1971年 NET/東映
原作・脚本/結束信二 音楽/渡辺岳夫
第1話 「江戸一番の朝」 1971.4.7
親分の懐に窮鳥、話を聞けば理不尽極まりない町方の処置。手下を動かし内偵中、上つ方のごり押しで事態は急転回し、怒り心頭に発した鉄火肌のサムライは悪党の巣へ乗り込んでゆく。
ロケ地
- 御数奇屋坊主頭・大沼了雲の寮(豪邸設定)、中山邸通用門。門前に居た伴大五郎が町方に誰何されるくだりで出る。この時点では了雲邸と明かされていない。
- 老中・大久保加賀守邸イメージ、随心院薬医門。塀に五本線が見当たらない。
- 軍兵衛の手下が動いてくれていることをおきぬと話す庄吉、不明(川べり、川相はほぼ湛水で中州あり。護岸は石積みで二段にも見えるほか、対岸高水敷にボロ家?遠景に山裾がちらり)。
- 軍兵衛役宅(?)イメージ、建仁寺西来院(夜景)。
- 軍兵衛の勧めで訴状を出しにゆく長屋衆、評定所は大覚寺大門。目安箱が開けられるくだり、お城イメージに姫路城(はの門下坂から天守見上げ)。
- 悪党ばらを成敗した暁(江戸一番の朝)イメージ、前出の川か。
- 男たちが牢から戻り喜ぶ長屋衆を見て去る軍兵衛、セット〜大覚寺大沢池放生池堤。
黒田軍兵衛/片岡千恵蔵 宮田兵助/渡辺篤史 榊原伝四郎/亀石征一郎 三浦和馬/倉丘伸太郎 おゆう/磯野洋子 お容/珠めぐみ おぼん/岡田由紀子 亀蔵/遠藤辰雄 大久保加賀守/柳生博 源兵ヱ/山田禅二 白木/海老江寛 藤田/永野達雄 梅田宗右ヱ門/大坂志郎 虎吉/西田良 島崎/小山田良樹 大村/香月涼二 大沼了雲/清水元 天野陣右ヱ門/江見俊太郎 庄吉/森次浩司 おきぬ/長谷川峯子 伴大五郎/若山富三郎
監督/松尾正武
第2話 「陽の当たる町」 1971.4.14
奉公先で、殿様のとんだ無体を見てしまった娘は、脅えて逐電し行き暮れる。
しかし彼女を拾ったのは亀蔵、事情を知った親分は相手が大身旗本でも怯まず突き進むのだった。
ロケ地
- 作事奉行・浦部主水邸、建仁寺西来院。こちらは正門設定らしく、毘沙門天堂の方では用人が町人に応対している。西来院の方から角を経て開山堂の方へ、カットなしに映っている場面がある。
- 浦部邸を飛び出したおすみが裸足で走る夜道、上賀茂社家町・明神川畔。藤木社の木ナメて右岸側の歩道を見る図。
- 大久保加賀守邸、随心院薬医門。口入屋からつけてきた男たちが、榊原の出入りを窺い見る。
- 材木商の番頭が、主の遺児とともに訴状を出しに行く評定所、大覚寺大門。見に来ていた親分が、健気な坊を抱えあげるシーンは御殿川の中から手すり越しに。
- 事後、佐野屋で坊の世話を見ることになったおすみ、坊を遊びに連れてゆく八幡さま、今宮神社楼門〜東門内側石橋上(子らとかごめかごめをして遊ぶ)。様子を見に来た親分、東門外側からおすみたちを見て行き過ぎ、かざりや前床机に腰掛けて休む。その前の東参道石畳を子らが駆けてゆく。
黒田軍兵衛/片岡千恵蔵 宮田兵助/渡辺篤史 榊原伝四郎/亀石征一郎 三浦和馬/倉丘伸太郎 おゆう/磯野洋子 お容/珠めぐみ おぼん/岡田由紀子 亀蔵/遠藤辰雄 大久保加賀守/柳生博 梅田宗右ヱ門/大坂志郎 藤田/永野達雄 虎吉/西田良 大村/香月涼二 伊兵ヱ/岩田直二 唐木屋/西山嘉孝 浦部主水/勝部演之 おすみ/小野恵子 伴大五郎/若山富三郎
監督/松尾正武
第3話 「脱牢者の待つ道」 1971.4.21
お上にとって良い代官は、民に優しくないという話。税収を上げて出世、意気揚々と江戸へ帰ってくる代官を付け狙う、正義の士がいた。
親分は事情を知悉したうえで男の行動を止めず、そのことを殿様は怒るが、内心は快哉を叫んでいるのだった。
ロケ地
- 評定所、大覚寺大門。岩田浪人がやって来るシーンには参道も。目安箱が回収され運ばれてゆく、解説のくだりで姫路城(備前丸から大天守見上げ、はの門下坂、天守全景)。
- 大久保加賀守邸イメージ、随心院薬医門。亀蔵が取り次いだ飲み屋の勘定書を見て騒ぐ宮田のくだり、お屋敷の廊下は相国寺方丈裏手廊下(岩田浪人の文を持ってくる虎吉は、裏方丈庭園の中を抜けてくる。中身を読んでパニくった榊原たちが走りこむ邸内のシーンでは、南側へ抜ける廊下が使われている)。
- 刀を請け出してきた岩田浪人がゆく道、不明(古い町なみ)。庄兵ヱを訪ねての帰り、おゆみが追いついてくるシーンは川べり(川には中州、天知茂の背後に虫籠窓?/川の夕景もあり、落日は西山か)。
- 弓の稽古をする大久保加賀守、中山邸か。宗右ヱ門が越後代官・村上のことを聞き出すくだり。
- 村上らが来る街道(中山道、江戸へ七里の道)、不明(高所から見下ろし、棚田の中、里へ通じる道。手前には切り通しがあるアレか)。板橋宿、不明(山から見下ろし?の、川べりに蔵のある民家建つ里、用心棒シリーズで頻出のアレ)。
