1991.3.19ABC/松竹
キャスト
奈津/佐久間良子 奈津(少女時代)/富田靖子 尾形乾山/岸辺一徳 宗謙/伊藤孝雄 多代/姿晴香 藤三郎/長谷川明男 友造/佐川満男 竹屋孝三郎/石丸謙次郎 儀助/沼田爆 一樹院/草笛光子 お美乃/戸川京子 市之丞/菊地健一郎 お増/三好美智子 お久/高沢順子 お佐和/神崎愛 尾形光琳/藤竜也
ナレーター/市原悦子 原作/鳥越碧 制作/山内久司(ABC) 脚本/野上龍雄 撮影/石原興 監督/蔵原惟膳
希代の芸術家を愛した女の心の機微を、しっとりと描くドラマ。
東福門院の庇護を受け繁盛する、京の呉服屋・雁金屋へ奉公に来た「血筋」の少女は、主の三人の息子たちときょうだいのように育つ。
一旦は嫁に出るものの戻り、店を切り盛りするようになる奈津だが、充実した幸福な暮らしは長く続かず、光琳が嫁を娶ったことで心は折れてしまう。
しかし「市さま」が苦心惨憺のすえ描きあげた絵を真っ先に見る栄誉は、奈津に与えられるのだった。
ロケ地
- 京・紫野の奈津宅へやって来る多代、稽古帰りの娘たちとすれ違うのは直指庵本堂前の坂。
- 川に入り懊悩するスケッチ中の光琳、上賀茂神社ならの小川。多代に相談を持ちかけられて様子を見に来た奈津は水場に。
- 奈津の激励を受け描きはじめる光琳、屋敷イメージに叶匠壽庵寿長生の郷長屋門。ここから回想のかたちとなり、絵が完成したラストのシークエンスとでお話を挟む作り。
- 雁金屋の蔵、大覚寺蔵。お美乃が奈津に閉じ込められたと虚言するくだりで出る(原作設定では、雁金屋があったのは中立売小川)。
- 奈津を庇って母に疎まれ、家を飛び出す市之丞(光琳の幼名)、捜しに出た奈津が見つけるのは北野天満宮本殿脇〜摂社(原作設定では、雁金屋近くの寿命院境内)。
- 西京村のお久の家、叶匠壽庵寿長生の郷・郷の家。
- 大文字送り火、本物。長兄・藤三郎に無体を仕掛けられ、雁金屋を出る決意をするくだり。
- 関白邸から出た火事で上立売も危ないと聞き、婚家・竹屋を置いて駆けつける奈津、光琳が炎を写し取る火事場はセットで、雁金屋一同が避難している正行寺は妙顕寺、御料人はんのお佐和が奈津を見つけて手を差し出すのは三菩薩堂。
- お佐和が亡くなったと語られたあとに出る精霊流しの川、上賀茂神社ならの小川。
- 女を孕ませたと相談を持ちかけられた奈津が、光琳を伴い訪れるお久の家、叶匠壽庵寿長生の郷・郷の家。雪景で、熊笹の茂みも雪化粧。
- 雁金屋に居辛くなった奈津に宛がわれる鷹峯の屋敷、直指庵道場と小柴垣。
- 光琳が所帯を持ったと聞いた奈津が覗きにゆく屋敷、中山邸通用門。奈津は参道の木の陰から夫婦と赤子を見る。
*原作は第一回時代小説大賞を受賞、これによるドラマ化。
参考文献 雁金屋草紙 鳥越碧著 講談社文庫 ISBN4-06-185490-9
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