吉宗評判記
暴れん坊将軍
  20〜39話

1978-1982テレ朝/東映


第20話 人情あやめ河岸 1978

 本所奉行が長屋を立ち退かせ岡場所を作り、上がりで大儲けを企む。
奉行の手下にはお鯱組と称する旗本愚連隊、名古屋城の鯱をモチーフにした羽織をまとい深川で幅を利かせる。羽織は上様に対する反抗の証、彼らのバックには尾張宗春。立ち退き騒ぎと同時に、加納じいの失脚も計画される。これは、じいが紀州時代の恩人の娘が勤める料理屋に上がった際のお鯱組との諍いから発生したもの。もちろん乗り出す上様、拉致された娘のためにじいが討ち込んだ佃島の廃屋に颯爽と現れる。

ロケ地
・尾張藩邸、大覚寺大門。鯉に餌をやりながら密偵の報告を受ける宗春、観月台
・弓のお稽古上様がじいをからかう庭、枳殻邸印月池畔。
・船で佃島へ向かうじい、広沢池。上がる汀は東岸
・お鯱組の不首尾を本所奉行に報告→暗殺にかかる尾張の密偵、大覚寺宸殿(この密偵を追う助八は放生池堤〜観月台)
*本所奉行・田所監物に川合伸旺、お鯱組の首魁に田口計、深川で暴れるお鯱組の一人に福ちゃん(冒頭のみ)。*浅蜊売りの坊、新さんをおじちゃんではなく「お兄ちゃん」と呼ぶ。


第21話 纏は見ていた 1978

 富商に放火した上で火事場泥棒を働く一味あり、火盗改長官がグルというとんでもない悪党どもを成敗するお話。
火事場泥棒の実行犯の一人は妹の薬代のためいやいや加わっている気弱そうな男で、これに同情した一味の用心棒が土壇場で彼を助け「表返る」エピソードや、め組の纏持ちが大屋根の上で殺され代わりに新さんが纏を立てる一幕もあり見所多し。

ロケ地
・金が欲しいならという不知火の伝蔵の言に妹の顔を重ね苦悩する幸吉、大覚寺五社明神
・幸吉に身辺に気をつけるよう進言する用心棒・一色、下鴨神社泉川畔。
*一味の用心棒・一色十郎太に栗塚旭、気弱な下っ端・幸吉に香山武彦、め組の纏持ちに和崎俊哉、火盗長官に川辺久造。


第22話 天下を支える友情 1978

 珍しく失策を演じる上様、関東郡代の口車に乗せられ、僅かな見聞から千住宿綱紀粛正の布告を出してしまう。出店や掛小屋は禁止され追い立てが始まるが、郡代は跡地利用で大儲けを企み宿役人や地回りと結託、逆らう者を消しにかかる。再度千住入りした上様は郡代の実態を知り千住の繁栄を築いた民の声を聞き、職を賭して諫止した忠相の真意を覚りいたく反省するのであった。もちろん郡代のもとに乗り込み悪を糺す上様、郡代の放蕩息子に侮蔑を受けたりするが叩きのめし、「どうだ馬鹿将軍の刀の味は」とやり返す。

ロケ地
・忠相の諫言に怒気を発した上様が馬を駆る馬場、下鴨神社糺の森馬場
・蝶々亭の座頭が斬られる現場に駆けつける新さん、大覚寺五社明神
・蝶々亭の踊り子に面罵された忠相に謝る上様、護摩堂
*蝶々亭小花に紀比呂子、妹は遠藤真理子。関東郡代は稲葉義男で乱暴息子は岡崎二朗。*おまちと共に千手見物の新さんが行き当たる阿漕な見せ物は一間半の大鼬ならぬ大板血。


第23話 怒れ!!魚河岸野郎 1978

 賄方の役人が魚河岸で無茶な御直買いのうえ代金は十年前のままと無体を働き、市中に出回る魚が高騰。調子に乗った役人たちは御直買いの量を増やし、密かによそへ卸して巨利を貪るありさま。魚河岸の軽子までして探索する上様、最後は役人宅へ討ち込んだ太吉を助けワルを成敗。

