1974.10.3-1975.4.3 フジ/東映
キャスト
月森十兵衛/高橋英樹 静江(十兵衛妻女)/藤浩子 伊介(十兵衛従僕)/桂小かん 伝造(蕎麦屋日野伝)/木田三千雄 おたま(日野伝)/紅景子 おさん(船宿熊之屋仲居)/長谷川待子 松浦達之助(中根家家臣)/青山良彦 堀内源左ヱ門(堀内道場主)/永野達雄 お冴(千弥)/中島ゆたか 中根正冬(西の丸御留守居役)/片岡千恵蔵
吉良上野介/伊藤雄之助 松原多仲/天草四郎 上杉綱憲/葉山良二 色部又七郎/内田朝雄 清水一学(吉良家家臣)/永井秀和 笠原長右ヱ門(吉良家祐筆)/植田峻 小林平八/露口茂 お俊(小林密偵)/葉山葉子 山吉新八/南城竜也 井田八郎(吉良家付人)/深江章喜 舟津弥九郎(吉良家付人)/成田三樹夫 梶川与惣兵ヱ/遠藤太津朗 長尾勘右ヱ門(長尾道場主)/藤岡重慶 柳沢吉保/岡田英次
浅野内匠頭/嵐徳三郎 瑤泉院/宮園純子 戸田の局/川口敦子
大石内蔵助/中村竹弥 大石主税/田村清太郎 磯貝十郎左ヱ門/佐々木剛 大高源吾/中井啓輔 奥田孫太夫/大友柳太朗 奥田貞右ヱ門/坂口徹 片岡源五ヱ門/山田良樹 杉野十平次/大丸二郎 不破数右ヱ門/若林豪 堀部安兵衛/山田吾一 前原伊助/原口剛 吉田忠左ヱ門/増田順司
音楽/渡辺岳夫 タイトルバック切絵/宮田雅之
第1話 「刃傷」 1974.10.3
お犬斬りをはたらく若者を助けた十兵衛は、帯びた使命ゆえ悪法の大元を弾劾する動きに加わってゆく。その中で宿敵と遭遇し、「事の発端」に際会する。
ロケ地
- お犬様の駕籠を襲った若者たちに関わったあと、同じ若者が囲まれているのを見て再び手出しする十兵衛、下鴨神社糺の森。原作設定では柳原土手下草地。
- 町方が尾行してくるのを後目に中根邸へ入る十兵衛、相国寺大光明寺南路地〜門。中根邸原作設定は飯田町糯ノ木坂下。
- 小太郎を諌めて帰りの十兵衛が、凄腕の刺客に遭う夜道、下鴨神社河合社脇。原作設定は入谷田圃。
- 堀内道場へやって来た「夕べの刺客」を尾行する十兵衛、彼らが入ってゆく中條流長尾道場は大覚寺明智門。原作では、外神田旅籠町。
*小太郎は小林芳宏、許婚者の多重は服部妙子。小太郎を治療し、弟子として受け入れる医師は岩田直二。
脚本/土橋成男 監督/田中徳三
第2話 「切腹」 1974.10.10
あまりにも早く下った裁可に疑義を抱く十兵衛は、わざわざ中根に御意簡牘(ぎょいかんとく)を示し将軍との対面を求めるも、闇は深く解決は容易でない。そして主君の孝心を無にできぬ家臣は、一人の若者に犠牲的献身を求めるのだった。
ロケ地
- 達之助から浅野刃傷を聞きすぐ出てくる十兵衛、歩きながら次第を聞く道は相国寺大光明寺南路地・塀際。
- 赤穂へ走る第一便の早駕籠、不明(川堤か、法面はコンクリート)。
- 芝愛宕下・田村右京太夫邸、大覚寺大門(衛士と篝火あしらい)。
- 上杉邸、相国寺林光院。
*蕎麦屋で刃傷について否定的な見解を開陳する町人は川谷拓三。十兵衛行きつけの蕎麦屋・日野伝は、日本橋北詰の裏河岸、と原作にある。
脚本/飛鳥ひろし 監督/田中徳三
第3話 「決断」 1974.10.17
関係者からの聞き取りにより、こたびの失態は将軍自身の瑕疵と十兵衛は判断。威信回復のための苦肉の策として、赤穂の遺臣による仇討ちが中根との協議により「採用」される運び。その頃赤穂では、意見を二転三転させていた大石が、開城の決断を下していた。
ロケ地
- 赤穂城イメージ、書割か(櫓)。
- 亡君の墓に額づき嗚咽を漏らす奥田孫太夫、香華を手向けにやって来た十兵衛に対面の件で礼を述べ家に誘う墓地、永観堂墓地。
- 奥田の倅(養子)・貞右ヱ門が同志と語らって梶川を討とうとするくだり、密談の船宿(柳橋)を窺う十兵衛(船着き周辺の水辺)、不明。貞右ヱ門が梶川邸へ向かう夜道と梶川邸の門、不明。貞右ヱ門の出鼻を挫くかたちで梶川宅から「女」をさらってきた十兵衛が入る中根家の門、相国寺大光明寺門(この時点で貞右ヱ門を伴っていて、梶川加増がポシャったことを告げて暴発を断念させる)。
- 中根の御前の伝言を十兵衛宅へ伝えに走る達之助、走田神社。社叢脇の道(田畔に地蔵と燈籠あしらい、南望。道はまだ地道)から社務所前へ走りこみ。
- 収城使の役目をはねつけた御小姓組・日下部三十郎宅へ赴く十兵衛、不明(日下部が木刀を振るう庭、植藤か←軒瓦を出した萱葺き)。
- 中根に苦衷の策を進言したあと、十兵衛がゆく野道、不明(川堤か、夕景)。
*十兵衛が裁可の次第を尋ねる目付・多門伝八郎は中尾彬。死を覚悟してお役目を蹴った日下部は青木義朗。
*原作における、十兵衛宅の外観描写は「林に囲まれた約三百坪の地にわらぶきの家」、「農家を改造したもので腰羽目をつけた」とある。
