1999.1.2TX/東映
キャスト
大石内蔵助/松方弘樹 大石りく/浅野ゆう子 大石主税/横山裕
赤埴源蔵/市川右近 大高源五/山田良隆 岡野金右衛門/沢向要士 片岡源五右衛門/大橋吾郎 神崎与五郎/石橋保 富森助右衛門/前田淳 寺坂吉右衛門/田中隆三 原惣右衛門/今福将雄 不破数右衛門/高嶋政宏 堀部安兵衛/山下真司 堀部弥兵衛/内藤武敏 前原伊助/菅原加織 矢頭右衛門七/増島愛浩 吉田忠左衛門/中丸忠雄
小山田庄左衛門/松田洋治 萱野三平/角田英介 高田郡兵衛/四方堂亘 橋本平左衛門/伊崎充則
浅野内匠頭/石黒賢 阿久里(瑤泉院)/沢口靖子 戸田局/朝丘雪路 大野九郎兵衛/山田吾一 安井彦右衛門/石山律雄 藤井又左衛門/津村鷹志 玉虫七郎衛門/芝本正
おしの/小橋めぐみ ほり(堀部安兵衛内儀)/岩本千春 わか(堀部弥兵衛内儀)/丘さとみ 美保・はつ(玉虫七郎衛門娘/蜆川女郎)/竹本聡子 軽(萱野三平内儀)/佐藤友紀 萱野七郎右衛門(萱野三平父)/桝田徳寿 夕霧太夫/若山幸子 穂積幸/小田茜 穂積総右衛門/前田吟 赤埴儀助/石立鉄男 儀助の妻/佐野厚子
畳屋辰五郎/愛川欽也 おとよ(辰五郎内儀)/白木万理 大石無人/菅原文太 立花左近(日野家用人)/津川雅彦 天野屋利兵衛/桂ざこば 細井広沢(儒学者)/勝野洋 土屋主税/田村亮 蕎麦屋金平/関時男 四方庵宗偏/森繁久彌
堀田隼人/大鶴義丹 蜘蛛の陣十郎/中村嘉葎雄 お柳(陣十郎情婦)/一色彩子 おせん/古手川祐子 野崎佐平次/清水紘治 丸岡朴庵(犬医者)/鶴田忍 お千賀(朴庵妾)/有沢妃呂子 仙吉(目明し)/うえだ峻
柳沢吉保/萩原流行 土屋相模守/有川博 梶川与惣兵衛/伊吹剛 多門伝八郎/大出俊 脇坂淡路守/伊吹吾郎
小林平七/名高達男 清水一学/舟木一夫 上杉綱憲/京本政樹 千坂兵部/里見浩太朗 色部又四郎/堤大二郎 吉良上野介/田村高廣
ナレーター/津嘉山正種
原作/大佛次郎
刃傷松の廊下
堀田隼人と蜘蛛の陣十郎が出会う頃、浅野内匠頭に勅使饗応役が言い渡される。
行く手に暗雲の気配を嗅いだ大石の気遣いは今一歩で届かず、事態は既に悪い方向へ転がりだしていた。
ロケ地
- 桂昌院が隆光の祈祷を受けに来ている護持院、粟生光明寺阿弥陀堂。木の陰から窺う隼人が、鋭い視線を向けている。
- お犬様に詰め寄られた母子を助ける小山田、大覚寺大沢池畔。刀に手をかけたところで隼人が止めに入る。殺到した目明しから逃げる二人、放生池堤。
- 江戸城イメージ、姫路城天守。内匠頭が勅使饗応役を命じられる段。
- 赤穂藩江戸屋敷、大覚寺大門。後段では、出入りの際に式台玄関や前庭の松なども映る。
- 赤穂の浜、不明(浜は礫、沖に巌)。大石が視察に出る塩田、塩の国。
- 赤穂城、本物。三の丸隅櫓越しに大手門を望む図をイメージに。
- 剣の稽古をする堀部父子、不明(通用門つきの裏塀?際、背後は林)。
- 上洛中の吉良に工作すべく街道をゆく大石、谷山林道切り通し。先発させた安兵衛らの報告を受ける茶店は頂上付近に設営。
- 護持院の扁額(将軍の筆)を損壊して逃げた隼人、上杉家の侍の刀を足に引っ掛け因縁をつけられるのは大覚寺石仏前、その侍を斬ったあと小林と対峙するのは護摩堂前。
- 呉服橋吉良邸、妙心寺隣華院。門内外を使うが、座敷はセット撮り。
- 吉良邸からの帰り、吉良の胸中を忖度する片岡に、要なしと吐き捨てる内匠頭、広沢池観音島(駕籠をおりて水辺で述懐)。
- 剣の稽古をしていた主税に声をかけるおしの、琵琶湖東岸。沖に多景島がちらり、画面左手に沖ノ島がのぞく。二人を見るおせんは湖畔松原に。
- 勅使院使が入る辰ノ口伝奏屋敷、随心院薬医門。
- 柳沢の別邸へ侵入した陣十郎と隼人、見つかり追われ船で逃げる葦原、広沢池東岸。
