森の石松鬼より恐い

沢島忠監督作品 1960.11.22東映

キャスト
中村錦之助 丘さとみ 大川恵子 進藤英太郎 千秋実 山形勲 坂東蓑助 加賀邦男 片岡栄二郎 沢村宗之助 田中春男 中村時之介 尾形伸之介 長島隆一 有馬宏治 赤木春恵 中村錦司 遠山恭二 潮路章 片岡半蔵 鶴田浩二

脚本/小田英雄、鷹沢和善


 石松芝居の舞台演出家がタイムスリップし、当の石松になってしまう。ひとくさり抵抗したあと、石松としてやっていくほか無いと腹を決める男だが、彼は石松の運命を熟知する者であった。

 運命は変えられると励ましてくれる恋人とともに金毘羅代参に出る「石松」、しかしどう抗おうとも閻魔堂を避けては通れず、筋書き通り石松は都鳥一家に襲われ膾に。「石松」としての息をあきらめて崩れ落ちる男、そのとき再び不思議が起きる。

宇治川

ロケ地

  • 乗らない舞台に嫌気がさし銀座へ繰り出す石井、望遠で導入の市街は東京か(都電が高架をくぐる)
  • タイムスリップし、石松に変じて目覚める石井、三保の松原
  • 富士の裾野をゆく石松とおふみ、富士演習場か。夕景の海辺は不明。
  • 佐吉に預けられてしまった千両を抱えて旅ゆく石松、木津堤(下は茶畑)。賭場荒らしが追われ斬られるところに出くわすくだりは木津堤法面の道、セット併用。
  • 賭場荒らしに託された幼児を連れて三人で旅ゆく石松たち、不明(堤道か、河畔林は竹ほか雑木)
  • 石松たちが小休止していると、千両入りの荷物を盗まれかかる川辺、保津峡落合河口。
  • 御難続きの旅にキレたおふみを宥める石松、旅ゆく三人の遠景イメージは流れ橋
  • 伏見船番所を訪ね、佐吉の老母は河内へ行ったと聞かされ、そこへ行くべく乗り込む三十石船、宇治川下流部(撮影は右岸から)。流れはゆったりとした瀞、堤上には並木。船上で「追っ手」とトラブルになり大立ち回り、何人かは川に叩き込まれ。佐吉の嘘を知り癇癪を起こした石松が金箱を水に放ったあとには、残ったヤクザ全員金を追って川にザブン。
  • 兼吉に頼られた都鳥一家が石松への追っ手を出すくだり、松明かざし夜の町を走る都鳥の子分は大覚寺放生池堤。このあと、その灯を遠目に見て火祭りと誤解するシーンはインドアセット、七五郎の家も閻魔堂もセット。

二役覚書
演出家石井=石松 石井の助手=おふみ 東都劇場支配人=都鳥の吉兵衛 新進座の石松役=次郎長一家での弟分・六助 照明係のチョーさん(電気屋)=次郎長親分 東都劇場掃除婦=次郎長内儀・お蝶 東都劇場守衛=洲走りの吉蔵 月賦屋(集金人)=佐吉 殺陣師のクニさん=手島の兼吉 寿し七主人=七五郎 寿し七女将=七五郎女房・お民

*石井が手がける舞台は、新進座11月公演の「森の石松鬼より恐い」、東都劇場にて上演。
*マキノ正博監督作品、「清水港代参夢道中(続清水港)」のリメイク。
*銀座のバーで飲んだあとの、石井の行状の描写はちょっとサイケデリック。ゴーゴー喫茶のバイク遊具で「集団暴走」中ウイスキーラッパ呑みとか、撮影当時の風俗が出てくる…そんなものがほんとうにあったかどうかは不明。


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