工藤栄一監督作品 1988ケイ・アンド・エス株式会社/京都映画
キャスト
前田吟 岡田吉弘 荒井紀人 三角八重 北見唯一 亀井賢二 出水憲司 平井靖 長島小津重 松本圭昌 眞田実
ナレーション/市原悦子
脚本/松山善三
音楽/木下忠司
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いつものように、遠島になる囚人の護送に立ち会った役人は、あまりに常と異なる罪人の様子に興味をひかれる。
物静かで穏やかな青年が語る、つらい生い立ちと「罪」を犯した経緯。それが罪か、と裁定に疑義が生じるが、高瀬舟は川を下ってゆく。
ロケ地
- 京の町の描写、南禅寺三門、雲水の托鉢風景はセット、鐘撞きはくろ谷か。
- 東町奉行所へ出勤してくる羽田庄左衛門、妙心寺渡廊をくぐり大門へ。
- 牢を出され護送される喜助を見送りに来ている長屋衆、待つ裏門は妙心寺大庫裏脇通用門。引かれてゆく喜助は一旦北へ、のち西に曲がって去る(アングルはずっと南望)。ムクドリの群れが飛び立つ風景、不明(バックに山)。
- 護送の高瀬舟、セットとロケ併用。乗り込むシーンはセット、のち大覚寺御殿川に(勅使門橋下手、水量は常より多い。橋には通行人あしらい)。このあとセットと嵐山公園の堀を組み合わせて使い、見上げた公園の護岸には火を焚いてあたる人々をあしらってある。このあと、船待ちがある舟入のシーンはセット撮り、岸から荷を積んだ船を曳く人足や、高橋などあしらい。また、川端にはさまざまな暮らしの模様が演出されている。
- 喜助の回想、親をなくした幼い兄弟が縁日で食べ物を掠める神社は伊根町の新井崎神社、売り子から逃げて盗んだものを食うシーンは伊根町の舟屋。
- 続く喜助の話、長じた二人が落穂を拾う田、不明(人の入らない朝靄の田園にははさ木や積み藁あり)。芝居の田は北嵯峨かも。掻い掘りのシーンは広沢池西岸湿地。丸太運びの仕事、不明(巨石のある路傍、造園業の敷地か)。兄弟が住む裏長屋、セットと塔を合成か(東寺?)。
- 普請場で屋根から落ち足萎えとなった弟、いざって焚き木を拾いに出るのは金戒光明寺経蔵前。悪ガキが出て嬲り、車ごと落とす坂は東坂。
- 弟を「殺した」経緯を聞かされ、裁定に疑問を持つ庄左衛門、夜明けの川は西の湖園地、船は太鼓橋のほうへ滑ってゆく。
※兄弟の生い立ちについて、原作では町内の衆の情けを受け成長、その後西陣の織場に入ったと書かれてあるだけで、映像にある、幼い兄弟が食い物を掠めたお祭りの神社の情景は、全く出てこない。従って、ロケ地になった伊根町の設定は不明。また、弟は病で働けなくなったとあり悪童も原作には出てこないが、ドラマでは弟が自刃に至る動機を強め、わかりやすい絵になっている。
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