脚本/飛鳥ひろし 監督/松尾正武
第4話 「襲撃」 1974.10.24
十兵衛らの策が功を奏し、吉良は御役御免になり、情勢は変わり始める。「吉良方」では動きの中心に十兵衛がいることを察し、刺客が放たれる。
ロケ地
- 赤穂城、書割か(夜景の一件は思い切り「絵」っぽい)。
- 赤穂へ赴く前に堀内に挨拶しに行く奥田孫太夫のくだり、往路は大覚寺大沢池畔(覚勝院のものと思われる方形のお堂が背後に・現存せず)。堀内に仇討ちの意思を明確に伝える道場の廊下は大覚寺回廊。
- 呉服橋吉良邸の庭に佇み物思う小林に声を掛ける一学、阪口青龍苑。小林は切石橋にいて、これを見下ろす俯瞰のアングル。昔の建物も映り込んでいる。
- 蕎麦屋でタダ食いの浪人を咎めた十兵衛、彼らが戻る長尾道場を窺う門は大覚寺明智門、御殿川河床から見上げのアングルも。見張っていると、井田に連れられて十兵衛旧知の剣客・永井が出てくる運び。
- 夜更けて十兵衛宅を襲う一味、走田神社。井田の使嗾で加わった永井がやって来るのは社叢脇の道、門は社務所で、この前で大立ち回り。室内はセット撮り。
- 十兵衛を襲わされたことに気付いた永井が井田を問い詰める道、大覚寺大沢池畔(茶店仕立て)。
- 十兵衛を訪ねようとして消される永井、走田神社社叢脇の道。地蔵と燈籠あしらい。
- 柳原土手で十兵衛を待ち伏せ斬りかかる舟津、大覚寺放生池堤。
- 赤穂城を囲む軍勢、二条城本丸西虎口付近(バンクフィルムか)。
- 大石の働きで無事開城の赤穂、それを語るナレーションに被る、船で堀をゆく十兵衛は渡月小橋下手湛水域。
*梶川邸から保護されたお冴が、自ら志願して密偵に。化けるのは芸者で、源氏名は千弥(クレジットもこれに変更)。仕官を餌にされてたばかられ、十兵衛襲撃の人数に入れられてしまった剣客・永井は黒部進、大坂の道場で十兵衛に恩を受けたという設定。
脚本/土橋成男 監督/松尾正武
第5話 「斬殺」 1974.10.31
深く鋭い小林の見識は、十兵衛と中根が危機感を抱くほど。しかし吉良の嫌われぶりは予想外にひどく、小役人の買収も儘ならず。今回は、十兵衛と小林が名乗りあい互いを認め合う、爽やかにしてほろ苦い場面が見られる。
ロケ地
- 無事明け渡される赤穂城、書割か。赤穂開城を吉良邸へ知らせる早馬が駆ける道、北嵯峨農地竹林際。
- 十兵衛宅、走田神社社務所(今回はイメージのみ)。
- 山口浪人が舟津に抜き打ちに斬られる吉良邸門前、相国寺方丈塀際。駆けつけた十兵衛と目線を交わす小林は門前に出ていて、映画村セット。二つをうまく切り替えて使ってある。
- 柳沢へ屋敷替えの件を嘆願に行って、叩き出される一学を目撃する十兵衛、京都御所管理事務所長屋門前。一学がつまみ出される門は同所の東門で、切り替えて使う。長屋門は東寄りの塀際を使い、門開口部は映さず。
- 小林が空屋敷奉行に工作を持ちかける屋形船、不明(俯瞰、水面のみ。降りるシーンはセット)。
*舟津に斬られる山口浪人は高原駿雄(2話で初出)、刀代をせびられる叔父は嵯峨善兵。山口暗殺に居合わせ目撃証言する町人は峰蘭さん。空屋敷奉行は北村英三。
脚本/飛鳥ひろし 監督/井沢雅彦
第6話 「追憶」 1974.11.7
吉良邸は、屋敷替えで本所松坂町へ移転。赤穂浪士たちのコントロールに腐心する十兵衛のもとに、縁薄かった母の訃報が届く。
ロケ地
- 引越し支度の吉良邸近くを通りかかる十兵衛、相国寺方丈南西角付近塀際。このあと奥田を見かけ、共に蕎麦屋へ。
- 吉良が乗った駕籠が引っ越し先へ向かう道、相国寺方丈西塀際(北望)。駕籠を凝視し今にも斬りかからんとする前原と磯貝を止める十兵衛のシーンは、セットにスイッチ。
- 奥田と船宿を出てきた十兵衛、二人歩く道は今宮神社石橋。堀内道場の門弟たちにからまれる一学を奥田が助けるのは同社稲荷社前。そのあと、十兵衛に一学が不憫だと話すのは上賀茂神社ならの小川畔。原作では、神社は深川八幡。
- 奥田の発言を真に受けた一学が、それを嬉々として小林に告げる吉良邸の庭、不明(荒れ気味の庭は池泉、建物も古びた感じ)。萩と尾花がよい風情。
- 母の死に目に会えなかった十兵衛と話す万屋、今宮神社高倉下に茶店セット。
- 十兵衛宅に届けられる母の遺品、走田神社社務所。
- 千弥の報告を聞く屋形船、罧原堤下の桂川か。
- 吉良邸裏門に店を出し見張る前原、材木が慌しく運び込まれる吉良邸は相国寺光源院、「米屋」はセットで、画面切り替えて使ってある。
- 山科の大石寓居イメージ、広沢池北東岸の萱葺。
- 命日には江戸市民の参詣が引きも切らぬ泉岳寺墓地、永観堂墓地。
*母の危篤を知らせてくれる叔父(母の弟)・万屋は美川陽一郎、前原伊助の出店も斡旋してくれる。
