悪党狩り

1980〜1981年、東京12チャンネル/松竹

キャスト
神谷玄次郎/尾上菊五郎 お津世/池玲子 岡半兵衛/待田京介 おみち/奈三恭子 金子猪太夫/品川隆二 銀蔵/玉川良一 新村出/鶴田浩二 由太郎/上田孝則

原作/藤沢周平「出合茶屋」より
音楽/津島利章 テーマ曲「ばあにんぐ」/唄・もんた&ブラザーズ

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 神谷のダンナ、ふだんは料亭・よし野に入り浸り、女将のお津世といい仲。彼女は名のある盗賊の娘という過去を持ち、ダンナにそちら関係のアドバイスをすることも。
神谷付きの岡っ引きは銀蔵、おみちは妹。長屋には医者の新村先生が開業していて、びん底眼鏡のマンガチックな倅・由太郎がいる。
どこかの渡世人みたいに騒がしい与力の金子さまは、神谷に全幅の信頼をおき、神谷の先輩同心・岡のダンナをがみがみ叱るのがお決まり。

 成敗の際には、まず笛の音が響き、悪者の誰何にこたえ神谷が「悪党狩り」と宣し、「てめえらのような悪党は生かしておくわけにゃいかねぇ、地獄への道中手形を渡してやるからありがたく頂戴しな」の決め台詞ののちチャンバラ、スローモーションとストロボ剣法を披露。基本マジ斬りの皆殺し←もちろん闇裁きで、仲間割れとかで済まされる。
新村先生にもお決まりがあって、逃げ出す一派などの前に出て「私は医者だ。人を治すのが仕事。だがおまえたちは人間ではない。だから死んで貰う」→チャンバラでマジ斬り。
銀蔵親分も、岡っ引きのくせにラス立ちではほっかむりなどしていて、匕首でマジ斬り。


第1話 「地獄の道中手形」 1980.10.8

 賊に通じる者あり、北町の動員は肩すかしを食らう。裏には哀れな女の涙、そのうえ賊は汚職高官の手先という、やりきれない構図。もうひとつ重なった悲しい事情に、神谷玄次郎はブチ切れる。

ロケ地

  • 長春が語る、幼い妹を残し故郷を出た頃のイメージ、かくれんぼの際の祠は大覚寺五社明神か。泣きながら追ってきた小道、大覚寺境内か。南部牛追い唄がかぶる、雪の里の情景はバンクフィルムか。
  • 雪絵の死体が見つかる木の下、大覚寺天神島木の根方。ほんとに物とりの仕業?と話しながら現場から戻る神谷たち、天神島朱橋たもと植え込み際。
  • 引き込み女を送り出す怪しい寺・浄福寺、相国寺林光院。門、式台玄関を使う。
  • 長春に呼び出された神谷が渡る夜の橋、中ノ島橋。神谷は橋上を来て、長春は橋下で待つ。「神谷を殺せない長春」を見つめる賊一味は橋下手岸辺の木陰にいて、神谷に向けて発砲。
  • 三枝同心が浄福寺へ乗り込む段、寺は相国寺林光院で、玄関を使うが、立ち回りは境外におよぶ。三枝の意図に気付き駆けつける神谷、走るのは相国寺鐘楼裏手塀際。

 哀れな事情で賊に追い使われていた、三枝同心の内儀・雪絵は小林かおり、亭主の三枝はにしきのあきら。雪絵に無体を強いていた賊は菅貫太郎、彼らを使嗾していた寺社奉行は遠藤太津朗で、新村の患者。裏稼業は殺し屋の錺職・長春は菅原文太、ザンギリ頭。長春の妹のおていは池玲子、よし野の女将と二役。ラス立ち福ちゃん入り、エンタツの家来。

 岡同心が使っていた隠し目明しの死体検分の際、「近頃江戸に金で殺しを請け負う」云々の台詞が入っていて笑える。初回スペシャル枠。

脚本/村尾昭 監督/山下耕作


第2話 「八丁堀無情」 1980.10.15

 よし野の前に捨てられていた赤子は、奇しくも島帰りの弥助の孫だった。父親のせいで悪の道に踏み込んでしまった女は、相当なあばずれに成り果てていたが、切所で改心し身を捨てて父を守る。

