元禄太平記

1995.10.7 テレビ朝日/東映

キャスト
信花兵庫/松平健 堀部安兵衛/三田村邦彦 おしん(小唄師匠)/麻生祐未 おとき/雛形あきこ 左右田源八/西岡徳馬 弥之助(瓦版売り)/柳沢慎吾 脇坂淡路守/竹脇無我 土屋主税/北大路欣也 紀国屋文左衛門/長門裕之 吉良上野介/神山繁 徳川綱吉/若林豪 柳沢吉保/津川雅彦 色部又四郎/西郷輝彦 大石内蔵助/里見浩太朗

原作/南條範夫 音楽/津島利章 脚本/志村正浩 映像協力/深作欣二 監督/降旗康男

∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵

 赤穂事件を、オブザーバーの視点から描く趣向。
時の権力者の甥であるが、好きこのんで浪人暮らしの主人公は、もとより今の御政道に批判的だったが、安兵衛や大石と交わるにおよび、公然と赤穂方に味方する。
彼をはじめ、赤穂浪士以外の人物がたくさんクローズアップされており、いわゆる忠臣蔵部分はすかすかと言ってよいぐらい薄い目。刃傷から切腹までを「走る」作品はけっこうあるが、吉良のイジメを描いてないので御畳替えなどもちろん無く、赤穂へ早馬も無く、涙の開城も無く、山科閑居も浮様も無く、吉良邸探索なんかも瓦版屋がやる始末。山鹿流の陣太鼓も省かれているので、浪士たちのその後がナレーションだけで終わるのもいっそ違和感なし。思うに、たかが90分の尺で忠臣蔵を描ききるなど無理な話なのだから、こういうのもアリか。
記念番組なので、主役級のヒトたちがいっぱい出ていて、短めながら各々見せ場を作ってあり、楽しい。

大覚寺

ロケ地

  • 「その日」の江戸城イメージ、姫路城天守や連郭。
  • 内匠頭切腹から一年後、町の酒肆にいるところをとっ捕まり、柳沢邸へ連れて行かれる信花兵庫、屋敷の門は大覚寺大門
  • 上杉家に仕官が決まり、初出仕する左右田源八、門は随心院薬医門
  • 兄・源八が退転したことで責められるおとき、清凉寺境内。門寄りの場所に「勤め先」の茶店があしらわれている。芝居は石畳付近で。小唄の師匠が見かねて割って入り啖呵を切るもヤバ気なムード、ここへ兵庫が手荒く介入、捻り上げて連行するシーンでは山門をくぐってゆく。門には赤提灯が下がっていて、あとで浅草であることが語られるので、設定は浅草寺と思われる。
  • 上杉家内庭、荒稽古の小林と清水、随心院本堂前苔庭。そのさまを見ている江戸家老・色部は本堂階に腰掛け。珍客来訪を知らせる侍が走ってくるのは書院廊下、やっつけた人数とともに玄関で待つ兵庫は大玄関(カメラ中から)
  • 江戸同士説得のため江戸へ向かう大石内蔵助一行、嵐山自転車道。愛宕方向に大きな富士山を合成してある。
  • 吉原帰りの大石を襲う源八、大覚寺放生池堤。対岸に灯、汀にぼんぼりをあしらい、弦声も漏れ聞こえる趣向。
  • 紀文の屋形船に招かれた兵庫、荒っぽく金と船を強奪する大川は嵐峡か大沢池か。
  • 吉良邸から脇坂淡路守が出てきたのを見て即真意を問いにゆく兵庫、屋敷イメージは妙心寺龍泉庵(夜景)

∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵

※吉良邸や両国橋はセット撮り。付け人に福ちゃんいて、磯貝に手槍で突かれる。
※照れくさそうなしぐさがやっぱり上様に見えてしまう松健だが、この頃太い目なので貴種は似合いか…紀文に痩せ浪人呼ばわりされてるが。
※柳沢のビジュアル、もみあげ下に赤い痣、手つきがちょっと卑猥。ペットは三毛猫。
※三田村安兵衛のカルさも笑えるが、やっぱりヘマな役回りの徳馬もお決まりすぎてかわいい。
※若林豪の綱吉はちょっと弱気風味、総髪じゃなくて野袴とか穿いてない、月代のある豪はこんな感じ?
※タイトルが出たあと、「忠臣蔵討入りの助っ人たち」と惹句入り。東映太秦映画村開村二十周年記念と銘打たれている。


・日記目次 ・ロケ地探訪 ・ロケ地探訪テキスト版目次 ・ロケ地一覧
・時代劇の風景トップ  ・サイトトップ