脚本/土橋成男 監督/井沢雅彦
第7話 「刺客」 1974.11.14
吉良邸裏門前に店を出した前原伊助は、十兵衛の仕込みで吉良の家来に取り入る。しかし、小林はじめ吉良方の猛者は、「編笠」の影を感じていた。
ロケ地
- 吉良邸裏門、相国寺光源院。前原の米屋はセットだが、光源院門前の道に米櫃や笊など置いて品物越しに門を撮り、「向かいの店」を演出。
- 吉良家家臣・笠原長右ヱ門と十兵衛・前原(米屋五兵衛に変装中)がすれ違う町角、今宮神社東参道。笠原が浪人たちに喧嘩を吹っかけられボコられるのは東門から石橋、境内(露店あしらい)。十兵衛に助けられ、その場を走り去った笠原が床机に倒れ込む茶店は門前茶屋・一和。原作には、神田旅籠町の実家に帰った笠原が通りかかる帰り道、筋違御門を抜け連雀町から鍛冶町あたりへかかったところ、と記されている。ドラマと些か情景が異なるが、連れ込まれボコられるのは白壁町の空地とある。
- 十兵衛宅を襲う、井田の使嗾になる刺客たちのくだり、走田神社。いつものように社叢脇の道と社務所が使われ、刺客は塀を乗り越えたり。道には地蔵と石灯篭があしらわれていて、田地の「はさ木」も映り込む。
- 達之助に昨夜の襲撃の件を話す十兵衛、船着きは広沢池東岸。このあと十兵衛が入ってゆく中根屋敷は相国寺大光明寺。
- 吉良邸に捕らわれた前原を救った千弥のことを話す奥田と十兵衛、広沢池(船上)。あとで、汀に立ち尽くす十兵衛のシーンも出る。
- 山科の大石寓居イメージ、民家門。縁側で菊の鉢をいじる大石はセット撮り。
*何の疑いも持たず恩を受けたことを感謝する笠原青年に、忸怩たる思いを抱く前原。同様の心情は、奥田→一学でも描かれていて、浪士たちは情に惑うが、十兵衛は「小の虫」などと断じ、任務に専心。千弥の投入も躊躇わず、登場人物の誰よりも冷徹で怖い横顔が垣間見える。
脚本/土橋成男 監督/松尾正武
第8話 「出府」 1974.11.21
遂に大石が出府、しかし逸る同志とはろくに会おうともしない。十兵衛は大石の心理を読むが、小林もまた出府の意義を解し、却って激発を招くと暗殺の動きを止めるのだった。
ロケ地
- 大石のもとへ同志の文を届ける飛脚が走る街道、不明(川堤、相当に高い)。届け先の大石寓居、民家門と前畑(大石は畑にいるところを飛脚に「主に届けて」と渡される。この家を、吉良方の隠密が見張っている)。文を読んだ直後、撞木町へ向かう大石、北嵯峨農地竹林際(深草大亀谷と書かれた道標あしらい)。
- 小林がお俊を呼び出す神社、石座神社。小林は石段を登ってゆき、本殿に額づくお俊に声をかける。
- 釣りの安兵衛にボヤく磯貝(日野伝店員に変装中)、大覚寺大沢池堤汀。堤には茶店があしらわれ、「十さん」を捜しにやって来たおたまに言い寄られる一幕あり、木の陰から日野伝のオヤジがやきもきしながら覗いている。どたばたのあと大沢池上に浮かぶ「沖の船」にズーム、屋形船の中では小林とお俊がツナギをとっている、という趣向。
脚本/飛鳥ひろし 監督/松尾正武
第9話 「炎上」 1974.11.28
江戸での大石は、御家再興のため奔走するほか、中根にも会う。用事の間を縫って女に会ったりもするが、運命を見定めた男の逸楽だと、十兵衛は見る。
ロケ地
- 大石を斬りに行こうとした舟津らを阻む小林だが、多仲が出てきて殿の命だと叱られる裏門と続きの塀際、相国寺光源院(舟津らは門を出て北に向かって歩きはじめる)。
- お俊を通して小林から知らせを受けた十兵衛が、舟津らの前に出て牽制する町角、相国寺宗丹稲荷前。
- 船宿・熊野屋へ上がった大石を襲う舟津ら、それを防いだ十兵衛が外に走り出て立ち回りの川端、広沢池東岸。「熊野や」の設定は浅草・諏訪町の大川端。
- 奥田を伴い中根宅へやって来る大石、相国寺大光明寺。屋敷へ入ってくる二人は門内側、屋敷を辞する段では式台玄関が使われる。内部はセット撮り。
- 大石が同志と会合を持つとの情報を、井田へ知らせに走る中間、相国寺湯屋角を西から来て東へ走り抜ける。
- 大石が同志と会うため赴く目黒行人坂下瑞光院、赤山禅院。奥田らがやって来る道は参道、現れた人数と大立ち回りを演じる林は境内西端の池畔林間。大石が入る離れのお堂と周辺はここのものか不明(雲母不動堂と思われるが、暗くて判別困難。お堂の奥に段があって、奥に炎を演出した絵も)。
*千弥と大石の逢瀬に、達之助大いに傷つき。中根に会った大石は柳沢との会見を望むが、叶わず京へ戻る。これを追いかけるかたちで舟津は吉良邸から消える。
脚本/飛鳥ひろし 監督/池広一夫
第10話 「慕情」 1974.12.5