ロケ地
・賄方の役人たちが「役得」を持ち帰る際「素通り」の御切手門、二条城か。
・忠相に魚市場増設を持ちかける上様、大覚寺宸殿内庭
・魚河岸問屋の処刑延期を北町奉行に申し入れる忠相、大覚寺宸殿廊下
*太吉に桜木健一、賄頭に安部徹、納屋頭は加賀邦男で悪徳商人は藤尾純。*ぬるい汁と焼き冷ましの魚に辟易した上様、賄方を覗きにゆく。そこで目にした種々の無駄に呆れ「俺は六人前も食わんぞ/アレも皆俺が食べたことになっておるのか」発言が笑える。乗り込んできた新さんを誰何のワル、かーんかーんと効果音鳴り上様のポートレートが乱れ飛ぶ初のパターン、お庭番による成敗も初。

第24話 七里飛脚は鬼より怖い 1978

 両国の船宿で七里飛脚が殺され、女中のお紋が犯人として捕縛される。お紋の父は藤沢宿で二年前そのお七里に無礼討ちになっており動機充分とされ、凶器も彼女の簪。冤罪と確信した新さんは探索に走り、米問屋・武州屋と七里の元締が図ったことと突き止め、御状箱を使い堂島の相場情報をいち早く知り米の横流しで巨利を貪るという構図を焙り出す。元締のアリバイ崩しには早駆け競争を持ちかけ自ら出場、両国・品川間を一刻で往復可能と実証する。

ロケ地
・大山代参帰りのめ組の源三と鉄がゆく神奈川宿手前の橋、木津川流れ橋(夕景)
・お七里と事を構えため組の二人が百叩きの神奈川代官所、大覚寺明智門
・助八と槍のお稽古上様、大覚寺御影堂(稽古のあと七里について報告を受ける)
・め組から帰るお紋を両国へ送ってゆく新さん、広沢池東岸
・お紋の父が御状箱の中の米相場表を見てしまい七里に無礼討ちされる藤沢宿はずれ街道筋の農地、木津川堤下の堤内地
・武州屋からとってきた価格表を上様に見せる助八、大覚寺宸殿庭(助八に長距離走のブレスについてレクチャーを受け訓練するのも同所)
・両国−品川間の早駆け競争、北嵯峨農道大沢池堤
*お紋は梶三和子、武州屋は天津敏で番頭は国一太郎、七里元締は宮口二郎。*品川の妓楼に調査に入る新さん、東北弁のデカくて下品なお女郎に押し倒される一幕あり、敵娼はお馴染みあき竹城。早駆競争のゴールで囃す民衆の一人に福ちゃん、魚屋姿。*ラス立ちは武州屋乗り込み、最後に捕り方が入り成敗はなし、腹切って突っ伏してる松江野藩留守居役が映る。


第25話 素破!天下の一大事 1978

 深更、江戸の町に響き渡る怪しの爆音、おののく旗本たちを後目に得たりや応と城に駆けつける騎馬武者あり、その勇を愛でられ長崎奉行に推挙される運びとなる。しかしこの裏には、自作自演のとんでもない陰謀が隠されていた。
倒壊家屋もあり人死にも出て騒然となる市中、流言蜚語飛びまくり。風来坊の浪人・一色の活躍や、懐に飛び込んできた爆竹職人の娘の情報を届けようと大奥潜入の辰五郎など、賑やかな進行。

ロケ地
・江戸城のシーンに大坂城各所(刻印石広場で弓のお稽古、堀端で庭番の報告を聞くほか極楽橋から見た天守や、城下を眺める上様など様々に使われている)
・城の中を逃げ回る辰五郎のくだりに大覚寺宸殿まわり(宸殿縁先、回廊、庭)
・柳川軍兵衛邸、大覚寺大門
*柳川に石浜朗、手下のヤクザに沼田曜一、騙された爆竹職人に北村英三。ヤクザの用心棒で栗塚旭が出ているほか、辰五郎潜入の大奥でお局さまの白木万理も出てギャグ要員の老女に和歌林三津江。


第26話 朝寝朝酒で出世した男 1978

 無法の町・新宿を牛耳る悪徳商人を一掃するお話。
代官を顎で使い幕閣にも幅を利かす山崎屋、宿場の小あきんどからはガメつくみかじめ料を取り立てるが、自分は運上金も払わずぶいぶい。代官以下この放埓を見過ごし供応にあずかるなか、ただ一人流れに乗らぬ役人あり、しかし昼間から大酒を食らい子らにも軽侮される昼行灯。この男に誠を見た新さんは彼を励まし民衆と共に起つよう促す。男は以前悪風に異を唱え、女房を密殺された経緯を持っていた。

