1977ABC/松竹 全42話 念仏の鉄/山崎努 第1話「問答無用」1977.1.21 寅の会に中村主水がかかり驚愕の鉄、仲間に依頼し密かに主水をアジトに呼び次第を告げる。その後、世話になった商家からと差し入れの鯛が毒入りだったり、金で取引を持ちかけられたりする主水。そのうち、隠れている小屋に上司・筑波の妾で以前主水が手にかけた罪人の女房が出刃で襲うが果たせず自死。ここからとらの会に主水をかけた起こりが上司の筑波と知れる。筑波は罪人として斬られた庄兵衛と盗み金を巡って取引の挙句裏切ったのだった。 ロケ地、南町奉行所、大覚寺明智門。庄兵衛の女房だった妾に主水は間もなく死ぬと告げる筑波、錦水亭。出刃で襲い失敗したあと自死の女を医者に担ぎこもうとする主水と鉄、金戒光明寺三門〜墓地石段下。 第2話「情愛なさけ無用」1977.1.28 巳代松が町で自分を買ってくれと縋られた女の父は、借金苦で自死を選ぶ。父の亡骸に縋り泣く娘に弔いもあげさせず引き立ててゆく検校の使い、巳代松は鉄にどうしてもこの一件は競り落とせと頼む。他からも依頼のあったこの凶悪な検校は巳代松の実の兄で、そもそも松が島送りになったのは目を負傷した兄の島での窮状を見捨てて置けず身代わりを申し出たもの。 ロケ地、巳代松が身売り持ちかけた女を伴い佇む水辺、広沢池西岸(水無)。寅の会の競りが不調に終わった鉄が帰途降りてゆく石段、金戒光明寺本堂下石段。競った吉五郎が鉄に今回は譲れと申し出る墓地、招善寺墓地、墓地参道。 第3話「現金げんなま無用」1977.2.4 寅の会を騙し、裏で直取引の仕置人・玄達、鉄の技を真似て仕置。裏切者として断罪されかかる鉄はチームに助力を要請し、無実を晴らそうとする。調査に入った主水らが見たものは、旗本の家のドロドロの内情、不倫の果て用人の子を孕んだ奥方が旦那を始末しようとした経緯。調査中、生さぬ仲の若君を毒殺しようとした奥方を阻んだ幼い侍女が殺され、正八に依頼が託されるが、これは番外として会にかけられ鉄が競り落とす。玄達の裏切りは見張っている死神の前で明らかにされ、虎自身の手で断罪されることになる。 ロケ地、旗本・沖田正勝邸、相国寺大光明寺(門、南塀、石庭)。南町奉行所、大覚寺明智門(釈放される玄達のシーンには参道も使用)。 第4話「暴徒無用」1977.2.11 鉄が破格値で落とした仕事は人三猿七の多摩の山奥からの依頼、飢饉で難儀する村を女を差し出さなかった恨みで孤立させる山持ちの大尽がターゲット。遠征し仕留める主水・鉄・巳代松の三人組、平家の落人の村という影沢村の不思議な習俗が描かれる。 ロケ地、調査に入る正八、甲州街道の茶店で伊右衛門の噂聞く、谷山林道作業場。絵草紙屋として探りに入る伊右衛門邸、高山寺。按摩に化けた鉄と松っぁんが行く手を伊右衛門の手下に阻まれる、落合トンネル。影沢村を遠望する峠、谷山林道切り通し。影沢村庄屋屋敷、走田神社社務所。飢饉の際京の公家に売る娘を隠してある祠、鳥居本八幡宮。 第5話「王手無用」1977.2.18ABC 鼻つまみの小普請組の旗本たちがターゲット。この首魁・疋田兵庫に菅貫太郎、狂乱の殿様と将棋マニアを演じ切る。「起こり」は、疋田らが招いておいて態度が気に入らぬと斬殺した女将棋指し・初津の師匠にして情人の将軍家指南・伊藤宗看。面白そうと競り落とした鉄は、主水を外すが結局割り込まれる。一人ずつ殺ってゆき、一人残った疋田を引っ掛けるのは詰め将棋の「煙り詰め」、菅貫を引っ掛ける正八が傑作。仕置の場には宗看自身も現れ、夢中になって宗看の盤を見つめる疋田の背後にチームの影が忍び寄るのだった。 