お命頂戴!

1981TX 歌舞伎座テレビ/京都映画

キャスト
内藤左門/片岡孝夫 浮雲の七兵衛/ハナ肇 村雨のお紺/新藤恵美 お歌/正司歌江 お京/伊藤さやか 利絵/東山明美 村上兵馬/片岡松之助 徳川家慶/伊吹吾郎


第1話 「変幻葵殺法 最後の哀しき抱擁」 1981.10.7

 奥祐筆・内藤左門に世直しの密命が下る、起こりの話。大御所の周囲に蠢く悪を斬る拝領刀は、大名家へやられた御血筋にも容赦無く振り下ろされる。欲をかいた悪党どもにより、希代の毒婦に仕立てられていた哀れな御後室は、三年前左門のもとを泣く泣く去った愛しい女だった。

姫路城

ロケ地

  • 岩代12万石・丹羽家上屋敷、相国寺林光院。まず門がイメージで出て、後段冷光院が他出の際は門内外が映り、大通院の塀際にアイパッチ左門が立っている趣向。
  • 江戸城イメージ、姫路城天守(堀留越しに天守望)
  • 又十郎ほか有意の藩士たちのアジト、不明(細かい筋が幾つも刻まれた土塀に通用門、斬り捨て御免などでも出たアレ)
  • 冷光院の侍女と又十郎が話す河畔、下鴨神社泉川(人物の背後に切石橋ちらり)
  • 絵馬で七兵衛にツナギをとる左門、今宮神社稲荷社
  • 冷光院を襲う又十郎たち、相国寺法堂前。左門が介入し、七兵衛が赤子の鶴丸ぎみをさらって逃げる。若君の守袋を調べる七兵衛とお紺、不明(祠脇)
  • 事後、岩代藩から出された届を携え廊下をゆく左門、不明(お寺の縁先か)
*先君の遺志を踏み躙る御血筋の現藩主は佐藤仁哉、グルの家老は永井秀明。冷光院は松坂慶子で侍女は黒須薫、冷光院を誤解し憎む又十郎は高峰圭二。
*左門は宴席で芝居を打ち腕を見せつけ用心棒に、なりはアイパッチつけてムシリ頭の着流し浪人。

第2話 「血染めの陰謀絵図」 1981.10.14

 日本地図を異国に売って大儲けを企む一派は、さらに欲をかき蝦夷図を奪い取ろうとする。地道な努力を続けてきた天文方の侍と、彼を待ち続けた家族の哀れさに、成敗の刀は怒りをこめて振り下ろされる。

建仁寺

ロケ地

  • 伊能図を強奪される天文方地誌御用所、大覚寺明智門(中はセット)
  • 江戸城イメージ、姫路城天守
  • 夫の無事を祈り、息子・長太郎を連れてお百度を踏む千勢、建仁寺毘沙門天堂。お参りはお堂、お百度は門前のステップで。転げた長太郎を、通りかかった左門が助ける運びで、この前に左門が歩いている道は建仁寺僧堂前石畳(東望)
  • 対馬屋の番頭が殺し屋に渡す代金を置く祠、大覚寺五社明神(河畔)。七兵衛とお紺が金を取りに来た女をつけると刺客が殺到するのは本殿前。
  • 左門と七兵衛がツナギを取っていると、長太郎が通りかかり「父の遺品」を目ざとく見つける町角、建仁寺三門。長太郎の背後に法堂映り込み。
  • 父の死を知った長太郎が泣きに行く池端、建仁寺洗鉢池畔。
  • 対馬屋が伊能図の売り捌き先を知らせに行く本多刑部邸、大覚寺大門
  • 父の死に心痛め、思い出の場所に佇む長太郎、建仁寺開山堂前石段。
  • 長崎遊学の長太郎を見送る左門たち、渡月橋

*千勢は磯野洋子、長太郎は片岡孝太郎。殺された父は元天文方の侍で、シーボルト事件で獄死した師の遺志を継ぎ蝦夷図を制作。元箱館奉行の本多は早川保(クレジットは本田、劇中表札は本多)。対馬屋は南祐輔、番頭は野上哲也。
*左門は、麹町の御前を探るためお紺の口利きで板前として就職。千勢一家との関わりもこのなりで。


