必殺仕事人2010

2010.7.10テレビ朝日/松竹

キャスト
渡辺小五郎/東山紀之 経師屋の涼次/松岡昌宏 仕立て屋の匳/田中聖 如月/谷村美月 結城新之助(南町同心)/田口浩正 坂本勘助(南町筆頭同心)/宇梶剛士 渡辺こう/野際陽子 渡辺ふく/中越典子 童山(カルタの力)/内藤剛志 風間右京之助(勘定吟味役)/小澤征悦 お咲(陣吉妹)/前田亜季 陣吉(錺職)/猪野学 椿弥一郎(普請組頭)/木下ほうか 結城はつ(結城妻女)/久保田麻希 上州屋/赤塚真人 酒巻勘解由(普請奉行)/本田博太郎 霧島(大奥年寄)/かたせ梨乃 沢木丹波守(老中筆頭)/津川雅彦 花御殿のお菊/和久井映見 中村主水/藤田まこと

監督/石原興


 憎まれることも厭わず「改革」を推し進める気鋭の官僚は、二つ名を用いて青臭い「活動」もしていたが、偽善者に都合のいいバランスは続かない。泣かされた民の怨嗟と、裏切られた者の恨みと、二重の依頼に仕事人たちが動く。
生まれ出でた新しい命に対するとまどいは、奇しくも的と殺し屋を交差させる。

本法寺

ロケ地

  • 殺しを見られて以来家にも戻れずにいた匳、お菊に飯を貰う縁下は本法寺本堂縁下の亀腹脇。小五郎がやって来るのは回廊下から。
  • 江戸城イメージ、姫路城天守。勘定吟味役の風間が苛烈な「仕分け」を言い渡す「執務室」は金戒光明寺方丈座敷。
  • 上州屋が差配する御狩場の普請場、「大仏開眼」セットが組まれた丘か。
  • 大奥御年寄・霧島が老中を呼びつけ、経費削減について苦言を呈する野点の席、金戒光明寺方丈前庭
  • 落ちぶれて飯泥棒をはたらいていた涼次が、幼女の依頼を聞き届けるくだり、美山民家群と町内民家および周辺田畔。設定は詳らかでないが、田舎の農家。
  • 勘定吟味役・風間右京乃助邸、大覚寺明智門。拝領の品を質入れする段では、明智陣屋前の蔵がイメージとして挿入される。涼次が張り付くシーンでは、門を出た駕籠を「対岸」から見るシーンも。
  • 風間が「柿本」名義で炊き出しをする「寺」、松竹セット(門)大覚寺五社明神を併用。ここへ荷を運んできた如月が腰掛けるのは舞殿。後段、武家殺しについて陣吉を問い詰める柿本のダンナのシーンでは、池畔から本殿を見るアングルも。
  • 炊き出しの寺で如月を見た涼次が、彼女を引っ張ってゆき「消えろ」と命じる水辺、中ノ島橋下背割上。
  • 武家殺しをはたらく陣吉たち、大覚寺護摩堂裏手(夜間)
  • 老中・沢木丹波守邸、大覚寺大門。風間が老中を始末に来る段では、大門越しに式台玄関を望む図も。
  • 丹波守始末の次第を霧島に報告する風間、二人が会う寺のイメージに仁和寺本坊表門大覚寺諸堂甍、本法寺開山堂(西面にお供が控える)
  • 霧島の使嗾で普請奉行と会う風間、屋形船は広沢池観音島に繋留。
  • お咲が御狩場へ使いに出てすぐ、炊き出しの寺で毒を盛られた人々が苦しみだしたあと、お咲の安否を確かめに走る如月、大覚寺放生池堤
  • 風間の子を身籠ったまま死んだお咲の死体が見つかる川端、桂川右岸河川敷・罧原堰堤下中州合流点汀。
  • 事後、伊勢参り一行に紛れ江戸を離れる如月を見送る涼次、大覚寺大沢池北辺並木、心経宝塔映り込み。

金戒光明寺

 「中村主水に捧ぐ」、とシリーズの顔への献辞が冒頭に掲げられた本作は、殺しのシーンからはじまるが、仕事人は小五郎と匳の二人。涼次は旅の空から戻ってくるものの、八丁堀は「西のほうへ」配属替えで役宅も引き払い、せんりつも出てこない。主のいない家の障子には挨拶の書置が貼られていて、名札付きの十手が差してある。どういった経緯か詳しく描かず、各所にうるっと来させる仕掛けを施してあり、役者も沈痛な面持ちを垣間見せる。

 不穏な情勢下、町では「お札参り」と称する群参現象が起き、身を隠さねばならなくなった匳がこれに紛れる趣向。後段、匳入りの舞踊集団が、対峙する小五郎と風間の間に割って入り緊張を解く場面が出てくる。ラップと「パラパー」の競演が傑作。

 頼み人は、涼次が見た田舎の幼女と、友を殺された如月の二人。如月は涼次の稼業を察しており、恨みを散じたあと江戸を売る。仕事の承諾自体はお菊が受ける。

 仕事人たちを脅かす存在だった、風間をガードしていた謎の男は、雇い主だった老中を殺され、小五郎たちとともに仕置に参加する運び。元は流しの仕事人で得物はカルタ、お菊とは旧知の間柄。

 小五郎の妻の懐妊騒ぎは、ラストの渡辺家コントでオチ。

 風間を仕置する小五郎のシーンは、セットの床に水を浅く流して撮ってあり、通常のものより派手。「河床波」にライトが当たってきれいだが凄味があり、「隠亡堀」みたいでもある。


参考  →必殺仕事人2009


・日記目次 ・ロケ地探訪 ・ロケ地探訪テキスト版目次 ・ロケ地一覧
・時代劇の風景トップ  ・サイトトップ