田坂具隆監督作品 1962.6.10東映 キャスト 原作/山本周五郎 -------------------------------------------- 町を焼き尽くした大火で二親に死なれた大留の若棟梁は、悲しみを押し隠して立て直しを急ぐが、誰にも頼らずにという方針は周囲と齟齬を生じる。 ロケ地は川越街道の往還を表現する流れ橋のみ。夕景も入っている。早駕籠が走ったり、大八を曳いて通ったり。右岸側のコンクリート橋脚も映っている。 原作から質屋の総領の名を借りた、利吉というオリジナルキャラクターが出ていて、おりつや子らを通して茂次と対立する影に仕立ててある。 菊次のつきまといが性的な興味でなく、おりつに母を見ていたという最大の見せ場が省かれていて拍子抜け。しかし、ラストに菊次少年が大留の法被をまとい、大人の仲間入りを果たすという絵もわるいものではない。 江利チエミが出ているので、子らと歌うシーンも入っている。映画が作られた当時の空気を反映しているようで、興味深い。 ※二部構成、同日上映。第一部は、出ていったおりつと子らを呼び戻そうという段、おゆうが披露する「ちいさこべ」の話で終わる。 |