ロケ地
・庭番に新宿の報告を聞く上様、大坂城濠端。忠相やじいに新宿の化物退治を宣言する上様、大坂城極楽橋上。ラストシーンの門は青屋門、いずれも天守が背景。
・茶店の親爺が山崎屋の用心棒に斬られる内藤新宿はずれ、大覚寺五社明神。新さんが気配に気付く、放生池堤。去る用心棒と行き会う酒田善右衛門、参道石橋
・妻の墓に参る酒田に決起を促す新さん、広沢池東岸に船着きと墓セット(徐々に夕景となる)
*酒田は長門勇で山崎屋は南原宏治、代官は小笠原弘で酒田の上司は汐路章。山崎屋の一の子分に内田昌宏(内田勝正)、用心棒は五味竜太郎で下っ端に福ちゃん(役名は「子分」)。


第27話 柳生一族を斬る女 1978

 タイトルの女は美空ひばり演ずる紀州屋のお奈津、謀殺された剣術の師匠の仇をとるべく単身柳生屋敷へ斬り込む。じいや忠相に止められるも土壇場には介入の上様、飛騨守の舎弟が裏で乱発していた柳生免状の件も併せて糺す。

ロケ地
・飛騨守が上様に稽古をつけるお城の庭、枳殻邸(印月池前の芝地に幔幕、じいから遁走の上様は傍花閣の向こうに消える)
・柳生道場、随心院(正門に薬井門、助八が逃走する通用門に長屋門、お奈津乗り込みは大玄関)。秋山惣右衛門が柳生玄蕃らに襲撃される路地、随心院大乗院前路地(立ち回りは南塀際へ移行、新さんが現れる)。
・忠相らが上様にお奈津の件に介入するのはダメと諌める庭先、枳殻邸印月池畔。
・斬り込み前にお奈津が佇む菩提寺、随心院本堂
*お奈津師匠の老剣客は内田朝雄、飛騨守は土屋義男、舎弟は今井健二で手下に中田博久。*ひばりの殺陣は柳生邸斬り込みでたっぷり。別れのシーンでは串本節を披露。*柳生邸潜入の助八が気付かれ、飛騨守に木刀で床越しにぐっさりやられる珍しいシーンあり。直接の仇の馬鹿息子はお奈津がばっさり、舎弟は上様が打ち据えたあと飛騨守が成敗。*儀礼的な飛騨守の稽古が物足りない上様をナレーションで「野人吉宗」…。


第28話 明日に咲いた影の花 1978

 尾張をバックにつけた軍学者が将軍を暗殺しての「世直し」を計画、彼らが撃ち殺した「上様」は吉宗の知らぬところで手配されていたそっくりの影武者だった。
自分の身代わりで人死にを出したことに甚く心痛の上様は、影の唯一の身内である姉を訪ねひととき「弟」を演じ共に過ごすことに。そこで姉の恋人がクーデタ主導の軍術道場の一味なことを知る。その男は過激な手法に疑問を抱き異を唱えるが消されかかり、襲撃の一味に立ちはだかる上様、身分を明かしてぶちのめし。

ロケ地
・クーデタ計画の金沢流軍学塾、上賀茂神光院(中興堂、蔵)
・御用盗について報告する忠相、枳殻邸侵雪橋上。
・将軍が狙撃される潅頂院、永観堂(勅使門、林間、放生池橋石橋、御影堂前)
・事後、目を治しに長崎へ向かうおみよと小沼がゆく街道、北嵯峨農地竹林際。
*軍学者・金沢に石橋蓮司、酷薄で浅はかな不満分子を好演。影の盲目の姉に中村玉緒。恋人は島田順司。*玉緒ちゃんが「弟」をぺたぺた触って「少し肥りましたね」が笑える。レンジと対峙した上様、「市之進の仇」とか言うけどマジ斬りではなく刀の音は「バシィ」とぶっ叩いたヤツ。


