江戸の用心棒

1981年4〜9月、フジ/映像京都/東宝

キャスト
青江又八郎/古谷一行 米坂八内/田中健 細谷源太夫/夏木勲
由亀/中井貴恵 あぐり(細谷妻女)/服部妙子 又八郎祖母/三宅邦子
長屋おかみ/三島ゆり子 おいね(近江屋下女)/桐原五月
近江屋吉蔵/笑福亭仁鶴


第1話 「三人の命知らず」 1981/4/2

 殿様を害する企みを知った若者が、奇異な経緯を経て江戸で用心棒稼業に就くに至る、起こりの話。浪人仲間ができて口入屋を紹介してもらい、糊口をしのげると思った又八郎だが、どうしてけっこう骨は折れるのだった。

渡月橋

ロケ地

  • 「舅」を斬って出羽・高澤藩を退転する又八郎がゆく雪原、不明。
  • 三ヵ月後の江戸、イメージに渡月橋(上流側から側面)中ノ島橋(橋上に行き交う人々をあしらい)。町なみはセットにスイッチ。
  • 浪人改めを避け、橋下の苫屋に潜む又八郎、中ノ島橋(「苫屋」はセット撮り)。同じく隠れていた細谷と出会い、もう一人の米坂は橋上で捕り方と大立ち回りを演じる(何人かは川にドボン)
  • 近江屋が掛取りに行く鉄砲洲の浅野家上屋敷、相国寺大光明寺門。
  • 小判を掴んで近江屋から出奔した男が賊に詰め寄られ刺される堀端、渡月小橋下手右岸河川敷。その男と恋仲だった下女が洗い物をしているところへ声を掛け事情を聞く又八郎、渡月小橋下川端(右岸側、南詰石段下)。下女の回想、近江屋を脅しに現れた昔仲間の賊、今宮神社合祀摂社(設定は、用事の途中立ち寄った亀戸天神。稲荷社の玉垣も映り込む)
  • 近江屋に押し入った賊を退治し、役人の取調べも終え引き上げてきた三人が別れる町角、今宮神社東門(かざりや脇の路地を南から現れる)

ゲスト
岡田英次、木村理恵、渥美国泰、江幡高志


第2話 「ある仇討ち」 1981/4/9

 近江屋を通じて来た、仇討ちヘルプ話。依頼者の体たらくを見て三人とも引いてしまうが、けなげな献身は無駄に終わらない。助太刀を躊躇する又八郎が、仇持ちゆえと皆に知れるエピソードも入れてある。

大沢池堤

ロケ地

  • なけなしの金で米を買って帰り、平沼の甥に斬りかかられる又八郎、大覚寺天神島。大木の根上がりを利用したローアングルが迫力。米袋は地におちてパァ。
  • 助太刀依頼の大滝が、又八郎を追いかけてきて当の仇・寺内に出くわす町角、大覚寺五社明神。又八郎に助けられたあと、土下座して助太刀を乞うのは大覚寺護摩堂脇。又八郎に身の上を告白する大滝、大覚寺大沢池堤法面(池側の汀)
  • 寺内とその取り巻きが露天商に無体をはたらく町角、下鴨神社紅葉橋たもと。細谷と米坂がもう斬るつもりで寺内らのあとを追うのは河合社脇(北東角の塀際に又八郎がいて、二人を止める)。このあと細谷らは近江屋にがみがみ叱られ。
  • 大滝に訓練を施そうとする三人、下鴨神社泉川畔。
  • 女の武器を用いて又八郎を動かそうとする大滝の妹、桂川河川敷か。
  • 寺内のいる一家に向かう大滝の妹、今宮神社石橋。
  • 大滝の妹の塚、広沢池西岸葦原。
  • 大滝が三人の介添えで仇を討ち果たす回向院裏、下鴨神社池跡。
  • 帰参叶い国へ帰る大滝を見送る又八郎、嵐山自転車道

ゲスト
高橋長英、鈴鹿景子、宮口二朗、下塚誠


第3話 「娘が消えた」 1981/4/16

 大店の娘の稽古事の送迎が、又八郎に回ってくる。会うが早いか剣突を食らわすおきゃんな娘は、出先でちゃっかり男と睦むが、それがもとで物騒な向きに狙われていたのだった。

金戒光明寺

ロケ地

  • 江戸イメージ、渡月橋側面・上流側から(第1話と同じ)
  • 依頼者の清水屋の庭、不明(流水庭園、東山か)
  • 用心棒を渋々承知した清水屋の娘・おようが稽古に出るくだり、離れて歩けと命じられた又八郎がついてゆく道、今宮神社石橋渡月小橋。見失うのは金戒光明寺永運院前、捜して走り回りウロウロするのは永運院下坂、鐘楼脇石段を駆け下りると、長安院下坂の塀に凭れたおようがこっちを見ている次第。
  • おようが三味の稽古をしている間、暇を持て余した又八郎が米坂の出入りする賭場へ赴くくだり、賭場が開かれている蒼龍寺の崩れ塀や「境内」は不明、米坂を呼び出して話す墓地は永観堂墓地。
  • 他日、おようを送って帰る道で米坂の茶々が入り見失うくだり、おように泣かれたあと物思いつつ又八郎が歩む町角は金戒光明寺鐘楼脇(石段下から見上げ、背景に禅堂の甍が来ている)。鐘楼脇の坂を駆け上がってきた米坂が、又八郎に追いつくのは参道石段上、ここで町方に囲まれるが二人で言い抜け、米坂が去ったあとおようのいないのに気付くのは石段下、捜し回る又八郎は長安院下坂でウロウロ。日暮れてしまうイメージは鐘楼。又八郎がおようを捜し走り回る街道筋、日暮れや夜更けの「土手」道は桂川・松尾橋下手右岸堤(見上げ、葉を落とした木立ちが続く)
  • おようと恋人を監禁していた一味の男の回想、金貸し殺しの現場を見たデート中の二人、桂川・松尾橋下手右岸堤(夕景仕立て)
  • おようたちを救出し戻る道で「一味」に囲まれる夜道、民家南塀際