第3話 「人妻慕情の地獄旅」 1981.10.21

 越前・蟹江で起こっているらしい異常事態、左門は将軍の命を受け当地へ赴く。その道中で、さらわれかけていた武家女を助けると、トラブルに巻き込まれ失踪した徒目付の妻女。夫を案じるあまり旅に出た孕み女を待っていたのは、信じられぬ背信だった。

酵素

ロケ地

  • 七兵衛のイカサマ博打に引っ掛かって吊りかける蟹江出身の漁師、広沢池東岸
  • 七兵衛にツナギをとるお紺、絵馬で知らせる祠は今宮神社稲荷社
  • 左門に蟹江行きを命じる将軍、枳殻邸印月池畔。
  • 七兵衛とお紺が連れ立って道中の街道、谷山林道切り通し。丸太が置かれた道も。
  • 旅の武家女を助ける左門、酵素降り口。月江の足を冷やしてやる谷川は清滝
  • 旅籠を襲われ避難した夜の鎮守(?)鳥居本八幡宮(舞殿、広場。ここも襲われる)
  • 月江を保護する蟹江城下はずれの正念寺、西明寺(山門のみ、内部はセット撮り)
  • 蟹江藩国家老・長田主馬邸、大覚寺大門
  • 毒を流され不毛の地となった三郎潟、琵琶湖流入河川河口州
  • 三郎潟で左門に斬りつけた侍が家老邸へ行くルート、大覚寺勅使門橋大門
  • 夜、家老屋敷へ忍び込む七兵衛とお紺、走る堀は大覚寺有栖川河床〜御殿川河床。勅使門橋上を衛士が見回り。
  • 監禁されていた月江のもとに現れ、表へ連れ出し殺害する夫、大覚寺護摩堂。尾行していてここを見張る七兵衛たちの視点は「池」中からのローアングル。
  • 事後、蟹江藩主が帰国の挨拶に来たことを左門に話す将軍、枳殻邸侵雪橋上。

*月江は入江若葉、夫は林成年。徒目付の画策に乗り悪事をはたらく国家老は小笠原弘、強面の配下は出水憲司。やむなく蟹江を出てきた元漁師は北見唯一、左門が事情を聞く蟹江に残った老漁師は岩田直二。
*左門のダンナは渡世人に身をやつし道中。ラスト乗り込み時は大坂商人に化ける。


第4話 「大名殺し悪党列伝」 1981.10.28

 懐の豊かな藩を陥れ、領地替えを狙う老中。難癖つけに使われるのは家宝の軸、江戸へ運ぶ役を振られた国家老の娘の哀れさに、怒りはいや増す。

御室霊場

ロケ地

  • 千恵の駕籠が襲われる裏街道、御室霊場。頂上近くの御堂まわりで立ち回り、別の峰から遠望の絵も。
  • 軸を持って逃げる千恵、走り渡る川は下鴨神社泉川河合社裏から林へ。このあと相国寺法堂基壇を行き、大光明寺南路地から湯屋角へ出たところで悪党に遭遇。
  • 江戸城イメージ、姫路城天守
  • 情婦宅を出た重蔵をつけるお紺、相国寺方丈塀際←角を曲がったところで重蔵は刀を使って塀内にひらりと侵入。ここは向田藩上屋敷設定で、脅して出てくる門は相国寺林光院門、つけてきた藩士を斬るのは下鴨神社河合社脇。
  • 軸を預けられた重蔵の情婦が、阿部老中にそれを届けに行く道(駕籠)大覚寺華道専門学校前(御殿川に尾行の七兵衛)〜勅使門橋〜大門(老中邸)
  • 左門の芝居で軸を奪ったお紺が、外で待つ七兵衛に軸を放る塀、大覚寺大門脇塀。
  • 老中邸を脱出してきた左門とお紺が、船から捨てられた千恵の亡骸を見つける夜の橋、渡月小橋。船は橋下手の湛水域に。
  • 向田藩留守居役が千恵から受け取った軸を老中に届けるくだり、屋敷イメージに民家長屋門(夜景、灯演出)

*千恵は奈三恭子、裏切者だった留守居役は天田俊明、殿様は西園寺章雄。横から軸をかっさらい向田藩を脅すも、情婦に裏切られていた元忍びの小悪党・重蔵は本郷直樹。老中の手先だった情婦は松村康世、老中は西山辰夫。
*左門は老中邸で植木屋に化けて囮をつとめる。


