田坂勝彦監督作品 1956.1.3大映
帰らぬはずだった男が御赦免になり帰還、しかし、島での日々にも片時も脳裏を去らなかった恋しい女は、人妻となっていた。
王道の情話を、大映ご自慢のスター競演で描く。
女のもとへ急ぐ清太郎だが、唐丸から逃げた男に娘への遺言を託されたり、婀娜っぽい女道中師に惚れ込まれたり。しかしこれらは、恋しい女の住む佐原での出来事に絡んでゆく。
ロケ地
- 唐丸から逃げた七兵ヱを追う役人たち、不明(九十九折の山道〜崖迫る渓谷を渡渉、狙撃されて川を流れ下ってゆく)。
- 逃げ切って川下、通りかかった清太郎に遺言を託すくだり、不明(七兵ヱは河原、清太郎は「沈下橋」を渡っている)。
- 女道中師に財布を預けられてしまうくだりの街道、不明(飴売りがゆく道は川堤上、清太郎は一段低い堤外地の道、堤はけっこう高く、ヒンターランドはかなり広い)。
- 宿の親爺に女道中師を捜してもらうくだり、訪ねてゆく茶店は土手下か。
- ヤクザに追われる男女(おみねと惣吉)を助ける町はずれ、不明(道は田の中の一本道、遠景に鳥居。道端に蔵があり、人数はその脇から出てくる)。追っ手を溝に叩き込むシーンあり。
- 雷神の竹におみねの消息を聞かされるくだり、不明(燈籠のある土手、下に集落あり萱葺きなど見える)。
- おみねと惣吉が絶望して佇む夜の水辺、不明。その後渡し舟に。
- 小野川へ向かう清太郎が、追ってくるおぎんと半次をやり過ごす街道、不明(橋は沈下橋、先に出たものと同じか。河畔林は竹)。
- 半次が茶店で聞き込み、不明(茶店のある堤は高く、甍が下に見える)。
- おぎんが駕籠に乗って渡る橋、不明(簡素な欄干のついた木橋。かなりな高橋で、下を清太郎が乗った船がゆく。この後船と駕籠が川と堤で平行になる絵も)。
- 佐原神社、上賀茂神社ならの小川畔に露店や幟あしらい。奈良社の鳥居や校倉、河畔の大木も映り込む。導入はクレーンショット。
- おぎんをたばかって船に乗せ押しやる渡船場、不明(河原は礫、山裾を流れるけっこうな大河。流れは瀞)。
- 事後、当地を去る清太郎に追いついてくるおぎん、不明(渡し場、川相は最下流部か、湛水。堤は高く屋根がちらりと覗く)。
島帰りの榛名の清太郎は長谷川一夫、殺人で遠島になり帰還は無いと本人も思っていた設定。清太郎の気風に惚れこむ女道中師・見返りのおぎんは木暮実千代、尺をとった大立ち回りもあり。おぎんの腰巾着の若者・蜩の半次は勝新太郎、茶目っ気たっぷり。清太郎が思い続けていた女・おしのは清水谷薫、彼女を娶った清太郎の弟分・佐吉は市川雷蔵。清太郎に遺言を託した七兵ヱは香川良介、音蔵に陥れられた模様。音蔵に言い寄られて逃げた七兵ヱの娘・おみねは阿井美千子、彼女の恋人の櫓の惣吉は夏目俊二、この二人は佐吉が自分の船宿に匿う。佐原の町でやりたい放題の二足の草鞋・岩井の音蔵は柳永二郎、おぎんの色仕掛けにころっとかかる助平親爺。音蔵の乾分で、遠島になる船が難破してそのまま逃げた経緯を清太郎に被せる甚七は寺島貢。元七兵ヱの身内で今は音蔵配下の雷神の竹は天野一郎、清太郎へのタレコミがばれてヤキ入れられ。
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