ゲスト
相原友子、草薙幸二郎、横森久、ひろみどり、佐藤仁哉、相原五月、出水憲司、下元年世


第4話 「生駒屋おりく」 ぬ1981/4/23

 あばずれ女が己を取り戻し幸せをつかむ過程に、又八郎らが手を貸す情話。細谷の奥方が人助けにいそしみおいしい役回りだが、亭主のほうはタダ働き。

嵐峡

ロケ地

  • 物思い溜息をつく又八郎、渡月橋上。ここから身投げ男女を見る。
  • 身投げカップルに確実なやり方を伝授し、結果人助けのおりく、嵐峡汀。
  • おりくのお守をつとめお堂で夜明かしの又八郎、翌朝細谷に起こされるのは大覚寺五社明神舞殿。おりくは本殿で寝こけていて、ここを怪しの男が見張っている。
  • おりくを見張っていた男を尾行する細谷、酵素河川敷。その男が仲間の御家人くずれに刺される林は酵素竹林。
  • 細谷宅に保護されていた、己の護衛を頼んだ元番頭と再会したあと、又八郎と細谷の妻女に励まされるおりく、広沢池西岸葦原。
  • 賊に雇われておりくをさらいに来た米坂とばったりの土手、広沢池東岸並木下。

ゲスト
范文雀、河原崎建三、清水鉱治


第5話 「この命三十両」 1981/4/30

 業病に罹っていると誤解した細谷は、家族に金を残すため無茶な仕事を引き受ける。又八郎のしていた「善行」が友の危機を救い、人を人とも思わぬ向きには相応の報いが。

梅宮大社

ロケ地

  • 又八郎が少年剣士らの相手をさせられているところへ、子守仕事の細谷がやって来る町角、今宮神社境内。楼門や摂社、水場など映り込む。
  • 細谷と呑んだ帰り、行きにも見た娘を見て声を掛ける又八郎、思い詰めた娘が佇む夜の橋は中ノ島橋
  • 息子らが通う寺子屋を見に行く細谷、梅宮大社境内(子らが素読の建物は境内参集殿で内部も使用、声かけず脇を通り過ぎる細谷の背景に蔵)。その後物思い佇む草原は広沢池西岸湿地。
  • 「斬られ役」を受けたあと、子守仕事中に剣を振るい型をつかう細谷、今宮神社若宮社脇(赤子は竹篭の中)
  • 川之江藩士に連れられ小石川別邸に入る細谷、毘沙門堂。又八郎が駆けつけてくるのは仁王門石段下、勅使門下石段を駆け上がり門を叩くが応答なし・仕方なく門を攀じ登る。細谷が若様の相手をさせられるのは宸殿前・開花した枝垂桜の下、周囲には幔幕が巡らされている。細谷を狙う射手を片付ける米坂は勅使門の上に。
  • 事後、皆で花火を見物にゆく橋、中ノ島橋か。

ゲスト
吉沢杏子、草野大悟、小林尚臣、西山辰夫、浜田雄史


第6話 「胸さわぎ」 1981/5/7

 米坂の素顔が見える、切ない話。「見てくれはいいが調子の良い怠け者」は、仕事には誠実で、恋には不器用な、ナイーブな青年なのだった。

一様院

ロケ地

  • 米坂の護衛対象な呉服商の娘とばあやが花摘みの野、酵素河川敷川べり。竹林に現れた男二人をばあやがストーカーと誤認、草原でカード遊びをしてサボっていた米坂を呼びに行く。
  • 米坂の発案でおけいを隠してあった小梅村の尼寺、一様院。方丈縁先と前庭、仕切壁の出入り口、本堂前石畳と門(内側)など使って展開される。
  • ストーカーの馬鹿息子と用心棒が合流する野原、酵素木の前。
  • 尼寺での検分後、鳥獲りの子らを見つけ叱る岡っ引、酵素ダート側山腹か。
  • 岡っ引が又八郎に見せる、尼寺と同じ手口で殺された死体の発見現場、下鴨神社泉川畔の木の根方。
  • 俺がカタをつけると岡っ引を帰らせたあと、米坂を捜し歩く又八郎、廣峰神社(地道)〜参道坂(中門をくぐる)〜本殿前と本殿で中を点検。
  • 神社を出て畦道をゆく又八郎、あやしい家を見て寄ってゆくと米坂が見張り所にしている小屋を発見するくだり、民家群と周辺の土手と田畔(見張り小屋は土手下に作ったものと思われる)
  • 米坂の嫂が大事に持っていたカード(米坂が食糧を届ける際落としていったうんすんカルタの一枚)が路地で雨に打たれたあと流れてゆく小川、酵素か。
  • 米坂とばったり会い、嫂の容態を聞く又八郎、神護寺金堂前(見上げ)。答えたあと、米坂は石段を下りてゆき、遊んでいた子らに駒回しを伝授。

ゲスト
亀井光代、谷川みゆき、三戸部スエ、多賀勝、桐原五月、重久剛一、阿藤海、芝本正、有光豊、遠藤太津朗


第7話 「女主人の腕」 1981/5/14

 又八郎に用心棒を頼んだのは、襲われる理由も話さない呉服商。しかも同じく雇われた相方が、斬りあいを見たのは初めてなどとぬかす、頼りない浪人。埒のあかなさに一旦は去ろうとする又八郎だが、裏に深い情話が隠されており、柳沢の魔手まで伸びているのだった。

粟生光明寺

ロケ地

  • 備前屋の女将の回想、手代をお供に他出時、ならず者に襲われ拉致されかけた愛宕下の道、妙心寺大庫裏脇路地。このときは法堂の方から旗本の家来衆が出てきて事なきを得る。
  • 狙われているのに寺参りにゆく女将、その寺・大養寺は、全て粟生光明寺を使って表現される。看板が掲げられた門は紅葉道の薬医門。参拝中待機していた又八郎がふと怪しみ女将のところへ行く途中、駕籠からおりる武士や縁下を走る怪しの町人を見る廊下は本堂廊下。女将が人と会っていたのは方丈座敷で、ここへ近づく又八郎は渡廊からおりてくる(映像では、階段の西側にエスカレータが見当たらない)。用事を済ませ戻る女将、襲撃されるのは参道石段上部で、又八郎の立ち回りは墓地へスイッチ、終わったあと参道へ出てくる際には植え込みから飛び降り。後段、恩人に用立てる金を持ってくる際にも戻り道にも、紅葉道や参道が使われている。大養寺の設定は西久保神谷町の知恩院末寺、虎ノ門五丁目に現存。

