1989TBS/東映太秦/C.A.L
キャスト
平賀源内/西田敏行 沙織・詩織/石田ゆり子
桔梗屋粂八/池畑慎之介 お葉/鮎川いずみ 宗助/松山英太郎 結城一平/薬丸裕英 お鈴/大沢逸美
赤垣平助/小松政夫 能勢甚四郎/川合伸旺 田沼意次/藤岡琢也
主題歌 キラキラ音頭 サビは「ハッチャカチャ」
江戸は下町・からくり長屋に暮らす平賀源内は、天才科学者にして戯作者の顔も持つ多才な男。人情に厚い彼のもとにはいつも紛争が持ち込まれる。
時の権力者・田沼意次は源内を煙たがる反面重宝し、エレキテルの治療を受けたりする。田沼の意を汲む北町奉行は同じくあまり源内を快く思っていないが、いつも彼の働きで難題を解決してもらうという役回り。
ほとんど源内の助手みたいな豪商・鴻池の娘は天然系で、悪人にも礼篤く妙なリズムをドラマに味付け。はじめ双子で出てきて周囲を混乱させるが途中から一人に。
源内を腕っぷしでサポートする三人あり、役者の粂八とお葉は事あるごとに紛争の場に「紫頭巾」で駆けつけ大立ち回りを繰り広げ、鴻池関係者の元盗っ人の宗助は諜報活動を担当、戦闘要員にもなる。
北町の若手同心・結城一平は、彼を「若」と慕う岡っ引のお鈴親分とともに源内をサポートするファミリーだが、ほんのちょっと距離は置かれている。一平の先輩の赤垣は周囲にシブ垣と揶揄されるダメ役人として彩りを加える。
第1話
源内モノにつきものの実験失敗による爆発シーンもあり、賑やかにドタバタが進行する。
源内役に「局長」西田敏行、泣きはあまり入らない模様。田沼老中はステレオタイプの金権政治家で、サッポロ一番味噌ラーメンのおっちゃん。これにちくちく皮肉入れる鴻池の隠居に森繁、その他鮎川いずみやピーターなんかも出てる豪華キャスト。なんといっても出色なのは北町奉行の川合伸旺、悪役でないメイクが可愛い。
ラス立ちには容疑者召し捕りシーンがあてられ、事件の被害者以外は誰も殺されない。
事件解決には源内がからくり仕掛け持って現れる。今回はポリグラフ。
第2話「濡れ衣晴らしたエレキテル」
鴻池の隠居が長崎から入手した謎の箱は「エレキテル」、同心が十手触れさせてビリビリ。田沼老中は相変わらず鴻池失脚を図るが、腰痛をエレキテルで治してもらうという体たらく。
鴻池の隠居のかわいがってる孫娘の拉致なんかあってドタバタ。誘拐犯の召し捕りがラス立ち代わり。ラストは北町のお白州で、出の前にほつれ髪を手鏡でチェックのお奉行様・川合伸旺がキュート。
ロケ地、鴻池の水夫殺害目撃の沙織が拉致されるとこ、嵐峡?昼食時に小っこいモニタで見たから判らない。
第3話「浮世絵阿片地獄」
タイトルのまんまの阿片窟もの。材木商と組んだ若年寄が田沼に公共工事の件で賄賂を使うお話、阿片漬けの女を供応に使うというもの。
「エレキ亭」が店開き、ここで聞き込んだ話で黒幕を突き止め田沼の危機一髪も救う源内先生、いつも通りの賑やかなどたばた。
今回、北町奉行のギャグは田沼に「近う寄れ」と言われ真正面から顔を近づける川合伸旺、お白州前の毛づくろいもアリ。
*材木商の用心棒(浪人態)に福本先生、捕り方にはたかれくるっと一回転。
第4話「口中爽やか漱石香」
多額の借金をナシにしようと企むワルに陥れられ欠所となり、娘は遊里に売られた富商。源内たちの働きで証拠ゲットし北町で再吟味となる。
回を重ねるにつれ、田沼老中はますます源内に鼻毛抜かれまくり。今回は歯磨き粉の儲けの配分で源内と算盤はじいてギャグをかます。北町奉行のキュートさにも磨きがかかる(本来は田沼側の人物だからワル設定なんだよね…でも西田節横溢する本作では妙に好人物、普段の悪役との落差がやはり見もの。顔が平板に見えるくらいの厚塗りで福福しく笑う川合氏は一見の価値あり)。
ロケ地、足抜き女郎(富商の娘)を助ける夜釣りの一平たち、およびラス立ちとなる召し捕りの松川の渡し、広沢池東岸。いずれも夜間撮影。
第5話「炎の中の白い影」
島抜けの罪人を匿う源内、冤罪を晴らしてやる大活躍。今回の「発明」は石綿の防火服。
