安田公義監督作品 1954.10.13大映
キャスト
政岡/三益愛子 松前鉄之助/坂東好太郎 八汐/村田知英子 栄御前/入江たか子 万手姫/伏見知子 萩野/阿井美千子 八重/若杉曜子 汐沢丹三郎/花柳武始 伊達安芸/青山杉作 原田甲斐/市川小太夫 伊達市正/南篠新太郎 酒井雅楽頭/香川良介 片倉小十郎/大邦一公 老僕久平/葛木香一 千松/毛利充宏 伊達鶴千代/滝口マサオ 荒木和助/光岡竜三郎 神並三右ヱ門/伊達三郎 百姓治作/天野一郎 同為吉/藤川準 渡辺金兵衛/横山文彦 大場道益/玉置一恵
脚本/阿蘇太郎、池田富保 美術/西岡善信
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お馴染みの題材に、母もの要素を盛り込んだ人情話。
幼君への忠義と愛情、我が子への思いに揺れる心を、母物女優・三益愛子が情感たっぷりに演じる。
原田甲斐はきっぱりと大悪党で、おきまりの格好で大立ち回り。龍の衝立もちゃんと登場する。
ロケ地
- 伊達家の法要が行われる寺、門は金戒光明寺三門。幼君の駕籠が狙撃される道、不明(片側は塀、狙撃者がいた側は石積みの塁。黒谷参道か)。万手姫が父の大老・酒井雅楽頭に、夫を伊達藩主にと迫る座敷は金戒光明寺方丈座敷、前庭が見えている。
- 幼君狙撃に失敗した部下の件を愚痴る原田甲斐、船を舫ってあるのは静水域か(屋形船、汀に木杭)。
- 政岡を出府させるべく、国元へ馬を駆る松前鉄之助、不明(川堤上の道、川は谷を出たところっぽい。中州を見せた浅河原)。奥州・仙台藩とテロップ入る田んぼの中の道は湖西か・奥に河畔林らしき長く続く林。
- 政岡が隠居して棲んでいる里、不明(水郷っぽい情景、内湖か)。政岡の棲む家の門は萱葺き、門外にのぞく家並みも萱葺き。
- 政岡の出府を知らせる騎馬が疾走する街道、不明(高い松の並木が添う平地、まわりは田んぼ)。
- 政岡が乗った早駕籠がゆく街道、不明(低い山の裾。後段、里人に連れられ母に会いにゆく千松のシーンも同所)。襲撃を受けるのは竹林。
- 朝食前に幼君をおもちゃのお馬で遊ばせる上屋敷の庭、天龍寺曹源池庭園。後段、この近くの境内が政岡の実子・千松との再会シーンで登場。
- 親友・荒木に毒を盛る羽目になり怒った神並が甲斐の寝所を襲って失敗し逃走、追っ手が走る塀際は東福寺の西塀に似た土盛りの高塀。
- 将軍家の使いと称しやってくる栄御前、入る上屋敷の門は西本願寺大玄関門。
- 幼君、晴れてお国入りの行列がゆく街道、不明(松並木の道、谷地田か)。
これでもかと泣かす泣かす、孝子の千松。健気に出府を勧め乳兄弟の幼君を気遣うのが、大人たちの話を漏れ聞いて気持ちを抑えられなくなり「会いたい」となるくだりは、微笑ましく可愛らしい。クライマックスの、幼君が手にし口に入れかけた賜りものの御菓子をひったくって「毒見」したあと儚くなるくだりは、涙腺弱い人は見ないほうがいいかもの哀切さ。
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