喧嘩鴛鴦

田坂勝彦監督作品 1956.5.25大映

キャスト
保科新八郎/市川雷蔵 園姫/嵯峨三智子 頭天堂/大河内傳次郎 おけい/阿井美千子 真弓/小町瑠美子 浪路/浜世津子 朱実/江島みどり おみつ/春風すみれ 穴沢多十郎/富田仲次郎 飯塚彦六/上田寛 春駒/大美輝子 女中蝶子/ミヤコ蝶々 番頭雄さん/南都雄二 柳生大和守/原聖四郎 倉地一角/千葉登四男 将軍/岩田正 太郎吉/清水紘治


 叔父さんに頼まれて密書を届ける若者の道中は、女難剣難の連続。どんな女も惹きつけるモテモテ男なうえ、剣をとっては無双の腕の新八郎だが、口癖が「馬の屁」だったりして、どこかお間抜け。
三条大橋からお江戸日本橋まで、賑やかな東下りの「上がり」は、晴れて兄に認められての出世。関わったトラブルもきれいに片付け、また旅空の新八郎は爽やかに笑う。

ロケ地

  • 二組の女たちを避けて三条大橋の橋桁にぶら下がる新八郎、橋はオープンセットで、ぶら下がった際に見える河原はロケ(河原は礫、遠景に河畔林と土手が見える。桁隠しと橋脚も映っていて、橋が河原に影を落としている)
  • 足を痛めた女が新八郎に助けを求めるも頭天堂を見て逃げる街道、不明(二川合流点の堤か、家の軒が土手に接している)
  • 虚無僧姿の倉地一角が、鳥追い姿のおけいを呼び止める街道、不明(一角が座っているのは用水路畔、おけいが来た道には天井川堤を越す坂が見える。用水路脇にも土手があり、竹の河畔林が沿う)。おけいがピストル出して脅しをくれて去ったあと、京都所司代家中の穴沢たちが通りかかる。
  • 祭りで賑わう草津神社、梅宮大社。楼門前にたくさんの人出や露店があしらわれ、頭天堂と新八郎がいる「矢場」の屋台につなげる。ここへ悪者に追われていると女が駆け込んできて新八郎が連れて逃げるくだりは、東参道から堀の石橋を渡って神苑へ、池側には掛小屋か何かの葭簀があしらわれ目隠しに。神苑に入ったところで女が殺されてしまい、柳生大和守への届け物を託される。穴沢らは新八郎に詰め寄るが、古典ギャグで逃げられ。
  • 草津宿を発った新八郎がゆく山道、谷山林道か。鷹司の姫と称する女と、妙にきれいな若衆が通りかかる。
  • 熱田の旅籠で、姫と誤認され穴沢たちに捕まった角兵衛獅子の姉弟を助けるくだり、囮をつとめ逃げてきた新八郎を呼び止める角兵衛獅子の子・太郎吉、琵琶湖岸松原(夜設定、湖面が光っている)
  • 鷹司の姫と若衆が一角に悪さをされるくだり、不明。まずちゃっきり節入りで茶畑が出て、奥に富士山。茶摘み娘たちが帰る田畔を映し、街道にパンすると姫たちがいる運び、その道は田から少し高く、反対側には水路があり向うは一段と高くなっていておけいがその上の道を来る。おけいは彼らを見かけて法面を駆け下り、欄干の無い小橋を渡る。一角が若衆を連れ込む小屋は林の中、しかし開けると新八郎が中に。このあと斬りあいになるが、山腹の模様。
  • 柳生大和守の舎弟と名乗り、りゅうとした姿でお供に姫や頭天堂を紛れさせて通る関所、不明(湖畔松林か)
  • 酒匂川渡し、不明(山峡から出たあたりのけっこう幅広い川、河原は礫で河畔林は竹、流れはかなり早く水量も豊か。芸者衆がやって来て穴沢らの目をあざむくくだりでは、土手の向うに民家が見える)。頭天堂と新八郎の女装が見られる。新八郎に逃げられてがっかりの姐さんのシーン、対岸堤に車が走っちゃっててアレ。
  • 江戸、柳生屋敷、大覚寺大門。新八郎や穴沢らの出入りの際には、参道も映る。
  • 弟を伴って登城する大和守のくだり、お城イメージは二条城、東大手門前から東南隅櫓を望む図。大和守がゆく御廊下は仁和寺書院廊下(東面)、将軍が頭天堂の話を聞くのは仁和寺宸殿前縁、頭天堂は前庭白州に。新八郎の足もとに一角の果たし状が飛んでくる廊下はセット。
  • 一角と果し合いの護持院ヶ原、不明(湖畔の松林。頭天堂が一角の素性を明かし告白するくだりで見える水面は、内湖っぽい。新八郎が機転をきかせて衣で仇を討ち、姉弟と駆け去る道は広大な草原)
  • 姫が駕籠をとめ新八郎たちを見る街道、琵琶湖畔。松原脇の地道を街道に見立て、新八郎たちは田畔に控えていて、田越しに荒神山が見える。松林越しの湖面の絵では、多景島がちらり。

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