1980〜1981年、東京12チャンネル/松竹 キャスト 原作/藤沢周平「出合茶屋」より --------------------------------------------------------------- 神谷のダンナ、ふだんは料亭・よし野に入り浸り、女将のお津世といい仲。彼女は名のある盗賊の娘という過去を持ち、ダンナにそちら関係のアドバイスをすることも。 成敗の際には、まず笛の音が響き、悪者の誰何にこたえ神谷が「悪党狩り」と宣し、「てめえらのような悪党は生かしておくわけにゃいかねぇ、地獄への道中手形を渡してやるからありがたく頂戴しな」の決め台詞ののちチャンバラ、スローモーションとストロボ剣法を披露。基本マジ斬りの皆殺し←もちろん闇裁きで、仲間割れとかで済まされる。 第1話 「地獄の道中手形」 1980.10.8 賊に通じる者あり、北町の動員は肩すかしを食らう。裏には哀れな女の涙、そのうえ賊は汚職高官の手先という、やりきれない構図。もうひとつ重なった悲しい事情に、神谷玄次郎はブチ切れる。 ロケ地
哀れな事情で賊に追い使われていた、三枝同心の内儀・雪絵は小林かおり、亭主の三枝はにしきのあきら。雪絵に無体を強いていた賊は菅貫太郎、彼らを使嗾していた寺社奉行は遠藤太津朗で、新村の患者。裏稼業は殺し屋の錺職・長春は菅原文太、ザンギリ頭。長春の妹のおていは池玲子、よし野の女将と二役。ラス立ち福ちゃん入り、エンタツの家来。 岡同心が使っていた隠し目明しの死体検分の際、「近頃江戸に金で殺しを請け負う」云々の台詞が入っていて笑える。初回スペシャル枠。 脚本/村尾昭 監督/山下耕作 第2話 「八丁堀無情」 1980.10.15 よし野の前に捨てられていた赤子は、奇しくも島帰りの弥助の孫だった。父親のせいで悪の道に踏み込んでしまった女は、相当なあばずれに成り果てていたが、切所で改心し身を捨てて父を守る。 ロケなしセット撮り。酒でしくじり人を殺めた弥助は黒川弥太郎、娘は飛鳥裕子。彼女と組んで美人局をやらかす亭主は中田博久、グルのヤクザは芦田鉄雄。 脚本/村尾昭 監督/山下耕作 第3話 「嵐の中の母子草」 1980.10.22 女手一つで育て上げた息子、その嫁を「殺す」母。親密な母子関係が、悪党に利用されてしまうところを、神谷の慧眼が救う。 ロケ地
母は稲野和子、息子は市川萬次郎。お店乗っ取りを企んでいた番頭は内田稔、彼が若旦那に世話した嫁は湖条千秋。番頭とグルのヤクザは山岡徹也、手下に福ちゃん(ラス立ち)。 脚本/結束信二 監督/黒田義之 ※母子密着のイメージ映像に、いい年をした息子と一緒に風呂に入る母の図が出て、笑えるサービスショットが。 第4話 「夜叉と菩薩の谷間」 1980.10.29 七年前に神谷が逃した悪党が、捕物の現場となった村に居座りやりたい放題。村人の勝手な悪罵を浴びつつ、やり残した仕事を片付ける神谷であった。 ロケ地
流れ者の飯盛女だったお辰は橘麻紀、神谷に危機を知らせたため一味に斬られ落命。一味のかしら・左文字は佐藤京一、六角棒を振り回し凶暴なビジュアル、島送りの罪状は御金蔵破り。村人の一人、旅籠の主は永田光男、彼を含めた村人は見ていて不快なほど勝手を言う。 脚本/飛鳥ひろし 監督/井沢雅彦 ※タイトルは、村人の態度を評した新村先生の言。 第5話 「折れた十手」 1980.11.5 盗られた十手はたちまち悪事に使われ、律義者の目明しは思い詰めて縊死。犯行はやまず、遂に二千両もの大金が盗まれる荒事に発展。しかし十手についた傷が、亡き持ち主に代わって犯人を焙り出す。 ロケ地