 ロケなしセット撮り。酒でしくじり人を殺めた弥助は黒川弥太郎、娘は飛鳥裕子。彼女と組んで美人局をやらかす亭主は中田博久、グルのヤクザは芦田鉄雄。

脚本/村尾昭 監督/山下耕作


第3話 「嵐の中の母子草」 1980.10.22

 女手一つで育て上げた息子、その嫁を「殺す」母。親密な母子関係が、悪党に利用されてしまうところを、神谷の慧眼が救う。

ロケ地

  • 佐倉屋の大女将・おりょうが「犯行」に使った守刀、発行元の大国神社へ調べにゆく神谷、今宮神社。イメージに境内石畳と楼門を映し、宮司に刀を見せてもらうシーンは参集殿縁先で。
  • おみつがゴロツキに囲まれるところ、釣りの神谷が現れて撃退する川端、広沢池東岸。お芝居は並木で。

 母は稲野和子、息子は市川萬次郎。お店乗っ取りを企んでいた番頭は内田稔、彼が若旦那に世話した嫁は湖条千秋。番頭とグルのヤクザは山岡徹也、手下に福ちゃん(ラス立ち)。

脚本/結束信二 監督/黒田義之

※母子密着のイメージ映像に、いい年をした息子と一緒に風呂に入る母の図が出て、笑えるサービスショットが。


第4話 「夜叉と菩薩の谷間」 1980.10.29

 七年前に神谷が逃した悪党が、捕物の現場となった村に居座りやりたい放題。村人の勝手な悪罵を浴びつつ、やり残した仕事を片付ける神谷であった。

ロケ地

  • 武州奥多摩・奥沢村イメージ、不明(山上から里を望むロングショット)
  • 街道を走る八州の捕り方たち、大内辻堂(南から来て、祠の裏を走り抜ける)。セットの宿場を経て、一味が占拠する法禅寺へ入るシーン、丹波国分寺
  • 銀蔵をお供に奥沢村へ向かう神谷、保津峡落合。銀蔵が愚痴を垂れる道は落合巌、捕り方が死屍累々の河原は河口右岸汀、川中を流れてくる死体も演出。
  • 新墓が目立つ墓地、そこにいた女・お辰と出会うシーン、不明(丘の上の墓地)。後段、お辰を葬るシーンも同所。
  • 村人の回想、七年前青鬼一味を追い出してくれるよう神谷に懇願した道、大内辻堂前。導入はネガポジ反転。
  • 法禅寺が見える空き家を捜す神谷たち、丹波国分寺前畦道に民家塀をあしらい。見張りのため入る家自身は村のセットで、格子から丹波国分寺の門が見える絵と併用。
  • 左文字が赦免されて戻るのを見たお津世、村へ向かう彼をつけてゆく街道、大内辻堂南方の道(地道)。法禅寺へ入るのを見届けるシーンでは、門前に畦畔木が確認できる。
  • 村人に贄にされかかった女を逃がしてやる神谷、その女が一味に囲まれてピンチの坂道、大内亀岡道の切通し。脇の藪から薬草採り中だった新村先生が出て阻止、一人斬り捨てる(福ちゃん、チンピラ姿)
  • お辰の回想、むりやり村人に連れて行かれ一味に引き渡された町角、大覚寺五社明神。一緒に連れて来られた若い娘が嫌がって逃げ、大沢池にドボン。
  • 甲州街道を戻る四人連れ、大内辻堂南方の地道。画面奥に亀岡道の切通しが見える。

 流れ者の飯盛女だったお辰は橘麻紀、神谷に危機を知らせたため一味に斬られ落命。一味のかしら・左文字は佐藤京一、六角棒を振り回し凶暴なビジュアル、島送りの罪状は御金蔵破り。村人の一人、旅籠の主は永田光男、彼を含めた村人は見ていて不快なほど勝手を言う。

脚本/飛鳥ひろし 監督/井沢雅彦

※タイトルは、村人の態度を評した新村先生の言。


第5話 「折れた十手」 1980.11.5

 盗られた十手はたちまち悪事に使われ、律義者の目明しは思い詰めて縊死。犯行はやまず、遂に二千両もの大金が盗まれる荒事に発展。しかし十手についた傷が、亡き持ち主に代わって犯人を焙り出す。

