小林桂三郎監督作品 1955.3.25日活
キャスト
中村扇雀 坂東好太郎 山村聰 宮城野由美子 廣岡三栄子 宮城千賀子 坂東吉弥 牧真介 名和宏 神山勝 金澤義彦 市川謹也 尾上菊太郎 片桐常雄 深水吉衛 鴨田喜由 天草四郎 宇野重吉 村瀬幸子
脚本/八住利雄 音楽/古関裕而
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美小姓・森蘭丸を主人公に据え、本能寺の変前夜の秘史を描く。
蘭丸本人は戦功をたてての出世を望むが、母の意向と信長の癖に阻まれる。また彼は、父が戦死したことで光秀を恨むが、人となりを知るにおよび遺恨は氷解。
しかし光秀は、度重なる信長の横暴に耐えかね暴発、本能寺を焼き尽くした炎は、明るい未来を夢見ていたお小姓とその恋人の命も奪い去ってしまうのだった。
ロケ地
- 安土城イメージ、姫路城天守を湖畔に合成。アップの城は書割、お芝居がなされる天守バルコニーはセット。
- 中国筋攻略中の秀吉が、宇喜田秀家助命嘆願のため帰還、軍勢が安土城へ入るシーンは二条城本丸西虎口(見下ろし)。
- 蘭丸が光秀の進言に救われた件をじいと話す母、琵琶湖岸。
- 信長により放逐されたお滝の方の駕籠が出てゆく城門、二条城桃山門。
- 光秀が信長の勘気を蒙り遠ざけられたことを噂する馬子たち、不明(街道に茶店、そこに光秀を案じ訪ねてきたお滝が休んでいる図。土手下か)。
- 家康の宿館となった大宝坊、不明(門の内側?)。台所で魚の腐敗臭がする件で立腹、接待役の光秀を呼べと命じる段。このとき登城途中だった蘭丸のシーンは、二条城本丸櫓門内側。
- お滝の文を見て会いにゆく蘭丸、語り合う湖畔は琵琶湖西岸、大木あり。後段、お滝から来た別れの文を読むのも同所。
- 城門を騎馬で入ってくる蘭丸、二条城鳴子門。このとき、濠に品物を投棄している一団を見咎めるのは続きの内濠端。光秀の家臣・安田と溝尾が、信長の仕様に腹を立て饗応の品を棄てていたもの。
- 毛利攻め中の秀吉が遣わした、援軍依頼の使者が走る街道、不明(松並木の土手)。
- 上洛した信長が入る常宿の本能寺、門イメージは東本願寺内事門(本陣と大書した提灯と、衛士あしらい。後段、戦のシーンの境内やお堂はセット、反った回廊などあり凝っている)。
- 墓参の蘭丸に会いに来るお滝、不明(墓地?大きな碑あり。設定は京)。
- 本能寺の変翌日早暁、京イメージの山の端と塔は書割か。河原に倒れ伏す蘭丸のもとに駆け寄るお滝のシーン、セット撮り(設定は鴨河原か、蘭丸は前髪のまま大わらわ)。
※蘭丸の父は前の宇佐山城主、朝倉浅井攻めの際光秀に父を見殺しにされたとして遺恨を抱く設定。光秀は現宇佐山城主。光秀を見返すことが蘭丸の母の悲願。
※色香で主を惑わすとして、朋輩のお小姓連は蘭丸を敵視、荒事を仕掛けてくる。
※信長に怖じず直言する光秀、正論ゆえ容れる信長だが面白くはなく、暴言を吐いて遠ざけたりする。ホントは重んじてると蘭丸には言うが、その思いは通じず暴発に至る次第。
※信長の奥向きは、ちっとも戦国らしくなくほとんど大奥。愛妾・お藤の方は、蘭丸に言い寄るも危難には退けたりする身勝手な女として描かれている。お滝は、お藤の方に対抗させるべく後宮に送り込まれた女(光秀に恩ある者、後宮入りは光秀の意向に非ず)。
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