橋蔵はじめ、いろんな人が演じてきた御落胤話。主人公の若武者ぶりは言うに及ばず、脇の配役が楽しみなのは定番ものの必然で、忠臣蔵を見るたのしみに通じる。
本作の見どころの随一は、個人的には日本駄右衛門を演じた田中浩で、彼の「ええもん」が珍しいばかりでなく、赤フンちらちらさせながら新吾のために立ち働くけなげなオヤジが、めっちゃ可愛いのである。
新吾十番勝負
時代劇スペシャル、1981.5.15三船プロ/フジ
キャスト
国広富之 岡田奈々 大出俊 磯野洋子 永井智雄 鈴木瑞穂 青木義朗 小林勝彦 伊藤敏八 小野川公三郎 藤宏子 内田勝正 三谷昇 田中浩 かたせ梨乃 大山勝巳 三船敏郎
秩父山中で修行三昧の日々を送る青年・美女丸は、剣の上での諍いで人を斬ってしまい、死を賜るところで出自が判明、大騒ぎに。
江戸からやって来た老中が、御落胤だった美女丸を連れて帰る途中、悪逆なる者どもが襲い老中は頓死。いきさつを知った美女丸は懊悩し、一旦は秩父へ帰るものの師匠の叱咤を受け、難事に立ち向かい見事悪の首魁を討ってとる。しかしその天晴れな行為が、彼と両親を更に隔ててしまうのだった。
ロケ地
- 冒頭、滝でトレーニングの美女丸、白糸の滝。お縫が来てのやり取りがある河原は別撮り。
- 江戸・千代田城、彦根城佐和口多聞櫓。お鯉の方と吉宗が逍遥する大奥の庭は彦根城玄宮園、天守映り込み。
- 師範代以下の藩士を斬ったかどで殿様の裁可を受けるため、美女丸が連行される筑前福岡城イメージ、彦根城天守頂部。
- 美女丸の師匠のはからいで江戸へ赴いたお縫が、お鯉の方と会う上野寛永寺、百済寺庭園本坊。これに先立って映る「門」は別の場所。
- 曲折を経て、父母のいる千代田城の堀端に立つ新吾、彦根城堀端。
*新吾が悶々と思い悩む、「母を汚した父」吉宗の鬼畜行動が、脳内イメージに過ぎないような感じでなんかアレ。
新吾十番勝負 第二話
時代劇スペシャル、1982.2.26三船プロ/フジ
キャスト
国広富之 岡田奈々 大出俊 磯野洋子 斎藤とも子 内藤武敏 小林昭二 織本順吉 珠めぐみ 山本昌平 佐藤京一 西田良 長谷川明男 井上昭文 田中浩 かたせ梨乃 大山勝巳 三船敏郎
旅を続ける新吾だが、降りかかる火の粉を払い、気の毒な人を助ける行為が、ますます彼と父母を隔ててゆくことに。また、御落胤の存在そのものが世を揺るがすとして、刺客が放たれる。戦いのなか、新吾は大事な友を失い激怒、父将軍に会うため江戸へ向かうのだった。
ロケ地
- 新吾のことを思い出し佇むお縫、そこへお鯉の方がやって来て新吾の消息を告げる橋は彦根城玄宮園竜臥橋。
- 大坂から戻ったお縫にトラブルの経緯を聞き沈むお鯉の方、そこへ吉宗が現れて大名を斬ったから新吾の召還は難しいと告げる城内、彦根城天秤櫓下石垣際。
- 大坂へ遣わした大和守から、己の処置に不満をぶちまけた新吾のことを聞き激怒する吉宗、彦根城城内坂(天秤櫓下)。
- 新吾の無事を祈願するお縫、帰りかけると鳩と遊んでいた駄右衛門が声をかける神社、根津神社本殿前。彼を急かし走るお縫は楼門をくぐってゆく。
- 事後、新吾がお縫を待っていると吉宗がお忍びで対面しにやって来る神社、根津神社。二人は楼門を挟んで対峙、ずんずん歩み寄る新吾だが声は掛けず走り去る。
- 再び旅ゆく新吾、富士の見える野。
*かたせ梨乃「殉職」シーンはスローモーションで。派手な弾着なんかもあり。
新吾十番勝負 第三話
時代劇スペシャル、1982.7.30三船プロ/フジ
キャスト
国広富之 岡田奈々 大出俊 磯野洋子 宗方勝巳 富田浩太郎 伊達正三郎 和田浩治 田中浩 穂積隆信 かたせ梨乃 大山勝巳 西村晃
非道をはたらく偽新吾は、新吾を尾張へおびき寄せる罠。気さくに接してくる宗春や尾張柳生の総帥は、キナ臭い企みを隠していた。
思わぬ「顔」との再会、新吾のため体を張った友の死、そして新吾は母と別れ再び旅の途に。
ロケ地
- 名古屋城イメージ、本物の天守。
- 江戸城イメージ、皇居富士見櫓。「新吾」の非道を書き立てた宗春の親書が届けられるくだりで出る。
- 母やお縫と別れ旅立つ新吾、多摩川堤松並木。
*かたせ梨乃は「妹」設定で出てきて、曲折ののち新吾の取り巻きに。
*関東撮りなので、近畿遠征ロケと、丸わかりの名所のみ記述しています。
*放送日時は、テレビドラマデータベースを参照させていただきました。
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