ロケ地

  • 目明しの遺児・おみのが十手盗のチンピラ・定吉にスケベ目的で連れ込まれる鎮守、大覚寺五社明神本殿。新村先生が出て未遂。

 目明しは河合絃司、おみのはマキノ佐代子で恋人の魚屋は白井滋郎。定吉は細川純一、兄貴分は五味龍太郎、一枚噛んで軍師をつとめる浪人は千葉敏郎。

 一味の浪人と対峙した神谷、因縁の十手ごと袈裟懸け。一味は皆殺しで、金のとりっこで仲間割れ全滅とかダンナは嘯く。
ラストはおみのの祝言、銀蔵の高砂やは途中から浪花節に。

脚本/結束信二 監督/山崎大助


第6話 「般若の面が笑う時」 1980.11.12

 長らく江戸を離れていた盗賊が舞い戻り、とうに足を洗った老爺から富商宅の絵図面を取ろうとする。
しかし血腥い手立てゆえ神谷の詮索を呼び、盗っ人ども一巻の終わり。

ロケ地

  • ラスト、江戸を離れ旅立つ若夫婦、桂川松尾橋上手右岸汀(中州流れ込みの早瀬際、ロングの絵あり)

 盗賊・般若の竜右衛門は小田部通麿、手下に秋山勝俊や高並功など強面が揃う。元一味だった伝さんは北村英三、絵図面提出を断ってあっけなく殺される。
伝さんの娘とその亭主は、ダンナの温情で江戸から去る(吉本真由美、岡村清太郎)。

脚本/結束信二 監督/黒田義之


第7話 「仁義に生きた犬」 1980.11.19

 飼い主を殺め、保護してくれた少年を危地に陥れる者を、犬は許さない。そして、息子や「患者」のことなどで頭に来ている先生は、神谷の霍乱もあり単身悪党のもとへ乗り込んでゆく。

ロケ地

  • 贋金つくりの工房から逃げた職人たちが追われるくだり、不明。小柴垣の道、幼松が植わった土手(?)、クリークみたいな溝が掘れている荒地など。
  • 遊んでいた由坊が犬のクロを拾う野原、北嵯峨か。
  • クロを探りに来たおえいを連れ出して話す先生、広沢池観音島
  • 贋小判を入手した先生を囲み迫る一味、大覚寺天神島
  • 魚が浮いた川のことを漁師に聞き込む銀蔵、広沢池東岸。漁師は船を出して投網を打っている。
  • 犬と由坊、次いで銀蔵が辿る、贋金工房へ続く音無川、不明(巨岩に小滝が落ちている)。由坊が逃げる途中崖落ちの竹林は北嵯峨か。

 贋金作り一味のかしらは汐路章、これに先立って砂金泥棒をやらかしている設定。手下に成瀬正、有川正治などいて、ラス立ちには浪人で福ちゃんも。
おえいはかしらに拾われた女で、心中の片割れ。むかし先生が治療したが、生き残ったことで先生を恨む運び。
クロの飼い主の錺職は波多野博、クロはでっかいシェパード。

脚本/佐藤繁子 監督/山崎大助


第8話 「人斬り医者」 1980.11.26

 死体を発見する新村だが、奉行所お抱えの医者はまるきり違う診立て。そのうえ、どうにも犯人らしくない中間が自首。裏には黒い企み、というお決まりの筋立てだが、新村先生の見せ場を多く作ったのが趣向の一話、神谷のダンナなど30分くらいの時点で初登場という始末。

ロケ地

  • 釣りをしに来た新村父子が、札差の死体を見つける千鳥ヶ池、広沢池北岸汀。
  • 新村が問い質しにゆく北町お抱え医師・松永の屋敷、相国寺林光院
  • 事後、伊八の文を新村に託しに来る銀蔵、今宮神社高倉脇坂。新村は由坊に荷物持たせて往診帰りのもよう。

 お抱え医師は大木実、新村とは長崎以来。悪党にハニトラされた感じの絵が出ていて笑える。借金踏み倒して札差を殺した旗本は田口計、この意を受けて立ち働く中間は江幡高志←始末されかかり新村に助けられ、さめざめと泣いて全部ゲロ。騙されて自首を強要された伊八は矢吹二朗、動機は病の母のため。

