1991.1.3テレビ朝日/東映、新春大型5時間時代劇スペシャル
キャスト
斎藤道三/松平健 深芳野/秋吉久美子 織田信長/仲村トオル 多鶴/斉藤慶子 あぐり/佐野量子 濃姫/藤谷美紀 矢野五郎左衛門/誠直也 小見の方/岩崎良美 梵天八兵衛/河原崎建三 木猿甚八/本田博太郎 日運上人/小倉一郎 奈良屋又兵衛/睦五朗 稲葉一鉄/長谷川明男 お牧/今井里美 大吉/笹木俊志 百々丸/真砂皓太 北条早雲/藤田まこと 明智光継/千葉真一 武田信虎/和崎俊哉 仁兵衛/園田裕久 織田信秀/中尾彬 土岐政頼/西田健 長井長弘/神山繁 夕顔太夫/萬田久子 土岐頼芸/田中健 長井利隆/平幹二朗 松浪基宗/田村高廣
原作/中山義秀、桑田忠親 脚本/志村正浩 監督/工藤栄一
主題歌/伝言(メッセージ)・河島英五
寺に収まりきらなかった風雲児が、美濃の蝮と称される梟雄になる過程を描く。
寺を出奔した庄五郎は、死期を覚った父の手荒い餞を受け、乱世に身を投じる。奇縁から京の富商の主におさまった彼は、その財を足がかりに美濃の守護大名家へ入り込み、曲折を経て遂には国主に成り上がる。そして老境にさしかかった「蝮」は、娘婿に天下人の片鱗を垣間見るのだった。
ロケ地
- 冒頭、戦に出てゆく道三のイメージシーン、大堰川堤内地か。道三は畑に籾殻撒き中、畦道を母衣武者が駆けてきて国境に敵と告げる。出陣後、軍勢がゆく野は台地か。
- 永正15年の京、荒くれ者が市を荒らし、略奪も日常風景な町角、妙心寺法堂脇に「市」あしらい。
- 日蓮宗・妙覚寺、妙顕寺。南陽坊が監禁中の法蓮坊に飯を運んでやるくだり、三菩薩堂〜尊神堂との間の渡廊(現存せず)、閉じ込められている蔵はセット撮り。法蓮坊が逐電するくだりは本堂周辺、渡廊や幅広の燈籠など映り込む。このシークエンスで出る回想シーン、法蓮坊と叡山僧のトラブルは妙心寺黄鐘調鐘脇、辻説法中の法蓮坊が荒法師にからまれる。
- 寺から逃げた法蓮坊が戻る家、不明(萱葺きのお堂?がのぞく塀囲い、簡素な門。アプローチ下は石垣)。床についていた父との会話の段で出る幼時の回想、二人流れ歩いた道程の「川」は木津河原か、門前払いを食らった武家屋敷は長屋門か割拝殿か。父と立ち会った林、北嵯峨か。父を荼毘に付す河原、大堰川河川敷。父の世話をしてくれていた娘・あぐりが庄五郎についてきてしまう道、林道か。二人が梵天八兵衛と再会し合流する河原、不明。
- 庄五郎がならず者から多鶴を助けるくだり、市立つ京市中は今宮神社高倉前に「市」演出。平安鬼平太一味とやり合うのは稲荷社裏手。
- 平安鬼平太一味が庄五郎を見つけて騒ぐ回廊、妙心寺法堂前渡廊。一味に追われ逃げる庄五郎たち、方丈・法堂まわり。このあと逃げ込んだ林で木の間から金閣を見て、足利将軍を越えてみせると庄五郎が発言。
- 北条早雲の城・小田原城、丸岡城天守。
- 甲斐山中、息子・晴信を連れ野駆けの武田信虎、谷山林道切り通し。ここから先は信濃、その先は美濃と息子に語る。
- 尾張清洲城、芦浦観音寺(門)。吉法師の稽古を見て叱咤する織田信秀、庭先のシーンは不明(必殺仕事人・激突18話と同所、クリーム色五本線入り塀の外側、手前に石積み)。
- 美濃さして旅ゆく庄五郎たち、木津川河川敷。
- 美濃・革手城城門、彦根城太鼓門櫓(内側)。土岐政頼と頼芸兄弟が対立中、と解説入る。
- 庄五郎たちが訪ねる、元南陽坊の日運上人が住持する鷲林山常在寺、不明(高い石垣に囲まれ、ステップ上がると門で、石積みはかなり腰高)。上人と話す座敷は芦浦観音寺本堂縁先。庄五郎の部下が諍いを起こした土岐家家臣・権田原宗源との果し合いは下鴨神社河合社脇〜池跡(捕まった部下が括られ)。軍勢が押し寄せた芝居の松明バイトが馬場に出る。
- 土岐政頼に謁見するも侮辱された庄五郎、詫びる長井利隆は広沢池東岸(船を舫い)。
- 次いで会いにゆく土岐頼芸の館・鷺山城、亀山城址(二の丸・三の丸間の橋をナメて建物)。ここで頼芸の誼を得て執事となり、西村勘九郎と改名。