タイトルはその防火服をまとった真犯人が主殺しの現場(火事)に立つ姿。
ロケ地、石綿採取にゆく荒地、および防火服実験の小屋、府境の砕石場かはたまた崩壊地形か。
*北町奉行、実験に立会いハラハラの表情がおかしい。
第6話「疑惑の十段」
舞台で殺された歌舞伎役者を巡って大騒動、先走ってシブガキが捕えた黒子の無実を晴らすべく動く源内たち。裏には役者買いの大奥中揩ニ、取り入ろうとする呉服商がいた。
今回のからくりはスライド、殺された役者を映し出し中揩脅かすのに使う。
*今回、中揩竚熾桴、を適度に脅して抱き込み儲けようと企む田沼老中、悪の顔がちらり。しかし呉服商は捕まり中揩ヘ自害という結末に怒り、北町奉行に瓦版を丸めて投げつける…奉行は手鏡でこれを防いだりなんかする…あのいつもの毛づくろいのやつ。しかし川合伸旺氏、里見浩太朗ばりのキラキラお目々が凄い…お白州で断罪の際もなんかにたにたしてるし。
第7話「蜆売りは恋の辻占」
昼は蜆の行商、夜は遊里で辻占売りをして稼ぐ孝行息子に感じ入り競って蜆を買い求める長屋の女たち、しかしその母親は幼い息子の稼ぎで飲んだくれるというトンデモ。
孝行息子が油の値の吊り上げに絡んだ殺人を目撃してしまい危機に陥ったとき、源内先生は母親を叱り飛ばし、チームは子が監禁されている油問屋に乗り込んで救い出してやるのだった。
今回の発明は背中にエンジン積んで早く歩くヘンな機械、全くの役立たず。なんなのかと思ってると、一緒に装着しているゴーグルが主役で、泣きの入る源内の涙隠しになるのである。
*北町奉行、田沼老中が源内に「ビリビリ」されてる部屋を覗き、怪しの青光線を目撃してビビりまくり。
ロケ地、蜆売りがゆく日本橋界隈、大覚寺大沢池周辺各所(放生池堤、池北西畔、観月台下)。
第8話「湯けむり幽霊騒動」
いきなり旅モノに。赤垣と一平は出張、源内は鴻池の用でそれぞれ上方へ。長屋衆は一部がお伊勢講と称しついてゆく。道中関わった宿の主人を助ける源内、箱根湯本で大騒動。
田沼さまのお墨付きが代官たちに示され、お約束時代劇のへいつくばり解決に。
旅に出ちゃうから当然北町奉行は出てこない。まだ箱根だからしばらくは旅モノ?
ロケ地、東海道の山道に谷山林道各所。
第9話「殺意が潜む大井川」
川止めのうえ田中藩のお家騒動に関わる源内たち。藩主の弟ぎみは同心・一平にそっくりという設定、身代わりとして大活躍(二役)。この一平役のジャニっぽい俳優けっこう面白い。源内のからくりは藩主をビリビリのエレキテルに、捕物に協力の投石器。
ロケ地、大井川、植生から木津河原と思われるが??藩主弟の身代わりで捕まる一平と尾行して一緒に捕まるシブ垣、大覚寺五社明神〜天神島。
*源内先生、「ハッチャカチャ」などと台詞にも音頭が…。
第10話「男の夢は夜開く」
舞台は三河・岡崎城下。三河花火を一手に握ろうとするワルの企みをぶっ潰し、名人・治平の「菊の大輪」製作に手を貸す源内。悪徳商人と結託していた奉行には田沼老中の念書を見せて落着。今回の「からくり」はライター(妙にデカい)。
ロケ地、三河に入る源内と沙織、大覚寺放生池堤〜護摩堂。また茶店で引っ掛かり酒をやる赤垣に呆れる一平、心経宝塔前に茶店セット。大平川で治平の弟子が狙撃されるのに居合わせるお葉たちと同心たち、広沢池東岸。花火工房も同所にセット。ラスト献上花火打ち上げも同。遠州屋の手下が張りこむ街道筋の橋、中ノ島橋(治平が止められる/その後源内一行が旅の一座に化けて通過)。遠州屋が最終手段として雇うブーメラン男(ブーメランで放火して治平の小屋を爆破)の試技を見る、鳥居本八幡宮。花火献上の朝、岡崎城イメージに彦根城(南面・天守のみ頭出す)出立の同心たち、花火上がる音に二日酔の頭ガンガンのシブ垣、大沢池北西畔。
*シブ垣ははじめから終わりまでレロレロ。*宴から帰らぬ一平に焦れお鈴親分がお風呂に「入ッチャカチャ」…寒。*シブ垣の宴会芸、でかい薦かぶりでよたよた踊るアレはひょっとして「ちょろ」?