脚本/村尾昭 監督/黒田義之

※神谷は府中へ出張中という設定、先生に頼まれて旗本屋敷へ潜入したお津世が危ないところへ現れる。今回は、ラスボス二匹仕留めるのも先生。
※ラス立ち福ちゃん入り、旗本の家来。何回か斬られてる気がする。体のしなり具合がナイスで必見。


第9話 「鬼がつかんだ風車」 1980.12.3

 旧悪を隠して生きる男だが、ふとしたできごとが闇の顔を浮かび上がらせる。なかなか正体を現さない元凶賊を、根気よく追い詰める神谷。確信を得たあとは、すみやかに退治。

ロケ地

  • 井筒屋が風車を購い身バレする明神坂の縁日、今宮神社境内に雑踏演出。稲荷社脇で新村先生とすれ違い、彼を追っかけてきた風車売りがここで発作を起こす。
  • 井筒屋の昔を調べに行徳へ赴く神谷と銀蔵、街道は酵素ダート。お昼をつかう竹林は河川敷(林床、斜面)。昔を知る老爺が住む町外れの一軒家、河川敷北側崖下に小屋設営・松林に物干しを演出。

 今は富商で皆に仏と呼ばれ、奉行所から褒賞される元凶賊・鬼辰の井筒屋、水島道太郎。強面の手下は宮口二朗。風車売りの親爺は相馬剛三。銀蔵を暗殺に来て先生にのされる殺し屋は福ちゃん。
風車は、鬼辰の娘が溺死したおり持っていたもの。最後の一押しに、水草がからんだ風車置いてくる神谷ヒドいかも。


第10話 「赦免花の女」 1980.12.10

 必死で無実を訴える島帰りの女、役所では相手にされないが、彼女を襲う影を神谷が目撃。調べると、幾人もがからんで無実の女を作り上げていたことが判明する。

ロケ地

  • 南の番方与力が暗殺される夜道、広隆寺東塀際。木の陰に殺し屋(福本清三)が隠れていて、怪しの武器で喉笛をプスリ。
  • 銀蔵宅へ保護されていたお信、外へ出て物思うシーンは大覚寺天神島、物干し等あしらい。木の陰から怪しい男が覗いている。
  • 証言者だった昔の朋輩を訪ねた帰り、文次に襲われるお信とお春、大覚寺五社明神。新村先生が通りかかり、お信を庇って刺されたお春を診る。

 冤罪で六年も島にいたお信は亀井光代。彼女の子を預かり育てていた元朋輩のお春は桜町弘子で、僅かな金で黙らされた過去を持つ。偽証した朋輩は麻吹淳子、彼女のイロで実行犯だったチンピラ・文次は堀田真三。むかし脅迫者を殺させたお信らの元雇い主は鈴木金哉(役名なしなのではっきりしないが、卍党の猩猩左近だと思う)、彼が使う殺し屋は福ちゃん(クレジットはベタ、「手鎖」にしか見えない武器を使う)。

脚本/松本功 監督/井沢雅彦


第11話 「地獄に咲いた花」 1980.12.17

 若い娘の身投げが続発、裏には人に言えぬ事情。大悪党の下で恐喝を働いていた男は、新村先生とむかしに訳ありの、片腕をなくした職人だった。
今回も先生中心、神谷のダンナは話にからまない。

ロケ地

  • おぶんの回想、医者の修行をするというおぶんに怒った宇之吉に襲い掛かられた野原、不明(庭の端の溝?茂みの際)。ここで宇之吉の腕を簪で刺してしまう運び。
  • 宇之吉が先生を呼び出した向島明神裏、広沢池東岸(夜設定の絵)。先生は船を漕いでやってくる。

 むかし先生の弟子だったおぶんは竹井みどり、簪の傷がもとで腕を切断する羽目になった蒔絵師・宇之吉は川地民夫。手術は新村先生が執刀。堕胎失敗で先生を助っ人に呼ぶ奥医師は永野辰也、大金ふんだくられて怒り心頭。宇之吉のツレのワルは岩尾正隆。

脚本/佐藤繁子 監督/山崎大助

※おぶんを遊女にまで落としていた宇之吉だが改心、職人としてリスタートという珍しい展開。
※福ちゃん、奥医師宅の用心棒で登場、先生とダンナに数回斬られていて笑える。
※新村先生は万年橋付近に在住。