ゲスト
赤座美代子、小坂一也、原田樹世土、堀田真三、市川男女之助


第8話 「梶川の姪」 1981/5/21

 意外や柳沢と昔馴染みだった近江屋、その伝手で又八郎と細谷に来た仕事は梶川与惣兵衛の警護。浅野浪士の襲撃に脅える梶川だが、世渡りのためしてきた心無い振る舞いの報いが来ているだけのこと。又八郎は任務を完遂するが、哀れな女の魂は救えなかった。

相国寺林光院

ロケ地

  • 登城する梶川が、又八郎たちに顔を出すなと言い捨てて出てゆく門、相国寺林光院門。梶川が出かけたあと、屋敷を窺う怪しの浪人を見るのは大通院塀際。
  • 姪の許婚者だったその浪人が致仕したのは梶川の讒言と知り物思う又八郎、妙心寺大庫裏脇路地。梶川の戻りが遅いので見に出た又八郎を、下城してきた当人が邪魔にし「離れてついてこい」扱いで先に行ったところを襲われるのは、妙心寺黄鐘調鐘脇。
  • 梶川が襲われたと聞き駆けつけてきた「姪の婿」予定者を送ってゆく細谷、浪人が現れて立ち回りの夜道は相国寺大光明寺南路地
  • 夜、こっそり屋敷を出て元許婚者の浪人と会う「姪」、鳥居本か(小柴垣と竹林)
  • 姪の輿入れ先に暴露文が送られた件で頭に来た又八郎、浪人の塒に走る道、妙心寺大庫裏脇路地粟生光明寺石段渡月橋〜町なみはセットにスイッチ。
  • 柳沢の命で予定通り婚儀が進められ、気まずい雰囲気のなか婿と舅に茶を点てる姪、無畏庵か。
  • 輿入れ当日、梶川邸を出てゆく姪、相国寺林光院式台玄関。浅野の浪人を扇動してその行列を襲う元許婚者、下鴨神社河合社脇。「その人を斬って」という姪の悲痛な叫びに応じ男を斬ったあと、行列を見送る又八郎、下鴨神社馬場

ゲスト
小林かおり、織本順吉、小野進也、吉川遊土、北村英三


第9話 「犬を飼う女」 1981/5/28

 又八郎と細谷に、お犬様の用心棒が回ってくる。細谷の担当したお妾さんは、犬が掘り出した怪しの大金で今の境遇から抜け出そうとするが、もちろん又八郎は彼女のみならず細谷にも罪を犯させない。

広沢池西岸湿地

ロケ地

  • 狐面の賊の一人が死体で見つかる川、見分は中ノ島橋下。橋上から彼を殺った仲間が見ていて、人足バイト中の細谷と又八郎は左岸護岸から「見物」。
  • 用心棒を頼んだ訳を話す依頼主のお妾・おとよの回想、犬のまるを連れて散歩中、飼い主と称する浪人に突っかかられる神社、今宮神社境内。
  • まるの散歩に行かされた又八郎を窺う浪人、今宮神社若宮社脇。
  • 細谷のバイト先・三河屋を訪ねる又八郎、互いに犬を連れて話す庭、不明(奥に滝組があり、サルスベリの大木や、でっかい蹲などある)
  • まるを放し後を追ってゆくおとよ、今宮神社石橋〜広沢池東岸並木〜撮影所セットの長屋(殺された賊でまるの飼い主だった浪人宅)今宮神社門前・かざりや西塀際(長屋衆に怪しまれたおとよが逃げてきて一息つく町角、座り込んでいるおとよの目前をまるがへっへっと通り過ぎ、東門を入ってゆく)。このあとまるが元飼い主の着物を掘り出す祠、今宮神社か(祠脇に派手な根上がりの木、犬が掘り出した衣の下に「大金」、設定は妙心寺やしろ裏と浪人たちが話す場面が、あとで出てくる)
  • 浪人たちが妾宅を襲いおとよを拉致、この間又八郎がまるの散歩に出ていて、細谷と喋っているのは今宮神社境内。
  • 浪人たちに顔を知られている又八郎の代わりにおとよを捜す細谷、まるを使って追跡し女湯を覗いたりしたあと見つける監禁場所、広沢池西岸湿地に漁師小屋あしらい。
  • おとよが金を隠していた本所稲荷、毘沙門堂仁王門下崖中腹の地蔵祠。浪人たちが金を持ち去るところへ、又八郎と細谷が現れチャンバラ。崖に沿って下る、東側の低い塀も効果的に使われる。

ゲスト
片桐夕子、高原駿雄、中田カウスボタン、武知杜代子、北見唯一、出水憲司、下元年世、雲竜号(秋田犬)


第10話 「刺客と恋人」 1981/6/4

 仇持ちとしての又八郎にやっと決着がつく、区切りの話。国元から差し向けられた討手を相手に火の粉を払ううち情勢が変わるが、又八郎の暮らしは当分今のままと決まる。しかしおばば様の世話をしに帰るよう頼まれた許婚者は、確かな証を欲しがるのだった。