第29話 大江戸一のドジな掏摸 1978

 天然系の女掏摸・お峰の危機を救い改心させる話が主軸、ついでに掏摸の大元締とこれにタカる奥祐筆組頭を成敗し、掏摸に関する刑法を整備する上様であった。

ロケ地
・お峰に財布を掏られかけたじいが忠相にガミガミ苦情を申し立てる廊下、大覚寺宸殿廊下。
・掏摸の銀平と今は堅気の弟分・長吉が再会し話す、大覚寺放生池堤
・掏摸の元締・蛇留宅に忍んだ結果を報告の庭番、加えて忠相の報告、大覚寺天神島
・自首し赦されたお峰が長吉とともに高崎へ向かう街道、北嵯峨農地か。
*お峰は西川峰子、長吉は佐藤仁哉。奥祐筆組頭は川合伸旺。*お峰、じいの懐を狙うもぶっとい紐ついてて失敗。ラス立ちは蛇留一家に乗り込んでお峰らを救出、名乗り等はなし。奥祐筆は召し出して証拠つきつけ→斬りかかってきて取り押さえられパターン。


第30話 裏切り御免! 1978

 市中で、道場破りの病犬のような兄弟から娘を救う若侍・林市太郎。腕前に反比例しおどおどと怖じけ名も組頭のものを騙る。祖父が由井正雪の乱で内通者だったことから軽侮され続け苛め抜かれてきた林の家系、しかし名を騙ったことで助けた娘が組頭に好き放題されるに至り爆発、上様はこれをサポートし御前で試合わせ、名誉を回復してやる。

ロケ地
・道場破りの兄弟を見てきたあと、幸内が新さんに生半可な武芸奨励策がマズいのだと高説を垂れる、大覚寺五社明神(導入は鳥居越し)
・め組を出た林とお光がゆく道、大覚寺放生池堤(祭礼の灯や幟あしらい)
・小普請組を調べてきた庭番が弓のお稽古上様に報告を上げる庭、枳殻邸印月池畔芝地
・林一家が十年来苛められている訳を語る幸内、大覚寺大沢池畔〜護摩堂前。迫害を受ける林一族のセピア色回想シーンは参道石橋
・林が病犬兄弟に襲われる武家屋敷街、相国寺大通院前〜鐘楼
*林市太郎に矢吹二朗、組頭は小林勝彦。ラスト、林が助けた娘と晴れて祝言の席、仲人の辰五郎はアカペラでEDテーマ「炎の男」を熱唱。*正雪を密告した行為は大火から市民を救うと同義・林を苛める世間にはひょっとして反乱が成功していればマシな世が招来されたかもと思う民の、御上への怨嗟が関係するかもなどと上様が群集心理を忖度する場面がある。


第31話 御狩場から消えた女 1978

 オランダ渡りの銃を手に入れた上様は試し撃ちのため小金井狩場の武市に預けるが、或る日彼は殺され、妻子と銃が消える。その後、神田にある伊勢屋と名のつく店に入り銃を狙う女盗賊が出没、これこそ武市の女房・お駒で、銃と息子を探していたのだった。探るうち、お駒を見つけ保護し、用心棒の浪人・一色の助けでさらわれていた勘吉もゲット、ワル一堂に会し祝宴を張る座敷に芸者と幇間として入るお駒と上様、実は御用金泥棒だった伊勢屋を断罪。

ロケ地
・小金井御狩場、不明。
・賊を追う捕り方から身を隠すお駒、大覚寺五社明神内陣。
・お駒の息子を探す新さんが水遊びの子らに面影を見る佃界隈の川端、広沢池東岸
・お駒の息子を監禁してある佃島・伊勢屋寮、大覚寺放生池堤(寮の裏口の竹垣と扉が堤上にセットされている)
・ラスト、上様が単騎駆ける小金井御狩場の道、木津川堤
*お駒に浜木綿子、元辰巳芸者でラス立ち前には啖呵もあり。伊勢屋は垂水悟郎、武市は田中弘史、お駒が一時身を寄せる川魚料理屋の親爺は中村錦司。一色十郎太はもちろん栗塚旭(クレジットはゲスト扱い)。*ラス立ち、幇間姿で入った上様の珍しい股引姿での殺陣。用心棒の一人に福本先生、斬られて二度ほどくるくる回りのけぞる。


第32話 日本一の勝名乗り 1978

 相撲大好き上様、いかさま勝負を嫌って因州藩を飛び出したお抱え力士・龍虎の件に関わり、諸藩の外交の道具に使われるお抱え相撲を禁止するに至る。うきうき土俵を整備させて楽しみにしていた御前相撲にケチつけられたうえ、無辜の死を見た上様の怒り凄まじく因州屋敷で大暴れ、張り手かましまくり投げまくり。