- 勅使院使が入る江戸城城門、二条城本丸櫓門(北から側面を望む図で導入)。
*吉良さまのイジメ、高廣さんらしく静謐で上品。ゆえにけっこう憎たらしい。
*内匠頭暴発のポイントは、桂昌院への取次ぎを阻まれたこと。一太刀斬りつけ「わあっ」と叫び、「覚えたか」とまた斬りつけ。梶川どのが取り押さえたあと、「刃傷でござる」と叫ぶ烏帽子大紋の大名は福ちゃん(叫ぶ前に頭左右に振ってキョドり)。
脚本/高田宏治、ちゃき克彰 監督/原田雄一
涙の連判状
内匠頭は即日切腹、悲報を知った大石は号泣、しかしすぐに顔を上げ動きだす。
籠城の殉死のと言を左右に藩士たちを振り回したのは、意志薄弱な者を篩い落とすためなのだった。
ロケ地
- 江戸城イメージ、姫路城天守。刃傷に至るまでの経緯をプレイバック。
- 刃傷と叫び走り出てくる侍たち、二条城鳴子門(北から、開口部から桃山門がのぞいている)〜御台所(奥に土蔵)〜濠端。閉じられようとする城門に殺到し、刃傷に及んだ大名の名を聞き出そうとするお供の各藩藩士たち、北大手門(内と外、両方のアングルあり)。
- 藩士たちが続々と駆け入る赤穂藩上屋敷、大覚寺大門。慌しく早駕籠の用意がなされる邸内、妙心寺方丈前回廊の上と下、路地を走ってゆく駕籠は妙心寺大庫裏脇路地(北望)。
- 上杉家上屋敷、妙心寺東海庵(南東角から塀越しに甍を望む図、玉鳳院の南西角塀が映り込む)。
- 第二の早が江戸を発つ頃、駿府を過ぎた付近街道を走る第一の早、山室堤上(富士山合成)。
- 赤穂城イメージ、本物。先に出たのと同じ、三の丸隅櫓越しに大手門を望む図。
- 吉良邸、妙心寺隣華院。上杉から見舞いが来ないとキレる上野介のくだり。
- 内匠頭の墓に縋り号泣する片岡、二尊院か。
- 第一の早が差し掛かる赤穂の浜、琵琶湖東岸松原。
- 早の到着を受け、国境の番所から出た騎馬の伝令が駆け入る城門、二条城本丸西虎口。
- 第二の早を迎えに出る騎馬二騎、山室堤上〜降り口。早は田畔を来る。
- 総登城の触れ太鼓を聞き続々と入城する藩士たち、二条城本丸櫓門橋(北から側面を望む図)。剣の稽古をしていた主税ら若者たちが触れ太鼓を聞く城下、常寂光寺仁王門まわり。
- 剣の稽古をする主税、大石邸へ向かうおしのが通る浜、琵琶湖東岸。
- 江戸城内の甲賀者屋敷、赤穂に配下がいるか佐平次に問う柳沢、二条城郭内側(東大手門続きの塀)。
- 安兵衛らが赤穂へ向かう街道、山室堤。
- 続々と赤穂入りした浪人たちが屯する浜辺、琵琶湖東岸松原。
- おせんに美しい城だろうと声をかける不破、城は二条城本丸櫓門(不破たちは琵琶湖畔にいて、場面切り替え)。
*内匠頭を介錯する、股立をとった侍は福ちゃんで、顔はっきり映ってるけど刀は構えただけで振り下ろす動作はなし。このほか、多門伝八郎と共に内匠頭を取り調べる目付が小峰さん。切腹の沙汰を持ってくる大検使は波多野さん、大出俊と言い争い。
脚本/高田宏治、藤井邦夫 監督/上杉尚祺
赤穂城明け渡し
血盟の士を得た大石は、真意を押し隠しひたすら恭順の意を示し、無血開城が成る。
ほどなく大石一家も赤穂を去り、山科に閑居。御舎弟大学の継嗣ならず御家断絶が確定したあと、目に余る大石の放蕩がはじまる。
ロケ地
- 連判状に署名血判した主税、おしののところへ走る浜は琵琶湖東岸、おしのが働く塩田は塩の国。
- 赤穂城イメージ、大手門正面と三の丸隅櫓越しに大手門を望む図。
- 収城使・脇坂淡路守の軍勢がやって来るところ、隼人が狙撃の機会を狙う鷹取峠、谷山林道(林道、切り通し等各所)。
- 城に侵入した陣十郎が中を窺うくだり、陣十郎が立つ土手は彦根城博物館の内濠土塁、大石が現れる縁先は博物館内部。大石と片岡が亡君の遺骨を埋める「本丸の庭」は彦根城西の丸三重櫓(五輪塔あしらい。その後忍びの襲撃あり、観音台へ通じる石垣際で立ち回り)。