渡月亭

ロケ地

  • 又八郎と細谷がバイトしていた普請場(柳沢邸)、大覚寺か(低い塀越しに蔵が見える)
  • 日銭を貰って帰る二人、己に向けられた視線を感じ立ち止まる又八郎、追っ手が身を隠すのは大覚寺五社明神祠。
  • 叩かれ屋の大道芸をしていた米坂を見つけからかう細谷、大覚寺護摩堂裏手。稼ぎをフイにされた米坂を加え三人で帰る道、大覚寺大沢池堤(又八郎は追っ手にピリピリ)
  • 高沢藩領から逃げる由亀、不明(地道)
  • 大富派の追っ手が入る高沢藩江戸屋敷、大覚寺参道石橋大門
  • 由亀と会う又八郎、吉蔵のはからいで追っ手をかわすくだりは金戒光明寺。吉蔵手配の駕籠舁きが追っ手を惑わす市中は、東坂下石積角、放生池北の坂、永運院下坂、長安院裏路地(奥に本堂望)、長安院下坂、鐘楼脇、茶所脇、本堂西側など各所。途中から駕籠をおり鐘楼に隠れていた又八郎は、駕籠舁きたちのアドバイスで本堂下石段を駆け下りてゆく。
  • 又八郎と由亀が落ち合う船宿、外観イメージに渡月亭脇堀端(渡月小橋上手の中州を大堰川右岸から望む図)
  • 吉蔵を脅し、由亀の居所を聞き出した大富派の刺客が旅籠に殺到する夜道、大覚寺参道石橋
  • 大富失脚・切腹の報がもたらされた後、なお猛り逸る大富派の刺客と、藩邸から場所を変えて相対する又八郎、酵素河川敷木の前。

ゲスト
渥美国泰、岸田森、梅津栄、浜田晃、中村錦司


第11話 「謎の剣客」 1981/6/12

 代稽古の口が来る又八郎、行ってみると料金はねぎられ、ちぐはぐな面々が出入りして何か怪しいうえに、そこの事情を聞きだそうとする婀娜っぽい女まで出没する。果たして道場主の名は偽名、ある目的を持って隠忍の日を送る者たちの一員であった。

今宮神社東参道

ロケ地

  • 堀内流長江道場、不明(脇の壁に連子窓、入口に二段程のステップ)
  • 道場の行き帰りに又八郎が通る町角、今宮神社東門内外。
  • 細谷と呑んだ酒肆で割り込んできた、長江道場のことを執拗に聞く小唄師匠の女と梯子の夜道、今宮神社東参道。
  • 細谷の仕事場を訪ね、師匠のことを相談する又八郎、広沢池東岸。設定は小名木川の河原、原作では荷揚げ場は高橋の近く。
  • 師匠の意図に気付いた又八郎が、彼女と接触する「密偵」を始末しようと潜む町角、今宮神社東門内側。しかし当の相手は「安兵衛」に斬られ、水音を立てて放られるくだり、境内石橋と「溝」。設定は、原作では竪川三ツ目橋そばの河岸で、「長江道場」は林町五丁目と記されている。
  • 師匠を酒肆から連れ出し、「長江」から手を引けと迫る又八郎、今宮神社境内。

ゲスト
池波志乃、小林昭二、溝田繁、桐原五月、芝本正、石倉英彦、妹尾和夫、中尾彬


第12話 「男が石を抱いたとき」 1981/6/19

 仕事先で、あまりにも不遇な女を見た米坂は「心から」哀れに思い、己を顧みず庇う。軟派なくせに実を見せた男を、友はちゃんと待っていて迎えに来る。

大覚寺参道石橋

ロケ地

  • 祭りの神社で露天商に無体をはたらくヤクザども(石見屋内儀の不肖の弟・菊次郎入り)、不明(社務所のような建物が見えている)。後段、米坂と待ち合わせの約束をするのもここ。
  • 賭場へ立ち寄り、馴染みの男に菊次郎のことを聞き込む米坂、不明(男は朱玉垣に凭れていて、背後に甍が来ている)
  • 菊次郎をヤサから連れ出してシメる米坂、中ノ島橋下河川敷。米坂に同行した賭場の男が刺され、菊次郎は川に入り走って逃げる。
  • 故郷の我孫子で恩を受けたため菊次郎を匿ってやっていた旅籠の女中が、恩を返そうとして菊次郎にさらわれたあと、大川に探しに出る又八郎、中ノ島橋下河川敷。
  • 菊次郎により兄貴分に引き渡されかけている女中を救いに来る又八郎、広沢池西岸葦原、柳がたくさん生えている。
  • 石見屋の内儀が、釈放される米坂を迎えに出る大番屋門前、大覚寺明智門。女将の差しかける傘を断って去る米坂、その先に又八郎が待っていて肩を貸すのは大覚寺参道石橋

ゲスト
松本留美、松岡明美、氏家修、村松克巳、草薙良一、山村弘三、堀内一市


第13話 「小さな女主人」 198/6/26

 又八郎を雇った幼女は、己を囮にして父を殺した男を呼び寄せようとする。果たして悪党は姿を現し彼女を狙うが、隠れた優しい手が守っているのだった。

金戒光明寺

ロケ地

  • 細谷が、依頼主の使いのうるさいおばさんに臭いむさい懐手はヤメろとなじられつつ連れて行かれる道、金戒光明寺三門(見上げ)
  • おゆみに雇われた又八郎が、彼女の住む諏訪町の家へ伴われる道、蕎麦の屋台をチラ見してからかわれるのは大覚寺護摩堂裏、なおゆく道は大覚寺放生池堤
  • おゆみの回想、父が殺された夜道、広沢池東岸(逃がされたおゆみは木の間から殺害を目撃)
  • 家の前で「さらった」おゆみを横抱きにして走る駿河屋の番頭、大覚寺放生池堤〜天神島(叔母である駿河屋の内儀がいて手渡され。ここへ又八郎が駆けつけ、互いの誤解と知れる)
  • 細谷の依頼主・りつがチンピラに囲まれる坂、金戒光明寺石段
  • りつがお付きの老女と話す町角、金戒光明寺永運院下坂。会話から、結納が三日後に迫っていて、捜し人は米坂であることが知れる。
  • いたずらガキを追っ払いに出てさらわれるおゆみ、持っていた箒を又八郎が発見するのは大覚寺天神島
  • 家から連れ出したおゆみを隠れ家へ引っ張ってゆく兼七、不明(地道の傍らに大きな木、背後は農地か)
  • 岡っ引の権蔵が、雇い主の伏見屋に兼七を犯人に仕立てる次第を話す寮、中山邸(表札が掲げられた門は通用門、庭は無畏庵前)。ここは、又八郎と細谷が乗り込んで大暴れする、ラス立ちの舞台にもなる。
  • おゆみが連れ込まれる兼七の隠れ家、民家と周辺。萱葺をその家に見立て、おゆみが炊事をする井戸は川下手の土手にしつらえ、又八郎と話す兼七が持たれる木は「家」裏手の川沿いの木。兼七の女房だったおゆみの母が、駿河屋の惣領だった「おゆみの父」と一緒になった経緯が語られる←この時点で伏見屋の魔手。
  • 兼七の隠れ家からおゆみを連れ帰る又八郎、兼七について聞かれ答える水辺は広沢池東岸