目明しは河合絃司、おみのはマキノ佐代子で恋人の魚屋は白井滋郎。定吉は細川純一、兄貴分は五味龍太郎、一枚噛んで軍師をつとめる浪人は千葉敏郎。 一味の浪人と対峙した神谷、因縁の十手ごと袈裟懸け。一味は皆殺しで、金のとりっこで仲間割れ全滅とかダンナは嘯く。 脚本/結束信二 監督/山崎大助 第6話 「般若の面が笑う時」 1980.11.12 長らく江戸を離れていた盗賊が舞い戻り、とうに足を洗った老爺から富商宅の絵図面を取ろうとする。 ロケ地
盗賊・般若の竜右衛門は小田部通麿、手下に秋山勝俊や高並功など強面が揃う。元一味だった伝さんは北村英三、絵図面提出を断ってあっけなく殺される。 脚本/結束信二 監督/黒田義之 第7話 「仁義に生きた犬」 1980.11.19 飼い主を殺め、保護してくれた少年を危地に陥れる者を、犬は許さない。そして、息子や「患者」のことなどで頭に来ている先生は、神谷の霍乱もあり単身悪党のもとへ乗り込んでゆく。 ロケ地
贋金作り一味のかしらは汐路章、これに先立って砂金泥棒をやらかしている設定。手下に成瀬正、有川正治などいて、ラス立ちには浪人で福ちゃんも。 脚本/佐藤繁子 監督/山崎大助 第8話 「人斬り医者」 1980.11.26 死体を発見する新村だが、奉行所お抱えの医者はまるきり違う診立て。そのうえ、どうにも犯人らしくない中間が自首。裏には黒い企み、というお決まりの筋立てだが、新村先生の見せ場を多く作ったのが趣向の一話、神谷のダンナなど30分くらいの時点で初登場という始末。 ロケ地
お抱え医師は大木実、新村とは長崎以来。悪党にハニトラされた感じの絵が出ていて笑える。借金踏み倒して札差を殺した旗本は田口計、この意を受けて立ち働く中間は江幡高志←始末されかかり新村に助けられ、さめざめと泣いて全部ゲロ。騙されて自首を強要された伊八は矢吹二朗、動機は病の母のため。 脚本/村尾昭 監督/黒田義之 ※神谷は府中へ出張中という設定、先生に頼まれて旗本屋敷へ潜入したお津世が危ないところへ現れる。今回は、ラスボス二匹仕留めるのも先生。 第9話 「鬼がつかんだ風車」 1980.12.3 旧悪を隠して生きる男だが、ふとしたできごとが闇の顔を浮かび上がらせる。なかなか正体を現さない元凶賊を、根気よく追い詰める神谷。確信を得たあとは、すみやかに退治。 ロケ地
今は富商で皆に仏と呼ばれ、奉行所から褒賞される元凶賊・鬼辰の井筒屋、水島道太郎。強面の手下は宮口二朗。風車売りの親爺は相馬剛三。銀蔵を暗殺に来て先生にのされる殺し屋は福ちゃん。 第10話 「赦免花の女」 1980.12.10 必死で無実を訴える島帰りの女、役所では相手にされないが、彼女を襲う影を神谷が目撃。調べると、幾人もがからんで無実の女を作り上げていたことが判明する。 ロケ地
冤罪で六年も島にいたお信は亀井光代。彼女の子を預かり育てていた元朋輩のお春は桜町弘子で、僅かな金で黙らされた過去を持つ。偽証した朋輩は麻吹淳子、彼女のイロで実行犯だったチンピラ・文次は堀田真三。むかし脅迫者を殺させたお信らの元雇い主は鈴木金哉(役名なしなのではっきりしないが、卍党の猩猩左近だと思う)、彼が使う殺し屋は福ちゃん(クレジットはベタ、「手鎖」にしか見えない武器を使う)。 脚本/松本功 監督/井沢雅彦 第11話 「地獄に咲いた花」 1980.12.17 若い娘の身投げが続発、裏には人に言えぬ事情。大悪党の下で恐喝を働いていた男は、新村先生とむかしに訳ありの、片腕をなくした職人だった。 ロケ地
むかし先生の弟子だったおぶんは竹井みどり、簪の傷がもとで腕を切断する羽目になった蒔絵師・宇之吉は川地民夫。手術は新村先生が執刀。堕胎失敗で先生を助っ人に呼ぶ奥医師は永野辰也、大金ふんだくられて怒り心頭。宇之吉のツレのワルは岩尾正隆。 脚本/佐藤繁子 監督/山崎大助 ※おぶんを遊女にまで落としていた宇之吉だが改心、職人としてリスタートという珍しい展開。 第12話 「妻恋い侠客道」 1980.12.24 買収し損ねた岡っ引きを、腹いせに殺す外道。犯行を目撃した酌婦と、病児を抱えた渡世人と、悔恨と義理人情に苛まれたふたつの魂は、ダンナたちの尽力で再出発へと導かれる。 ロケ地