京へ戻った大石を、吉良邸から抜け出した豺狼が狙う。大石を守りに駆けつけた十兵衛は、王城の地において先駆けて散る義士を見る。
ロケ地
- 大石が京へ戻る道、不明(山道、地道)。舟津がゆく道、不明(ススキ原)。十兵衛が京へ向かう道、不明(林道)。
- 奥田から託されていた文を萱野三平に渡す十兵衛、仁和寺金堂前。京の近況を話しつつ二人が歩いてくるのは参道。
- 大石が祇園から山科へ戻る道、北嵯峨竹林か。つけてくる舟津の前に十兵衛が出て、斬らせんと言い捨てる。
- 萱野の父が身請けに来てくれたと三平に告白するおかる、神泉苑法成橋上(夜)。
- 父の勧める仕官と一挙の間で板挟みなことを、十兵衛に相談する三平、仁和寺茶店。十兵衛のアドバイスを噛みしめながら歩く三平、塔前石畳。
- 人数を用意して大石を待ち伏せる舟津、北嵯峨竹林か。
- 十兵衛と達之助が江戸へ戻る道、谷山林道か(両側切り通し)。
*萱野三平は林与一、父は加藤嘉、芸者のおかるは野川由美子。
脚本/土橋成男 監督/池広一夫
第11話 「脱落」 1974.12.12
吉良の隠居が認められたことで、焦る遺臣たち。その動きに危機感を募らせた小林は、浪士を個々に切り崩す策に打って出る。
ロケ地
- 奥田宅を探ってきたお俊が、小林とツナギをとる神社、石座神社。
- 中根邸出入りの際に、達之助と情勢を話し合う十兵衛、相国寺大光明寺。門、式台玄関前庭、塀際など。
- 高田郡兵ヱが元用人・奥村と行き会ってしまう町角、相国寺庫裏前。彼らが乗り込む屋形船は嵐峡か。奥村が小林と会う屋形船も同所か。
- 達之助が郡兵ヱ脱落の報を持って駆け入る十兵衛宅、走田神社社叢脇、社務所。
- たばかられて脱落の憂き目を見た郡兵ヱが悄然と歩く町角、相国寺鐘楼脇。腹を切ろうとするところ、十兵衛に止められるのは宗丹稲荷。
- 内匠頭一周忌に際し墓に詣でる江戸在住の浪士一同、永観堂墓地。
- 多仲の手配で、浪士らに手配かかる北町奉行所、大覚寺大門。
- 吉良方でない刺客が十兵衛を襲う船着き、広沢池東岸。
*高田郡兵ヱは中野誠也、彼をハメる奥村は海老江寛。郡兵ヱを養子に望む叔父は稲葉義男。
脚本/飛鳥ひろし 監督/松尾正武
第12話 「弾圧」 1974.12.19
吉良方の運動で町方が動き、赤穂浪士たちに危機が迫る。裏工作も間に合わず、捕方が江戸在府浪士の要たる奥田宅を包囲したそのとき、中根の御前は禁じ手を使うのだった。
ロケ地
- 中根邸イメージ、相国寺大光明寺門。中根の御前と十兵衛の「ツナギ」のくだり。御大の素振りが見られる。
- おたまが入水の川、広沢池東岸。船着場の小屋あしらい。十兵衛がじゃぶじゃぶ水に入って「救出」。カメラ池の中から。
- おたまの様子を見に行って難に遭った磯貝を自邸に連れ帰る十兵衛、屋敷イメージに走田神社社務所。
- おたまを連れ出し磯貝の心底を告げる十兵衛、広沢池東岸。汀に二人が腰掛ける船と漁具、カメラ東側高所から。
- 捕方を従え出陣する北町奉行、大覚寺大門。
- 奥田宅へ向かった町方を阻止するため、深川へ馬を駆る中根の御前、北嵯峨農地竹林〜大覚寺大沢池畔。
- 町ゆく十兵衛のラストシーン、相国寺大光明寺南路地塀際〜庫裏前(回廊の柱越し、カメラのある南へ歩む)。
*北町奉行は外山高士。父や夫とともに自刃しようとする奥田の娘は小野恵子。
*米沢から新しい付人たちが吉良邸に配備される←山吉新八登場。
脚本/飛鳥ひろし 監督/松尾正武
第13話 「黒幕」 1974.12.26
町方をけしかけた、吉良のうしろにいる筋から、中根の御前にも圧力。そして十兵衛は、吉良邸改築の詳細をつかむため、己が手で我が家を焼き払う。
ロケ地
- 船宿で奥田と会い、大石抜きでもやると息巻くのを聞いたあと十兵衛が物思いつつ歩む町角、今宮神社石橋。
- 焼け跡を前に、妻女と従僕を里へ送り出す十兵衛、酵素河川敷。
- 蕎麦屋で山吉に吉良邸改築を請け負った大工への紹介をとりつけたあと、忸怩たる思いを抱きつつ十兵衛がゆく道、今宮神社境内石畳。
- なだめ役の吉田忠左ヱ門がゆく街道、北嵯峨か。
- 十兵衛宅の普請場、酵素河川敷。
- 吉良家用人をつける十兵衛、京都御所管理事務所北門前(開口部映さず、塀際)。多仲が入ってゆく柳沢邸は事務所東門(十兵衛の編笠越しに見る演出)。
- 謹慎中の中根の御前を息抜きに誘う十兵衛、屋形船は罧原堤下桂川に。宴果てて一人帰る中根を襲う刺客たち、大覚寺大沢池堤。
- 安兵衛入洛の京イメージ、南大門越し東寺塔。
- ラストシーン、十兵衛がゆく町角、京都御所宗像神社脇。
*中根の御前に謹慎を申し渡す若年寄・本多紀伊守は、永田光男。大工・伊兵ヱは村田正雄。
*十兵衛宅の設定、火事があったのは小梅村と語られる。原作設定の中ノ郷とは隣村。