第5話 「孤剣闇を裂く」 1981.11.4

 諸式高騰の抑制策を練り上げた能吏が襲われ、目撃した男は殺される。欲深な悪党どもが、奪った意見書で皮算用の座敷に、拝領刀を引っさげて左門の登場。

枳殻邸

ロケ地

  • 北町奉行の駕籠が襲われる夜道、今宮神社東参道。刺客は東門から出て殺到、目撃してしまう松吉は石橋たもと、逃げるも追いつかれ斬られるのは楼門前。
  • 江戸城イメージ、姫路城天守。左門に北町奉行の様子を聞く将軍、枳殻邸侵雪橋上。
  • 北町奉行所、大覚寺明智門。見張る七兵衛は「対岸」から。出かけた与力・矢吹をつける七兵衛、大覚寺参道〜セットにスイッチしたあと屋形船は広沢池東岸
  • 松吉が言い残した「豆蔵桐」の浪人をつける七兵衛、斬りかかられる夜の橋は中ノ島橋、川に身を躍らせて逃走。
  • 夫・松吉の位牌を抱き、子を連れて入水未遂のお篠、広沢池東岸
  • 悪徳商人の身辺を探る者がいると、黒幕の浦賀奉行に告げに行く矢吹、大覚寺大門
  • 事後、左門を労い施策実施を約する将軍、枳殻邸印月池(鯉に餌やり)

*お篠は葉山葉子、田舎へ引きこもらず亭主の残した店を守るというのがいつもと違って救い。浦賀奉行は永野辰弥、グルの矢吹は遠藤征慈、悪徳札差は山岡徹也で同類の油問屋は北原将光、強面の用心棒は石倉英彦。一命はとりとめるものの責を負い自刃してしまう北町奉行は堀北幸夫。
*左門は特に化けるでもなく、あやめ床に来る町人。


第6話 「隠し金山決死行」 1981.11.11

 寄場から消えた大量の人足は、信玄公のお宝が眠る金山で働かされていた。悪党どもは更なる開発のため、腕っこきの山師・七兵衛を強引に呼び出そうと画策、これが左門のダンナの仕事とリンクする。

大内

ロケ地

  • 仁助の茶店がある道隈、大内辻堂脇、八木道寄りの位置。その先にはゲートがあって、山の霊場へ通じると称し山伏らが通ってゆくが、実は奥に隠し金山という設定。
  • 鉱山、不明(ガレた山肌、植生は松や雑木など多彩。設定は西八代郡。後段では、砕石場跡を養生した感じの「段差」らしきものも映る)
  • 江戸城イメージ、姫路城天守
  • おみよと共に江戸を発つ七兵衛、彼女を待たせて「しるしの絵馬」をひっくり返しに行くくだり、大覚寺参道石橋たもと〜今宮神社稲荷社
  • お紺のカマかけで悪徳商人が駆けつける黒幕の屋敷、大覚寺大門
  • 七兵衛らがゆく街道、大内亀岡道(坂のはじまり付近)。小休止の谷川、保津峡(ここでおみよが、父を人質にされ脅迫されていることを告白)。七兵衛らが勤番侍たちに囲まれる川べり、落合河口(一本橋あしらい)。七兵衛に助勢する山伏は落下岩上に。この間、黒幕たちが金山さして急ぐ山道が出るが不明。
  • 事後、仁助親子に別れを告げる七兵衛、大内辻堂前。彼らを眺めやる左門のダンナは亀岡道の坂上から。辻堂からズームアウトする趣向。

*山師・七兵衛の相棒だった仁助は梅野泰靖、娘のおみよは日高久美子。黒幕の勘定奉行は須永克彦、隠し金山を仕切る現場監督の組頭は五味龍太郎。
*被害者生存率の低いシリーズだが、今回は毒殺されかかったり、坑道に発破かけられたりといつもよりやられ方がひどいものの、落命する者は出ず。
*左門は山伏に化けて入る。坑道を爆破され埋まった七兵衛に、陣貝の音で呼びかけるシーンも。


第7話 「父娘血涙の拷問蔵」 1981.11.18

 金座から五千両盗った賊は、献上白魚の荷札を掲げて町方をやり過ごす。のちに魚屋が捕えられてしまうが、もちろん冤罪。裏には、金と利権漁りの悪党どもがわんさと群れていた。