ロケ地、初津の死体が見つかる汀、広沢池東岸(水無)。将棋所(伊藤宗看邸)、相国寺林光院(門)。 第6話「偽善無用」1977.2.25 口喧しい観音長屋のおちか婆さんは、評判の忠義者の鳴海屋の手代・佐吉を盗っ人の手先と主張。誰もまともに聞かず、佐吉といい仲の婆さんの娘も家を飛び出してしまう。婆さんは一両を出して寅の会に佐吉をかけるが、余りの安値に差し戻され、盗みを働いて金を作り再度依頼。 ロケ地、正八が調査のため走る八王子への街道筋、北嵯峨農地・竹林際(すごい早回し)。おちかが島送りとなる船手所、罧原堤下汀。 第7話「貸借無用」1977.3.4 湯屋覗きが趣味の変態、覗くだけでは飽き足らず、湯女を襲い殺害するという筋金入り。これが大親分・羅漢寺の政五郎の倅で、懇意の同心・村上が揉み消しにかかる。村上の企みで湯屋に薪を納めている若者が冤罪をでっち上げられ、その姉の切見世女郎は正八に仕置を依頼するが政五郎一家の妨害入り不調に終わる。しかし寅の会には政五郎と村上が五十両でかかる。 *鉄に叩かれ飯を顔に塗りたくられるほか政五郎一家にボコの正ちゃん、でも後段では一家に入り込みスパイとして活躍、甲斐甲斐しく廊下を拭く姿が可愛い。*寅の会、相手を聞き尻込みする面々を見て勢いで受けてしまう鉄、金の出所に疑問持つが、これには阿呆な結末つき。 第8話「裏切無用」1977.3.11 寅の会にかかったターゲット二件は裏で結びついていて、一人は寅の会の仕置人として入り込んでいるというややこしさ。 ロケ地、かねみ屋一味が隠れている小屋、大覚寺護摩堂。縁先に張子の虎が置かれ闇の重六をビビらせる。重六に対抗すべく大筒開発し発射実験の巳代松、涸れ川の河床は堀川(下立売付近か)。福山藩下屋敷、相国寺大光明寺門。仕置シーンは大光明寺南塀をフルに。 第9話「悪縁無用」1977.3.18 深川の売れっ子芸者のおりく姐さん、正八の売るおりくを描いた浮世絵を見てぽーっとなる巳代松。たまたま頼られたことから思い入れはますます深くなる。 ロケ地、梅見の宴に偽装したとらの会、大覚寺五大堂観月台。事後、プランコで遊ぶ母子を影で見遣る松っぁん、大覚寺天神島。 第10話「女房無用」1977.3.25 阿片を使い女郎を操る両国の元締・相模屋惣五郎が仕置のターゲットとなるが、初手に仕掛けたチームは失敗。詫び料が添えられ再び寅の会にかかるのを鉄が落とす。 ロケ地、相模屋を尾けて排除される正八と松っぁん、今宮神社参道(縁日あしらい)、高倉脇坂、楼門。子供を使って相模屋を探索させる正八が寝そべる、今宮神社東門内側石橋そばの木の根方。松っぁんの爆裂弾が相模屋の手下に炸裂、中ノ島橋。 第11話「助人無用」1977.4.1 鉄が入れあげる茶屋女には年の離れた亭主があり、二人が町ゆく姿に人は耳目をそびやかす。茶屋の女将が地所を狙う地回りに殺害され、残された幼い娘はたまたま訪ねて来た鉄に仕置人のことを尋ねる。女房の病のため金が入用になった年老いた亭主は、昔馴染みの虎に仕事を貰いたいと申し出る。彼は昔、虎の兄貴分の殺し屋であった。老齢を案じた虎は鉄にサポートを依頼、老殺し屋に「わからないように」仕掛けるチーム、仕置は無事済むが老殺し屋は事後鉄に「わしも歳、死んだ人間相手にしとるようじゃいかんわな」と呟くのだった。 ロケ地、虎とツナギとる天狗の鞍三、今宮神社高倉下。掲げられた絵馬には虎と天狗が描かれているという演出。虎が鉄にサポート依頼も同所。 第12話「親切無用」1977.4.8 お尋ね者を雇ってしまった鳴戸屋から賄賂とり不問に付す主水が、ハメられ恨みを買い、寅の会にかけられてしまう。 