- おしのに別れを告げに来た主税が駆け入る鳥居、不明(背後は海、立地は高台か)。駆け上がる石段とその先の門は大避神社(参道坂と神門)、二人が話す建物は同所の絵馬堂。
- 隼人が潜む小屋を見つける橋本ら、酵素河川敷「木」の前に小屋あしらい。
- 収城使が入る城門、彦根城天秤櫓。
- 赤穂を去る大石一家、大覚寺大沢池堤。おしのが駆けつけてくるが、主税は顔を合わせず去るという次第だが、おしのはまず大沢池北西畔を北に走ってきて、その後放生池堤を西に駆ける(カメラは北から)ので、現地を知る者はちょっと混乱。
- 江戸城イメージ、姫路城天守。大岡の嘆願書をめぐり、老中・土屋が柳沢に意見するくだりで出る。
- 向島の柳沢別邸、中山邸通用門(イメージのみ)。おせんが初めて柳沢と会う場面。
- 京・山科の大石邸、中山邸門(実際に主税と弟妹が出入り)。この近くに不破が構えた陋屋は竹林、北嵯峨か。
- 摂津・萱野村の萱野七郎右衛門邸、民家門(前畑越し、イメージのみ)。
*横領した公金を取り戻しに大野家老宅へ乗り込む岡野、お供の部下に福ちゃん。
*橋本平左衛門は大坂・蜆川の遊里で妓と心中、敵娼のはつは自刃した玉虫の娘に酷似設定、同キャスト。
*撞木町で浮様に接触する「期待派」の紀州家家老・水野図書は亀石征一郎。よく薩摩浪人とかがやる役回りの、浮さま見て失望し怒るアレ。
脚本/高田宏治、ちゃき克彰 監督/牧口雄二
それぞれの別れ
大石の動向に、同志も敵方も振り回されるが、深謀が隠されている。再び御家再興の願いが潰えたあと、大石は腰を上げる。
ロケ地
- 上野介が泣きつきにゆく上杉家上屋敷、妙心寺龍泉庵(門前に吉良が乗ってきた駕籠とお供)。
- 萱野三平が自刃した川端、広沢池東岸。
- 吉良の屋敷替えについて大石に注進する文を運ぶ早飛脚、琵琶湖東岸松原。
- 京イメージの山と塔、不明。
- 陣十郎の注進で甲賀者の襲撃を知った大石が、芸妓を侍らせて道中し戻る山科の寓居、中山邸門。
- 豊岡へ発つ母を追ってくる主税、山室堤(主税は堤上、りくはY字分岐の堤下の道)。
- 主税を追って山科へ向かうおしのが、親切ごかしの旅人に薬を塗ってもらう街道、嵐山自転車道。
- 大石邸へ入り込んだおしの、走り出たのを追って話す主税、広沢池東岸。
- 江戸組を代表して大石へ掛け合いにやってくる安兵衛たち、街道は嵐山自転車道。嵐山東公園の立木の陰から、雲水(福本清三)が一行を凝視。雲水は走り出し、粟生光明寺紅葉道・薬医門に駆け入り、その後佐平次が配下に指示を与える粟生光明寺石段上部にスイッチ。
- 安兵衛たちが襲われる夜道、大覚寺境内か。佐平次の組が討ち入る大石寓居、中山邸門。
- 出府し真っ先に柳沢を訪ねる大石、上屋敷は知恩院北門。
- 泉岳寺の亡君の墓に参る大石、二尊院か。
- 穂積の容態が悪化したことを、吉良邸へ奉公中の幸に知らせる岡野、裏口は妙心寺大庫裏通用門。
- 吉田忠左衛門が呼ばれ、御家再興の願いが却下されたことを聞かされる芸州浅野家上屋敷(大学がお預け中)、妙心寺聖澤院門。
- 円山会議が行われる料亭・重阿弥の庭、梅宮大社神苑(会議に先立ち、庭に出た大石が水面の月を眺める←おせんが茂みから見ている)。
- 大石東下り、琵琶湖東岸松原。主税が水辺に立ちおしのとのことを述懐。
*大石は萱野の父に責められ/その後軽を山科に伴い←あとどうなったか語られず。
*朴庵が吉良邸出入りと聞き利用しようと妾に近づく小山田だが、女体に溺れた挙句朴庵を刺す羽目に。
脚本/高田宏治、藤井邦夫 監督/原田雄一
決死の江戸入り
東下り、吉良方の人数は江戸入りさせじと大石を討ちに来るが、助け手も数多く、大石は無事江戸へ。
しかし大事を前に、道を別れてゆく人もいる。
ロケ地