大覚寺

ロケ地

  • 両替商の使いに化けて金座役人に祝い酒を渡す音羽屋の番頭、随心院長屋門。その後賊が押し入るのは随心院拝観口から、蔵は大覚寺蔵
  • 金箱を積んだ荷駄に献上札を押し立てて渡る一石橋、中ノ島橋。見回りの町方が誰何するが、言いくるめて通過。
  • 金座の現場に落ちていた富札で一味の錠前師を見つけるくだり、当たり番号が張り出される回向院境内は神護寺毘沙門堂脇。見張るお紺と七兵衛は後生車の陰に。
  • 父を案じ町奉行所に掛け合うも門前払いを食う三洲屋の娘、大覚寺明智門
  • お紺の手配で牢の父に会うも、一味の与力に追い払われ意気消沈して出てきた娘の前に出る左門、大覚寺護摩堂前。
  • 夜、大垣屋に忍ぶも見つかり逃げるお紺、七兵衛の出す船は広沢池東岸、沖に屋形船が浮いていて中では黒幕らが密談中。
  • 父を案じお百度を踏む娘、今宮神社境内。同刻、父は鬼与力に責め殺され。
  • 大垣屋をつける虚無僧姿の左門、入ってゆく西の丸御留守居役邸は大覚寺大門

*三洲屋は柳川清、娘は瞳順子、恋人の峰吉は大竹修造。三洲屋の地位と漁場を狙う大垣屋は外山高士、腹心の番頭は笹吾朗、用心棒は千葉敏郎。黒幕の御前は中村錦司、グルの町奉行所与力は綾川香。
*左門は人足に化けて大垣屋に潜入、話し言葉は時代劇おきまりの田舎訛り。


第8話 「喧嘩商売居合斬り」 1981.11.25

 重職を狙う大目付は、腹心を使い旗本の部屋住み連中を利用する。町で暴れる荒くれどもを、喧嘩屋左近と称する浪人がやっつけるが、それは奥祐筆の仮の姿なのだった。

今宮神社

ロケ地

  • 七兵衛が合図の札を見る神社、今宮神社稲荷社
  • 旗本連が入ってゆく目付・後藤邸、不明(前に狭間を見せた築地塀)
  • 旗本連が下城途中の若年寄を狙う天神の森、下鴨神社。駕籠は参道を来て、河合社脇で立ち塞がれる。再度の襲撃も同所。
  • 後藤が注進に入る大目付・堀田邸、不明。
  • 七兵衛が若年寄の駕籠を芝居で迂回させる森、下鴨神社か(低い石積と林)

*結局最後に消される後藤は西沢利明、堀田は山口幸生。若年寄は堀内一市。
*左門は長屋に住まい、「喧嘩屋商売」の看板を上げて髭ぼうぼうの浪人に。両刀は朱鞘と凝っているが、若年寄も大目付も顔見て「ん?どこかで」が大笑い。もちろん髭は全く似合っていない。


第9話 「女ひとり涙の墓標」 1981.12.2

 隠密が最後の力を振り絞って残したアイテムは、左門たちを悪党のもとに導く。辿り付いた沼津では、別口の里隠れが、主への忠節を尽くそうとしていた。

金戒光明寺

ロケ地

  • 虚無僧に化けた隠密を追う浪人たち、金戒光明寺石段上。石段下を西から東へ虚無僧が通り過ぎる。虚無僧が押し包まれ斬られるのは三門。
  • 瀕死の虚無僧が薬籠を投じる目安箱(評定所前)東本願寺内事門
  • 沼津さして街道をゆくお紺と七兵衛、北嵯峨農地畦道。虚無僧姿の左門がゆく道は竹林際か。設定は小田原を過ぎたあたり。
  • 沼津の海浜、竹野浜(砂浜、岩場。奇勝も数々)
  • 沼津藩国家老邸、相国寺長得院。ここへ忍び露見、負傷した「竿師」を助け起こして逃がし、追っ手を斬り伏せる左門、境内路地。
  • 死んだ里隠れが葬られた塚、犬ヶ岬を望む丘。

*沼津の里隠れだった竿師の親爺は早川雄三、何も知らず嘆きをみる娘は三浦リカ。国家老は藤沢薫、抜け荷をはたらく悪徳商人は小田部通麿、江戸への運搬に手を貸す七里役人は武周暢、用心棒は丘路千。
*老中・出羽守の隠密だった御小人目付が虚無僧のなりをしていたので、左門も虚無僧に。天蓋をとったらちゃんと切り下げ髪。