- 村上たちを迎えに出る一行がゆく街道、不明(山から出た来た道、曲折していて小川に架かる橋も見える)。彼らを追い越してゆく軍兵衛たち(騎馬)のシーンは大堰川堤か。
- 岩田浪人が代官たちを待ち構える、板橋宿へ二里の橋(荒川設定?)、流れ橋。右岸側が使われていて、橋桁の端っこ一部が切り欠きになっているほか、橋脚が木(少し損傷を受けている模様)。橋桁は、全体にうねっている。
- 代官が斬られたことで怒気を発した加賀守、あとでいたずらっぽく宗右ヱ門に言伝する庭は前出の庭か(小川に土橋架かる)。
黒田軍兵衛/片岡千恵蔵 宮田兵助/渡辺篤史 榊原伝四郎/亀石征一郎 三浦和馬/倉丘伸太郎 お容/珠めぐみ 亀蔵/遠藤辰雄 おぼん/岡田由紀子 梅田宗右ヱ門/大坂志郎 村上将監/穂積隆信 大久保加賀守/柳生博 虎吉/西田良 大村/香月涼二 島崎/小山田良樹 おゆみ/御影京子 庄兵ヱ/吉田義夫 岩田新三郎/天知茂
監督/松尾正武
第4話 「春十年」 1971.4.28
無実を訴える島帰りの男、親分は彼をまるっと信じ保護。雲をつかむような話を、勘と度胸で解決してゆく。
タイトルは遠島の期間、十年待っていた女がいじらしい。
ロケ地
- 一旦追い払われたあと、浪人を連れて舞い戻るヤクザ、ひさごを出て相手する親分、相国寺鐘楼脇(夜)。
- 評定所、大覚寺大門。兵助たち三人がおしんを待って張り込むので、いろんなアングルが出る。和馬が女を呼び止めて名を問うシーンは随心院長屋門北西角(北望のアングル)。
- 大久保邸を伺う巴屋の手下、随心院薬医門前に作り物の壁を置いて「見張り」。
- おしんの長屋を襲う巴屋のくだり、亀蔵が二人を連れて逃げる道に相国寺境内(鐘楼の植え込みあたり)。
- 事後、大久保邸付近を通りかかるおしんと敬吉、随心院薬医門前〜参道。途中、相国寺大光明寺南路地を歩く場面が挿入される。水辺に腰掛けて休む二人、大覚寺大沢池畔。
黒田軍兵衛/片岡千恵蔵 宮田兵助/渡辺篤史 榊原伝四郎/亀石征一郎 三浦和馬/倉丘伸太郎 おゆう/磯野洋子 お容/珠めぐみ おぼん/岡田由紀子 亀蔵/遠藤辰雄 藤田/永野達雄 白木/海老江寛 虎吉/西田良 大村/香月涼二 梅田宗右ヱ門/大坂志郎 巴屋/幸田宗丸 猪又/戸上城太郎 島崎/小山田良樹 敬吉/長谷川明男 おしん/中村玉緒
※長谷川明男の役名、クレジットは「敬太」だが、劇中呼称は「敬吉」。
※ラス立ち福ちゃん入り(チンピラ)。
監督/佐々木康
第5話 「百万人の声」 1971.5.5
ぽっと出の田舎侍は、知るべを訪ねてさっそくヤバい目に遭うが、夜道で酔った仏に出会う。
増え続ける江戸の人口を話の綾に使い、弱きを助けて悪を挫く、爽快な筋立てが展開される。
ロケ地
- 大久保加賀守邸イメージ、随心院薬医門。
- 石田が浪人たちにものを尋ねる茶店、随心院長屋門か(外に石塀ちらり)。
- したたかに酔って帰る宮田と亀蔵、逃げた石田を追うヤクザたちと行き会う夜道は上賀茂社家町・明神川畔。
- 宮田と亀蔵が屋敷に戻らず寝ていたやしろ(?)、今宮神社絵馬堂か。その後慌てて帰る道は石塀小路。
- 親分の勧めで訴状を出しにゆく文五郎(妹のその江と、恋人の石田も一緒)、大覚寺大門。
黒田軍兵衛/片岡千恵蔵 宮田兵助/渡辺篤史 榊原伝四郎/亀石征一郎 三浦和馬/倉丘伸太郎 おゆう/磯野洋子 亀蔵/遠藤辰雄 おぼん/岡田由紀子 梅田宗右ヱ門/大坂志郎 伊三郎/汐路章 虎吉/西田良 大村/香月涼二 島崎/小山田良樹 石田要助/和田一壮 その江/志乃原良子 文五郎/蜷川幸雄
監督/松尾正武
第6話 「魔剣」 1971.5.12
ハマリ役の名優が演じる辻斬りは、口にするのも憚られる身分のヒト。親分が目安箱に入れさせた訴状も、あっさり却下・差し戻し。アタマにきた親分、単独行動で豪快に解決をはかる王道パターンだが、狂乱の殿の家来が下衆中のゲスだったり、被害者サイドにめでたい出会いが芽生えたりして、結束節炸裂。
ロケ地
- 見るからに身分の高そうな、山岡頭巾の侍が刀を抜いて見つめるくだりの、夜の神社もしくはお堂、不明(スガカンは基壇石積際に立ち、すぐうしろにステップ。建物は相当大きい)。このあと、屋台を出た直後の源太が斬られる堀端、疎水か(幅は狭く、見るからに深そうな感じ。両側に道で周囲は林と生垣←この向こうに建物も見える。夜昼両方の絵あり)。殺しを目撃し逃げた弥平たちが、親分たちと行き会う夜道、不明(ごく低い石積みがなされた「参道」?)。
- 軍兵衛に口添えを頼み、訴状を出す源太の弟・周作、大覚寺大門(評定所)。帰りを待つ弥平父子と榊原たち、随心院長屋門北西角(北望のアングル)。
- 目安箱が運び込まれる情景、姫路城はの門下坂〜大天守下石垣際(備前丸)。バンクフィルムか。