脚本/土橋成男 監督/井沢雅彦
第14話 「潜入」 1975.1.9
無いと思った絵図面の現存を知った十兵衛は、焦る浪士たちのために、大胆にも吉良邸へ潜入。しかし成果は得られず、却って吉良方の報復を招いてしまう。
ロケ地
- 中根邸へ赴く十兵衛に尾行者、相国寺天界橋(西側から側面、行き会う通行人あり)〜法堂前参道(ここで対峙し峰打ち、追い散らす)。中根邸は大光明寺、方丈塀際に祠をあしらい、その陰からお俊が屋敷を窺っているという仕掛け。
- 柳沢を調べに行く十兵衛、屋敷を出てきた用人をつかまえ嫌味をかます門前は、京都御所管理事務所東門。
- 吉良邸裏門、相国寺光源院。新しく迎えた妾が入ったり、千弥が舟津に会いに来たり、いろんな場面で登場する。
- 吉良邸へ絵図面を盗りに入って失敗した磯貝らを逃がす十兵衛、船を出す川端は大覚寺大沢池畔。
- 大石抜きの討ち入りが画策されている、安兵衛が来ている京イメージ、清水寺全景。
- 十兵衛が船をやるラストシーン、大覚寺大沢池。中ほどでも同じ池が使われていて、空間の表現やコントラストが見事。水生浮葉植物もいい感じ。
*吉良の新しい妾は浜木綿子。柳沢の用人は中村錦司。
*十兵衛の発言によると、尾行者は両国橋あたりからつけてきたとあるが、放生「池」の石橋である天界橋では、スケールが小さすぎるかも。
脚本/飛鳥ひろし 監督/松尾正武
第15話 「疑惑」 1975.1.16
十兵衛と中根の御前との協議では、吉良邸間取り図の入手をまって浅野大学への処分が下ることに。急ぐ十兵衛は千弥を送り込むが、そこには敵とも味方ともつかぬ怪しい女が陣取っているのだった。
ロケ地
- 赤穂浪士を襲った付人たちが帰還、金を貰う吉良邸裏門は相国寺光源院。どっと遊里へ繰り出すところ、十兵衛の怒りの刃を受ける夜道は付近か。光源院はこのあと何度も同じ設定で登場する。
- 柳沢の魔手迫る状況を憂えつつ、中根邸への道をゆく十兵衛、大覚寺大沢池畔。
- 吉良の領地へ向かう一学が乗った渡し舟、大覚寺大沢池。船着き場は広沢池西岸葦原、茶店にお俊が待っていて合流。設定は三河湾か。
- 家を移り、倅が医者を開業している奥田宅を訪ねた帰り、自然と足が吉良邸へ向いてしまう十兵衛、相国寺天界橋。このとき、薬売りに化けて見張り中の達之助が井田に見つかり斬られるのは鐘楼脇、通りかかった十兵衛の前にまろび出てくるのは参道植え込み際。達之助を見失った井田は仏殿跡の林間を探し回り。
- 吉良邸を出てくる美苗を尾行する達之助(侍姿)、駕籠抜けを知る路傍の茶店は大覚寺大沢池堤。嘲った駕籠舁きは、凄まれて逃げ出し。
- 柳沢の用人と怪しの浪人が中根襲撃計画について話すのを聞く十兵衛、現場の柳沢邸門前は京都御所管理事務所東門。門の真ん前で、こういうアブナイことを喋らせる設定にびっくり。
- 襲われる中根邸、相国寺大光明寺。立ち回りは、セット撮りの室内から玄関前庭、門前、方丈塀際などへ展開。
*蕎麦屋の常連で、いつも浅野の悪口を言って親爺と喧嘩になる隠居は日高久、今回クレジットあり。
脚本/土橋成男 監督/松尾正武
第16話 「追跡」 1975.1.23
上杉家を通した小林の画策が当たり、吉良に再び柳沢の保護。十兵衛の方は行き詰まり、しかし大石の深謀が姿を見せ始める。
ロケ地
- 遠林寺住職・祐海が隆光に運動のくだり、護持院境内は大覚寺宸殿縁先。
- まだ謹慎中の中根邸から出てくる十兵衛、相国寺大光明寺。追ってきた達之助と道々話す町角は、今宮神社稲荷社前。
- 柳沢邸、門は京都御所管理事務所東門。贅沢な茶室を建設中の庭は阪口青龍苑(築山の上の茶亭、背景に東山の緑)。
- 柳沢の吉良邸訪問に際し、出張ってきた舟津らに難渋する一学のくだり、もうすぐ来る柳沢を迎える用意をしている玄関は相国寺林光院式台玄関、あたふたと行き来する家来衆の背後に門内側もちらり。。舟津らは中仕切りから出てくる。一学の意を受けて引き下がったあと、千両箱をくすねて出て行く舟津と井田は相国寺光源院門。
- 吉良邸の宴果てて帰る柳沢、その駕籠を物盗りに化けて襲ったあと、持たされた金袋を投げ捨てる十兵衛、中ノ島橋。
- 祐海が使命を諦めて去る街道、不明(谷地田沿いか、古い東映作品で頻出のアレ)。
- 美苗のことを奥田と話した帰り、十兵衛がゆく町角、相国寺弁天社前〜鐘楼脇(ここで達之助が来て、大石抜きの動きがあると報告)〜法堂前。
*小林の工作で柳沢と吉良を取り持つ富商・奈良屋茂左ヱ門は見明凡太郎。
脚本/飛鳥ひろし 監督/井沢雅彦
第17話 「献身」 1975.1.30
庇護が戻ったと喜ぶ吉良と用人だが、もちろん糠喜び。中根の御前は遂に将軍に会い、浅野大学への沙汰を促す。あとは絵図面の入手、決死の任務を果たす千弥を助けてくれたのは、あの謎めいた吉良の妾だった。