凄腕の渡世人・慎吉は藤巻潤、岡っ引き殺しの外道口入屋は小田部通麿で、強面の手下に田中浩(ちょっともったいない役回りだけど迫力)。奇しくも慎吉の亡妻と同じ名だった、呑んだくれの酌婦は宮園純子。冒頭殺される岡っ引きは波多野博、酌婦にからむ酔客に小峰さん、ラス立ち用心棒に福ちゃん(浪人、口ひげ)。 脚本/飛鳥ひろし 監督/山下耕作 ※江戸入り直後、神谷に娘を助けられるが、このとき名を聞いていないのがミソ。殺しに行ってはじめて恩人のあのヒトと知る運び。 第13話 「腕くらべ盗賊合戦」 1981.1.7 関八州の名だたる賊が江戸へ集結、盗みの腕を競うと見えたはうわべのみ。これを隠れ蓑に大仕事を企む凶賊は、足を洗ったお津世とその妹分の腕を欲する。 ロケ地
お津世の妹分は赤座美代子、手下の爺さまはコロムビア・トップ、彼らについてきた天満同心は小林繁。凶賊のかしらは遠藤太津朗、強面の手下は岩尾正隆。エンタツにハメられ囮で捕まる政五郎は牧冬吉。ラス立ち、先生に斬られる浪人の一人に福ちゃん、どアップあり。 脚本/飛鳥ひろし 監督/黒田義之 ※小林繁は友情出演、凶賊に殺された許婚者の仇を討つため、変装して「潜入」。事後は黄八丈を着込んでいるが、大坂から持ってきたのか。 第14話 「義理に泣いた少年」 1981.1.14 身を持ち崩した莫連女と、母に去られ父に疎まれた少年は、傷を舐めあうようにして心を寄せるが、なおむごい運命が待っている。 ロケ地
おようは白川和子、父が元目明しで盗賊時代のお津世を助けた次第。おようの情夫は石橋蓮司、冷酷な手口で押し込みをはたらく。見せ場は少ないが、内面をよく表す演技とメイクがさすが。レンジに犯行を唆すチンピラは福本清三、クレジットはベタだが台詞多く「永代の喜助」と呼ばれている。レンジたちの裏にいたヤクザの親分は遠藤太津朗。蜆売りの吉坊は大場利明。 脚本/佐藤繁子 監督/山下耕作 ※今回ラス立ちは神谷一人、先生の見せ場は大嘘の「預かった患者死んだゴメン」。 第15話 「大奥(秘)殺人」 1981.1.21 大奥のお局さまに男をあてがい、成り上がろうとする悪党ども。しかし、夢を汚され命まで奪われた老女の執は、別のかたちで果たされるのだった。 ロケ地
婆さんの養女で屋敷奉公に出ている娘は里見奈保、同じく養子で結婚するはずだった男は伊庭剛でお局さまのお相手、丑の刻参り満願を邪魔された夜に殺される婆さんは荒木雅子。黒幕の江戸城留守居役は川合伸旺、つるむ悪徳商人は稲葉義男、手下のチンピラは石倉英彦、用心棒プールの道場主は阿波地大輔(ごつい体に由井小雪ふうコス)。お局さまは志麻いずみ、景気よく脱いでる。 脚本/結束信二 監督/黒田義之 ※サブタイトルの(秘)、実際の表記は○の中に字。 第16話 「残侠の未練花」 1981.1.28 賊とつるみ私腹を肥やす火盗与力、この外道を守ろうとする侠客あり。先代に恩を受け、律儀に遺言を守ってきた男だったが、恋女房を亡くした夜、神谷らの成敗に乗るかっこうで刃を抜く。 ロケ地
伊三郎は梅宮辰夫、病篤い女房は野平ゆき(先生の患者)。間の若旦那は亀石征一郎、実は徳兵衛な商人は今井健二、手下に西田良。 脚本/佐藤繁子 監督/黒田義之 ※「出陣」、雪の夜道をゆく神谷に先生が合流、次いで伊三郎が加わる次第。伊三郎は間一人になったところで成敗の場に現れる。 第17話 「八年目の真実」 1981.2.4 相棒を逃がし捕まった盗っ人、八年を経て島から帰ると、女房はその相棒に嫁しており子も生まれていた。 ロケ地