- 松平伊織の駕籠がゆく夜道、不明(塀際、クリーム色五本線)。このあと酔って帰りの町人を斬るくだり、どこかの境内か(少し反った石橋が架かる「小川」、欄干は真ん中にちょこっと乗せてある珍しい様態。奥に建物も映り込んでいる)。
- 辻斬りの駕籠を捜し回る宮田と榊原、相国寺鐘楼脇(夜)。同じく夜道の親分と和馬、悲鳴を聞く坂、不明(石段、そんなに広くない)。現場の水辺は池端か。駕籠を追い聞き込みの石畳、不明(真ん中切石、両側玉石敷き詰めた立派な一件)。
- 松平家の用人と話をつけ、殿様を来させる回向院近くの川端(両国橋か、竪川一ツ目橋か)、駕籠が渡ってくる橋は中ノ島橋。立ち回りは付近の川端や林か。
黒田軍兵衛/片岡千恵蔵 宮田兵助/渡辺篤史 榊原伝四郎/亀石征一郎 三浦和馬/倉丘伸太郎 おゆう/磯野洋子 お容/珠めぐみ おぼん/岡田由紀子 亀蔵/遠藤辰雄 大久保加賀守/柳生博 弥平/美川陽一郎 秋山/春日章良 梅田宗右ヱ門/大坂志郎 白木/海老江寛 虎吉/西田良 大村/香月涼二 松平伊織/菅貫太郎 近藤鏡次郎/外山高士 周作/大丸二郎 おけい/望月真理子
監督/佐々木康
第7話 「十三両の金」 1971.5.19
掏摸騒ぎからエピソードを重ねつなげ、一人の男が意を決して贖罪の道を歩むさまを描く。ついでに、親分たちのヘマ話も多層構造。
ロケ地
- 小僧・仙吉に紛失分の三両を呉れてやったあと、悪い仲間との集合場所に赴く文造、不明(神社境内?)。
- 名も言わず去った「親切なおじさん」を捜し町をうろつく仙吉、途中通りかかる乞食のいる橋は中ノ島橋。
- 親分を頼ってきた姉妹の妹のほうを送ってゆく宮田、奢ってやろうとして掏摸にやられたことに気付く料亭前、嵐山公園・錦。
- 姿を晦まして三日後、いの一番に目安箱へ投書しに来る文造、大覚寺大門。これを待ち構えあとをつける三人、不明(石垣脇、竹柵あり)。やっと追いつくと、文造を付け狙う仲間も現れて大立ち回りの市中、随心院大乗院前路地(長屋門北西角〜拝観口付近でチャンバラ、但し門は閉まっている)。
- 文造の女・おたきを迎えに行ってやる榊原、中ノ島橋〜随心院塀際(表、西側)。
黒田軍兵衛/片岡千恵蔵 宮田兵助/渡辺篤史 榊原伝四郎/亀石征一郎 三浦和馬/倉丘伸太郎 おぼん/岡田由紀子 亀蔵/遠藤辰雄 藤田/永野達雄 梅田宗右ヱ門/大坂志郎 勘助/穂高稔 弥左ヱ門/見明凡太郎 虎吉/西田良 仙吉/加賀爪清和 蔵前屋/野口元夫 土田外記/西田昭市 おたき/有吉ひとみ おせつ/岩村百合子 文造/江原真二郎
監督/井沢雅彦
第8話 「見知らぬ男の夜」 1971.5.26
見も知らぬ人の難儀を放っておけず訴え出て、結果わが身を危険に晒す町人。それと知ったからには当然捨て置かぬ親分、己が都合は目の前から消えうせるのだった。
親分たちの魅力をひきたてるヘマ話がまたまた入っているが、きちんとストーリーに組み込まれている。
ロケ地
- 大久保加賀守邸イメージ、随心院薬医門。いつもの三人のほか梅田用人まで招いて、親分の釣果を馳走しようという企画の段。
- ボウズに終わった親分たち、知るべの魚屋が休業で窮す河岸、不明(護岸は相当高い。水は湛水、岸辺に建物)。後段、大怪我を負わされた文吉が運び込まれる長屋も河岸設定だが、窓外の水景はセットの模様。
- 悪党どもが「清兵衛親子」を害すつもりだった王子稲荷、吉田神社竹中稲荷参道重ね鳥居。父子が浪人たちに囲まれ襲われるところ、入口の方から軍兵衛、奥から伝四郎が現れる。夜間撮影。
黒田軍兵衛/片岡千恵蔵 宮田兵助/渡辺篤史 榊原伝四郎/亀石征一郎 三浦和馬/倉丘伸太郎 お容/珠めぐみ 亀蔵/遠藤辰雄 おぼん/岡田由紀子 梅田宗右ヱ門/大坂志郎 源蔵/金井大 文吉/宮浩之 藤田/永野達雄 虎吉/西田良 玄石/北沢彪 おはる/鮎川いづみ
監督/松尾正武
第9話 「消えた侍」 1971.6.2
いつもの酔っ払い二人組、帰り道にとんだ生臭ものを拾うが、のちに語り草となる騒動の発端。幕閣まで累が及ぶ大疑獄なのに、画面に出てくる敵方は雇われ浪人や下っ端のみなのが工夫の一話。侍が失踪する酒肆でラストも決め、なんとも言えぬ味わいを醸し出す。
ロケ地
- 大久保加賀守邸イメージ、随心院薬医門。
- 帰ってこない兵助と亀蔵を捜しに出る軍兵衛、「東の森」さしてゆく野道は下鴨神社泉川畔。兵助たちが傷ついた吉野を保護していたあばら家、糺の森林間に設営。そこを窺う浪人どもは、林床に横たわる倒木に隠れていたり。後段、親分の大立ち回りも付近の林間で。「東の森」の設定については、梅屋敷の向こうで東権現(なんだそれは)があるなどの台詞が聞き取れるが、亀戸の向こうぐらいしか忖度できず…葛西あたりな感じ?