- 鷺山城内、勘九郎を呼び止める矢野五左衛門、相国寺方丈前縁。導入は外から塀越しに方丈建物を見るクレーンショット、その後執務室で話す二人は方丈座敷、障子が開いていて塀越しに法堂がのぞく。この後方丈裏庭を望む廊下に出て、庭を逍遥する深芳野を凝視(深芳野がゆくのは裏庭ではなく、前庭の西塀際)。
- 梵天八兵衛が京の奈良屋へ勘九郎の現況を告げるべく馬を走らせる街道、不明(川堤か、かなり草深い)。深芳野へのギフトを持ち帰る役目も。
- 革手城にやって来る政頼の異腹弟たち(揖斐五郎光親、鷲巣六郎光敦)、彦根城太鼓門櫓(内側)。「よそ者の油屋」に牛耳られた頼芸が頼りない、鷺山城を攻めよとブチ上げ。
- 先制して奇襲をかけようとする勘九郎、頼芸に止められ僅かな人数でやって来る矢野のシーン、不明(土塀際、内陣には萱葺屋根)。出陣する勘九郎に懐妊を告げにやって来る深芳野、入城のシーンは彦根城石垣と太鼓門櫓(表側)。土壇場で利隆が軍勢を率いて入り、勘九郎に知行地も家臣も家名も譲ると申し出。
- 政頼の宴、相国寺方丈前庭に幔幕張り巡らせ、夕顔が舞う。政頼の席は靴脱ぎの廊下付近で、西を向く。月明かりの下、城に侵入する勘九郎たちは彦根城佐和口多聞櫓(内側)。様子を窺う段で映る建物は、彦根城旧西郷家長屋門に似る。奇襲は成功し、政頼は一乗谷へ落ち、頼芸が美濃守護職に。
- 美濃の変が急報される織田の城、芦浦観音寺門。知らせを聞く織田信秀は本堂玄関。
- 頼芸が引き入れた長井長弘が明智に謀反の気配と吹き込み、そのことを利隆に相談する新九郎(長弘の追従で「長井新九郎」と改名)、芦浦観音寺本堂座敷。
- 東美濃・明智一族の館、不明(石畳の坂道の途中に門、前に石積と大刈込の植栽、湖東三山に似る)。
- 明智光継から届けられた、京からの部下・百々丸と大吉の首を見て号泣する新九郎、芦浦観音寺本堂座敷(日運上人立会い)。首桶と共に来た明智の人質は庭先に。
- 小見の方の輿入れ、行列がゆく道は大覚寺遣水跡。
- 頼芸に赤子を見せにゆく深芳野、相国寺方丈前庭。頼芸が自分の種か否か迫る。
- 長弘の讒言を立ち聞いた矢野が、新九郎にそのことを伝える城内、彦根城佐和口多聞櫓(内側)。
- 長弘の館を夜襲する新九郎、西明寺二天門(内部はセット撮り)。この際落命したあぐりの棺を流す川、大堰川。
- 美濃の土豪たちが長弘殺害に憤激し押しかけるくだり、軍勢がゆく野、不明(台地か)。
- 新九郎を放逐するも、たちまち軍事的に窮する頼芸、近隣諸国が美濃攻略の兵を挙げたと知らせる母衣衆が騎馬で入る革手城城門、彦根城太鼓門櫓(内側)。
- 美濃へ呼び戻される新九郎が馬を駆る道、木津河原か(砂地)。以降、山城入道斎藤道三と名乗る。
- 織田軍が展開する野原、不明(台地か、大がかりなモブシーン)。
- 道三により大改修された稲葉山城、彦根城博物館と隅櫓。道三の長子・高正と光秀が相撲をとるのは博物館脇。
- 鷺山城を攻める道三、亀山城址。石垣のほか、二の丸・三の丸間の橋と下の通路(濠跡)など。かなりな人数を入れての夜間撮影で、橋の上と下を駆けめぐるモブは迫力。城館内部はセット撮り。
- うつけ殿・信長が鉄砲を試す林、不明。
- 織田軍とぶつかる斎藤軍、出陣する道三は彦根城天秤櫓。会戦の野原、不明(バンクフィルムまじり?)。
- 信長が道三を撃ちに来て失敗、光秀に追われるくだり、二人が斬り結ぶ林、不明(竹まじりの雑木林、巨岩あり。幼杉が植えてあったり、林の切れ間から開けた農地?が見える感じは北嵯峨にも似る)。
- 帰城する信長、芦浦観音寺門。境内で、父の突然の死を知らされる(濠まわりの林が映り込む)。
- 濃姫の輿入れ、出てゆく城門は彦根城天秤櫓。行列がゆく山道は谷山林道。
- 娘婿と会見のくだり、うつけ殿の道中を垣間見る道三は大堰川堤下にあしらわれた小屋の窓から覗き。対面の場・富田ノ庄正徳寺は興正寺。山門越しに御影堂を望む図が出て、家来衆が前縁に控えている。お堂内部も使っていて、大広間がよい絵を提供(「見真」の額映り込み)。信長が傾いたなりとは一転涼やかな武者ぶりで現れたり、道三が敦盛を舞ったり。
- 道三が軍を展開する野、不明。
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