江戸城大乱

舛田利雄監督作品  1991.12.24東映

キャスト
松方弘樹 十朱幸代 神田正輝 池上季実子 坂上忍 野村真美 江原真二郎 金田賢一 下川辰平 大出俊 西田健 唐沢民賢 伊藤敏八 丹波哲郎 西岡徳馬 平泉成 神山繁 加藤武 金子信雄 三浦友和

脚本/高田宏治

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 将軍・家綱は臥せりがちのうえ嫡子なく、ために次期将軍位をめぐる争いは熾烈を極め、西の丸に迎えられるばかりだった甲府宰相は「客死」。次は尾張か紀州か、はたまた次弟の館林宰相かと喧しいなか、事実上幕府を支配していた大老・酒井雅楽頭は、有栖川宮を推すという不可解な行動に出る。それには、けして口に出せぬ「血筋」にまつわる秘事が関わっていた。

姫路城

ロケ地

  • タイトルのうしろの江戸城、姫路城(三国濠付近から天守見上げの図、小天守を残し大天守を消してある)
  • 登城風景、大阪城大手口・多門櫓・極楽橋・青屋門(もちろん天守は映さない)。大老・酒井忠清が降り立つ玄関は随心院表玄関(ここへ延宝8年とテロップ入る)
  • 松平右頭守綱吉が遊ぶ妓楼と周辺、八幡堀。堀端の一屋を綱吉が登楼している家に仕立て、護岸にぼんぼりをあしらい、濠には華やかな屋形船を浮かべ、殷賑を表現。旗本の若侍たちが大老暗殺を企て、連判状を広げている室内のシーンはセット撮り。綱吉が所持していた短筒を試し撃ちに行く大川の河原は流れ橋下の河原。覆面集団の襲撃を受け、算を乱し逃げるところ、若年寄・堀田備中守正俊が騎馬で乗りつけ道を塞ぐ。
  • 桂昌院に会いに来る堀田正俊のくだり、百済寺庭園本坊。尼御前が鯉に餌をやっているのは池端巨石上、正俊は縁先に。このあと座敷にスイッチ、山腹の大刈込が開口部から望まれる。
  • 小伝馬町の牢を出された綱吉を迎えにくる正俊、遠乗りの丘や海辺、不明(丘はゲレンデみたいな木の無い斜面、海はマジ海)
  • 酒井大老の悪夢に現れる、振袖火事で炎上した江戸城天守、姫路城天守に合成か。
  • 堀田正俊が甲府宰相綱豊を奉じ江戸へ向かう街道、不明(谷川沿いの道)。その後倒木に塞がれた街道、脇道の林道等も不明、罠にはまる里は山裾にセット設営か(十三人の刺客と似た趣向)
  • 酒井忠清邸、西本願寺大玄関門(扉が開いていて、大玄関が望まれる。番士二人あしらい)。尾張の留守居・志母沢が訪ねてくるくだり(将軍位を一千万両で購う話)
  • 町の女たちを屋敷に連れ込んで舞い踊らせ、昼間から呑んだくれる綱吉、ここへ母・桂昌院がやってきて将軍になるのが天命とぶち上げるのは百済寺、庭園本坊の甍を下に見る丘の上の芝地に緋毛氈。
  • 大老を訪ねてくる桂昌院、門は先に出た西本願寺大玄関門、会見のシーンは金剛輪寺名勝庭園(尼は明寿院縁先で待っている。大老が茶室にと促す先に水雲閣、この際前の池泉も映る)
  • 隆光が加持祈祷を行う寺、毘沙門堂本堂を仁王門越しに望む図。たくさんの信者をあしらってある。尼が堀田と密談。
  • 大老が立つ天守焼け跡、姫路城石垣上。備前丸から西の丸の連郭を望む図、遠景に江戸の町が合成されている。金座で志母沢を仕留めて川に沈めたと目付が報告に来るシーンは、焼け跡をあしらったセット。
  • 閉門中の堀田邸、綱吉が馬で乗りつけ役人を退け入る門は随心院長屋門。正俊の子らが遊ぶ近くの川、木津河原(綱吉が褌一丁になって子らとじゃばじゃば。橋は映さず)
  • 隆光や浮かれ女たちが見守るなか、堀田正俊が藁づとを斬ってみせる林、鳥居本八幡宮広場(画面端に舞殿掠め)。女たちが繰り出す大八も両断。
  • 家綱逝去、大名小名続々と詰めかける城門、大阪城青屋門
  • 舅・美濃守血染めの、家綱の遺言状を懐にした正俊が綱吉を遊里から連れ出し城に向かうくだり、遊里は八幡堀堀端、綱吉の駕籠側で女たちや民が踊りながら渡る橋、流れ橋(橋脚に爆薬仕掛けられて橋桁落下・皆川に投げ出されるシーンは、本物とセットを巧みに組み合わせて撮ってある。とにかく大掛かりで派手)
  • 江戸城内、紅葉山東照宮、三将軍の位牌に額づく大老のシーンはセット。堀田が来て綱吉が到着し跡目相続の挨拶をしていると告げ、大老の口から秘事を聞かされたあと、衣冠束帯の綱吉がやって来るシーンは石清水八幡宮本殿(このほか、楼門越し見返りの参道脇に灯が入り、石畳に一筋光の道が見える絵や、本殿前石畳で大老と綱吉が対峙する絵もあり、血まみれの忠清を抱きとめた尼をクレーンで撮ってクレジットに)

※綱吉の屋敷や隆光の寺、桂昌院の居所などの設定が、劇中では詳しく語られていない。また綱吉が通う遊里は江東と思われるが、これもはっきりとした言及は無い。


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