- 吉野に代わって血染めの訴状を出しにゆく亀蔵、評定所は大覚寺大門。目安箱が運ばれてゆくシーン、姫路城備前丸・天守下石垣際〜相国寺方丈裏手廊下。
- 事後、酒肆で千石騒動について話す客のくだりにつなげる雑踏イメージは映画からの転用か(何度も見たことある)。
- 八重とともに但馬へ帰る吉野、「川崎付近の街道筋に架かる橋」、流れ橋。
黒田軍兵衛/片岡千恵蔵 宮田兵助/渡辺篤史 榊原伝四郎/亀石征一郎 三浦和馬/倉丘伸太郎 お容/珠めぐみ 亀蔵/遠藤辰雄 おぼん/岡田由紀子 大久保加賀守/柳生博 藤田/永野達雄 梅田宗右ヱ門/大坂志郎 虎吉/西田良 島崎/小山田良樹 孫市/黒木佐甫良 おみね/杉野由加里 おとき/武田禎子 神谷転/成瀬昌彦 十朗兵ヱ/北見浩一 八重/北川めぐみ 吉野源助/中野誠也
監督/松尾正武
第10話 「鎧通しの錆」 1971.6.9
拝領の品を損じた旗本は、研師のせいにしてお家安泰をはかるが、親分の知るところとなり、手荒い修正が入る。
大事の品について、しつこいくらい「例証」を挙げ笑わせるかと思えば、目撃者の遺族をフォローする段では、しみじみと哀調。
ロケ地
- 藤兵ヱ親子が箱根へ向かう道、不明(山道)。箱根の湯治場、日吉山荘(二階の手すり越しに飛竜の滝を見る図もあり。手すり越しに室内を見る図は、セット撮り)。
- 左京邸縁先と庭、不明(久昌院に似る)。
- 左京邸で仕事をしていて「目撃」した植木職人が殺されて見つかる市中、今宮神社東門内石橋下溝。
- 藤兵ヱの娘・おしげに泣きつかれて様子を見に行く兵助たち、左京邸は相国寺大光明寺。これに先立って植木職人の女房が屋敷を窺う図があり、門が映っている。兵助たちが来るのは南路地から。走り去った女房を追いかけて話を聞く和馬、同じく相国寺の鐘楼裏手碑際。
- 親分の勧めで、目安箱に訴状を入れに行くおしげと植木職人の女房、評定所は大覚寺大門。
黒田軍兵衛/片岡千恵蔵 宮田兵助/渡辺篤史 榊原伝四郎/亀石征一郎 三浦和馬/倉丘伸太郎 おゆう/磯野洋子 お容/珠めぐみ おぼん/岡田由紀子 亀蔵/遠藤辰雄 虎吉/西田良 梅田宗右ヱ門/大坂志郎 原与太夫/高城淳一 藤兵ヱ/寺島勇作 島崎/小山田良樹 近藤左京/坂口徹 おしげ/川島育恵 源吉/太田博之
※町方同心・島崎の役名はこの回初出。
監督/井沢雅彦
第11話 「いろはにほへと」 1971.6.16
ずんばらりと巨悪を撃つ爽快感に、やりきれない哀愁が添えられた情話。
大久保家中間部屋の手習いを導入とし、評定所番同心が職を辞し代筆業をはじめる逸話で締める、渋いつくり。
ロケ地
- 代書してやった礼を亀蔵に迫る兵助、相国寺方丈廊下か。センパイたちに見つかるほか、親分が物陰で聞いている。
- 文盲のため訴状を書けない与吾作たちが、役人に縋るも門前払いされる評定所、大覚寺大門。立番はこのあと小峰さんから香月さんにチェンジ、「大村」氏はいたく同情の運び。
- 悪徳口入屋が、騙して連れて来た田舎娘を何人も送り込む旗本屋敷、相国寺林光院。ここんちの殿様は船手頭、歌舞音曲を仕込んだ上玉を「船で沖へ」。門内外のほか、周辺も使用。
- 唐木田邸から帰りの、口入屋の番頭を呼び止める亀蔵、大覚寺放生池堤。このあと和馬も出てシメるシーンは石仏脇。
- 唐木田とその一党が成敗され、異国へ売り飛ばされるところを助かり父と会えたおしず、しかし許婚者の骨箱を見る、その嘆きの夜が明けたイメージ、不明(3話で出た「川」と同所と思われる)。
- 唐木田邸から解放された、連れてこられたばかりの田舎娘たちが、喜びにはずんで渡る故郷への橋、流れ橋(夕景)。
黒田軍兵衛/片岡千恵蔵 宮田兵助/渡辺篤史 榊原伝四郎/亀石征一郎 三浦和馬/倉丘伸太郎 おゆう/磯野洋子 亀蔵/遠藤辰雄 おぼん/岡田由紀子 梅田宗右ヱ門/大坂志郎 松五郎/山岡徹也 唐木田/横森久 虎吉/西田良 島崎/小山田良樹 大村/香月涼二 森川/不破潤 国造/浜伸二 与吾作/小栗一也 おしず/坂本幸子
※評定所番同心・大村の役名はこの回初出、これまでクレジットはベタ。
監督/松尾正武
第12話 「流離の町」 1971.6.23
赤子を抱え、ひたすら「夫」を待つ女。しかし望みはかなわず世を儚むところ、軍兵衛たちに保護される。そして「男」の正体が知れ、「そういう奴はそれなりに」と親分は嘯く。
ロケ地
- 桑名藩の新任留守居役、大久保家に挨拶しに訪れ帰る道、相国寺大通院角か。
- おみなが思い詰めて訪ねてゆく桑名藩邸、建仁寺僧堂通用門(桑名藩通用門と書かれた札がかかっている)。帰り道、佐吉が出て忠告する路地は僧堂から西へ行った石畳。