ロケ地、南町前でコロと戯れる主水、大覚寺御殿川河床。ターゲットとなった主水を呼び出すチーム、大覚寺護摩堂。勘定奉行所、相国寺林光院。極楽屋を呼び出し話す主水、大覚寺天神島。 第13話「休診無用」1977.4.15 親切な蘭法医・玄庵が死んだ患者の妻に恨まれ、寅の会にかけられる。その女が流産し苦しんでいるのを巳代松が助け連れて行った先は玄庵宅。休診の札掲げてあるが、中に主水が斬るも取り逃がした手負いの賊が入り込んでいた。玄庵は賊を説き伏せ女を診るが、その夜顔を見られたとして女は殺されてしまう。依頼者が死に、しかし気が悪いと仕置に入る鉄たち。事後、仕置料は虎に返されるが「取っておけ」と微笑まれるのだった。 ロケ地、ラスト虎に金を返しにゆく鉄、広沢池西岸。 第14話「男狩無用」1977.4.22 鉄が連れ込まれた戸田の下屋敷は、変態姫の住む千姫御殿。しばしウハウハ状態の鉄、拘束されて寅の会に遅参したりする。ターゲットは当の戸田の息女・小夜。屋敷に戻った鉄、色仕掛けで侍女を誑かし抜け道をゲット、チームを引き入れ仕置。 ロケ地、下谷金杉の美濃大垣藩下屋敷、相国寺(方丈通用門・大光明寺南塀・方丈)。妙心尼の心行寺、西寿寺山門。鉄が正八をサクラに使い営業宣伝、今宮神社楼門。主水が浮気と誤解され戦慄コンビに薙刀を突きつけられる八丁堀近くの稲荷、今宮神社合祀摂社。新三郎と小夜の回想シーンに金戒光明寺(放生池太鼓橋・石段)。小夜の侍女が「宿下がり」の鉄を尾けてくる、金戒光明寺境内路地。色仕掛けのあと襦袢一枚で逃げた鉄が衣服を整える、三門。 第15話「密告無用」1977.4.29 仕事を見られてしまう巳代松、目撃者の女は松に役者の菊之丞を殺してくれと言う。松が迷っているうち女は消されてしまい、死に際に事情を打ち明け恨みを託す。 ロケ地、松が殺しを見られる池辺、大覚寺大沢池北西畔、現場は護摩堂前。女に脅された直後現場に戻った松が死神の幻影見るのは石仏の間。 第16話「逆怨無用」1977.5.6 冒頭、鉄が見る殺される悪夢は正夢に。鉄と松と主水のもとに届く「殺してやる」の文。以前仕置した相模屋のあとを継いだ二代目と島帰りの息子が仕掛けたもの。金を出し合い寅の会に掛けるチーム、当の寅の会に裏切者発覚、改めて相模屋一味に仕置の依頼が下る。 ロケ地、寅の会ハネたあと俳諧師たちが渡る橋、大覚寺勅使門橋。裏切者の阿片漬けの俳諧師の女が入る料亭、望雲亭。鉄を呼び出し裏切仕置人の始末を見せ相模屋への仕置を示唆する虎、中ノ島橋堰堤下。 第17話「代役無用」1977.5.13 ふとしたことで幼馴染の友吉と再会する正八、今宵祝言という友吉は新居に帰らず酒を浴びる。不審に思った正八は見張るが、判明したのは彼らが偽装結婚させられているという事実。勤め先の甲州屋が手をつけた女中・おいとを家つき娘の女房から隠すためだった。苦悩する若い二人、束の間心通じ合い甲州屋から離れることを決意するが、友吉は雇われた殺し屋に消されてしまう。おいとは正八のもとに駆け込み、ここから殺し屋と仕置人たちの死闘がはじまる。 ロケ地、甲州屋が折れてくれたと思いおいとのもとへ走る友吉、回想の犬コロのように戯れる幼時の正八と友吉、河原の友吉の墓、罧原堤付近か。 第18話「同情無用」 1977.5.20 鋳掛屋の礼二郎は、井筒屋の経理を任されているおようといい仲、しかし腰定まらずおように金をねだる日々。男に貢ぐため、おようは遂に店の金に手を付けてしまうが、付け込まれ番頭と岡っ引と北町同心に強請られる羽目に陥る。