第10話 「影を操る極悪人」 1981.12.9

 相次ぐ幕閣襲撃、大御所付きの元老中は左門を呼びつけ、皮肉たっぷりに事態の収拾を要請するが、タヌキおやじのマッチポンプ。彼は、二十年前改易となった藩に仕えていた影の者たちを使嗾し、ヤバい計画を立てていた。

竹中稲荷

ロケ地

  • 大目付の駕籠が襲われる道、下鴨神社河合社脇。立ち回りは社裏手の糺の森で。
  • 江戸城イメージ、姫路城天守。左門が西の丸に呼びつけられるくだりで出る。
  • お紺が昔を懐かしんで参る稲荷、吉田神社竹中稲荷参道〜本殿。ここでお加代とばったり会い、大野屋へ誘われる。その帰り道、お紺を送ってきたお加代と別れると、七兵衛が出てくる境内は舞殿脇。
  • かつて掛川藩で闇の仕事をつとめた「影一族」が寄り合いを持つ荒れ寺・向島妙源寺、相国寺光源院門。植え込み越しにお紺たちが見張っている。
  • 堀田大和守邸、大覚寺大門
  • 墓参帰りのお加代に、お供をしてきた番頭がお紺と自分とどちらを信じるか問うくだり、金戒光明寺極楽橋〜経蔵脇、石段。
  • 墓参のお加代に声をかけるお紺、金戒光明寺墓地。番頭が迎えにやって来て、お紺は彼の手に怪しの傷を見つける。
  • 大野屋から運び出した金箱をアジトに運び込む「影の一族」、相国寺光源院門。金のほか大量の火薬もしまってあるのは鐘楼、上部映さず。

*早くに江戸へ出ていた影の一族の長・大野屋利兵衛は内田稔、娘のお加代は佐藤万理。むかしお紺と同じ長屋に住んでいた設定。大野屋番頭で一族の三郎太は有光豊、アジトの寺の和尚は山村弘三。亡君の恨みを晴らすとして影の一族を追い使う、元掛川藩家老は玉生司郎、大御所にくっつき捲土重来をはかる元老中・堀田大和守は溝田繁で用人頭は出水憲司。
*江戸の各所を爆破して、幕閣を一人二人と殺るよりはコレが、と物騒な計画を地図にマーキングしているところを七兵衛に爆破される間抜けな運びで、床下の気配に気付き何か匂うぞ・危ない!と言うが早いかドッカンのタイミングが大笑い・影の一族一巻の終わり。
*左門の変装は格段の趣向なく、いつもの町人姿。


第11話 「仇討無情なみだ橋」 1981.12.16

 病も怪我もおして町飛脚普及に邁進する男には訳あり、左門の直感通り夫婦は大きな秘密を抱えていた。事態が明るいほうへ向かおうとしたとき、欲得ずくの汚い手が道を永遠に塞ぎ、左門たちは怒りのままに悪を斬る。

流れ橋

ロケ地

  • 町飛脚開業願いについて左門と協議する将軍、お城イメージに姫路城天守
  • 飛脚を代行した左門が襲われる夜道、相国寺鐘楼裏手塀際(鐘楼は映らず)
  • 左門とお紺がツナギの最中、行き倒れの女を拾う神社、わら天神。雨傘をさしてツナギの二人は本殿裏手、綾が倒れるのは本殿前石畳。その後、綾が一人で祈りに来る神社は本殿。
  • 相馬屋が須坂藩家老に町飛脚の件でとりなしを頼みに来る段、イメージの藩邸門は相国寺大光明寺(ローアングル)
  • 妹とその婿の遺骨を抱いて江戸を去る綾、流れ橋上。立ち止まり、仇討免状を破り川に流す。橋桁がかなり波打っている。

*夫の仇を求め、長旅のすえ江戸に辿り着いた綾は服部妙子。親友だった綾の夫を宴席で斬ってしまった元須坂藩士は剣持伴紀、町飛脚に燃える。その妻は下村節子、綾の妹。町飛脚の権利を一手にしようとはかる口入屋・相馬屋は堀内一市、これに通じる須坂藩家老は永野辰弥、腹心は大木吾郎。
*事後、町飛脚の必要性が解って良かったと述懐する将軍のシーン、尺足りなかった感じでバツっと終わる。
*話の成り行き上、左門は飛脚になるが、変装とは言えないかも。