第11話「瞼の父は盗賊か?」
舞台は伊勢。父を待ち続けるいたいけな母子に同情の源内先生、患った母の眼も診てやり長崎行きを勧めるがあくまで夫を待つという女。しかし偶然巡りあった夫は、旅先で助けてくれた大泥棒の一味となっていた。山田奉行に「念書」を見せて捕り方を出させ盗賊を一網打尽にしたあと、奉行配下に仲間がいたことを黙認するのと引き替えに父親だけ見逃してもらう先生。からくりは盗賊たちを照らし出すサーチライト。
メデタシのあと激しく泣き入りかける先生、周囲に遠慮して半泣きに留まる。
ロケ地、盗賊のアジトの小屋、広沢池岸?
第12話「天下一品南蛮揚げ」
大坂へ入る一行。源内は知り合った吝嗇な青年の事業に手を貸し「南蛮揚げ」なる料理を考案し売り出す。これを手伝った鴻池の娘の友人の宮中御用の昆布屋の娘が陰謀に巻き込まれるが、来合わせた一平が赤垣を「眠らせ」参加、ワルを罠にかける。用心棒たちを蹴散らし黒幕の城番を糺す源内、曲者じゃ出会えという運びになりおっラス立ちかと思ってると城代出てきて幕。
ロケ地、三十石船の船着場へ来る源内、罧原堤下河原。昆布屋の娘がならず者に襲われる、広沢池東岸。お葉たちも合流し乗船する下り船、広沢池上。事後、罪人を唐丸で運ぶ同心たち、嵐山自転車道。鴻池の船で江戸へ帰る一行、罧原堤下汀に船のデッキをセット。
第13話「本日土用丑の日」
江戸での日常に戻った源内、酷暑をやり過ごす土用ウナギを売り出す。メインのお話は勘当息子の更正と、謀殺された父の仇を討とうとする人情話。
セット撮りでロケは無し。
*久しぶりに登場の北町奉行、鰻の毒見・カッコつけたお裁き・田沼に紙屑ぶつけられるの三点セット。お白州の出の前にアンチョコ見てる仕草がかわいい。襖に裾をとられて、しゃっと足を払うシーンもあり、愛くるしさ満点。
第14話「命で償う恩返し」
源内の盟友・杉田玄白が登場、ターヘル・アナトミアの翻訳のため腑分を切望している。小塚っ原から刑死人を持ち出そうとして赤垣の邪魔が入ったりする。悪徳医者と組んだ薬種問屋が玄白に辻斬りをけしかけたりするが、当の辻斬りは妹を助けてくれた玄白を殺るのをためらううち狙撃されてしまう。ここで一平たちがワルを召し捕り、辻斬り侍は死の間際自分を腑分に使えと言い残し死ぬ。
ロケ地、小塚っ原の小柴垣、わらびの里?
*玄白に竹脇無我。
第15話「愛しい妹は女掏摸」
粂八の生き別れの妹が見つかるが、彼女はスリとなっていた。そのうえ、全国博覧会の開かれた湯島天神で掏った財布に偽小判、かざり職人で元贋金作りの養父も渦中に巻き込まれてゆく。もちろん源内チームの活躍で偽小判を製造していた鋳物問屋一味はお縄で、粂八の妹は微罪で済みどっとはらい。
ロケ地、冒頭、妹のことを思い出し沈む粂八を身投げと勘違いのシブ垣(岡っ引は池落)、大覚寺大沢池木戸〜大沢池船着き脇。あとで粂八の妹が一平たちに追い詰められて池ボチャも同所。全国物産会会場の湯島天神、大覚寺勅使門前。さらわれたかざり職人の養父の人質交換の明神裏稲荷、鳥居本八幡宮(舞殿上にならず者)。江戸払いとなった妹とその養父を見送る源内たち、大覚寺護摩堂前。
*今回北町奉行のお茶目は寝返りうって「本日はこれまで」の寝言。このあとにたぁと笑って目が覚める。夜更けに訪ねてきた源内にぶつぶつ文句を言いながら髪を整えるしぐさもかわいい。
第16話「源内櫛の女」
業績不振の小間物屋のため源内が創作した櫛がモチーフとなる。シブ垣の贔屓の湯女殺害現場に落ちていた割れた源内櫛。亭主に買って貰ったそれを無くしたことを気に病み同じものを購めに来てアシついてしまう女、裏には盗賊の片割れに関わりいいように使われていた悲しい事情が隠されていた。