それでもおようは自分を強請るため牢に入れられた礼二郎に済まなく思い、三人をとらの会にかけ自訴して出ようとするが二人してワルの手に陥ち消されてしまうのだった。 ロケ地、寅の会会場イメージに相国寺庫裏上部。一時解き放ちの礼二郎がおようと束の間会う鳳神社の神輿小屋、今宮神社合祀摂社。出頭場所へ急ぐ礼二郎が走る、大覚寺放生池堤。北町同心に斬られてしまう、有栖川畔。探しに出た巳代松が瀕死の礼二郎を発見する、有栖川河床。おようが岡っ引に殺される、金戒光明寺塔頭道。ラスト、おようの死体が打ち捨てられているのを見る巳代松、桂川樋ノ上町右岸河原。 第19話「元締無用」 1977.5.27 阿漕な検校を殺しにゆく老仕置人・さそりの弥八、何者かの妨害受け失敗。弥八はその後町方にチクられ捕縛される。寅の会では緊急の寄合がもたれ、弥八がこれを最後と引退を願い出ていた件もあわせ紛糾する。その席で虎に公然と反旗を翻す猫の勘兵ヱ、以後確執が続き、牢を出て再度検校を狙いに行った弥八は刺されてしまう。重傷をおして検校を仕置した弥八は、娘の待つ両国橋に辿りつくことなく虎に看取られて死ぬ。この後、虎から鉄に勘兵衛の仕置が依頼される。弥八の娘は実は虎の娘だったというエピソードが語られるが、虎が名乗りをあげることはなかった。 ロケ地、おしんが許婚者に別れを告げられる橋下、牢を出た弥八がおしんと会う船、橋上で父を待つおしん、死神が橋上で露天出しているおしんに金を置いてゆく、両国橋に中ノ島橋。検校・道海宅、相国寺大光明寺門。弥八が勘兵衛一味に刺される、南塀通用門前。 第20話「善意無用」1977.6.3 ならず者に襲われた娘を助け、傷害事件を起こして遠島になった軍鶏の清吉が帰還、更正を期す清吉は木曽屋のもとで木場人足として働く。額に汗する彼の元へ助けた町年寄の娘が足しげく通い世話を焼くが、娘を息子と娶わせて家名取得を狙う木曽屋にハメられ、町年寄殺しの下手人として追われる身となってしまう。清吉が捕り方に目の前で斬られるのを見た娘は、寅の会に金を積むのだった。 ロケ地、御赦免船が着く浜、広沢池東岸に船着や柵をセット。深川の木場、中ノ島橋周辺(働く清吉を見るお加代、橋上。清吉に詫びを言うお加代、橋下背割堤上。町年寄・喜多村勘右衛門に娘とつきあうなと手切れ金渡される清吉、中州舳先河川敷)。 第21話「質草無用」 1977.6.10 巳代松の長屋に転がり込んだ浮浪児の姉弟、口も聞かず笑いもしない。鉄はきつい目をしたその女児を見て、恨みのこもった目だという。飯を食わせてやったりするうち、正八曰く「慣れてくる」その女児に「おねこ」と名づける巳代松。鉄に子を探してくれと頼んだ敵娼あり、もしやと遊里に二人を連れてゆく松、しかしその女郎は殺されてしまう。弟は母に縋って泣くが、おねこは黙したまま。そのうち、おねこの父は以前松が仕置した男と知れる。思い悩みおねこの母が殺された経緯を探る松、騙した相手を突き止め金を出し、寅の会にかける。 ロケ地、おねこが弟に盗った食物を運ぶのに駆け上がる石段、金戒光明寺石段。母の死を見たおねこが駆け出し佇む水辺、広沢池東岸。親子連れを羨望の目で見るおねこと弟、金戒光明寺三門敷居。 第22話「奸計無用」 1977.6.17 油問屋・山崎屋が寅の会に伊豆金山総支配をかけるが、渡した金が贋小判。虎は鉄に調査依頼し一任。伊豆へ向かうチーム、総支配は悪人でもなんでもなく、配下の組頭・黒井が悪評を撒き散らしているだけ。黒井と山崎屋が結託し、金の横流しをしているのを確かめ、仕置が行われる。 第23話「訴訟無用」1977.6.24 盗癖のある女房をよく庇い、店を切り盛りする辻屋の入り婿・仙蔵。