ロケ地
・城内で旗本相手に相撲をとる上様、土俵は梅宮か。
・因州藩江戸屋敷、相国寺大光明寺(門、玄関先)。龍虎たちが追われる、方丈西塀際〜法堂前渡廊
・龍虎が共に逃げた弟弟子・磯の風の傷の手当てをする川辺、日吉大社走井橋(因州の追っ手は橋上を過ぎてゆく)
・御前相撲延期の諸藩の言い訳について忠相と話す上様、知恩院黒門道(忠相、相撲挑まれて逃げ出し)
*冒頭から家臣を集めて相撲をとる姿が描かれる、相撲フェチの上様。忠相に挑みかかるシーンや、め組の二階で龍虎と一番かまし家を揺らす一幕も。因州藩へお抱え力士になりに潜入した新さんにつけられた四股名は「徳田川」。


第33話 天下御免の大名じるこ 1978

 奥州の小藩を陥れ改易に持ち込み、これを手柄として若年寄出世を目論む大目付、藩留守居役を抱き込み参勤交代に遅参させ、謀反の企てとでっち上げる陰謀をめぐらせる。
赤石藩は寒冷地で、飢饉もあり実高は半分という貧乏藩、参勤交代の費用にも事欠くありさまで、途中で路銀も尽きかける。江戸詰めの藩士たちは自らの財をなげうち、また或る者は汁粉屋を開いて小金を工面し、道中にある幼君の費えの足しにと健気に動く。しかしなけなしのその金も留守居役が遊蕩に使い殿には届かぬ理不尽、真相を掴んだ上様は大目付邸に乗り込みワルを叩きのめす。

ロケ地
・冒頭大名行列イメージの橋、欄干のある長い木橋、大井川の蓬莱橋か。
・赤石藩の書院番が三河町で汁粉屋開業の報告を受ける上様、枳殻邸印月池畔。忠相を呼び参勤交代制度について話す上様、枳殻邸傍花閣内部。このほか城内御廊下に大覚寺宸殿
・赤石藩一行が利根川房川渡し(渡しは現・埼玉県北葛飾郡栗橋町、対岸は群馬県猿島郡)の手前で川止めと聞かされる、中ノ島橋上。襲撃を受ける街道は酵素降り口、ダート。
・戸田伊勢守一行到着を知らせに城門に駆け入る助八、知恩院北門。知らせを受け走り出た上様が幼い伊勢守に刀を授け道中を労う、黒門道踊り場。
*汁粉屋を開く書院番の爺さまに今福正雄、大目付は神田隆で赤石藩留守居役は浜田寅彦。


第34話 嵐の中に舞う女 1978

 大奥での舞上覧を巡り対立する梅川流の小扇と浪路、名誉と流派の後継問題が絡む。浪路は野望ギンギン、小扇は芸道一直線の生真面目な女。
浪路は小扇の身辺を探るうち、三味線弾きの伊之吉が由緒ある武家の出と知り、家名を飾りたい若年寄・堀田に接触しことを告げ上覧の人事を操ろうとする。系図を奪う際伊之吉は殺害され、小扇は「夫」の仇と若年寄とその一味を追い詰める。もちろん介入の上様、金ぴか衣装で大立ち回り。

ロケ地
・お城の庭で忠相と荒稽古の上様、枳殻邸印月池畔芝地。
・月光院が墓参の寛永寺、滋賀院門跡。若年寄と話すのは慈眼堂
・小扇と伊之吉が新工夫の芸をさらう、木島神社本殿前。
・大川で密談の若年寄の屋形船は大沢池
*伊之助に伊吹吾郎、小扇に岡田茉莉子、若年寄は葉山良二。


第35話 爆薬を抱いた花嫁 1978

 武蔵野新田開発を進める幕府、技術面で寄与するは相模屋、金銭面は武蔵屋が受け持つ。
開発に勤しむ相模屋だが、現場で材木が落ちてくるなど何故か狙われる。裏には武蔵屋と結託した役人がいて、二人して帳簿に大穴開け公金を着服、相模屋の身代まで狙っていた。
相模屋の娘の嫁入り道具に仕込まれた爆薬を辛うじて始末した上様、ワルの座敷に乱入し大暴れののち庭番に頭目二人の成敗を命じる。

