森一生監督作品 1969.6.28大映
キャスト
民谷伊右衛門/佐藤慶 お岩/稲野和子 佐藤与茂七/青山良彦 お袖/御影京子 直助/小林昭二 宅悦/沢村宗之助 民谷左門/浜村純 小平/水上保広 奥田庄三郎/木村元 お梅/真砂ちかこ お槇/橘公子 お色/毛利郁子 伊勢屋喜兵衛/南部彰三 庄七/寺島雄作
禄を離れた侍は、傘張りの日々に倦みうまい話を求め、体よく大店の娘の心を射止めるが、妻子の処分を求められる。元々が欲得ずくで娶った妻なうえ、生来酷薄な男は、世にもおぞましい凄惨な手立てを講じるが、憤懣の裡に崩じた魂はすぐに祟りはじめる。
「我欲が男の悪なら、死霊となってとり憑く妄執は女の業、悪と業の戦いなら己一人の力で生き抜いてみせる」「首が飛んでも動いてみせるわ」と嘯く、がっつり骨太な佐藤慶の色悪が見もの。
ロケ地
- 遠州相楽藩城(このあと奥州に減封)、彦根城。天守、天秤櫓、城内石垣など。人を出しての芝居もあり。
- 禄を離れ江戸へ向かう藩士たち(伊右衛門とお岩のほか、民谷左門一行も)、不明(谷地田沿いの地道)。
- 貧乏暮らしにクサり、妻に当たって家を出てきた伊右衛門がゆく雑踏、仁和寺塔前石畳に露店あしらい。このあと茶店で庄三郎たちの話を立ち聞き。
- 伊勢屋の娘がゴロツキにからまれているところへ現れ、颯爽と助けて去ってゆく伊右衛門、仁和寺林間。
- ゴロツキに金を渡す伊右衛門、仁和寺観音堂脇。次第を見ていた左門が現れ、伊右衛門を難詰。
- 舅・左門を斬り捨てる芦原、セットか。ここでは直助が庄三郎を殺していて、悪人二人の鉢合わせ。後段、薬を持ち出した小平をシメる芦原も同所か。
*伊右衛門の住む長屋、戸板を投棄する橋、隠亡堀に蛇山庵室と、凝ったセットが作られている。
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