隠居が娘のため転地療養を勧め、店はその弟の与吉に任せると言い出したことから歯車は狂い出す。 ロケ地、南町奉行所門に御馴染みの大覚寺明智門。奉行所出入りの公事師が主体の話なので奉行所周辺として御殿川がさまざまなアングルで使われる。ことに偵察中の正八が有栖川に飛び降り御殿川河床を走るグラサン姿は印象的。 第24話「誘拐無用」1977.7.1 畳奉行の娘を女房にし身代築いた畳表問屋・備後屋、女房と連れ子を疎ましく思い始めた矢先、妾の件でチンピラに脅迫される。これを奇貨とした備後屋は金を捻出するためとチンピラを騙し連れ子を誘拐させ、身代金授受の場で昵懇の南町与力に女房ともども始末させる。 ロケ地、畳奉行田原兵助邸、相国寺林光院。釣りの川は桂と思われるが場所特定できず。 第25話「濡衣無用」1977.7.8 虎の命の恩人・庚申の月三が金貸し・三本杉を寅の会にかける。因縁は二十年前同心・平田にたばかられ強盗殺人の罪を着せられた月三の恨み。平田は直後に職を辞し、今は札差から奪った金を元手にたいそうな羽振りの金貸しとなっている。偽証した月三の女房・お秋も三本杉の女宰領として幅をきかせている。 ロケ地、月三が引っ掛かる大川の杭、桂川大堰。降り続く雨に増水の大川で堤補強の土嚢が積まれる、柊野堰堤。三本杉邸、相国寺大光明寺。偵察の正八とおていは向いの方丈の塀の上。 第26話「抜穴無用」1977.7.15 自邸に抜穴を作り、小悪党を逃げ込ませ上がりを掠める将軍家御用「お月見屋敷」の月峰、穴を作った大工とその父を殺し、遺族に寅の会にかけられる。珍しく超安値をふっかけられ競り負ける鉄、入った仕置人は返り討ちに遭い、ばかりか月峰は虎に手打ちを申し入れてくる。 ロケ地、お月見屋敷、相国寺大光明寺の門と南塀通用門。小悪党を引き入れる裏木戸は南塀の門で、何度も効果的に使われる。ラストに主水が小博打で追われる男たちを騙し小銭せびるのは鐘楼基壇部分(袴は映らず)。屋形船を仕立てて金をばら撒き遊ぶ男、嵐峡。これを見ていた大工の清次が道具箱を川に投げ捨てる、渡月橋上。再びのとらの会、会場へ赴く虎と死神、金戒光明寺石段。遅参した鉄が死神に突き転ばされる、三門。抜穴の出口の墓地、黒谷墓地。 第27話「約束無用」1977.7.22 佐渡で助けられた恩人が寅の会に掛けられたのを庇う巳代松、ついて回りしまいには主水を利用したりと立ち回る。合間には馴染みの妓訪ね、男に騙されぼろぼろになった女の世話を焼いたりもする。そんな人のいい松っぁんに待っていた結末は、妓を騙した男が恩人の仙三であるという事実だった。仲間のリンチに遭い仙三の正体を知らされた松っぁん、追い討ちをかけるように正八が妓が仙三に殺されたと報告に来る。 *仙三に綿引洪、若い五郎蔵さんは色悪も似合う。亭主の仇とるため付け狙う女仕置人もなかなか。*鉄が土間に西瓜叩きつけ割ってむしゃむしゃ食うシーン、絶妙。*今回屋根の男出まくり。松の長屋に足止めされクサる仙三のくだりでいきなり入ってきて釜から飯とって持ってゆく。長屋へ仕置に来た女仕置人が気配に立ち去るが正体は深夜屋根で竿を上下させる赤褌男。仕置の最中を主水に阻まれ斬られる女、堀の対岸には鶏持った赤フンが座っていて目撃し「死んだー」と呟き堀にボチャ。 第28話「妖刀無用」1977.7.29 半分「向こうの世界」へ行ってしまっている首切り役人の池田左母次郎、夢にも日常の起居にも亡霊の声を聞く。 ロケ地、馬鹿殿・三田村采女の組屋敷に相国寺大光明寺南塀通用門。屋敷の正門に大光明寺門。屋敷の塀に南塀。 