ロケ地
・竜吐水の実験が行われる広場、嵐山の公園か。この場面の水汲みは広沢池東岸で。
・相模屋が落ちてきた材木で負傷する水門通水予定現場、谷山林道か。
・相模屋の事故原因の報告をする忠相、五社明神か(おそのが武蔵屋と黒坂のつながりを報告する茶店も同所)
・開発成った後忠相が検地する武蔵野新田、亀岡の田んぼか。
*相模屋は大木実、武蔵屋は伊沢一郎で役人は北原義郎。ラス立ち福ちゃん入りで黒坂の家来。*爆薬の始末、解除不能を知った新さんは横抱きにしダッシュという無茶。


第36話 天を欺く泣きぼくろ 1978

 ある夜め組が入水を止め助けた女は「身投げ屋」、同情を誘い金を騙しとるカタリだった。しかし裏には哀しい事情、女の夫は大名貸しを断り無礼討ちにされた大店の主で、詐欺で得た金は仕入金弁済と、巻き添えで殺された駕籠屋の家族に渡されていた。
女の心底を見た上様は無礼討ちの侍を調査、大名貸しの踏み倒しの上をゆく私腹肥やしの企みを知り藩邸に殴りこみ、首謀者のワルを成敗。

ロケ地
・助八と柔術のお稽古上様、不明(白州、背後は幔幕で隠れ)
・め組の衆が「身投げ」お秀を止める川端、桂川か(低い堰堤越し、川端は石積み護岸)
・庭番や忠相とツナギの新さん、赤山禅院本堂まわり(内陣のほか朱の囲いが効果的に使われ、池越しのアングルも。地蔵堂前では刺客の襲撃が撮られている)
・お秀が今夜騙りをはたらくと見た新さんの指図で川端堀端で張りこむめ組の衆、おまちが見張るのは中ノ島橋上手堰堤際、作り物の壁をあしらい。新さんに騙り現場を見つけられてしまうお秀、中ノ島橋上。
・事後、出家したお秀が夫たちの菩提を祈る八王子の尼寺の墓地、化野念仏寺石仏群。
*お秀に野川由美子、泣きぼくろは右目の端に。江戸屋敷留守居役に武藤英司、勘定役元締に大木正司。*膳所藩邸に乱入の上様、天狗の面つけた山伏姿で登場。その前に山伏見てにたーっと笑ってたのはコレを思いついてか。


第37話 女の一途に目を醒せ! 1978

 たちの悪い渡り中間が跳梁跋扈、雇い主の武家の威光を笠に着てやりたい放題。彼らが追われた際必ず逃げ込む旗本屋敷、その主・小普請組の高柳大学は、渡り中間たちの持ってくる各家の秘密をネタに強請りを働くという悪党。
渡り中間に負傷させられ失職し、以後荒んだ生活を送る恋人をけなげに待つ女の話を縦糸に、ワルの内情を探る上様の姿を描く。

ロケ地
・登城の大名行列、姫路城天守大手門(山田朝右衛門下城も同所)。その行列の渡り中間に店の修理代を払えと迫る笹屋の女将、め組も介入し喧嘩沙汰の大手御門近く、相国寺方丈西塀際路地。渡り中間の実態を語るナレーション部分、中間の日常イメージに相国寺大光明寺門、通用門と方丈西塀。
・上様に出来上がった新刀を持ってくる加納じい、大覚寺御影堂(背景に姫路城天守合成・クリアなきれいな画)宸殿まわり。後段、新たに召抱えられたお試し御用役の「山田朝右衛門」が兜割りの試技を披露するのも同所。
・辰五郎捕縛についてめ組に謝りに来た笹屋の女将を送ってゆく新さん、大覚寺有栖川五社明神。高柳について庭番の報告を聞く新さん、笹屋の女将が伊助を待つ池端、大沢池畔。
*笹屋の女将に朝丘雪路、恋人の元飛脚に入川保則、高柳は外山高士で悪い渡り中間は藤岡重慶や中井啓輔など。め組と表御門近くで喧嘩の中間の一人に福ちゃん、槍持ち奴。*今回上様は渡り中間のカッコして高柳邸に潜入、デカすぎて白い大きな足袋がペンギンみたいだった。*朝右衛門登場、実はこれまで度々出ている謎めいた用心棒の一色十郎太。二つ名という設定。