ロケ地
- 祐海和尚が赤穂へ戻る街道、不明(前回と同所、達之助が張り込んでいる)。このことを十兵衛に報告するのは今宮神社稲荷社前。
- 吉良家用人・多仲が、浅野家の嘆願を排除してくれたことで礼を言いに来る柳沢邸の庭、阪口青龍苑池泉。
- 十兵衛を襲う柳沢差し回しの雇われ浪人たち、大覚寺大沢池堤(設定は柳原土手、俺の獲物は渡さんと舟津が現れて皆殺し、その後通りかかった十兵衛が死屍累々を見る段では、舟津と井田は堤下の茂みに潜む←斬りたいが六人殺ったあとで息切れ・断念)。
- 浅野の遺臣の目的は御家再興だったと周知された、として段取りを協議する中根と十兵衛、中根邸は相国寺大光明寺。
- 美苗が十兵衛に送ってくれるよう頼む夜道、大覚寺大沢池畔←土手は怖い、と舟津らが待ち伏せる場所を回避させる。舟津らは大沢池堤に潜み、待ちぼうけを食らう。
- 中根の謹慎を解かせるべく若年寄・本多紀伊守を訪ねる十兵衛、大覚寺大門。謹慎は解けないが、と別の方法を示唆される。
- 将軍が参詣する寛永寺イメージ、金戒光明寺石段越しに甍。帰途通る街路、立ち寄る相模守邸茶室(中根が待機)、不明。
- 任務のためとはいえ、大勢の人をたばかり操ることに疑問を抱き、沈思しながら町をゆく十兵衛、大覚寺参道石橋。なおゆく町角、今宮神社石橋(たもとに茶店あしらい、柳沢の手の者が町人に化けて十兵衛を窺っている)。
- 浅野家へ、大学への沙汰をもって入る使者、相国寺林光院。十兵衛がゆく町角、今宮神社楼門前。
*かねてより柳沢が飼っていた元お庭番は、五味竜太郎と山口幸生。
*御大、赤穂を「あかお」と発音、シブい。
脚本/飛鳥ひろし 監督/井沢雅彦
第18話 「暴挙」 1975.2.6
大学への沙汰が下ったことで、焦り逸る若者たちは、少人数で吉良の駕籠を襲うという暴挙に出る。あまりにもあからさまで浅はかな思いつきは、必然の結果を呼ぶ。
ロケ地
- 「美苗」の息子を引き取り、母の墓に連れてゆく十兵衛、行く道は金戒光明寺永運院下坂、墓は熊谷堂近くの墓地・健気に合掌する幼児が哀れ。
- 奥田や安兵衛も抜きで吉良を討とうとする、はね上がりたちの会合に向かう磯貝と前原、金戒光明寺東坂下石垣際(角、南西望)。寄り合いが持たれる寺は長安院(遠景のシルエット、中はセット撮り)。
- 磯貝らを止めに急行する十兵衛と奥田、下鴨神社参道(木の間から見上げのアングル、二人を柳沢配下の忍びが見ている)。十兵衛らが襲われる林、糺の森池跡。
- 吉良邸から出た駕籠をつける磯貝たち、斬り込む町角は下鴨神社河合社脇。しかし駕籠はカラで、手配の人数に囲まれ、殺陣は河合社裏手の糺の森へ移動してゆく。
- 大石が京で「円山会議」を開いている頃、江戸の町をゆく十兵衛、金戒光明寺石段(下から見上げ、十兵衛が下りてくる)。
脚本/土橋成男 監督/田中徳三
第19話 「非道」 1975.2.13
遂に大石が立ち、討ち入りは決定事項に。来襲の予感に警備は厳しくなり、赤穂浪士そのものへの襲撃も起こる。そして「支援者」には、さまざまな方面から魔手が伸びる。
ロケ地
- 円山会議イメージ、清水寺全景、「安養寺」は本物の山門か。会議を終えて晴れやかな顔で江戸へ戻る安兵衛、街道は川堤か。
- 付人にハッパをかけた小林に意見をする多仲、大覚寺回廊(吉良邸内)。廊の下にお俊が控えていて、報告を上げる。
- 柳沢邸、京都御所管理事務所東門。邸内はセット撮り。
- 妻を実家に避難させる十兵衛、見ていた浪人が舟津のいる溜まり場に走って帰るシーンは永観堂墓地、背景に多宝塔が映り込んでいる。のちにおさんが連れ込まれる際に「妙光院」と寺名が出てくる。
- 静江が預かり子を遊ばせる町角、今宮神社境内。各所が用いられ、山吉が割って入るシーンは高倉脇坂。ここで、十兵衛が偽名を使っていたことがバレてしまう。原作設定では、市ヶ谷八幡宮。
- 山吉が笠原を連れて「山口どの」の真実を確かめに来るくだり、山根邸は相国寺大光明寺。二人は方丈西塀際に潜み見張る(あしらいものの祠越し)。
- 柳沢の忍びを尾行する十兵衛、下鴨神社泉川畔(煙幕で逃げられかかり)〜河合社脇。突き止める忍者宿はオープンセット。
- 安兵衛が襲われる鈴が森付近、下鴨神社泉川畔。十兵衛が馬を飛ばし駆けつけるのは馬場。
- 江戸在府の同志が会合を持つ、隅田川をゆく屋形船、罧原堤下桂川。
脚本/飛鳥ひろし 監督/松尾正武
第20話 「士魂」 1975.2.20
戦力不足を痛感した小林は、遮二無二腕の立つ者を求めだす。合力を乞う小林の武士道に共感した「達人」は、浅野への情けを訴えた十兵衛の申し出を蹴り、吉良の付人になることを承諾するものの、汚い権力者の影を見せつけられて翻意する。