第12話 「女賊恨みの闇将軍」 1981.12.23

 お紺の名を騙った賊が出るが、果たして足を洗った筈の仲間。哀れな元女賊は、こき使われ弄ばれたすえ、愛しい亭主ともども殺されてしまう。彼女を脅し操っていたのは、左門の「任務」の的たる外道どもだった。

大光明寺

ロケ地

  • 書物奉行邸に入った賊のことを将軍に話す左門、枳殻邸印月池畔。
  • あやめ床で女賊の噂を開陳した男が、お紺の動揺ぶりを報告する火盗改役宅、相国寺大光明寺石庭
  • 白狐面の女賊が入る屋敷、相国寺林光院(門を遠望)。見つかり逃げるさなか、お紺が立ちはだかる。
  • 西ノ丸老中邸へ、罪状帖の入手をせっつきに来る大奥中臈、お供が待っている玄関は相国寺林光院式台玄関
  • 父・大御所が罪状帖を見たら、と顔を曇らせる将軍、枳殻邸侵雪橋
  • お紺捕縛を知らせる、七兵衛の緊急連絡札を見つける左門、今宮神社稲荷社
  • 奥祐筆として火盗改に赴く左門、駕籠が入ってゆくシーンは相国寺大光明寺門〜式台玄関。中間のなりをした七兵衛がついてきている。
  • 左門のかましたはったりで狙われる書物奉行邸、相国寺林光院門。お蝶が侵入する場面はセット撮り。
  • 左門が化けた賊の指定で、罪状帖と金を引替えの「鳥居八幡」、鳥居本八幡宮。石鳥居前に朱の鳥居が二基あしらってある。金箱を置いて待つ火盗改は舞殿、本殿から左門のダンナが出てきて大立ち回り。お紺し七兵衛の立ち回りは広場で。

*三年前「寿退職」した元お紺の手下の女賊・お蝶は長谷直美、彼女を賊と承知で一緒になった亭主は石倉英彦。お蝶を脅し追い使う火盗同心は小林勝彦、黒幕の西ノ丸老中は須永克彦、大奥中臈は山口奈美。お紺を捕える岡っ引は重久剛一。
*大御所の容態が思わしくなく、逝去後の粛清を恐れた「西ノ丸」関係の悪党どもが、他ならぬ左門の書き上げた「罪状帖」を狙う運び。
*女賊から罪状帖を取り上げたとして火盗改に取引を持ちかける「竜巻小僧」が左門の変装、ちゃんと盗っ人被り。


第13話 「左門殺し屋変化」 1981.12.30

 役人とズブズブでやりたい放題のヤクザは、身内にも容赦ない外道。ここに草鞋を脱ぐ腕の立つ旅人は、もちろん左門の変装。ころっと騙された親分は、用心深い黒幕の屋敷に左門を導いてくれるのだった。

ロケ地

  • 父を政五郎一家に殺された娘が訴状を入れにゆく評定所門前、東本願寺内事門(門前に目安箱設置、橋の映るアングルも)。娘のナレーションで語られる、死罪にもならず三年で釈放される殺害実行犯のくだり、伝馬町の牢を出て迎えの駕籠に乗り込む銀次は大覚寺明智門、娘が待ち伏せて切りつけるも失敗し当て落とされるのは大覚寺参道石橋たもと。娘の死体が上がる水辺、大覚寺大沢池汀・水門そば。
  • 屋形船から政五郎に指示を出す黒幕、広沢池観音島護岸に船横付け。
  • 北町与力に次の的を示す黒幕、屋形船は広沢池東岸に舫い。並木の陰から七兵衛が見ている。
  • 七兵衛が船宿を聞き込みに回るくだり、広沢池東岸に船宿の入口設置。
  • 長門屋の若旦那がデート中にさらわれる橋、大覚寺天神島朱橋
  • 身代金受け渡しの妙法寺池の端、大覚寺大沢池畔。七兵衛が長門屋に扮し、左門に「殺され」池にドボン。
  • 黒幕の勘定吟味役屋敷、林光院か。
  • 江戸城イメージ、姫路城天守

*政五郎は近藤宏、騙されて使われていた銀次は沖田駿一。勘定奉行狙いの黒幕は牧冬吉、取り入る悪徳商人は若宮隆三、便宜供与の北町与力は柳原九仁夫。左門が目をかけ更生させる一家の下っ端は大橋壮太。
*左門の変装はムシリ頭に着流し。銀次が大事にしている猫を放る手つきが見もの。


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