第29話「良縁無用」1977.8.5 鉄、珍しく素人女に岡惚れ、うきうきとその女のいる得意先の呉服屋・唐津屋へ通う。舞い上がる鉄の暴走は止まらず、しまいに屋根の男と並んで座り、裸でだらだらと汗をかきながら、夏空に呉服屋小町・お京とブランコに乗る幻を見る…しかし鉄のカッコは妄想のなかでも赤褌一丁。 ロケ地、細井邸、相国寺大光明寺(門、南塀、庭の中仕切り門)。勘定奉行邸、大覚寺大門(正八が腰掛けているのは御殿川の手すり)お京が弥一郎を難詰してボコられる邸近く、鐘楼。 第30話「夢想無用」1977.8.12 軽い気持ちで食った娘・おたみと、ままごとのような暮らしを続けるうち、深みにはまってゆく正八。身籠ったおたみを持て余し、子を流そうとしたりするが、おたみの爛漫さは遂に正八の心を捉える 「海よりも、好き」 おたみと甲州の田舎で暮らすことを決めた正八は足抜けを申し出るが、許されるはずもなく、鉄にギタギタにボコられる。あきらめぬ正八はすぐに江戸を離れようとし、旅支度を整えて帰った家に待っていたのは、前の勤め先での毒殺事件の真相暴露を恐れた仁吉の手にかかり瀕死のおたみだった。 第31話「牢獄無用」1977.8.19 禁制品取り扱いのかどで欠所のうえ死罪となる鳴海屋、残された娘は寅の会に依頼、ターゲットは偽証の船頭頭・十郎太、付句あり。 ロケ地、小伝馬町牢屋敷近くでおていとツナギの主水、大覚寺勅使門橋。これを見る戦慄コンビ、大覚寺参道橋。 第32話「阿呆無用」1977.8.26 藍密売の罪着せられ殺される仁助、母も亡くし江戸に出る残された娘・おみつ、観音長屋の日常に紛れ込みはたらく奇行は仕置料捻出のため。おみつに死んだ妹を重ねた正八、十両出し寅の会に掛ける。 ロケ地、おみつの父の死体検分、中ノ島橋下河原。おみつの家、民家門。国を出るおみつ、布を晒す情景を見て泣く河原は松尾橋上手桂川河川敷。おみつ「仕置料」発言に驚く正八のくだり、おみつが晒し風景を見て泣く河原、松尾橋上手桂川左岸。仕置人たちがゆく街道筋、北嵯峨農地竹林際や罧原堤下河原に渦潮を挿入。阿波踊りのシーンは現地撮り、徳島城っぽい石垣も見える。正八が笹舟を流すラストシーン、松尾橋上手桂川。 *屋根の男、阿波から江戸へ切り替わるところで「そして三年」のアイキャッチをつとめる。*鉄、松っぁんから小銭掠めるのに小屋根に上がって木切れで作った道具使い引き上げようとする…照れ隠しに人殴るし。 第33話「幽霊無用」1977.8.2 御舟蔵の御用船の中で女とコイコイしてる正八、妙な声聞き、びびって松のところへ駆け込む。上から降ってくる赤い褌にまでビビる。屋根の上のマキ氏、幽霊と同じ台詞で素っ裸「伊豆へ行こう〜」。 第34話「軍配無用」1977.9.9 勧進相撲の興行主・大間の一蔵のもとで木戸番している島仲間の留吉と再会する巳代松、しかし約束の酒場に来ない留吉。一蔵たちに勧進相撲のあがりを強奪した犯人に仕立てられた留吉の死体を発見したのは松だった。ワルどもはこれに留まらず、意のままにならぬ行司を陥れて自決に追い込むなど悪行を重ね、遂に寅の会にかけられるはこびとなる。 ロケ地、勧進相撲が行われる寺社に相国寺大光明寺(門、方丈塀)。 第35話「宣伝無用」1977.9.16 江戸へ新作の輪島塗を売りに来た平蔵、家を出た兄を訪ね観音長屋へ。連れて来た幼い娘は妙に鉄になつく。新作の沈金彫りの価値を認めた兄・宇之吉は、博打仲間の唐木屋と組んでひと儲けを企み、平蔵を白昼プロに殺させ、遺体の前で美談を仕立てて評判をとり漆器を売りまくる。この勢いで輪島に乗り込み更なる悪事を働こうとするが、鉄が一味を寅の会にかけ現地に乗り込み仕置。 