平次と万七が、競って対岸へ向けて船を漕ぐ堀、宇治川派流
  • 丁子屋の使用人たちを調べるものの思うにまかせずブツブツ愚痴たれる平次、濠川堀端(御駕籠町・都鶴酒造倉庫裏手。土橋手前の濠川運河端)。後段、一味だった丁子屋手代を追い詰めると濠にドボンのくだりも同所。派流と同じく滞水。表の通りから川端へ通じる路地も使われる。
  • 捕り方が走り回ったりする市街描写の一部に、酒蔵のある伏見市街。さまざまな個所が使われ、後段でも何度も登場。
  • 勘定奉行所、大覚寺大門
  • 贋金作りの工房を発見してしまった平次、悪党に追っかけられるくだりは、伏見市街と世田谷・九品仏浄真寺。仁王門から入り、本堂・龍護殿の前で大捕物が展開される。この際、鐘楼や三仏堂も映り込む。平次が雨森らに追い詰められ危機に陥る段で、八五郎の知らせを受けた町方が出動、大覚寺明智門や伏見市街がセットと併用して使われる。寺から出た平次を一党が追っかけ、奉行所に至るくだりも同様。

 冒頭、銀行強盗で現代風景を入れるほか、台詞に「サイン」とか出たり、燧石代わりにオイルライターが置いてあったり、時代劇で有名な捕物名人が現場に出ていたり、松の廊下に妙な展示物あったり、小判改鋳のしつこ過ぎるどたばたなど、お笑いモード全開。基本的にどたばたコメディだが、ラス立ちはかの雄呂血を髣髴とさせる、悲壮感溢れる大活劇。伊藤雄之助の、飄々としたナレーションも味わい深い。

 平次は早くに両親を亡くしたおばあちゃん子、いちおう飴屋を継いでいる。同じ長屋の豆腐屋の娘がお静で、妙なとこ几帳面な平次と喧嘩ばかりしている状態から愛芽生える変化も楽しい。八五郎は叔母さん宅の二階に居候、産婆のとめさんは猫好きで、この猫が一味の工房を見つけるきっかけに。


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