ゲスト
斉藤こず恵、長谷直美、勝部演之、山本昌平、本山可久子、荒木雅子、須永克彦


第14話 「消された女」 1981/7/2

 頼りにしてくれていた女を、むざむざ殺されてしまう又八郎。その後毎夜犯人を捜すが、事は赤穂浪士がらみ。細谷が引っ掛かってしまったヤバい仕事の関係者が、偶然秘事を聞いてしまった女を始末したのだった。

ユリカモメ

ロケ地

  • 夜鷹に助けてと縋られる又八郎、柳原土手は広沢池西岸。女は同じ長屋に住むおさきで、当然家まで送ってゆくことに。二人歩く土手は不明(シルエット、暗すぎ)
  • おさきと川辺に行き、舞う鳥を眺める又八郎、罧原堰堤下中州合流点汀・桂川右岸河川敷。鳥はユリカモメ、脚を水面につけ再び飛び立つしぐさを繰り返す。
  • おさきの死後、彼女が柳原の前にいた一ツ目弁天(本所、江島杉山神社)に赴き、そこの夜鷹たちに話を聞く又八郎、大覚寺天神島祠。思い出したと、又八郎を追いかけてきたおすぎと話すのは大覚寺護摩堂前。イメージで出るおさきの塚、桂川河川敷
  • 細谷ら雇われ浪人群を監視する役の男が、おさき殺しの犯人と知った又八郎、細谷とともに赴く「刺客溜まり」の屋敷は大覚寺大門
  • 細谷がその監視役をたばかって又八郎のもとへ連れてゆく「柳原土手」、広沢池西岸葦原。夜鷹に義理立てかと毒づく男を斬。

ゲスト
神崎愛、中島葵、鹿内孝


第15話 「喪服の花嫁」 1981/7/9

 身に覚えのないことで仇と付け狙われる細谷、刃を向けてくる気の強い女は黒衣をまとい、捻られても怯む気配なく、悪ガキを使って人殺しと囃させたりまでする。弱りきる細谷だが、友の奔走で裏事情が知れ、口封じに現れた卑劣漢どもは懲らされる。

毘沙門堂

ロケ地

  • 「夫」の墓に仇討ちを誓うおりょう、毘沙門堂仁王門下崖に墓標あしらい。
  • おりょうに助太刀を依頼された米坂が、的の家として細谷宅を指されたあと場所を変えて話を聞く水辺、中ノ島橋下背割(二つの堰堤が映り込む)
  • 細谷のはたらく普請場に来て物陰から「仇」を睨むおりょう、しかし三島宿からの追っ手が現れ窮するところを細谷に救われるくだり、松尾大社本殿南端付近。掏摸仲間の追っ手のヘッドは福ちゃん、細谷に腕を捻り上げられる。
  • おりょうの夫が斬られたという、去年の七夕の頃の細谷の行状を調べる米坂と又八郎、やっと探し当てた、当時の依頼主の「前大目付」に会って話を聞くくだりの回想シーン、大目付に駆け寄り訴えかけるも、同藩の討手に斬られ事切れた田村、毘沙門堂勅使門下坂(長久寺の裏、田村はこのあと同寺に葬られたという設定)
  • 又八郎がおりょうに会い聞き取る、掛川藩士・田村との馴れ初め、田村の懐から財布と訴状を掏った橋、中ノ島橋上。掏られたことに気付きおりょうを追う田村、中ノ島橋下手中州(南側、欄干越しの絵)。船に乗り込んだおりょうに、訴状だけは返してくれるよう土下座して頼む田村、罧原堤下汀(おりょうが出した条件は己との結婚、田村は諾し役目を終えたら約束を果たすと言って去る)。本気にせず忘れていたおりょうのもとに、田村から文が来るくだり、文を読むおりょうは中ノ島橋上手中州堰堤脇
  • 掛川藩邸へ赴き、細谷が仇だとおりょうに吹き込んだ藩士に会ってカマをかける又八郎、藩邸の門は民家長屋門
  • 追っ手の掏摸仲間に金を出して細谷呼び出しを頼むおりょう、松尾大社境内灯篭前。
  • 田村の墓前に呼び出される細谷、毘沙門堂仁王門下崖。掛川藩士との立ち回りは下の参道で。石段や門は映らず、崖にある東塀が映り込む。

ゲスト
紀比呂子、伊吹剛、永野辰弥、田端猛雄、福本清三


第16話 「危うし!又八郎」 1981/7/16

 「大石の書状」をめぐる、吉良上杉方と赤穂浪士の丁々発止に、又八郎が巻き込まれる。又八郎は拷問を受けても書状の在り処を吐かないが、近江屋も白を切り通す。たぬき親爺は、赤穂浪士に仇を討たせてやりたい意思を持つ、熱い漢なのだった。

大覚寺五社明神

ロケ地

  • 坊の薬代が要る細谷に仕事を譲った又八郎、近江屋からの帰り見舞金も渡し別れる町角は大覚寺大沢池(茶店あしらい)。直後、行商人に突き当たられ書状を懐にねじ込まれるくだり、大沢池(追っ手から逃れ走ってきて又八郎にぶち当たり)五社明神(「行商人」は舞殿そばで斬られ↓、又八郎が懐の書状に気付くのは本殿内陣)
  • 又八郎を名指しで来た、平戸屋別宅の留守番、その家は嵐峡左岸・亀山中腹の料亭か(石段の片側に竹垣、見返りの絵では水面?が白く光っている…円山公園内料亭の可能性も)。句会で隠居が船を出すシーンや、浅野の間者だった下女・おふさが事切れる水辺も嵐峡か(葦原などある水辺は広沢池東岸とも思えるが暗くて確証持てず/おふさ臨終の際の背景では、僅かに流れがある感じ)