栄吉は森次晃嗣、女将は中島葵、大坂屋は藤山寛美。見逃しで大坂屋にたかっていた勘定方役人は菅貫太郎、大坂の同心から出世。手下の役人は川辺久造、配下のごろつきは佐藤京一。ラス立ち福ちゃんと小峰さん入り、福ちゃん何度も斬られているうえ真上からのショットも。小峰さんは珍しいポニーテール浪人。大坂屋手代に峰蘭、出てすぐ殺される。 脚本/山本英明 監督/山下耕作 第18話 「無実の炎に燃えた奴」 1981.2.11 火事でお解き放ちになる囚人たち、そのなかに訳ありの男。彼はお津世の幼馴染、無実を晴らそうと闇雲に動くが、裏には思わぬ巨悪が隠れていた。 ロケ地
佐吉は火野正平、お津世に見せる甘えた表情が可愛いのはいつも通り。圧巻は、刀持って息巻いてるところを、鶴田浩二に首根っこつかまれてポイってされて「早く(回向院へ)行きなさい」の場面。回向院では閉門ぎりぎりに駆け込みというクサい設定、弟分に抱えられながら「すいませーんお願いしまーす」が大笑い。佐吉の女房は杣山久美、牢で一緒だった弟分は細川純一。 脚本/松本功 監督/山下耕作 第19話 「大江戸恨み節」 1981.2.18 富商の驕慢な妹娘と、顔に瑕疵ある姉娘との葛藤。ここに乗じるは財産乗っ取り目当ての番頭、よくある構図だが、各々の心に暗い影という色付け。 乗っ取りを目論む番頭は中尾彬、拾ってくれた主一家に複雑な感情を抱く。主は岩田直二、顔焼かれるとかひど過ぎ。姉娘は加山麗子、妹は三浦リカ。偽証の小間物屋はうえだ峻。 脚本/押川国秋 監督/津永勝 第20話 「続・仁義に生きた犬」 1981.2.25 むかし、女房を人質にとられ神谷を襲った男。ふたたび同様の事情で神谷の前に立つが、恋女房と会えず暮らした三年で男は病んでいた。 ロケ地
凶賊にさらわれたあと遊里に売られていたおしんは野川由美子、丈吉は峰岸徹。丈吉が庇ってやる夫婦者は佐藤仁哉と志乃原良子。賊は神田隆、八名信夫。ラス立ちに用心棒のセンセイで福ちゃんと小峰さん。シェパードは、クロタールライトマンとしっかりクレジットされ、訓練士も連名。 脚本/佐藤繁子 監督/井沢雅彦 ※犬がおしんに受けた恩は、ごはんちょっぴり貰い。7話のあと、ずっと由坊がかまっていた設定。 第21話 「殺人者はだれ」 1981.3.4 八丈から戻った男は、己が潔白を明かそうと動くが狙われる。彼が島送りになる時から冤罪を疑っていた神谷は、足を棒にして働くのだった。 ロケ地
宗吉は目黒祐樹、彼をハメた元朋輩は西沢利明。消された九蔵は大月正太郎、同じく消された偽証の酌婦は水野晴子。 脚本/結束信二 監督/井沢雅彦 第22話 「閻魔を斬った男」 1981.3.11 無頼御家人の一途な愛、友に嫁した惚れた女のため我が身を顧みず尽くす。 凶賊を斬ったことになる北の与力は下塚誠、友の無頼者は大場順、マドンナは叶和貴子。凶賊の兄弟は今井健二と有川正治。 脚本/吉田耕助 監督/井沢雅彦 第23話 「人情津軽三味線」 1981.3.18 手持ちの女を平気で嬲り殺す置屋の外道夫婦、南の与力を味方につけやりたい放題。しかし神谷の知るところとなり、哀れな娘が贄に差し出される夜、笛の音が響く。 ロケ地
姉妹は鈴鹿景子と仁和令子。楼主は田中浩で、阿漕な女将は長谷川待子、つるむ与力は田口計。密殺される親爺は中村錦司、楼でこき使われる口のきけない下男は小林稔侍。ラス立ち福ちゃん入り、ボサボサ髪の浪人で複数回斬られ。 脚本/結束信二、志村正浩 監督/亀岡正人 第24話 「仇討無情」 1981.3.25 仇討ち悲話、家族を皆殺しにされた神谷の剣友は業病を得ており、志半ばで逝く。彼を愛し支えてきた健気な女も散り、神谷は怒りをこめて裁きの剣を振るう。 ロケ地
病篤い半蔵は和田浩治、夜鷹に身を落として彼を支える女は北林早苗。上司の公金横領を告発しようとして殺された半蔵の叔父は永田光男。「上司」は武藤英司で現勘定奉行。 脚本/吉田耕助、津島勝 監督/津島勝 |