第12話 「妻恋い侠客道」 1980.12.24

 買収し損ねた岡っ引きを、腹いせに殺す外道。犯行を目撃した酌婦と、病児を抱えた渡世人と、悔恨と義理人情に苛まれたふたつの魂は、ダンナたちの尽力で再出発へと導かれる。

ロケ地

  • お豊に亡妻のことを語る慎吉、病篤い女房をおぶって歩いた街道、北嵯峨農地農道(棚田部分)
  • 三河熊に命じられ、神谷襲撃の神社を下見に行く慎吉、地図を持って歩いていると神谷を見かけたので声をかけ礼を述べるシーン、相国寺鐘楼脇と周辺。神谷は大通院前路地を歩いていて、垣根越しに見る図。
  • 慎吉の娘の治癒を祈願しお百度を踏むお豊、相国寺宗丹稲荷
  • 娘の開眼を見たあと、筋を通して神谷に斬りつける慎吉、相国寺鐘楼(画面奥に宗丹稲荷、慎吉は鐘楼入口から出てくる)
  • 慎吉がお豊に語る、三河熊に恩を受けた街道、広沢池東岸並木の土手(病に倒れたところを助けられ/雨の街道筋演出)
  • 事後、三人を見送る渡し場、広沢池東岸汀

 凄腕の渡世人・慎吉は藤巻潤、岡っ引き殺しの外道口入屋は小田部通麿で、強面の手下に田中浩(ちょっともったいない役回りだけど迫力)。奇しくも慎吉の亡妻と同じ名だった、呑んだくれの酌婦は宮園純子。冒頭殺される岡っ引きは波多野博、酌婦にからむ酔客に小峰さん、ラス立ち用心棒に福ちゃん(浪人、口ひげ)。

脚本/飛鳥ひろし 監督/山下耕作

※江戸入り直後、神谷に娘を助けられるが、このとき名を聞いていないのがミソ。殺しに行ってはじめて恩人のあのヒトと知る運び。
※筋を通す男・慎吉、ラス立ちでは端座して動かず、三河熊が神谷に斬られるというとき割って入り庇う。


第13話 「腕くらべ盗賊合戦」 1981.1.7

 関八州の名だたる賊が江戸へ集結、盗みの腕を競うと見えたはうわべのみ。これを隠れ蓑に大仕事を企む凶賊は、足を洗ったお津世とその妹分の腕を欲する。
妹分にくっついてきた「手下」にお遊びを盛り込んで、お話は正月らしく締めくくられる。

ロケ地

  • 岩鼻代官所からの急使が馬を駆る街道、北嵯峨農地農道。
  • 政五郎が欄干に符牒を書いてツナギをとる竪川三之橋、中ノ島橋(親柱に橋名演出)
  • 除夜の鐘が撞かれる鐘楼、不明(シルエット)

 お津世の妹分は赤座美代子、手下の爺さまはコロムビア・トップ、彼らについてきた天満同心は小林繁。凶賊のかしらは遠藤太津朗、強面の手下は岩尾正隆。エンタツにハメられ囮で捕まる政五郎は牧冬吉。ラス立ち、先生に斬られる浪人の一人に福ちゃん、どアップあり。

脚本/飛鳥ひろし 監督/黒田義之

※小林繁は友情出演、凶賊に殺された許婚者の仇を討つため、変装して「潜入」。事後は黄八丈を着込んでいるが、大坂から持ってきたのか。
※いちおう錠前破りはしているので、逮捕を覚悟するお津世だが、神谷のダンナは「賊死んだし金戻ればOK」で済ます…皆殺しの闇裁きだし。


第14話 「義理に泣いた少年」 1981.1.14

 身を持ち崩した莫連女と、母に去られ父に疎まれた少年は、傷を舐めあうようにして心を寄せるが、なおむごい運命が待っている。
津世の昔の義理もからみ、ダンナたちの大甘措置で幕。