ゲスト
山本みどり、田口計、岩田直二


第17話 「妻の脅迫者」 1981/7/23

 意に添わぬ結婚を厭い、思いあまって仕出かした娘の過ち。八年後に帰ってきた報いは、今の幸せを根こそぎ破壊しようとする。幼児誘拐事件で呼ばれた又八郎は、内儀の裏事情を知りソフトランディングさせてやるようはからうが、運命を狂わされた男のあがきは激しく、荒っぽい仕儀となる。

 基本的には悪役ながら、恋に狂って破滅した男を情感たっぷりに演じるカツマサが見どころな一話。嫁ぐ隣家の娘に、一生の思い出を作ってと関係を迫られてたじろぐ、堅物ぎみな若侍なんてレアな場面もあって最高。

仁和寺経蔵

ロケ地

  • 墓参の弥生(村瀬の奥方)の前に現れ、手荒く言い寄る深沢、不明(丘の上の墓地?)。撥ねつけてお堂に戻ると、待たせてあった息子がさらわれている次第。
  • 奥方の代わりに身代金を持ってゆく用人(設定は高伝寺裏の空地)仁和寺経蔵(急遽雇われた又八郎と細谷は茂みに隠れて見ている)。用人の顔を見て逃げた侍を追うのは仁和寺塀際(内側、起伏をうまく取り入れてある)
  • 奥方と用人の内緒話を立ち聞いた又八郎、調査を頼んでいた米坂と会う待ち合わせの橋は渡月橋(橋上、見上げ)
  • 旗本・村瀬邸、不明(塔頭ふうの門、白漆喰に横桟が特徴)
  • 細谷の娘が見えなくなり、一家総出で捜すくだり、仁和寺塀際(内側)広沢池西岸湿地(迷子の娘は樹上で寝こけているところを発見される)桂川左岸河川敷(見つけての帰り道、夕景。奥に嵐山の山なみが来る)
  • 弥生が密かに深沢と会うくだり、不明(林の中のお堂、浪人たちの溜まり場設定)
  • 又八郎の機転で深沢を呼び出す「虫八幡」、鳥居本八幡宮。指定時刻より前に来て打ち合わせの又八郎たちは本殿前、脅迫者たちを待つ奥方に言い寄るナンパ侍・米坂は鳥居付近(もちろん打ち合わせ済みのお芝居)、立ち回りは広場へ。

ゲスト
奈良富士子、内田稔、浜田寅彦、内田勝正


第18話 「浮気の現場」 1981/7/30

 又八郎に来た高額の仕事は、先に細谷がつとめていて刺客にやられた、物騒な一件。浮気を疑われている夜歩き老中の行く先では、襲われるに足る内容の寄り合いが持たれていた。

柊野堰堤

ロケ地

  • 近江屋が又八郎を連れて常盤橋御門内の小笠原邸へ向かう途中、刺客が出て襲う道(二人が通るのは抜け道)上賀茂神社渉渓園〜北神饌所裏手。
  • 老中・小笠原佐渡守邸、大覚寺大門。まず通される用人の御長屋は不明(背景に漆喰のステップが見える)、内部はセット撮り。
  • 老中の夜歩きのお供をする又八郎、大覚寺大門大覚寺参道石橋(勅使門橋越しのアングル)大覚寺天神島(木の根方で酔漢が唸っている)相国寺鐘楼裏手塀際中山邸参道、通用門(寄り合いが持たれる屋敷、又八郎は門前で待つよう言われるが「別口」の儲けのため中へ侵入、床下で謀議の内容を聞いてしまう)
  • 療養中の細谷に会って話を聞く又八郎、細谷が水遊びをする子らのお守をしている川は柊野堰堤下。
  • 老中奥方付きの腰元・藤尾がこそこそと入ってゆく柳沢邸、相国寺林光院。藤尾が報告を上げる茶室は不明。後段、藤尾を見かけたことを思い出す細谷の回想シーンでは、門内から、門前に立つ細谷を見るアングルが出てくる。
  • 何度目かのお供のある日、ついに本命の刺客と遭遇する夜道、相国寺鐘楼裏手塀際(剥落が激しい)
  • 又八郎の腕に感心した老中、警護の仕事が延長され、また夜歩きのお供でいつものルートを過ぎて入る武家屋敷(中から女の声)、不明。
  • 藤尾に会い「報告」の又八郎、言問団子の茶屋は大覚寺大沢池畔にしつらえ。柳沢などとは手を切れと藤尾に忠告したあと、又八郎がゆく帰り道、大覚寺放生池堤

ゲスト
金田龍之介、岡本舞、岩井友見


第19話 「怪談・八百屋お七」 1981/8/6

 父の猛反対に遭い、とても一緒になれぬと思い詰めた男女は、世間も巻き込んでの大がかりな芝居をしてのける。幽霊騒ぎの渦中にある、当の娘の護衛を頼まれた又八郎は、からくりに気付くも見逃してやり、親たちの寛容さは我が身を助くのだった。

鳥居本八幡宮

ロケ地

  • 父に叱られての後日、おてると恋人の大工が忍び会う竹林、鳥居本八幡宮(傾斜地)
  • 柳原土手に「出る」お七の幽霊、不明(夜の林?)
  • おてるに言いつけられた下女が文を結びに行く木、広沢池か。
  • 亡母の命日に寺参りをするおてる、坊主が経をよむ座敷は相国寺大光明寺方丈、又八郎は縁側で待つ。墓に参ると又八郎を待たせ出てゆくおてる、恋人が来ている裏戸は南通用門、又八郎とおてるが出るのは門。帰りに立ち寄る茶店は、相国寺法堂基壇に床机あしらい。
  • 盗っ人の女に手を出して脅される巴屋の番頭、呼び出されて赴く神社は鳥居本八幡宮小柴垣道〜舞殿脇(崖下から見上げ、米坂がつけてきている)