- 東海道をゆく大石一行(日野家用人に偽装、大石は騎馬)、山室堤。後段、降り口から見上げた図も。
- 吉田忠左衛門らがゆく街道、酵素ダート。
- 神崎与五郎が馬方と事を構える道、酵素か。
- 箱根の関所を過ぎ、山道をゆく大石一行、不明(林道)。
- 大石が逗留する川崎・平間村の農家、民家(正面植え込み際に立って案内の富森と話す。後段では、植え込み外側に牡丹の苗を植えるシーンも)。多摩川イメージ、大堰川(堤から見下ろした図と、夕景)。
- 赤穂浪士の危機を救う大石無人、吉良邸前から去り休む茶店は大覚寺大沢池船着(小)脇に設営。
- 大石が釣りをしているところへ訪ねてくる無人、広沢池東岸。
- 杉野に呼ばれ、本所一ツ目橋付近へ出向く岡野ら、嵐山公園中州(料亭の狭間の岸、吉良邸から出た土を運ぶ船が下ってゆく)。
- 小林平七が刺客に雇った浪人たちを集める、川崎宿の常念寺、神光院(山門に「常念寺」の看板を掛け、寄り合いのお堂は中興堂で、小林が足早にゆくシーンで本堂・中興堂間の回廊も)。
- 富士講中のなりをした吉田忠左衛門らがゆく品川道、羽束師堤。行き先は平間村の大石逗留先。
- 平間村で虎口を脱した大石が船に乗る川、罧原堤下桂川。
- 小山田を連れてお盗めをする陣十郎、金を盗って船で逃げる堀は嵐山公園中州水路。
- 大坂・天満の町、映画村セットに大阪城天守を合成。
- 岡野と結ばれた翌朝書置きを残し去る幸、家を飛び出し吉良邸のまわりをうろつく岡野を見た前原が、場所を変えて事情を聞く水辺は大覚寺放生池畔。
- 懊悩し大石に疑義を抱く岡野、吉田が彼を伴い泉岳寺へ向かう石畳、不明(門前の石畳、夜間撮影)。
- 隼人が毒づきながら小山田を葬る野末の塚、不明(竹林際か、手前に「水溜り」)。
- 江戸城イメージ、姫路城天守。細井広沢が赤穂浪士弾圧に苦言を呈しにくる場面。
- 安兵衛宅を訪ねてくる広沢、外へ出て一挙の前に口上書を作るよう進言する水辺、広沢池観音島。
*本物の日野家用人・立花左近は、「亡君」「泉岳寺」等のタームで「察知」、所司代の裏書がある本物の通行手形を呉れる次第(大石が用意した手形には裏書無し)。
*穂積親子は、岡野が大望ある赤穂浪士と知っていて「行動」。
*高田郡兵衛は早い段階で大石の支配から脱していて、徒党を組んで吉良を町で強襲するも失敗・皆殺しに。清水一学が二刀流を見せる。
脚本/高田宏治 監督/杉村六郎
吉良邸討入り
いよいよ討入り、霏々と雪降るなか、各人それぞれの別れの情景が描かれる。
その雪を踏んで出陣、討入り・凱旋・沙汰と、さくさくと話が進行する。
ロケ地
- 陣十郎が大石に調達した武具を見せるくだり、仁和寺。武具を隠匿してある屋敷の入口は、御影堂通用門。帰ってゆく大石、観音堂脇石畳。それを見守る陣十郎は鐘楼脇林間、隼人が現れ「任せろ」→大石に斬りかかる一学を阻止するシーンは九所明神西側・経蔵下坂←千坂が出て一学を退かせ、大石に詫び去ってゆくのは金堂への坂。千坂が一学を諭しつつ歩く戻り道、御室桜林西側の塀際。
- 宗偏に弟子入りした大高、吉良邸茶会の日取りを聞かされる庭先は中山邸無畏庵前。
- 赤穂浪士に対する処置が議論されるくだり、江戸城イメージに姫路城天守。登城する柳沢は二条城本丸櫓門(中から出て橋を渡る。或いは下城のシーンか)。
*四方庵宗偏は、大高の身分を察し吉良邸茶会の日取りに容喙。
*南部坂雪の別れは、やり過ぎ感のある酔態芝居。羽織の別れや高張提灯はおきまり通り、蕎麦屋とは前から知り合いなので討入り装束見てびっくりとかは無し。吉良さまは炭小屋に隠れてて、幸の示唆で岡野が見つける次第、中から飛び出してくる侍の一人に福ちゃん。
脚本/高田宏治 監督/吉川一義
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