ロケ地

  • 彷徨っていたおようと吉坊が出会う河岸、広沢池東岸汀。吉坊は「遠くへ行こうとして」船出→船上からドボンでお吉に助けられ。
  • 河岸から家に戻るおよう、お津世たちとすれ違う橋は中ノ島橋
  • おようの殺人を目撃したため声を失う吉坊、先生が診たあと由太郎と竹とんぼで遊ぶ広場は大覚寺五社明神裏手。
  • 永代の喜助の死体が引き上げられる水辺、大覚寺放生池堤。放生池から引き上げ。
  • 女掏摸をつかまえ、おようの消息を問うお津世、大覚寺五社明神灯篭脇。
  • 向島で逃がし屋の船を待つおよう、大覚寺大沢池船着(小)。ここへやってきた神谷が彼女に吉坊の状態を話すシーンは天神島にスイッチ。
  • 逃がし屋の船に乗り込むも思いなおし、船頭に声をかけるおよう、広沢池(船上)。このあと吉坊の待つ東岸汀に。

 おようは白川和子、父が元目明しで盗賊時代のお津世を助けた次第。おようの情夫は石橋蓮司、冷酷な手口で押し込みをはたらく。見せ場は少ないが、内面をよく表す演技とメイクがさすが。レンジに犯行を唆すチンピラは福本清三、クレジットはベタだが台詞多く「永代の喜助」と呼ばれている。レンジたちの裏にいたヤクザの親分は遠藤太津朗。蜆売りの吉坊は大場利明。

脚本/佐藤繁子 監督/山下耕作

※今回ラス立ちは神谷一人、先生の見せ場は大嘘の「預かった患者死んだゴメン」。


第15話 「大奥(秘)殺人」 1981.1.21

 大奥のお局さまに男をあてがい、成り上がろうとする悪党ども。しかし、夢を汚され命まで奪われた老女の執は、別のかたちで果たされるのだった。

ロケ地

  • 酔って帰りの銀蔵が丑の刻参りを見てしまう夜の神社、鳥居本八幡宮。鼻歌の夜道は小柴垣道、婆さんが五寸釘打ってるのは鳥居脇の大木。婆さんの家は橋場で、神社はその近く。
  • 江戸城イメージ、姫路城天守

 婆さんの養女で屋敷奉公に出ている娘は里見奈保、同じく養子で結婚するはずだった男は伊庭剛でお局さまのお相手、丑の刻参り満願を邪魔された夜に殺される婆さんは荒木雅子。黒幕の江戸城留守居役は川合伸旺、つるむ悪徳商人は稲葉義男、手下のチンピラは石倉英彦、用心棒プールの道場主は阿波地大輔(ごつい体に由井小雪ふうコス)。お局さまは志麻いずみ、景気よく脱いでる。

脚本/結束信二 監督/黒田義之

※サブタイトルの(秘)、実際の表記は○の中に字。


第16話 「残侠の未練花」 1981.1.28

 賊とつるみ私腹を肥やす火盗与力、この外道を守ろうとする侠客あり。先代に恩を受け、律儀に遺言を守ってきた男だったが、恋女房を亡くした夜、神谷らの成敗に乗るかっこうで刃を抜く。

ロケ地

  • 火盗改から逃げた賊の前に立ちふさがる伊三郎、広沢池北岸の林。彼は峰打ちで止めるが、火盗与力の間が出て刺殺。設定特になし、アジトの荒れ寺近く。
  • 大盗・徳兵衛の手がかりを求めに深川へ向かう神谷と銀蔵、途中の道は鳥居本八幡宮小柴垣道。訪ねる予定だった、徳兵衛の顔を知る老爺が殺されるのは広場。
  • 神谷を斬れと間に命じられた伊三郎、神谷に間の先代に恩を受けた経緯を話す町角は大覚寺大沢池畔〜護摩堂前。場所を移して渡り合うのは天神島(西田良が銃で狙うのを先生が阻止)

 伊三郎は梅宮辰夫、病篤い女房は野平ゆき(先生の患者)。間の若旦那は亀石征一郎、実は徳兵衛な商人は今井健二、手下に西田良。

脚本/佐藤繁子 監督/黒田義之

※「出陣」、雪の夜道をゆく神谷に先生が合流、次いで伊三郎が加わる次第。伊三郎は間一人になったところで成敗の場に現れる。


第17話 「八年目の真実」 1981.2.4

 相棒を逃がし捕まった盗っ人、八年を経て島から帰ると、女房はその相棒に嫁しており子も生まれていた。
二人の男の確執に、賊の上前をはねる大悪党と、珍しく大盗摘発に燃えていた神谷がからんでゆく。