第38話 黒潮の渦を斬る女 1978

 美空ひばりゲストの紀州屋お奈津シリーズ、今回は紀州が舞台。
紀州藩主の宗直は前藩主吉宗への反発もあって質素倹約の風を嫌い、御殿を建てて遊興に耽る。その上妙な軍学者を引き入れ、武器を大量購入したりと不穏な動き。
紀州屋のお奈津は、この殿様に命がけで皮肉をかます行動に出て、案じた弟が江戸へ走り「新さん」に助力を要請、新さん紀州入り。宗直とは直接会い諌めるが、ついてる軍学者は今が好機・上様のお命頂戴と向かってくる。この大立ち回りにはお奈津も参加、軍学者が無様にも逃げやがるのは追っかけた上様が成敗。

ロケ地
・西浜御殿は三段壁の上か(観光施設?の屋根が見える)。このほか海辺や急崖等特定は難しいが、南紀は間違いなし。
・弓のお稽古中の上様が弦を切ってお奈津の危機を感じ取る、大覚寺宸殿前。
和歌山城は、城下をゆく新さんの背後に合成されているのとラストのイメージに天守を合成。
・お奈津が捕縛されかかっているのを助け、逃げた先の海辺、椿野猿公園(お猿さんも映っている)。ラス立ちの浜はこの近辺と思われるが特定できず。「協力」クレジットには円月太鼓保存会/白浜観光協会/川久。
*お奈津・佐吉は美空ひばりに香山武彦、宗直は森次晃嗣、諫言して斬られる忠臣は内田稔、軍学者は青木義朗。山根暁雲斉と対決のシーン、上様は成敗を宣言してるしバックにはメロウな音楽が流れてるし、峰を返してるようなカチャ音入ってるし斬ったような効果音だし、マジ斬りだと思うが100%の自信はなし(斬る音ちょっと鈍)。マジ斬りならこれがお初。ところでお奈津があてつけに海辺で高価なお香を焚くシーン、色とりどりのヘンな煙がもうもう出ていて傑作。


第39話 琉球渡来の甘い罠 1978

 江戸で評判をとる琉球手踊りの一座、踊り手は嵐による砂糖黍の凶作のため江戸へ出稼ぎに来ている宮古の娘たち。彼女たちの村の男衆は白砂糖の生産許可を貰いに薩摩へ船出したまま行方不明でその消息を知るのも目的、これを聞いた新さんは忠相に調査させるがなにやらキナ臭い雲行き、そして宮古の名主が開発した白砂糖が薩摩藩御用達の砂糖問屋・扇屋によって売り出される。

ロケ地
・名主の娘・おりんに話を聞く新さんが扇屋の手先に襲われる道、大覚寺大沢池堤。脇から介入の朝右衛門が刺客を水に叩き込むのは水門のところ。
・忠相が上様に薩摩藩吟味役(元琉球在番奉行)の人物について胡散臭いと報告するバルコニー、大覚寺五大堂観月台(バックに大沢池)
・吟味役が扇屋と密談の屋形船、大沢池(小さいほうの舟着きから乗り込み)
・琉球の男たちを監禁して白砂糖を作らせている寺嶋村の瓦小屋、広沢池西岸か。
・再会を喜ぶ宮古の男衆と娘たち、琵琶湖河口州(先に出た白砂糖製造の成功を喜ぶ宮古の浜も同所でセピア処理)
*おりんは奈美悦子、父の名主は岩田直二。扇屋は柴田p彦で吟味役は小笠原弘。*め組と喧嘩の薩摩藩の仲間奴(クレジットはこの表記)の一人に福本先生、町火消しなんかすっこんでろやっちめぇと台詞あり・しかし龍虎に投げ飛ばされ。*おはぎが甘くないとボヤく大奥年寄に和歌林三津江、おそのってこういう人の相手も仕事なのか。*朝右衛門登場、「徳田」と呼び捨て、「俺はこう見えても上様の」と口すべらしかけも。


話数は、時代劇専門チャンネルで再放送時に打たれたナンバーに準拠しています。
これにはスペシャル番組やフィルム亡失分が含まれていないので、本放送時と異なります。
私的資料をここに挙げたナンバーで作ってしまっているので、ここはこのままにします。
全話リストを別に作りましたのでご参照下さい。

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