- 組下を連れて釣りに出かけた親分、入水したおみなと子を拾う川、不明(欄干の無い簡素な橋が架かる。河畔林に竹も見える)。
- おみなの一件を話しながら行く伝四郎たち組下トリオ、相国寺大光明寺南路地。湯屋の前で「人殺しが出た」と聞き、現場へ駆けつける→鐘楼と碑の間で佐吉が大槻に斬りつけているのに介入。
- 佐吉に妹の仇・大槻を討たせる野原、不明(大きな川の河川敷。松がまばらに生えている)。
- 親分言うところの「彼らにとって他人の町」だった江戸を出てゆくおみなと佐吉、街道は川堤か。
黒田軍兵衛/片岡千恵蔵 宮田兵助/渡辺篤史 榊原伝四郎/亀石征一郎 三浦和馬/倉丘伸太郎 お容/珠めぐみ おぼん/岡田由紀子 亀蔵/遠藤辰雄 梅田宗右ヱ門/大坂志郎 おくに/三戸部スエ 弥左ヱ門/矢野宣 白木/海老江寛 虎吉/西田良 大村/香月涼二 島崎/小山田良樹 大槻敬四郎/中村敦夫 おみな/片山真由美 佐吉/前田吟
監督/佐々木康
第13話 「燃える華」 1971.6.30
横恋慕野郎のせいで、恋しい男が付け火の濡れ衣を着せられ、泣く娘。そんなものを見て放っておける親分たちではないので、悪党は一巻の終わり。
火事をネタにした、兵助と亀蔵のどたばたショーで前後を締める。
上賀茂神社渉渓園20040627上下鴨06270035
ロケ地
- 要吉は牢で、お京は軍兵衛宅の台所で、ふたり会った日の回想、言い寄る二番番頭のことや、二人の将来を話した庭(?)は上賀茂神社渉渓園遣水端。スダジイ越しの絵もある。
黒田軍兵衛/片岡千恵蔵 宮田兵助/渡辺篤史 榊原伝四郎/亀石征一郎 三浦和馬/倉丘伸太郎 おゆう/磯野洋子 お容/珠めぐみ おぼん/岡田由紀子 亀蔵/遠藤辰雄 杉右ヱ門/谷口完 梅田宗右ヱ門/大坂志郎 要吉/小川真司 利助/池信一 虎吉/西田良 島崎/小山田良樹 善兵ヱ/松田明 吉五郎/藤岡重慶 才助/清川新吾 お京/光川環世
監督/佐々木康
第14話 「誰も知らない女」 1971.7.7
むかし女で大久保家をしくじった侍と、いま隠し女のもとへ通う大久保家勘定方の邂逅は、果たして不幸を招く。
親分たちの奔走で浪人の無実は明かされるが、くわしい理は永遠に闇のなか。未練を断ち切り江戸を去る男と、男を亡くした女が、すれ違ってゆくのだった。
※ロケなしセット撮り。おきまりの目安箱投書も無いが、持て余した書付を「軍兵衛どのの心の目安箱に」という、ご用人さまの台詞が出てくる。
大覚寺御殿川河床20120415嵯峨・大覚寺P1410537
黒田軍兵衛/片岡千恵蔵 宮田兵助/渡辺篤史 榊原伝四郎/亀石征一郎 三浦和馬/倉丘伸太郎 おぼん/岡田由紀子 亀蔵/遠藤辰雄 関谷/外山高士 梅田宗右ヱ門/大坂志郎 伊太吉/稲吉靖 猪又/五味竜太郎 虎吉/西田良 島崎/小山田良樹 大村/香月涼二 善兵ヱ/松田明 おたか/真屋順子 大原次郎太/伊吹吾郎
監督/佐々木康
第15話 「うぶすなの剣」 1971.7.14
「産土」は山王権現、剣は奉納刀。これを盗ろうとして捕まった浪人は、もちろん訳あり。きついお調べで獄死しかけるが、同じ牢に、馬鹿な理由で居続けを決め込んだ男が入っていた。
ロケ地
- 町方に連行されてゆく笹野浪人を見る腰元・おえん、神泉苑。へべれけでお帰りの亀蔵と虎吉が法成橋を渡ったり、祠脇にきれいな腰元がいたり、参道橋を捕方が行き来。夜間撮影。
- 大久保家門、随心院薬医門。中間や侍の出入りが演出されている。
- 取調べを受け、さんざん痛めつけられて牢へ戻される笹野、時間経過を表すイメージに流れ橋夕景。
- 高家・鈴木式部邸、中山邸門。おえんに接触するため入り込んだお容を案じ、三人が門前でやきもき。親分がやってくるのは参道から、大五郎が現れるのは東の入口から・背後に湯豆腐嵯峨野の建物が映り込んでいる。
黒田軍兵衛/片岡千恵蔵 宮田兵助/渡辺篤史 榊原伝四郎/亀石征一郎 三浦和馬/倉丘伸太郎 お容/珠めぐみ 亀蔵/遠藤辰雄 おぼん/岡田由紀子 梅田宗右ヱ門/大坂志郎 おでん/正司花江 鈴木式部/飯沼慧 虎吉/西田良 大村/香月涼二 おこん/小島恵子 島崎/小山田良樹 町田/北村英三 善兵ヱ/松田明 笹野圭次郎/高角宏暁 おえん/沢井桂子 伴大五郎/若山富三郎
監督/松尾正武
第16話 「迷い道の町」 1971.7.21
町のダニを退治る話なのだが、できてしまった不幸はどうすることもできず、苦い思いが残るだけ。そして哀れな女は、元の苦界へ帰るしかないのだった。
ロケ地
- 常陸から医者を連れに来た庄屋の娘が、悪者に連れ込まれる墓地、不明(塔頭らしき塀際を行くと角が坂、奥は墓地という構図)。
- 娘の供の下男が、須田町へ辿りつけず、通りかかった兵助にものを問う夜道、永観堂釈迦堂塀際。