ゲスト
若原瞳、小栗一也、小林芳宏、三浦徳子、笹吾朗、田中弘史


第20話 「闇の夜の襲撃」 1981/8/13

 又八郎に来た遠出の仕事は、大石の護衛。もちろん変名を名乗っているが、会話に「江戸の同志」「本所松坂町」「吉良の白髪首」と出ては、正体は明らか。この話を受けてから、又八郎の身辺にも危険が及ぶ。忍びと思われる襲撃者のかしらは、うら若き女だった。

丹波国分寺

ロケ地

  • 又八郎が土を捏ねている仕事先の普請場、不明(10話の柳沢邸と同所、低い塀越しに蔵が見える)。仕事を終え手足を洗う小川、広沢池西岸湿地・養魚場流れ込み。帰り道、大覚寺放生池堤。へたりこむ花売り娘を見かけ、声を掛けると切りつけられるのは大覚寺五社明神。応戦して女の脚を斬り、仲間の虚無僧を斬ったあと、歩けぬ女をおぶい歩くのは大覚寺放生池堤(このあと荒れ寺へ運び込み医者を呼ぶ次第)
  • 忍びの女・おせんを医者に見せ、一晩看護し出てゆく又八郎、寺の門は丹波国分寺
  • 垣見五郎兵衛護衛の任につくべく、平間村へ向かう又八郎、米坂が見送る六郷の渡しは罧原堤下汀、船着きをこさえてあり、実際に乗船。
  • 平間村へ向かう又八郎がゆく野道、丹波国分寺前はさ木の並木道(寺は映さず)。平間村の「山本長左衛門」邸は民家内部(中庭)か。
  • 品川の女郎屋の中から、外をゆくおせんを見る米坂、つけてゆくルートは中ノ島橋上〜罧原堤下汀(六郷渡し)。このあと船に乗り込み、おせんを詰問すると仲間の男が斬りかかってきて、米坂と二人川にドボンで水面に血ドバ。
  • 陸に上がってきて衣を乾かす米坂、通りかかった漁師に「平間村」と言うと斬りつけられる水辺は広沢池東岸
  • 仲間とツナギをとるおせん、不明(萱葺き民家裏手、高台)
  • 大石への襲撃を防ぎきり、料金を貰い屋敷を出てくる又八郎、傷つき倒れているおせんを見つけ抱き起こし、おぶって歩みだすくだり、民家(碑の下の畑は、当時池だった模様、映っている燈籠が今あるものと少し形が違う)

ゲスト
内藤武敏、岡本麗、椎谷健治、山口幸生、浜田雄史


第21話 「暗殺剣 千鳥」 1981/8/20

 夫に大望を果たさせるため、身を売って金を作り、又八郎を助っ人に雇おうとする内儀。しかし遺恨試合の相手が他ならぬ又八郎だったうえ、浪々の果て夫の心には澱が溜まっていた。

今宮神社楼門

ロケ地

  • 又八郎が依頼主の女と会う市中、今宮神社楼門
  • 依頼主の夫を、御前試合で戦った天童藩士・望月弥源太と知った又八郎、奇妙な巡りあわせと呟く帰り道の橋、今宮神社石橋。又八郎の回想の御前試合、下鴨神社馬場(糺の森に幔幕あしらい)
  • あいまい宿で「客」を殴り倒して出てきたあぐりと遭遇してしまう細谷、衆目を集めての大喧嘩は今宮神社境内。そのさまを笑いながら見ている米坂は稲荷社前。
  • あぐりへの取り成しを又八郎に頼み込む細谷、今宮神社石橋。ここへ望月が現れ果し合いを申し出るが、細谷の勤め先に出た盗っ人の合力と知れる。
  • 暇乞いの文を残し家を出た望月の内儀がゆく町角、今宮神社境内。このあと又八郎に会い、果し合いの約束を取り付けて戻ったところを夫に斬られ果てるのも同所、稲荷社裏手玉垣そば。
  • 又八郎と望月が試合う赤坂日枝神社裏の丘、下鴨神社池跡。盗っ人仲間が出てきてピンチのところ、米坂と細谷が登場。

ゲスト
浅利香津代、綿引洪、近江輝子、井上茂


第22話 「惚れた女の泣きぼくろ」 1981/8/27

 理不尽な経緯で、仇同士になってしまった幼馴染の恋人たちは、江戸で再会。互いに討たれて死のうとしていた二人は、又八郎たちの後押しで別天地へと羽ばたいてゆく。恋しい女に面差しが似た遊女を大事にしていた男、その遊女が心を込めてようやく作り上げたラッキーチャームで止め絵。

西明寺鐘楼

ロケ地

  • 米坂が仕事で六阿弥陀参り一行の用心棒をつとめるくだり、お参りの道は西明寺参道指月橋神護寺山門下坂と書院入口。一行が寺へ参っている間、ぶつくさボヤきながら飯をほうばる米坂、西明寺鐘楼(おばさま方は本堂へ)
  • 人捜しをする依頼主の妙に付き従い、塾を回る又八郎、不明(塔頭ふうの門、一つはこのシリーズで既出の一件)
  • 六阿弥陀参り一行が入ってくる門、神護寺山門(内側)。おばさんたちは毘沙門堂付近で剣戟を目撃し怖じて退散、米坂が鬱憤晴らしに戦いに割って入る「現場」は金堂下石段(新田一人を大勢で囲み中)
  • 許婚者の仇・新田と対峙する妙、流れ橋下河原。設定は千住大橋。新田が身を寄せている一家の乾分が呼びに来て水入り。
  • おばさんたちに辟易した米坂が仕事を投げるくだり、腹痛芝居で逃げようとする山門は西明寺山門前、離して貰えずいじられたあと逃げ出して愚痴を垂れる橋下は流れ橋の真下、このとき橋上を大垣藩士たち(上意討ちの追っ手)が新田が千手にいると話しながら通過するのに遭遇。
  • 新田がヤクザの抗争相手を斬る大川端、広沢池東岸
  • あらためて対峙する妙と新田、流れ橋下河原。互いに討たれようとして果たせぬ二人の背後に来る橋、その上を討手たちがやって来て二人に気付き、一斉に笠をはねあげるさまが印象的。