一平を秩父まで探索にやり事情を知った源内はお奉行にはかり、女が実は殺しはしていなかったことを突き止めメデタシに終わる。
ロケ地、湯女殺害現場の浪花河岸、嵐山公園中州舳先の河原。和泉屋の後妻・おしのが勤めていた両国の水茶屋、嵐山公園内の料亭・錦。おしのが駿河屋番頭・新助(凶盗・鳴滝の銀二)とツナギの祠、大覚寺天神島。
第17話「義賊を騙る悪企み」
義賊・稲葉小僧を騙った凶盗が出没。真の狙いは大店を潰してのし上がろうとする悪徳商人の陰謀、狙われた店に預けられていた旗本の宝物を盗ってゆく。
宗助の弟分だったほんものの稲葉小僧のため尽力する源内たち、犯行現場に残された稲葉小僧参上の札に残る指紋を鑑定してメデタシ。
*今回の北町奉行のお茶目は、評判の義賊を捕えて手柄/民衆に総スカンいずれを取るか壁をつかんで悩む姿、加えてお白州の出の際平伏している下僚の手の甲をぱきっと踏んでゆく姿。
第18話「嘘つき人情夢芝居」
ゆすりたかり常習犯のおろく婆さん、幼い頃奉公に出した息子がはるばる上方から訪ねてくるとの話に、源内たちは身辺をつくろってやる。そして御金蔵破り一味の捕縛に尽力したかどで北町からのお咎めは江戸払い・息子が身元引受人となる温情裁き。濃い顔のおろく婆さんを藤間紫、ベタな芝居が却って涙をしぼる出来。局長泣き寸前。
ロケ地、おろくが世話になっていた盗賊一味の伊之吉の死体上がる、大沢池北西畔。遠巻きの見物衆の向こう・有栖川畔でおろくが手を合わせている。おろくの息子が大坂へ奉公に出る道(回想)、大沢池北東畔・水門付近の堤道。御用金を隠してあった伝通院毘沙門堂、大覚寺聖天堂前、おろくの危機には護摩堂をバックに粂八たち。
*北町奉行、御用金が見つからぬのに焦れた田沼老中に「能勢、そのほうの名はなんと書く」「能力の能に勢力の勢」「無能の能、不能の能、能無しの能じゃ」と怒られショボン。このあともねちねちといびられ挙句の果て「泣け」とやられてどぎまぎのお奉行様が可愛すぎ。事後も老中にまた良い格好をしおってと扇を投げつけられ、お奉行のマゲにすぽっとはさまる。貰った音物は源内焼の絵皿、床の間に供えて朝晩拝めと皮肉。
第19話「飛べ飛べ飛行機」
今回は飛行機製作に夢中の源内先生。いちおう飛ぶがすぐに落下、夢遠し。
事件は、田沼老中追い落としをはかる幕閣の一人が悪徳商人と組んで寛永寺の水煙を盗むというもの。加えて御金蔵を破ろうとするが、犯人の軽業師一味が大凧で上がったところを投光機で眩ませ落とす源内たち。
ロケ地、上野寛永寺五重塔、仁和寺塔(一部模型みたいな合成の画あり)。飛行機の実験の野原、桂の河原と思われるが不明(竹林、積み上げられた砂…木津や淀じゃないよね)。
*今回お奉行はわりとあっさり。粂さんは飛行機に乗せられて墜落/シブ垣に拷問されるでさんざん。
第20話(終)「男の浪漫は永遠に」
印旛沼干拓工事をめぐって対立の田沼意次と水野忠邦。新田開発で農民の窮状を救いたい源内は、たまたま助けた娘から判明した水野の助平爺という弱点を衝き「黙らせる」。この際源内は公家の格好で水野屋敷に乗り込み「おじゃる」を連発、長屋衆も大活躍。
そして事後、諸国遍歴を思い立った源内は、からくり長屋一同(同心チーム含む)にキラキラ音頭で見送られ旅立つのであった。
ロケ地、向島正覚寺に田沼の駕籠を襲撃する水野出入りの両替商・備前屋、仁和寺観音堂脇〜経蔵、九所明神。旅行く源内、嵐山自転車道。
*公家の使者に化ける源内、白塗りのうえ鉄漿まで施す凝りよう、紅もさして天上眉…局長、キモチワルイです。*ラストのキラキラ音頭、導入部は一平の旦那のアカペラ…長屋衆の合唱となるがズレまくりでおかしい。
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