- 兵助が下男を案内してやってくる須田町の医者宅、京都御所拾翠亭。
- 女と会って帰りの呉服屋の番頭、ならず者たちに立ちはだかられてしまう夜道、永観堂御影堂前。
- 番頭の「汚い金」を拒否し逃げる遊女、追いつかれ絞められるところ軍兵衛が通りかかる夜道、永観堂放生池畔・弁天社前。その後吊りを思い立つ町角は画仙堂と思われる(ビケ組んである?普請中を演出?円窓は見える)。
黒田軍兵衛/片岡千恵蔵 宮田兵助/渡辺篤史 榊原伝四郎/亀石征一郎 三浦和馬/倉丘伸太郎 おゆう/磯野洋子 お容/珠めぐみ おぼん/岡田由紀子 亀蔵/遠藤辰雄 次助/上林詢 梅田宗右ヱ門/大坂志郎 七兵ヱ/山田禅二 虎吉/西田良 島崎/小山田良樹 善兵ヱ/松田明 山田/波多野博 おいと/井原千寿子 与市/高津住男 おらん/三原有美子
監督/佐々木康
第17話 「井戸の中の顔」 1971.7.28
猟官運動にいそしむ無役の旗本だが、殺した金蔓が文字通り「祟り」破滅の淵へ。大久保家の面々が「事件」を知るに至るきっかけは、いま流行中の芝居のネタ。「怖い話」をめぐり、いつものどたばたコメディーが展開される。
ロケ地
- 伝四郎と和馬が、夜道で女の断末魔の悲鳴を聞き駆けつける旗本屋敷(永井大学邸)、建仁寺久昌院。後段では、和馬ひとり昼間に聞き込みに来て、門前で中間と話す。
黒田軍兵衛/片岡千恵蔵 宮田兵助/渡辺篤史 榊原伝四郎/亀石征一郎 三浦和馬/倉丘伸太郎 おゆう/磯野洋子 お容/珠めぐみ おぼん/岡田由紀子 亀蔵/遠藤辰雄 内藤/鮎川浩 梅田宗右ヱ門/大坂志郎 志津/青柳三枝子 虎吉/西田良 大村/香月涼二 島崎/小山田良樹 おはま/東竜子 善兵ヱ/松田明 永井大学/宮口二朗 藤尾/北林早苗
監督/井沢雅彦
第18話 「流れ星の花」 1971.8.4
ストーカーによってずたずたにされる、若夫婦の幸せ。手前勝手な理屈を振り回し人を殺め、この期におよんで身分をふりかざす愚者に、親分の怒りの剣が振りおろされる。
ロケ地
- 驟雨に遭い雨宿りの軍兵衛のくだり、冒頭に出る家並みイメージに穴太の里遠景。
- 雨宿りと称し飲んで帰りの伝四郎と兵馬が通る道、不明(軒瓦を出した民家、生垣には白い花咲く)。このへんに水茶屋があったと述懐する池之端の水辺、梅宮大社神苑(湧水が涸れ荒れた設定、茶屋の跡にはそれらしく造作がなされている)。後段、軍兵衛が若夫婦の痕跡を偲びにやってくるくだりでは、池に白い蓮が開花。
- 大久保家門、随心院薬医門。珍しく親分たちの出入りが描かれている。
黒田軍兵衛/片岡千恵蔵 宮田兵助/渡辺篤史 榊原伝四郎/亀石征一郎 三浦和馬/倉丘伸太郎 おぼん/岡田由紀子 亀蔵/遠藤辰雄 島崎/小山田良樹 梅田宗右ヱ門/大坂志郎 八十吉/入川保則 川北勝次郎/田口計 おりん/野川由美子
監督/松尾正武
第19話 「密告」 1971.8.11
江戸表の腐敗を嘆いた正義派は行動を起こすが、出奔の時点で焦りが出て早や内部分裂の兆し。そこを衝かれ、疑心暗鬼の果て一党は崩壊、悪党どもは親分たちが撫で斬りにするものの、善悪ひっくるめて死屍累々、苦い苦い結束節。
お話は、ほぼ日本橋の商人宿で展開される。
ロケ地
- 大久保邸、随心院薬医門。城下の領民が訪ねてくるくだりでイメージとして出る。彼は前夜商人宿に泊まり、謀反とか斬り死にとか騒ぐ、同宿の若侍たちに悩まされ眠れずという設定。
黒田軍兵衛/片岡千恵蔵 宮田兵助/渡辺篤史 榊原伝四郎/亀石征一郎 三浦和馬/倉丘伸太郎 お容/珠めぐみ 亀蔵/遠藤辰雄 おぼん/岡田由紀子 梅田宗右ヱ門/大坂志郎 大町安之進/山下絢一郎 土井/永井一夫 伍平/富川K夫 鏑木/原健策 吉野/島田景二郎 虎吉/西田良 谷口/山根久幸 志乃/葉山葉子
監督/松尾正武
第20話 「子供は見ていた」 1971.8.18
殺人現場を目撃した女児は、当然トラブルに巻き込まれるが、たまたま関わった親分が身柄を保護。しかし事件は大藩がらみ、けっこうなおおごとに発展するが、我らが親分は漢を通す。ちょっと大人な妥協もあったり、薄情な大人はエラい目に遭ったり、微妙な味付けがされている。
ロケ地
- 手習い帰りの女児が殺人を目撃する荒れ屋敷、不明(民家?中はセット撮り)。
- 親分たちが弁当とおぼんを待つ船宿、イメージの船着場、不明(遠景、水は静水)。
- 大久保家イメージ、随心院薬医門。
黒田軍兵衛/片岡千恵蔵 宮田兵助/渡辺篤史 榊原伝四郎/亀石征一郎 三浦和馬/倉丘伸太郎 お容/珠めぐみ 亀蔵/遠藤辰雄 おぼん/岡田由紀子 梅田宗右ヱ門/大坂志郎 虎吉/西田良 島崎/小山田良樹 真崎/明石潮 儀兵ヱ/石浜祐次郎 おりん/双葉弘子 お妙/三田雅美 一色瀬太夫/北竜二 小金井隼人/阿部徹