ロケ地、御陣乗太鼓響く輪島の浜、琵琶湖西岸(対岸に近江八幡の山なみ)。能登へ向かうチーム、中山道の情景に嵐山自転車道(川側からの撮り・鉄とお弓)〜北嵯峨農道(主水一行)〜谷山林道(松っぁん)〜保津峡落合(伝八が誤認して殺した鉄に似た坊主のシーン)。 第36話「自害無用」1979.9.23 南町の福原与力が仕置人狩りだしを企図、探索の糸が切れるや、今度は自分の女房・志乃を道具にあぶり出しにかかる。この際志乃が前の亭主との間に作った子で、何も知らず福原邸に中間奉公している粂次を志乃にけしかけ、不義密通の相手として殺してしまう。 ロケ地、町方に目をつけられたことで死神に制裁を受ける仕置人、大覚寺御殿川河床を走り大沢池溢水口から池に逃れるが銛で殺られる。主水が粂次と世間話、大覚寺放生池堤。鉄が洗濯の掘割、深い・橋低い・水質等から堀川かもと推測されるが確証に至らず。去り状受けた志乃が出る福原邸、相国寺光源院(門)。潜んでこれを見るお糸、宗旦稲荷。弟の仇と襲いかかる、鐘楼。鉄が福原の手下を誘き出し仕置は今宮神社高倉脇の坂。仕留めきれず高倉の南に待ち構えていた巳代松が仕留める。 第37話「生命無用」1977.10.7 偽証文や質札強奪などで客を騙し、阿漕な真似を繰り返す質屋の大黒屋。訴えは引きもきらないが、岡っ引がグルでほぼ泣き寝入り。そろそろヤバくなるところ、材木問屋の馬鹿息子にターゲットを絞り、店を乗っ取り毟る算段を立てる。 ロケ地、銀平の恋人・八重の勤める茶店、今宮神社東門内側にセット。白昼、衆人環視の中で行われるとらの会、今宮神社舞殿。銀平の死を知らずデートの約束を待つ八重、今宮神社東門内石橋上。銀蔵の背の紙を引き剥がす死神、今宮神社合祀摂社前。 第38話「迷信無用」1977.10.14 父が若死に、亭主が二人までも変死したことで、丙午に生まれた己の魔性に脅える材木問屋の跡取り娘・おもん。しかしそれは父の後妻が番頭や手代と組み、店を乗っ取るための策略だった。 ロケ地、お参りのおもんが二度目に鉄と会う、わら天神(馬の絵馬が揺れるお参りの祠は六勝大神、大あくびの鉄が参道をやって来る)。 第39話「流行無用」1977.10.21 腕はいいが頑固な飾り職人・藤五郎は老いと病のため引退を決意、三人の弟子のうち最も年季のいった清太郎に二代目を継がせると言い出す。他の弟子のうち定吉は師匠の娘・おくみといい仲だが、二代目を継げないと娘とは一緒になれないと嘆く。いま一人の宇之助は野心抱き、評判のわるい岡っ引・蝮の久蔵を抱きこみ清太郎を殺すは定吉に罪を着せるは、しまいに師匠を密殺するという挙に出る。うまく立ち回る宇之助だが、金をせびりに来た久蔵が大声で経緯を話すのをおくみに聞かれてしまい、寅の会にかけられてしまう。 ロケ地、二代目が決まったあとおくみと定吉が話す、大覚寺護摩堂。去る定吉を追うおくみ、放生池堤を北から。家から姿消したおくみを探し当て話を聞く正八、大覚寺聖天堂(バックに心経宝塔大写し)。仕置が行われる間挿まれるおくみの姿に大沢池畔・五社明神祠・心経宝塔。 第40話「愛情無用」1977.10.28 寅の会崩壊の序曲。 ロケ地、「空を見に」やってきた正八が死神の嗚咽を見る、広沢池東岸。投げ込み寺、相国寺墓地か。「二人」の髪を乗せた葦船を流す正八、広沢池か罧原堤か、水面と汀しか映らず不明。 第41話(終)「解散無用」1977.11.4 悲惨極まる最終話。 ロケ地、辰の会に入れと迫られる鉄、金戒光明寺石段。巳代松を乗せた大八を引いて旅立つおてい、北嵯峨農地畦道。 |