ロケ地
- 浪士らが会合を持つ屋形船を、柳沢配下の忍びが窺うくだり、罧原堤下桂川。岸辺(罧原堤法面)にいた十兵衛が企みを立ち聞き、浪士らに危機を急報(船に文付きの小柄を投げる橋は映画村セット)。屋形船が着く緑橋付近の岸で待ち伏せる忍びたち、大覚寺大沢池畔(十兵衛が現れて撫で斬り)。
- 忍びのヘッド・黒川が報告を上げる柳沢邸、京都御所管理事務所東門。
- 杉野十平次が夜鷹蕎麦を売りにゆく吉良家裏門、相国寺光源院(吉良邸を見張っていた前原伊助が気付き、正体を確かめるため芝居を打って店へ連れて入る。杉野は引っ込んだ東北から出てきたばかりで、初顔合わせの設定)。
- 杉野が蕎麦の盛りをおごり、井戸水を分けて貰う名目でうまうまと邸内へ侵入するくだり、セット撮りか(門は明瞭に映らず、すぐ門内・邸内の場面に)。
- 静江に頼まれ、留守宅の様子を見に行く十兵衛、走田神社社務所。中に舟津と井田が入り込んで待ち伏せている。
- お俊が小林に武芸者情報でツナギをとる神社、大覚寺天神島。お俊は祠に額づき、小林は鳥居をくぐってやって来る。カメラ池中からか。
- 本所横網町の俵星玄蕃道場、相国寺長得院。小林が訪ねるシーンでは昼で門正面、夜に杉野が蕎麦を売りに来て仕官ネタを仕入れる際は東塀を来て角を曲がり門前へ。
- 俵星に申し出を断られた十兵衛が、物思いつつ帰る道、相国寺庫裏前(回廊の柱越し、北望)。
- 十兵衛が俵星道場に現れたことを報告に走る一学、大覚寺宸殿廊下か。
- 日野伝で仕官の祝い酒を弟子たちと酌み交わし帰る俵星、立ちはだかって勝負を挑む十兵衛は永観堂弁天社前(放生池畔)。柳沢の忍びが現れての立ち回りは林間で。
- 十兵衛がゆく野道、川堤か。
- 主税が間瀬、大石(瀬)らとゆく東海道、木津河原(砂地)。この間、イメージに富士山。
*俵星玄蕃は長門勇、弟子に浜田雄史。
*千弥は千鳥橋に船宿を出させて貰い、おさんはそこの仲居頭におさまる。
脚本/飛鳥ひろし 監督/松尾正武
第21話 「謀略」 1975.2.28
長い忍従の果て荒み、女に逃げる浪士。十兵衛の叱咤で立ち直りかけた男は、小林の企みにより奈落へ落ちてゆく。
ロケ地
- 主税たちがゆく東海道、不明(山道、地道)。
- 主税たちの動きが知らされる中根邸、相国寺大光明寺。門を出てきた十兵衛を追ってきて、今度こそと話す達之助は法堂前。
- 日野伝に姿を見せた井田たちを尾行し、斬り伏せる十兵衛、上賀茂神社奈良社。急を聞いて駆けつける「仲間」は、北神饌所裏を走り抜ける。
*橋本平左ヱ門は長谷川明男、彼と心中する遊女は佐野厚子、柳沢の忍びに暗殺される浅野遺臣の若者は和田一壮。
*十兵衛は遂に井田を斬り、次いで舟津に深手を負わせる。
脚本/飛鳥ひろし 監督/井沢雅彦
第22話 「誠忠」 1975.3.6
一挙間際に参加を許される「誠忠」の士、十兵衛の骨折りが報われる。そして、赤穂浪士と深く関わるほどに、敵が十兵衛を憎む度合も増してゆくのだった。
ロケ地
- 米沢行き嘆願のため多仲が入ってゆく柳沢邸、京都御所管理事務所東門。尾行していた十兵衛が帰りを襲い、柳沢に皮肉をかますエピソード入り。
- 夜道に十兵衛を襲う柳沢の刺客たち、大覚寺大沢池堤。
- 長尾勘右ヱ門が舟津を始末しようとする夜道、下鴨神社河合社脇か。
- 平間村へ向かう大石、不明(谷地田沿いの道、路傍に土壁の小屋あり)。
- 大石江戸入りとの報告をお俊から受ける小林、赤山禅院。ツナギは本殿まわり、小林が物思いつつ帰る道は境内西端「池端」の起伏。
- 大石が墓参に来たところへ帰参嘆願に出る不破数右ヱ門夫婦、金戒光明寺墓地(本堂裏手)。大石の帰り際を襲う刺客は、本堂縁下から出て殺到。彼らを斬り伏せた十兵衛が大石と合流するのは経蔵前。
- 十兵衛が入る中根邸、相国寺大光明寺。
*数右ヱ門の妻女は磯村みどり。
脚本/土橋成男 監督/井沢雅彦
第23話 「陥穽」 1975.3.13
討ち入りについて、具体的な話が進んでゆく。しかし一挙の間際に来て脱落者が相次ぎ、浪士は四十七人となる。
ロケ地
- 泉岳寺墓参の大石を襲った刺客と斬り結ぶ十兵衛、金戒光明寺本堂脇溝。その後町をゆく十兵衛は極楽橋を渡って西へ。
- 十兵衛が奥田らと協議する屋形船、大覚寺大沢池。
- 千弥が舟津を見かけるくだり、門を出てくる舟津、不明(千弥は土手状の「道」からその門を見る運び、「土手」の背景に蔵などちらり)。舟津を尾行する千弥、金戒光明寺永運院下坂。舟津が入ってゆく妙光庵、金戒光明寺長得院(行き倒れの舟津を助けた庵主の寺、設定は浅草)。
- 毛利小平太の情婦が隠れ家を訪ねて来た件を十兵衛にボヤく奥田、大覚寺大沢池堤・水門の傍ら。