監督/井沢雅彦
第21話 「明るい夜のかげに」 1971.8.25
憎い商売敵を消すため、借金まみれの浪人を賭場でひっかけ刺客に使う商人。翻意する浪人だが抜き差しならず、身内を泣かす結果となる。
「明るい夜」とは、妹が結納を目の前にして口にした表現、うきうきした心はどん底に叩き込まれてしまう。
ロケ地
- 宴会帰りの軍兵衛が人違いで襲われる夜道、不明(塀際。映画村内?塀の端っこはラウンド)。
- 大久保家イメージ、随心院薬医門。前夜の駕籠屋が詫びに来るくだり。
- 宴会のあった料亭で聞き込む伝四郎たち、湯豆腐嵯峨野(エントランスが映るほか、庭先に緋毛氈敷いた床机が出され竹林が見えている。また、格子戸を透かして外が見えるアングルも)。設定は両国橋近くの「竹の家」。
- 大国屋の元従業員で、侍となりおおせあくどく儲けている大室の家、中山邸通用門。ところを突き止めた兵助たちが、まるで大名の下屋敷と評している。設定は南本所・小名木川。
- 近藤浪人の墓に参る妹・早苗とその恋人・矢之助(大工)、永観堂墓地。奥に多宝塔が映り込んでいる。
黒田軍兵衛/片岡千恵蔵 宮田兵助/渡辺篤史 榊原伝四郎/亀石征一郎 三浦和馬/倉丘伸太郎 おゆう/磯野洋子 お容/珠めぐみ おぼん/岡田由紀子 亀蔵/遠藤辰雄 藤田/永野達雄 梅田宗右ヱ門/大坂志郎 近藤弥三郎/勝部演之 大室/夏目俊二 虎吉/西田良 島崎/小山田良樹 善兵ヱ/松田明 矢之助/和田一荘 早苗/沢宏美 大国屋/河津清三郎
監督/松尾正武
第22話 「宿場、暁のなかに」 1971.9.1
親分の推挙で、栄えあるお役を仰せつかった三人組は日光街道へ。不逞浪人の出現で緊張するも、結果はお笑いだったりの珍道中。「援軍」の親分到着をまって本筋、弱気を助け悪を挫く、痛快な立ち回りが展開される。
ロケ地
- 大久保邸、随心院薬医門。大勢の家来が入ってゆくシーンや、三人組出立の際にも使われている。このとき大玄関も映っていて、門前には「移動壁」が持ってきてある。
- 日光街道をゆく一行、休む茶店、不明(棚田の起伏地、湖西か)。
- 関東郡代の使いが迎えに出る古河宿、不明(竹林際の地道、遠景に丘陵地に建つ集落)。
- お墨付き奪還事件の夜明けイメージ、琵琶湖か。
- 古河宿を出て街道をゆく一行、琵琶湖畔(河口州の汀、湖西か)。
黒田軍兵衛/片岡千恵蔵 宮田兵助/渡辺篤史 榊原伝四郎/亀石征一郎 三浦和馬/倉丘伸太郎 お容/珠めぐみ 亀蔵/遠藤辰雄 おぼん/岡田由紀子 藤田/永野達雄 虎吉/西田良 白木/海老江寛 梅田宗右ヱ門/大坂志郎 猪股/玉川伊佐雄 善兵ヱ/松田明 仁助/長谷川哲夫 りえ/金井由美 伴大五郎/若山富三郎
監督/松尾正武
第23話 「軍略の時」 1971.9.8
学問の会をずるけた兵助、死ぬ目に遭うの巻。
大名家にも招かれるひとかどの剣客なれど、内実は凡夫。不名誉な死には、もう一枚恥の上塗りがあった。
ロケ地
- 一刀流・船越道場、民家長屋門。道場主・船越はお供を従えて出てきて南へ、このとき南側の路地に前原がいて凝視。建物前の道は地道。
- 大久保邸イメージ、随心院薬医門。
- 学問の会から逃げた兵助が昼寝を決め込む明神境内の茶店、長岡天神池端に設営。導入は錦水亭東屋外観を池越しに、茶店設営場所は錦水亭のすぐ北側。兵助が落とした印籠を持ち去った前原は、池堤をゆく。
- 茶店の娘・おあきが朝参りの神社、境内の石段は長岡天神境内参道石畳(茶店設営場所から西に行ったところの参道石段手前、レンブラント光線は「作為」か)。帰りに船越道場の前を通りかかり、出てきた前原と遭遇する運び。
- 前原から逃げたおゆみ、追いつかれ揉みあうところ軍兵衛たちが来る川べり、社家町明神川畔。斬られ川に突っ伏す前原は、明神川が一旦宅地に消える「扉」の手前。
黒田軍兵衛/片岡千恵蔵 宮田兵助/渡辺篤史 榊原伝四郎/亀石征一郎 三浦和馬/倉丘伸太郎 お容/珠めぐみ 亀蔵/遠藤辰雄 おぼん/岡田由紀子 梅田宗右ヱ門/大坂志郎 船越一角/舟橋元 おあき/京春上 白木/海老江寛 吉川/浜崎満 前原佐助/今井健二 おゆみ/弓恵子
監督/松尾正武
第24話 「海を渡ってきた」 1971.9.15
ネタをつかんで島抜けし、娑婆で荒稼ぎを目論んだチンピラだが、親分ちの前で仲間を殺したりするから足がつく。遺留品の、「海を渡ってきた」お守りは、持ち主の無実を明かすのだった。
ロケ地
- 清吉が要之助を突き落とす島抜けの船、琵琶湖。
- 江戸へ辿り着いた清吉、もう一人の仲間を絞め殺す夜道、建仁寺両足院前路地。お容のつまびく琴の音が漏れ聞こえる、軍兵衛宅近く。
