溝口健二監督作品 1955.9.21大映
キャスト
平清盛/市川雷蔵 時子/久我美子 時忠/林成年 泰子/木暮実千代 平忠盛/大矢市次郎 伴卜/進藤英太郎 大工助家貞/菅井一郎 左大臣頼長/千田是也 白河上皇/柳永二郎 藤原時信/石黒達也 叡山僧/羅門光三郎、澤村国太郎、杉山昌三九、荒木忍
原作/吉川英治 撮影/宮川一夫
貴族や寺社の恣意で経済が悪化するなか、武士の台頭を見る保延三年の京。白河院と格別な繋がりを持つ平氏の棟梁・忠盛は、遂に昇殿を果たすが、反発する公家や、荘園を取られたと恨む法師らは、平氏を潰しにかかる。引責するかたちでの父の死を見た嫡男・平太清盛は、己が身に通う血を当てにせずただ一人の力で運命を切り開くと言い放ち、荒法師が繰り出す神輿を射抜くのだった。
ロケ地
- 市の立つ町中、本法寺境内に掘立小屋等多数あしらい。位置は本堂の南で、奥に仁王門と多宝塔が見えている。裏千家のビルはまだ建っていない感じ。忠盛が海賊を平らげて凱旋と声が上がり、群衆がどっと駆けてゆき場面は大路にスイッチ、四脚門など見える街路はセットか。法師らが神輿を戴いて入ってくる門は仁和寺中門。行く手は先の大路で、忠盛は馬からおりて礼をとる。
- 恩賞も貰えず上皇の御所を下がってくる忠盛、大覚寺宸殿前に囲いを設置か。
- 平忠盛邸、野原に土塀や屋敷をセットか。奥に竹林。
- 父の命で馬を売り酒を買いにゆく清盛、馬市は本法寺境内にセット。先に出た市とあしらいもの等変えてある。酒は郎党を労う宴のためのもの。
- 屋敷内の畑を耕す清盛、石舞台のような巌盤の裾で鍬を振るう。ここへ母・泰子が遊び歩いて帰ってくる次第。
- 藤原時信邸へ使いにゆく清盛、邸内や門外はセット(野外か、竹林が見える)。時子が染めた糸を洗う水場は、まるい輪を嵌めた泉に拵えてあり、後段これを偲ぶ際に「水薬師の庭」と言っている。博打のための鶏を持ち出した時子の弟・時忠と出向く市は本法寺、ここで友人から商人・伴卜を紹介され、「祇園女御」の逸話を知ることに。
- 焼けた加賀・白山寺、セットか。
- 宮中・宸殿、セットか。叡山僧が帝に白山寺の件で強訴のシーン。
- 時忠が法師らと事を構えてしまう祭りの境内、上賀茂神社二の鳥居前〜境内。祭りの踊りは、今宮さんのやすらい祭のそれに似る。
- 続々と法師らが集まる叡山、山中の林は不明。これに先立って映る、湖面イメージは安土の山から見下ろした西の湖か。イメージに挿入される鐘楼、演説がぶたれるお堂等不明。
- 神輿を仕立てて山を下りた法師らが気勢を上げる日吉大社境内、日吉大社東本宮。神輿が出たところへ立ちはだかり、輿に矢を射込む清盛のシーンは楼門前。
- 忠盛の墓に参り、報告と決意を述べる清盛、不明(宝筐印塔や草庵が見える)。
- 藤三位を饗応する、白拍子宿の女主に戻っている母を見る清盛、不明(丘陵の草地)。
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