ゲスト
原田大二郎、壇まゆみ、井上聡子、稲吉靖司、原聖四郎、武田てい子


第23話 「吉良邸討ち入り」 1981/9/3

 年も押し詰まっているのに顎が干上がりかけている又八郎と細谷、回ってきたのは、よりにもよって吉良の付け人。行ってみると、用心棒を束ねる清水一学は明るくて憎めぬ如才ない奴で、受けるつもりがなかった二人は惑う。しかし、密かに義士を支援する近江屋の思惑は、二人に吉良邸の内情を探らせることにあり、赤穂の元次席家老たる控の「二番手」から「御助勢」を頼み込まれてしまうのだった。

大覚寺

ロケ地

  • 一学に腕を試されたあと、又八郎と細谷が強引に引っ張って行かれる屋敷、不明(塔頭ふうの門、入ったあとでここは吉良邸と告げられる。塀越しに蔵のような漆喰壁の建物が続いて見える)
  • 腹を決めて吉良邸の内情を探りにかかった又八郎たち、邸内をうろついて咎められるのは大覚寺蔵前、そのとき通りかかった「吉良」が上杉邸へ行くため出てゆく門は大覚寺明智門(内側)

ゲスト
地井武男、里見奈保、潮哲也、鈴木瑞穂


第24話 「老中誘拐さる」 1981/9/10

 近江屋にムカついた若者たちは、老中を誘拐して身代金を出させようと図り、金看板三人を使っての複雑極まるプランを立てる。これが易々と成功してしまい、しかも人質から身代金のレイズ申し出。もちろんそんなうまい話があるはずもなく、惨劇が起こるところへ、頼もしい三人組が駆けつける。

妙顕寺

ロケ地

  • 湯島の菩提寺へ月参りの老中・柳沢、読経の最中に居眠りをこくお堂は妙顕寺三菩薩堂(内部も使用、柳沢の背後に、障子越し格子シルエット。北の開口部から、回廊や石塔がちらり床板をめくってヒデが現れ、老中をボコったあと床下に引きずり込んで髷を結いかえるシーンでは亀腹も)。近江屋を通して寺側からガードを頼まれた又八郎が、柳沢の家来に誰何されて引き立てられてしまうのは妙顕寺参道、それを横目に見てガキどもが老中をおぶって連れ去り。このあと駕籠舁きを頼まれていた細谷に託し、料亭・扇屋の主人として店に連れ込まれるのは嵐山公園・錦。さらにその料亭から粗大ゴミとして簀巻き老中を受け取り、ごみ捨て場に投棄する米坂、大堰川堤か。そのごみ捨て場から「老中」を拾ってきて船に乗せ、やったと歓声をあげるヒデたち、罧原堤下桂川
  • 幼馴染の女がつとめる楼の主にすげなくされ、不貞腐れて寝転がるヒデに接触する又八郎、大堰川堤と河川敷。逃げたヒデが川に入るシーンも。
  • 人質の分まで要る食い扶持を稼ぐため、荷揚げ仕事のヒデと若旦那、広沢池東岸。米坂が居合わせ、ヘタる若旦那に水を飲ませてやり、あとで細谷と又八郎に「感心な若者がいる」と喋る。
  • 人質の老中が、一万両の出処としてヒデたちに示す長島藩、大覚寺大門
  • 身代金引渡しの橋、流れ橋。橋上で藩士と若者たちが対峙、老中の乗った駕籠は汀にあり、立ち回りは橋上と橋下両方で。
  • 急を聞いてヒデたちを救いに駆けつける三人、通る町中は中ノ島橋上、嵐山公園中州岸・堰堤脇、木津堤
  • 事後、ヒデが若旦那を呼び出し歩いていると、佃島の遊女だった幼馴染の女・はるが店から解放されてやって来る橋、渡月橋。導入は上流側から側面、ヒデが橋上から見る、夢中で「水遊び」の三人のおじさんたちは橋下手の堰堤あたり。

ゲスト
金子信雄、三浦リカ、田中哲也、武見潤、山村弘三、小柳圭子、山本一郎、遠山欽、芝本正


第25話 「男づくしの江戸の華」 1981/9/17

 台頭し始めた町奴と町火消し、対立の理由はかしら同士の女の取り合いで、それを利用してショバ乗っ取りを企む獅子身中の虫がいるという、間抜けな構図。近江屋が、敵対する二方に又八郎と米坂を別々に送り込んだ理由は、江戸庶民の安寧を得るためだったり。

下鴨神社河合社脇

ロケ地

  • 般若一家と万組が果し合いをする寺裏の林、下鴨神社糺の森、池跡
  • 双方の勤め先を抜けてきて待ち合わせ、対立の構図について話し合う又八郎と米坂、下鴨神社河合社脇
  • 争いを鎮めようとする又八郎を監禁する般若の小頭、又八郎を監禁する小屋は広沢池東岸にあしらい。
  • 般若と万組の大出入り、下鴨神社池跡。脱出した又八郎が駆けつける際、押し渡る小川は泉川

ゲスト
五十嵐あけみ、佐藤蛾次郎、梅津栄、市川好朗、鈴木康弘


第26話 「別れたくない江戸の空」 1981/9/24

 又八郎が帰参を許され、細谷は仕官が叶うかもという話。仕官のために要る五十両ですったもんだ、挙句全てがパアになるものの、腐れ縁はまだまだ続くのだった。

大覚寺

ロケ地

  • 又八郎が通りかかり、学者の娘をならず者の無体から救う夜道、大覚寺五社明神
  • 細谷が馬を求めに行く農家、不明(萱葺き民家、北嵯峨のアレか)。見せられた馬はポニーというオチ。
  • 仕事は盗っ人の用心棒だと告白する米坂、二尊院墓地
  • 「近江屋押し込み」が決着した直後に明六ツの鐘の音を聞き、慌てて走ってゆく又八郎、大覚寺放生池堤。駆け入る藩邸の門は大覚寺大門(内側)。殿はもう発ったと怒られ、帰参もはや適わずと言い渡されるのは大覚寺明智陣屋(カメラ中から)

ゲスト
下元勉、野平ゆき、重久剛一、中村錦司


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