- 清吉がみねを呼び出し、亭主の帰還について吹き込む神田明神境内、今宮神社。みねに迫っているところを神職に見咎められるのは稲荷社脇。
- 清吉の使嗾で、あいまい宿の主人・熊蔵が恐喝に赴く御番頭・坂本甲斐守邸、建仁寺久昌院。入ってゆく熊蔵らを見ている和馬たちは、門前にしつらえられた移動壁の傍に。
- エンディングに被る、要之助が打ち上げられた上総の浜イメージ、琵琶湖汀(砂浜に足跡点々)。
黒田軍兵衛/片岡千恵蔵 宮田兵助/渡辺篤史 榊原伝四郎/亀石征一郎 三浦和馬/倉丘伸太郎 お容/珠めぐみ 亀蔵/遠藤辰雄 おぼん/岡田由紀子 梅田宗右ヱ門/大坂志郎 卯兵ヱ/松本克平 芳江/粟屋芳美 善兵ヱ/松田明 島崎/小山田良樹 大村/香月涼二 清吉/和崎俊也 坂本甲斐守/服部哲治 熊蔵/池田忠夫 みね/赤座美代子
監督/井沢雅彦
第25話 「将軍暗殺」 1971.9.22
将軍銃撃という大事にあっても、親分の人情は機能する。「犯人」を庇い、全て己が胸におさめ済ます情話だが、お話の過半は伴浪人の馬鹿話で笑わせる。
ロケ地
- 御浜御殿で船遊びの将軍、護衛の任についている軍兵衛たちは琵琶湖畔(護岸は高い石積み、近くに木の船着きもある。親分たちが控える場には幔幕がめぐらされ、周囲の状況はわかりにくいが、唐崎神社かその付近と思われる)。
- 役人に引き渡されることなく、武州に帰ってゆく少年と従僕(猟師)、街道は北嵯峨農地竹林際。朝靄がかかっている。
黒田軍兵衛/片岡千恵蔵 宮田兵助/渡辺篤史 榊原伝四郎/亀石征一郎 三浦和馬/倉丘伸太郎 お容/珠めぐみ 亀蔵/遠藤辰雄 おぼん/岡田由紀子 梅田宗右ヱ門/大坂志郎 牛五郎/山岡徹也 為吉/加藤恒喜 啓吉/三木豊 虎吉/西田良 おぎん/星美智子 伴大五郎/若山富三郎
監督/井沢雅彦
第26話 「きょうも江戸に」 1971.9.29
訳ありげな女に縋られて黙って居られる軍兵衛ではないが、今回間が悪すぎ。殿の勘気に触れついに切腹の支度までなされるが、我らが親分は却って意気盛ん、目安箱の形式に堕したるを火の出るような勢いで批判するのだった。
事情が判明したあとは、殿ばかりか堅物のご家老たちまで「グル」となり、掛け合いに来た阿部家の使いを煙に巻いたり、傑作なファミリーぶりを見せる。
ロケ地
- 出仕途中の親分が通り抜ける、読経の声響く増上寺境内、相国寺法堂基壇〜回廊。湯屋角に差し掛かったところで、方丈塀際にいて、くたくたとへたりこんだ女人を見る運び。大光明寺南路地の方から阿部家の侍が来て、親分にお部屋さまの引渡しを要求。軍兵衛宅も阿部家も、この近く設定。
黒田軍兵衛/片岡千恵蔵 宮田兵助/渡辺篤史 榊原伝四郎/亀石征一郎 三浦和馬/倉丘伸太郎 おゆう/磯野洋子 お容/珠めぐみ おぼん/岡田由紀子 亀蔵/遠藤辰雄 大久保加賀守/柳生博 梅田宗右ヱ門/大坂志郎 阿部但馬守/森健一 太田/増田順司 藤田/永野達雄 白木/海老江寛 宮武陣蔵/川合伸旺 虎吉/西田良 善兵ヱ/松田明 大村/香月涼二 島崎/小山田良樹 せつ/高須賀夫至子
監督/佐々木康
※大久保加賀守は老中、時の将軍は八代・吉宗。
軍兵衛は、大久保家御馬廻役番頭。組下の若者たちが榊原伝四郎(センパイ)と宮田兵助に三浦和馬、三人は軍兵衛を親分と呼び慕う。
お容は軍兵衛の娘、軍兵衛に仕える下男は善兵ヱ。詳しく語られないが、親分の妻女は国元にいるもよう。
おゆうは軍兵衛行きつけの酒肆・ひさごの看板娘、ここで事件が起こることもある。最終話で独立し店を持つ。
大久保家用人は梅田さま、軍兵衛びいきの中間管理職。
傑作な中間部屋トリオ、亀蔵は中間頭 虎吉は小頭、いける口のおぼんは女中。
結束作品でお馴染みの香月氏、11話までは心優しい評定所番同心で、以降志して代書屋に転職する熱血漢。クレジット表記は涼二。
ときどき出てくる伴大五郎は女たらしの金欠浪人で、軍兵衛のことを先輩とかお父さんとか呼んだりする。
※梅田さまの、御城下の思い出話
…箱根のお山に雲が流れ、春を告げるお城のお庭の梅の花。夏になると早川の流れ、お庭に光って続く海の色。浜辺には、地曳網の声がうわーっと響いて… (19話)
このことから、お城は小田原城、領地は相模、大久保家は嫡流の大久保加賀守家と推測される。年代から、お話に登場する殿様は七代目・忠朝と思われる。
殿様が老中になってから、梅田さまや軍兵衛は長く領地に帰っていないと、劇中で語られている。
※オープニングロケ地覚書 大覚寺御殿川河床と勅使門前広場、今宮神社東門内側の橋など
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