西山正輝監督作品 1963.5.22大映
綱紀粛正を天命とする寺社奉行は、大奥の女どもが乱行を繰り広げる魔窟に着手。しかし潜入させた腰元が色魔の毒牙にかかり、当の娘はおろか恋人の若者も、苦悩のどん底に叩き込まれてしまう。そのうえ淡路守自身には粛清された向きから復讐の刃、加えて幕閣の糾弾。危機募り遂に切所を迎えるが、情は戻ってくるのだった。
ロケ地
- 大奥の老女たちが愛欲に溺れる谷中・延命院、西教寺。まず本坊・本堂の甍の俯瞰が出て、「湖」側に町なみが合成されている。初瀬の駕籠が来たと触れて回る柳全のくだり、本堂脇から本坊。「長持」の行列がやって来るルートは勅使門〜石垣際。町衆が行列を見て囃す茶店は、茶所から本堂を望む図。長持が運び込まれ、老女たちが愛人と睦むくだりは、本堂裏手の渡廊や客殿縁側、書院廊下など出てクレーンショットもあり。後段でも「内部」が諸所使われている。延命院は日蓮宗設定。
- 柳全とつるむ殺人犯の浪人を追う岡っ引のくだり、浪人が寺へ向かう坂道は西教寺真盛上人御廟参道石段。浪人が入る庫裏は不明、それを見張る岡っ引の背後に西教寺二十五菩薩来迎群像。寺を出てきた浪人を尾行した岡っ引が消される林、不明(山の斜面、林へ入るのは御廟参道から)。
- 嘆くつやに詫び慰めたあと、茶を所望する淡路守、野点の庭は勧修寺庭園。船を出して櫂で子供っぽいいたずらをするシーンもある。この際、弁天堂映り込み。後段、再登場の際は宸殿側に幔幕が張られている。
- 事後、国表へ向かう淡路守の行列がゆく街道、川堤か。
寺社奉行・脇坂淡路守は長谷川一夫、スパイをつとめる腰元・つやは坪内ミキ子、つやの恋人の近習頭・兵馬は津川雅彦。脇坂家の用人の爺さまは荒木忍、兵馬の同僚の青年は松本錦四郎。兵馬の友達の町方同心は丹羽又三郎、彼の行きつけの酒肆の仲居は千之赫子でのちに兵馬に惚れる設定。殺し屋を追っていて消される岡っ引は寺島貢。
延命院の色魔上人は島田竜三、欲ボケ坊主は沢村宗之助で妾は近藤美恵子。殺し屋の赤痣浪人は天知茂。
幕閣は柳永二郎、嵐三右ヱ門。大奥老女は浜世津子、阿井美千子。
原作/富田常雄 脚本/犬塚稔、松村正温
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