- あやめ湯を十兵衛が訪ねた際、見かけて姿を隠しその足で小林に報告を上げにゆくお俊、入る吉良邸裏門は相国寺光源院。
- おゆみに別れを告げ去る小平太、大覚寺大沢池畔・護摩堂前。その後現れたお俊をひっぱたくおゆみ、放生池堤←ここで恋人の正体が赤穂浪士と知らされる。
- おゆみを連れ上方さして旅ゆく小平太、北嵯峨農地。
- 柳沢邸、京都御所管理事務所東門。用人が忍びに十兵衛宅襲撃を示唆。
- 妻を亡くした十兵衛が悲哀を内に秘めつつゆく道、大覚寺大沢池畔。
*毛利小平太は荒谷公之、馴染みの湯女・おゆみは川島育恵。
*小平太のことを十兵衛に頼むのは大高源吾、その大高を茶匠に引き合わせる役を果たす十兵衛母方の叔父さんは万屋(6話で既出)。湯女風呂にはお俊が潜入、小林が部屋に上がる一幕も。
脚本/土橋成男 監督/斎藤武市
第24話 「前夜」 1975.3.20
吉良在邸の日を狙い一旦は決するものの、延期される討ち入り。コントロールに奔走する十兵衛と、鋭い読みで応戦する小林の丁々発止が、水面下で繰り広げられる。
ロケ地
- お俊が小林に浪士の動きについてツナギをとる祠、大覚寺五社明神。
- 口入屋で浅野家へ入る「腰元」のお俊を見かけた千弥が知らせに駆け入る中根屋敷、相国寺大光明寺。千弥は門をくぐり、式台玄関前で達之助が応対。
- 敵方の動きを探っていた十兵衛が、達之助からお俊潜入を知らされる町角、金戒光明寺東坂下石垣角。達之助は禅堂南側の坂から駆け下りてくる。
- 中根の御前が下城、将軍が気まぐれを起こし「その日」に佐竹屋敷へ出かけることを聞かされ、大石に知らせに走る十兵衛、馬を駆る道は相国寺方丈西側路地(南へ向けて走り、すぐにオープンセットにスイッチ)。
- 仲間の浪人が舟津の様子を見に来るくだり、妙光庵は金戒光明寺長得院。部屋を抜け出して左腕で剣を振るい鍛錬する舟津は大覚寺護摩堂前。
- 山田宗偏の四方庵、中山邸通用門。大高が出てくるのを物陰から小林が窺っている。
- 大高が黒川に襲われるところへ介入の十兵衛、相国寺鐘楼裏手碑周辺。黒川を倒した直後に小林が現れて対峙するが、町方が出て水入り。
*山田宗偏は岩田直二、舟津の仲間の浪人・大須賀は黒部進。
*大石が「仇討ちしません」芝居をして届けてきた連判状は、すんなり瑤泉院が見る運びで、お俊は巻物とか狙わず←しかし小林は状況を聞いて「察する」。
脚本/飛鳥ひろし 監督/井沢雅彦
第25話 「討入」 1975.3.27
延期したことが浪士たちに幸いし、討ち入り時の障壁が減る。かたや吉良を守る侍たちは、絶望的な戦いを強いられる。義士たちは思いを遂げ、後事は十兵衛たちに託されるのだった。
ロケ地
- 十兵衛が探りに入る柳沢邸、京都御所管理事務所東門。忍び装束の十兵衛が飛び乗る塀は「村」か。
- 町で見かけた主税を茶店に誘う十兵衛、広沢池東岸(茶店の小屋と床机、船着きあしらい)。
- 討ち入り当日、雪の朝イメージは梅宮大社神苑。
*吉良邸お向かいの、血の気の多い旗本は山岡徹也。助勢しようとして十兵衛に止められる。
*吉良方の「有志」四人の散華が丁寧に描かれるが、表現は各人で温度差あり。
脚本/飛鳥ひろし 監督/松尾正武
第26話 「訣別」 1975.4.3
討ち入り後、浪士の名は騰がり、将軍すら彼らを助命しかねない空気に。もちろんそれは十兵衛や中根の御前のデザインではなく、大石の意向とも違っていた。
全てが決したあと、十兵衛は最後まで残ったしがらみを断ち切り旅の途へ。
ロケ地
- 討ち入り後の年明け、中根邸へ向かう十兵衛、相国寺天界橋〜大光明寺。
- 柳沢に召しだされた荻生徂徠が入ってゆく門、京都御所管理事務所東門。
- 船をおりた十兵衛を襲う柳沢の忍びたち、広沢池東岸。
- 妻女に頼まれ、松平家お預かりの不破に届け物をする十兵衛、相国寺大光明寺南通用門を内側からか(外の松並木が疑問)。
- 切腹した四十七士の早桶が搬入される泉岳寺山門、本法寺仁王門。亡君の傍らに葬られる義士、永観堂墓地。
- 達之助が千弥に求婚しているところを舟津に襲われる川端、広沢池東岸。設定は両国橋を渡ったところの河原。「川」表現の「流れ」は人為か。舟津が置いていった果たし状で指定された「赤羽橋」はセット撮り。
- 「美苗」の遺児とともに旅ゆく十兵衛、大堰川堤か。
*荻生徂徠は原健策、細川越中守は柳沢真一。
*中根の御前たちにすら、十兵衛の妻の死が伏せられていたことが、今回で判明。
脚本/土橋成男 監督/松尾正武
参考文献 池波正太郎著「編笠十兵衛」 新潮文庫
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