ロケ地

  • 「娘」を連れて「亡妻」の墓に参る大坂屋、二尊院墓地か(先生とすれ違うシーンは坂、立地は丘の上と思われる)
  • 事後、実父と名乗る気はないと神谷に話す栄吉、広沢池東岸並木際。栄吉の恋人の酒肆の女将と「大坂屋の娘」が遊ぶのは汀、水少なし。プロポーズも同時。

 栄吉は森次晃嗣、女将は中島葵、大坂屋は藤山寛美。見逃しで大坂屋にたかっていた勘定方役人は菅貫太郎、大坂の同心から出世。手下の役人は川辺久造、配下のごろつきは佐藤京一。ラス立ち福ちゃんと小峰さん入り、福ちゃん何度も斬られているうえ真上からのショットも。小峰さんは珍しいポニーテール浪人。大坂屋手代に峰蘭、出てすぐ殺される。

脚本/山本英明 監督/山下耕作


第18話 「無実の炎に燃えた奴」 1981.2.11

 火事でお解き放ちになる囚人たち、そのなかに訳ありの男。彼はお津世の幼馴染、無実を晴らそうと闇雲に動くが、裏には思わぬ巨悪が隠れていた。

ロケ地

  • お津世が佐吉を隠していたお堂、大覚寺護摩堂。神谷を連れて行ってみるともぬけの殻。
  • 与力に誘導され黒幕のもとへ向かう佐吉、弟分の新助と別れる夜道は広隆寺東塀(木あり、シルエットが美しい)

 佐吉は火野正平、お津世に見せる甘えた表情が可愛いのはいつも通り。圧巻は、刀持って息巻いてるところを、鶴田浩二に首根っこつかまれてポイってされて「早く(回向院へ)行きなさい」の場面。回向院では閉門ぎりぎりに駆け込みというクサい設定、弟分に抱えられながら「すいませーんお願いしまーす」が大笑い。佐吉の女房は杣山久美、牢で一緒だった弟分は細川純一。
抜け荷の回船問屋は高野真二、グルの与力は南原宏治、「売り子」抱えてた呉服屋は北村英三、よし野担当の売り子は福本清三(バレて逃げ、店の前で口封じに撃たれる。黒幕の名前を吐いてキュー↓クレジットはベタ)。

脚本/松本功 監督/山下耕作


第19話 「大江戸恨み節」 1981.2.18

 富商の驕慢な妹娘と、顔に瑕疵ある姉娘との葛藤。ここに乗じるは財産乗っ取り目当ての番頭、よくある構図だが、各々の心に暗い影という色付け。
神谷は、巻き込まれた哀れな娘のため奔走する。
ロケなしセット撮り。

 乗っ取りを目論む番頭は中尾彬、拾ってくれた主一家に複雑な感情を抱く。主は岩田直二、顔焼かれるとかひど過ぎ。姉娘は加山麗子、妹は三浦リカ。偽証の小間物屋はうえだ峻。

脚本/押川国秋 監督/津永勝


第20話 「続・仁義に生きた犬」 1981.2.25

 むかし、女房を人質にとられ神谷を襲った男。ふたたび同様の事情で神谷の前に立つが、恋女房と会えず暮らした三年で男は病んでいた。
フツー悲劇に終わる展開だが、神谷のダンナや先生に加え「仁義」シェパードの活躍で、悪は懲らされ笑いが戻る大甘な始末に。

ロケ地

  • 闇夜鴉一味に囲まれたおしんを助けに走ってくるクロ、不明(土手)
  • おしんがクロをかまう河岸(?)広沢池東岸池底(水少なし、小屋演出)。自ら囮を買ってでるおしんを、神谷らが並木から見ている。小屋裏にひそむ悪人にクロが吠えつく。
  • 神谷を斬るため「裏の明神」に呼び出す丈吉、大覚寺五社明神。数合ののち丈吉吐血、祠脇でげほげほ。
  • 先生宅へ保護される丈吉、寝ずの看病のあと外へ出て物思いに沈むおしん、中ノ島橋上手堰堤脇(右岸の護岸石積上、役者のうしろに塀こしらえ)。先生が出て「この川のように」と諭すシーン、映し出されるのは堰堤下の流れ。
  • 先生宅から出奔する丈吉、船を出す川は罧原堤下桂川、追う神谷らの芝居では河原も使う(ここで犬が匂いを追って大活躍)
  • 事後、回復した丈吉がおしんとともにクロをかまう河岸(?)広沢池東岸池底。並木で見ていた神谷たち、立ち去る際渡る橋は中ノ島橋

 凶賊にさらわれたあと遊里に売られていたおしんは野川由美子、丈吉は峰岸徹。丈吉が庇ってやる夫婦者は佐藤仁哉と志乃原良子。賊は神田隆、八名信夫。ラス立ちに用心棒のセンセイで福ちゃんと小峰さん。シェパードは、クロタールライトマンとしっかりクレジットされ、訓練士も連名。

脚本/佐藤繁子 監督/井沢雅彦

※犬がおしんに受けた恩は、ごはんちょっぴり貰い。7話のあと、ずっと由坊がかまっていた設定。


第21話 「殺人者はだれ」 1981.3.4

 八丈から戻った男は、己が潔白を明かそうと動くが狙われる。彼が島送りになる時から冤罪を疑っていた神谷は、足を棒にして働くのだった。
邪魔者の始末に神経毒が使われているのが、ちょっとミステリー風味。

ロケ地

  • 九蔵の田舎へ向かう宗吉、街道は北嵯峨農地竹林際。山道は不明(雑木林の山中、地道の坂)。九蔵実家へ入る細道は、北嵯峨竹林か(奥に畑が見える)

 宗吉は目黒祐樹、彼をハメた元朋輩は西沢利明。消された九蔵は大月正太郎、同じく消された偽証の酌婦は水野晴子。

脚本/結束信二 監督/井沢雅彦


第22話 「閻魔を斬った男」 1981.3.11

 無頼御家人の一途な愛、友に嫁した惚れた女のため我が身を顧みず尽くす。
しかし友になさしめた手柄が徒となり、凶賊の恨みを買ってしまうのだった。
ロケなしセット撮り。

 凶賊を斬ったことになる北の与力は下塚誠、友の無頼者は大場順、マドンナは叶和貴子。凶賊の兄弟は今井健二と有川正治。

脚本/吉田耕助 監督/井沢雅彦


第23話 「人情津軽三味線」 1981.3.18

 手持ちの女を平気で嬲り殺す置屋の外道夫婦、南の与力を味方につけやりたい放題。しかし神谷の知るところとなり、哀れな娘が贄に差し出される夜、笛の音が響く。

ロケ地

  • 娘を請け出しに来た田舎の親爺が密殺される大川端、罧原堤下汀。ガボボは別撮り。
  • 釣りの神谷と銀蔵が親爺の死体を引っ掛ける大川端、大覚寺大沢池堤法面(弁当を持ってきたおみちは堤上を走る)
  • おつね・おみの姉妹の回想で出る津軽イメージ、不明(荒磯と、氷柱垂れ下がる民家。バンクフィルム)

 姉妹は鈴鹿景子と仁和令子。楼主は田中浩で、阿漕な女将は長谷川待子、つるむ与力は田口計。密殺される親爺は中村錦司、楼でこき使われる口のきけない下男は小林稔侍。ラス立ち福ちゃん入り、ボサボサ髪の浪人で複数回斬られ。

脚本/結束信二、志村正浩 監督/亀岡正人


第24話 「仇討無情」 1981.3.25

 仇討ち悲話、家族を皆殺しにされた神谷の剣友は業病を得ており、志半ばで逝く。彼を愛し支えてきた健気な女も散り、神谷は怒りをこめて裁きの剣を振るう。

ロケ地

  • 神谷と半蔵の回想、道場を訪ねてきた許婚者と会う半蔵、罧原堤下汀(水面キラキラ演出)
  • 事後、お津世とともに二艘の笹舟を流す神谷、罧原堤下汀(船舫い)

 病篤い半蔵は和田浩治、夜鷹に身を落として彼を支える女は北林早苗。上司の公金横領を告発しようとして殺された半蔵の叔父は永田光男。「上司」は武藤英司で現勘定奉行。

脚本/吉田耕助、津島勝 監督/津島勝


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